Shift_JIS Page

部屋入口 へ
仁木悦子の部屋
三影潤作品について
Since: 2025.11.30
Last Update: 2025.11.30

主要登場人物 - 作品



      シリーズ主要登場人物など

    三影潤
     桐崎秀哉と桐影探偵事務所を起業している。愛車はライトグレーのローレル。趣味はスキーや絵画鑑賞。のどに魚の骨でもひっかかっているのが気持ち悪く、謎を解決しようとする。大学は心理学専攻で広告代理店社員の時に商事会社の英文タイピストの女性と結婚。二年後に子を宿していた彼女は痴漢に襲われ扼殺される。犯人は懲役になった。たまたま給料が良かったニューワールド綜合探偵社に就職、六年後に独立した。S子と付き合いはあるが結婚は考えていない。
    桐崎秀哉
     三影潤と桐影探偵事務所を起業している。独立前はニューワールド綜合探偵社にいた。桃子夫人(旧姓小田)と子の祥子(サッチイ)がいる。夫人は探偵事務所の事務なども担当している。
    桐影探偵事務所
     高田馬場駅近くの新宿区戸塚町三ノ××六、敬和マンション三〇二号室。事務所は一室で他は桐崎一家が住んでいる。



      人間の裏と表 (三影潤の作品)

    1. 「くれないの文字」
    小説サンデー毎日 1970.04.
    『赤い真珠』『暗い日曜日』『探偵三影潤全集(3)』収録
     日吉慶二郎が来て亡兄慶之介の嫁ゆかりの素行調査を依頼する。近藤照子の署名の手紙が男かららしい。火曜日、車で芝白金の大里郁代を訪問。水曜日、男と食事、ホテルへ。男は美術を勉強中の岩本照武。翌朝、ゆかりが郁代の家へ行ったというので行くと郁代は刺殺されていた。石油ストーブ。壁の血文字。電話番号メモ。青い手帖の発見。郁代とゆかりの高校時代からの友人波川登紀子と会う。盲目の卯月とし江。遺産のこと。朝の郁代からの電話。時計。慶二郎の話。教師堀井雅文の話。郁代は高三の時に輪姦された。とし江の恋人広井佐知夫。お手伝いの話。参考人として警察に呼ばれた三影は……。
     単純だが錯綜していている。思わせぶりな記述も多い。

    2. 「夢魔の爪」
    小説サンデー毎日 1970.09.
    『赤い真珠』『夢魔の爪』『探偵三影潤全集(3)』ほか収録
     浮気調査の尾行に失敗し車を止めていると篠村夫人に声をかけられる。三影潤は学生時代に息子賢一郎の家庭教師をしていた。篠村夫人と夫賢吾の電話で従弟の神野喜明秋の家へ行く。内部から鍵がかかっていた部屋に神野の刺殺死体と賢一郎がいた。催眠術をかけられて神野を殺害したと賢一郎。掛け金をはずせない賢一郎。血の指紋、遺書。翌日、様子見に行く。タバコ屋のじいさん、セールスマンの話。留守中に電話が鳴っていたという。写真。賢吾と会談。三影は賢一郎の催眠術実験をして……。
     一般的に言われる催眠術の特徴を用いた作品。どこまで効くかなど懐疑的だが。

