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仁木悦子の部屋
浅田悦子作品について |
Scince: 2001.04.01
Last Update: 2001.08.06 |
旦那の女性関係で悩んでいた黒松由紀子の家へ子ども二人と車で出かけた浅田悦子。ようすがおかしいのでのぞき見ると黒松夫婦が倒れていた。夫婦とも死因は青酸カリらしい。由紀子の兄の元には旦那の女性関係でなやんでいるという手紙が来ていたことや、現場が自殺らしく見えることから由紀子からの無理心中と思われた。しかしいろいろ不審な点がある。そして悦子が発見した後に現場にいた隣の男性の死。ふと悦子は決定的におかしな事に気付く。 |
悦子の復活編。名字が変わったこともあって途中まで仁木悦子の結婚後だとは気付かない。小道具がうまく使われているのと、おかしな事に気付くところはさすが。(2001.08.06) |
斜め向かいの為永さんが門も縁側も開けっ放しで留守留守だという。おせっかいで見に行と、為永夫人は電気洗濯機の上にうつぶして死んでいた。ゆかの上一面に水。そして直径七ミリくらいの赤いマジック・インキで塗ったにせ物の真珠が落ちていた。約二週間後、今度は隣のいなぎ荘の一室で青酸カリによる殺人事件が発生した。ここにも赤い玉が。そしていなぎ荘の別の部屋から赤い玉が見つかった。前に住んでいた女性は睡眠薬で自殺したという。 |
赤い真珠という小道具が見事に生きている。わりと凝った作品で、ある意味でマニア向けといえる。(2001.08.06) |
新聞の伝言板に『クマの子ベーちゃん』求むの記事が。それは哲彦が二歳半の時に病気の木崎七重を訪れたさいに忘れた縫いぐるみのクマのベー公をモデルにした五枚ほどの童話だ。その三ヶ月後に七重は死亡してしまった。どうやら七重の唯一の財産だった宝石を求めてのことらしい。ついには七重の従姉が「きょーりゅーが、キョーリューが」と叫んで死んだ。 |
宝探しはさほどでもない。殺人方法も疑問が残る。シリーズとしての面白さと不審に思うポイントは相変わらず仁木悦子らしい。(2001.08.06) |
テレビで林田社長殺人の容疑者木元が財布を拾って渡した女性を捜しているというニュースがあった。西崎さんの奥さんが財布を受け取っているのを見ていため、西崎さんと警察へ行って木元はアリバイが成立した。ところが木元と会うとスウ子は泣き出してしまった。釈然としないことをはっきりさせるために調査を開始した。 |
ふとおかしい、という事を子どもから得る話はやはり仁木悦子の独断場か。(2001.08.06) |
松田家から頂いたひな人形の首が抜け、そこから「はんにんはなえだ」の紙が出てきた。その隣で殺人事件があった事を知ったわたしは好奇心にかられて調べ始める。事件は笹川家の離れで起こり雪の密室の様相を呈していた。 |
雪の密室ではあるが、狭義ではどうか。謎の紙片はご愛敬かな。(2001.08.06) |
兄嫁が妊娠中のために、わたしは哲彦と鈴子に姪のこずえで群馬県の民宿上毛荘に来た。夕立があり、虹が出た頃に雄太郎もやって来た。と、二階に泊まっていた倉井の手提げかばんから火事。そして倉井が川べりで死んでいるとの知らせが届く。壊れた腕時計から雷雨の前に二つあったジュースの缶うちの青酸カリが入った一つを飲んで死んだらしい。 |
豪華総出演といったところ。この手掛かりならば仁木雄太郎でなければならない必然性がある。嬉しい一編。(2001.08.06) |
三年前に夫が仕事で八丈島に泊まったとき、やっていた喫茶店が火事で母は焼死し、顔にやけどをおって自殺するつもりだった昌江をうちへ連れてきた。その後、整形手術した彼女が相談に訪ねてきた。祖母に連れ戻された父は四五年後に死亡し、祖母も亡くなったという。焼香に行くと、そこにはもう一人の昌江が。 |
本物である事を立証する話。もう一ひねりか、もう少し決定的な事柄があれば、と思われる。(2001.08.06) |
哲彦から子とろ女の話を聞かされた。てるてる坊主みたいなものをぶつけてやると自分の子どもだと思うらしく撃退法できるという。ポプラ幼稚園の花火大会でアケミちゃんの母の原島紀美子の悲鳴が。子とろ女が出た。そして今度は子とろ女が道に。紀美子の悲鳴。てるてる坊主をぶつけたが子とろ女は消えてしまった。怖がった紀美子は主人が留守の間、阿津見家に泊まることになった。夜中、阿津見夫人が重傷。紀美子はそばでブロンズ像を持って倒れていた。 |
口さけ女がヒントとなったかも。タイトルも良い。少しまわりくどい計画だがそれもありだろうな、と思わせられる。(2001.08.06) |
音楽教室でピアノを週一回教えることになり、最年少の生徒矢込通子にはうさぎさんの歌で音楽になじませようとした。ところが二番のうさぎさんは病気のところで突然泣き出した。「おばあちゃんが……死んじゃうよう」と。そこへ、おばあちゃんが亡くなったとの知らせが。おばあちゃんは小川に転落して溺死したようだ。だが孫が事故にあって病院にいるという電話で呼び出されたらしい。死ぬ前のおばあちゃんを見た雅哉くんと会って話をきくが、彼も……。 |
導入部の不可思議な感じも理由があるものの、やや説得性に欠ける重いがする。史彦の思わぬ活躍は楽しい。(2001.08.06) |
日光の奥にある三杉荘に男性三名と女性一名が泊まっていた。風が強くなり雨が降ってきて、植物学者と絵かきのお嬢さんが戻ってくた。セールスマンが電話が切れたと言う。電気も切れた。郵便配達が吊橋が切れたと女性を一人案内して戻って来た。陸の孤島と化した山荘。停電にちなんだ話ということで半年前の研原殺害事件の話をする。ろうそくでの二人の影。「セイ」のダイイング・メッセージを残して死亡。そして、高価な紫の香炉でなく青い香炉のみ盗られていた。犯人と思う人の名を書き合う事になり、植物学者は「犯人は誰だか知っているが動機不 |
殺人事件そのものは複数のバリエーションの組み合わせで複雑になっているといったところ。登場人物が実は、という稚気あふれる嬉しい趣向の作品。『仁木兄妹の探偵簿』に収録されているということで。(2001.08.06) |
幼稚園のクリスマス会。伊勢川さんと高宗さんと榎さんの父親三人が交代でサンタに扮する。が、最後の榎さんがいない。史彦がピンチヒッターになり、白須さんがプレゼントの用意していた調理室の菅井さんのところへ。一方、劇で使用していた袋から榎さんの絞殺死体が。菅井さんも扼殺されていた。壊れた腕時計は一時五十五分。丁度調理室から悲鳴が聞こえた頃だ。夫のポケットから出てきた鍵、既に壊れていた時計、妊娠中だった菅井、蒸発していた江原。悦子は犯人がわかり自首を勧めようとするが。 |
子どもを思う親心、仁木悦子の独断場でしょう。トリック的にはバリエーションであるが、一ひねりしてあるのはさすがか。(2001.08.06) |
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