    3. 『冷えきった街』
    講談社 1971.03.20
    講談社文庫、『探偵三影潤全集(1)』収録ほか
     三影潤は竪岡清太郎の依頼で成城の邸宅へ行く。先妻の子冬樹が襲われ、先々妻の子清嗣がガス中毒、長女このみの誘拐予告状が届いたという。清嗣と妻苗子と子の清範と苗子の母諸田真寿枝で別邸に住んでいる。清太郎と妻玉代と子このみ、冬樹、女中初之と律子が本邸にいる。別棟のガレージの二階に運転手木田一家がいる。隠居所に義兄布施平吉がいる。三影はそれぞれの事件について話を聞く。冬樹の時に通りかかった亀田電気店主人、清嗣の飲んだブランデーと脅迫状と指紋の調査、主治医沢野。夜、玉代の誕生日会で清嗣がお茶を飲んで毒死する。 葬儀、ガス事件の時に苗子らが泊った兄諸田敦彦、大学経理だった高野文治郎、襲われたあとで律子が拾った天狗の面の財布飾り。冬樹が落とした呼出状。三影は家具会社の空倉庫へ行き殴られその後冬樹をアパートに泊める。冬樹のばあや斎木のぶ子の話で冬樹の母志保子は窒息死させられていたが清太郎の頼みで沢野が心臓麻痺としたという。沢野の話、苗子とディレクター井森悟、飲み屋天狗の直子、冬樹の恋人津坂茂子。志保子の弟坪川慎二と当時のお手伝い永田ハルミ。花瓶にによる撲殺事件。玉代の友人檜山朝子、裏木戸。女性関係。三影は……。
     ガス中毒時の密室に近い状態やアリバイなど盛り沢山。現在の三つと過去の事件が入り混じって追っていくので登場人物も多く錯綜している。プロットがよく練られた作品。三影潤の過去も語られる。

    4. 「夏の終る日」
    推理 1971.10.
    『夏の終る日』『探偵三影潤全集(2)』収録
     夫の浮気調査をした良金美奈子から電話があった。その時の調査では夫の印刷会社社長良金卓夫の相手は木山英子だった。私三影潤が家へ行くと卓夫が殺されていた。生命保険、愛人志賀正樹。家政婦島坂喜和。臨時雇いの小谷亮一と釣り趣味の友人池田千吉。現場で目撃した物。告白、逮捕。三影は罠を……。
     トリック的要素を多く用いている密度の濃い作品。

    5. 「色彩の夏」
    推理 1972.09.
    『夏の終る日』『探偵三影潤全集(2)』『冷えきった街/緋の記憶』収録
     私三影潤が休暇で東伊豆へ旅行した時、女がホテルの屋上から落ちたらしい事件があり、気分が悪くなったらしい女性を助ける。警察が来て鈴木多鶴子が突き落とされて死んだという。助けた女性かおるが轢き殺されそうになる。かおるの義姉松宮さよ子、亡夫龍平、子龍一、体調の良くない父庄平。後をつける三影。野木和男。刺繍糸と毛糸。西田登美子。三影は……。
     色彩豊かな、ある意味女性らしい作品。

    6. 「白い時間」
    小説推理 1973.04.
    『夏の終る日』『探偵三影潤全集(1)』収録
     私三影潤が室堂平でスキー休暇をとっていると桐崎秀哉から呼び出される。柴戸則子からの依頼で息子の俳優の敏孝が行方不明だという。桐崎秀哉の名刺。幻影座の成田萌子、レイ子。シナリオ作家井田明二、演出家深池保、女優花房さとみ、詩人青木憲伍。殴られ気を失う三影。名刺はさとみの父栗山から井田の調査依頼が以前にあった時のものらしい。井田に会いに晴岳荘へ行くと彼は毒殺されていた。敏孝の逮捕。清谷警部補。則子の話。三影は……。
     描写表現が上手い。偶然の要素も気になるが。

    7. 「しめっぽい季節」
    小説サンデー毎日 1974.05.
    『夏の終る日』『探偵三影潤全集(2)』『冷えきった街/緋の記憶』収録
     私三影潤は身障児の子供たちのいるたんぽぽ園へ亡き妻の友人北村蒔子に会いによく行く。新たに赤ん坊が預けられていた。桐崎桃子夫人とPTAの知人田畑エミ子がきて夫田畑義弘が娘愛子を守って争っているうちに男ががけから落ち死んだと相談に来る。目撃した少年田村俊一と坂野老人と義弘を知る松山巡査部長。迷子になった時ポケットに入っていた布きれ。看護婦秋原久代と弟。斎田看護婦の話。三影は事件を追って死体を見付け……。
     暗い話でもあるが希望のある話でもある。少し偶然に過ぎるところもあるが。

    8. 「どこかの一隅で」
    小説サンデー毎日 1975.08.
    『夏の終る日』『探偵三影潤全集(3)』ほか収録
     私三影潤は尾行中にバーで写真で見知った顔のホステスを見かける。四ツ木保三が子直志を連れて来て家でした女房セツを探して欲しいというが料金を見て写真を残して帰っていったことがあった。保三の家に寄ると毒殺されていた。名を書かれた手ぬぐいが黒谷末男が殺された現場に残っていたという。八百玉の話。直志を預けていた雑貨屋の藤野タネ子は事件時間に来ていたという。クリーニング屋、直志、工場長、セツ、柏木の話。三影は……。
     性格が良く出ている。事件の背景や詳細は想像ではあるが。

    9. 「美しの五月」(「美しき五月」)
    小説宝石 1976.06.
    『緋の記憶』『探偵三影潤全集(2)』『冷えきった街/緋の記憶』ほか収録
     私三影潤は中塚美佐にクラスの子を殺したから警察に連れていってと声をかけられる。母広子から弟忠の結婚調査を依頼されたことがあった。赤木真帆子を刺したというナイフを見せられ三影は真帆子の家に確かめに行く。美佐は交番に飛び込んでいった。三影は広子に伝える。お手伝いのマツエ、美佐の友人吉田敦子と母の話。忠の話。河合部長刑事、マツエの知人で真帆子の近所の梶本敏子の話。バー・エニシダ。畑野みゆきの絞殺死体。三影は……。
     疑心暗鬼が良い感じ。動機の一部はやや納得し難いが。

    10. 「暗緑の時代」
    小説推理 1976.12.
    『緋の記憶』『探偵三影潤全集(3)』収録
     私三影潤はふと河部公平遺作展に入った。画家里村利正、未亡人綾子と子の麻美。暗緑の時代の絵画。三影は働く人の絵の盗難を防ぐ。綾子が来て盗難未遂のことを調べて欲しいという。公平は東京湾で溺死していた。画材店の園井治の話。富山へ絵のモデルの老人菊川藤に会いに行くと亡くなっていた。息子覚三が逃亡死亡中した松江勇二郎の仲間と疑われた時計屋彩華堂の強盗殺人。巻き添えで殺された志木芳則の姉信代の話。婚約者だった看護婦岩井真佐子。里村のところで見つかったもの。三影は、そしてその後……。
     絵に表現された心情の移り変わりが良い味を出している。二段階の結末は残された者を思うと悲しい。

    11. 「アイボリーの手帖」
    小説新潮 1977.03.
    『緋の記憶』『探偵三影潤全集(3)』ほか収録
     楠原茂登子の紹介で井草敦雄から妻千鶴が二日前から帰らないので捜してほしいと依頼があり、三影潤は彼の家に行く。通いの志摩木美那。親友の保津輝子。短歌の書かれた象牙色の手帖。丸めた紙に書かれていた文。茂登子の話。輝子の話。学生運動の元恋人高城賢。美那の話。電話がかかって来るようになってから様子が変になったという。千鶴の自殺と思われる死体が山梨で見つかった。アリバイ。三影は違いに気付いて……。
     意外な真相といえる作品。人を見る目が効いている。

    12. 「沈丁花の家」
    カッパまがじん 1977.03.
    『緋の記憶』『探偵三影潤全集(2)』ほか収録
     三影潤は土崎儀平の秘書北野理津子から呼ばれて行くと、離婚したツル子との子法子の子新井洋介が孫かどうか確かめてほしいとの依頼だった。家には儀平の妹の孫辻原カズミ、後妻の連れ子西弘志。証券会社尾久間芳三。新井洋介と土崎家へ行く儀平が文鎮で殴殺されていた。殺したという弘志。金庫にあった遺書となくなっていた現金と証券。道路工事、門の位置、部屋替え。三影は残った謎を調べ……。。
     細かな伏線的要素がちりばめられている。一点でではなくピースが埋まる感じの解決。

    13. 「蜜色の月」
    問題小説 1977.06.
    『緋の記憶』『探偵三影潤全集(3)』収録
     三影潤は喫茶店で飯谷早夜子に会った。付添いを頼まれた高校の仲間同志のスキーツアーの時の一人だった。恋人淵中昌夫は椎葉卓二郎の原稿を電車の中で失くしたという。乗り合わせた女子中学生の見かけた人物。内弟子阿木由子がアパートでガス爆発で死亡した。椎葉夫人と息子。村田吾郎の話。椎葉の作品。三影は……。
     観察眼がすごい。幸運にも、というところもあるが。

    14. 「緋の記憶」
    小説宝石 1977.07.
    『緋の記憶』『探偵三影潤全集(3)』『冷えきった街/緋の記憶』ほか収録
     北松園美は母に引かれて歩く夢、広場で遊ぶ夢、赤い花が敷き詰められた上にうつ伏せの母と立つ男と鍵を持った自分の夢を見るといい、もうすぐ十五年になる母尚美の死の真相を調べて欲しいという。祖父源治、息子で事故死した園美の父聡一、園美の叔父治彦。尚美は実家で夫以外の子を身ごもっていて自殺したらしかった。隣に住んでいた弓野規久也の話で部屋に鍵をかけたのは園美で、家から治彦が出てきたという。園美は警察に告げ治彦が事情聴取される。治彦の毒死と残されていた紙片の一部。当時のばあや風間ヒデの話。三影は……。
     過去の真相が犯罪に繋がる話。ささいだが記憶と知っていることの違いが上手い。

    15. 「白い部屋」
    小説宝石 1980.05.
    『赤い猫』『探偵三影潤全集(1)』ほか収録
     三影潤が入院した病室に桃井、神保、トラック運転手石岡がいた。石岡は瀬上志免吉が殺された話をする。友人白井の居るアパートの隣家だという。志免吉の孫娘菅悠子は別居だが時々帰ってくる。見舞いに来た桃井の弟晴司は発見者の通いの家政婦中江とみを知っていた。石岡の外出。誕生日会の前夜で悠子の相手として学生の山内、牟礼、沼中がよばれる。風呂で死んでいたという。神保は石岡の枕をさぐる。三影に問われて彼の息子得也が悠子の恋人だという。宝くじ。台所で死んでいた瀬上。悠子の話。贈られた酒。得也の話。三影は……。
     ベッド・ディテクティブ。「アイボリーの手帖」で入院した時のことだろうか。やや唐突感もある。

    16. 「青い風景画」(「オセロは告げる」)
    小説推理 1982.05.
    『青い風景画』『探偵三影潤全集(2)』ほか収録
     沢崎緋紗が来るが柏井と田原に連れられて帰る。カードから音楽教室の磯村佐知世に会う。婚約者間瀬謙一が津永和佳子殺害容疑で逮捕され柏井と田原がついてくるという。父は画家恭一郎。和佳子は殺されると祖父城之浦亮太郎と盲目の従妹梅井亜也子とで住む伊豆の邸でのアドバイスを依頼し三影が行く。従兄城之浦周治、眼科医鳴神。間瀬の風景画。連れ去られる和佳子。ロケットとオセロの駒。和佳子の死体。手伝い町屋ヤエ子。周治の毒死。間瀬の逮捕。佐知世の仲介での緋紗の話。間瀬は友人小菅のアパートにいたという。遺言書。三影は邸へ……。
     ふとした会話から真相の糸口をつかむ。指紋は確認しなかったのだろうか。

    17. 「数列と人魚」
    別冊小説宝石 1986.12.
    『聖い夜の中で』『探偵三影潤全集(3)』『冷えきった街/緋の記憶』ほか収録
     蓑井昭が来て妻由利子が普段着のままいなくなったという。同じ団地の横倉康江が会った時は誤配されたはがきを笹井へ届けに行くところだった。由利子の妹伊沢紗起子。学校時代の友人朝間ゆかり。見知らぬ男から手渡された数字の羅列が記された紙。三影は笹井治美と康江とで見かけた場所の検証をする。人魚の模様の手提袋と服装で間違えられたらしい。昭が殺され部屋は荒らされていた。脅迫電話。由利子の死体。紗起子の恋人遠川彰一。はがきの発見。三影は奥原刑事に……。
     確かにジグソーパズルのピースがはまる解決。証拠は指紋だけでもよさそう。


Top Page母屋仁木悦子の部屋 ← 現在地
Page の先頭へ 夢現半球