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高木彬光
捕物帖シリーズ |
Since: 2025.12.07
Last Update: 2025.12.14 |
文七 - (六花選) - 伝七 - 権八 - 四平次 - 半次
| 三代目音羽屋尾上菊五郎に生き写しというところから千両文七の名がある。本名は泉屋文七?。「鬼の腕」では29才。神田白壁町の九尺二間の割長屋に住む。独身。唯一の子分は合点(の)勘七。上役に与力山崎格之進。 |
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天狗 1949.03. 『千両文七捕物帳(1)』収録 |
| 千両文七の子分合点の勘八が来て告げる。鬼の腕を切って持ち帰った加島新六郎が取り返しに来た鬼の残した酒を飲んで毒死したという。女の姿の鬼は消えて、腕はなくなっていた。与力山崎格之進。加島新六郎は南部浪人服部佐内で支倉京吾を討って出奔し、不動の権次親分の用心棒をしていたという。権次が死んで跡を仕切っている女房のお源。軽業師お京。仇討の噂。文七は……。 |
| 千両文七御見えの一席。高木彬光初の時代物。絞り込み理由や罠は安易だが、筋は通っている。 |
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ストーリー 1949.03. 『どくろ観音』『千両文七捕物帳(1)』収録 |
| 千歳屋に橋場の権六からと長持ちが届けられた。中は桜の花の彫り物をした女だった。主人久右衛門、番頭吉兵衞、二番番頭清吉。久右衛門は昔桜の入れ墨をした娘を捨て、柳橋の芸者小万が娘だと引き取っていた。女房お島、その弟藤作。彫竹。文七が再び千歳屋へ行くと久右衛門が首を締められ、胸に銀かんざしが刺さっていた。家の者は眠っていて、藤作は外出、小万は医者を呼びにいっていたという。文七の競争相手千束の長吉。文七は……。 |
| 観察眼の勝利。彫り物の手掛かりも高木彬光らしいといえそう。 |
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別冊宝石 1949.05. 『千両文七』『刺青の女』『千両文七捕物帳(1)』ほか収録 |
| 文七と合点勘八は顔のない雪女に出会う。落ちていた文。石町小間物問屋桔梗屋のお袖が雪女に連れ去られたという。主人六兵衞、番頭角右衛門。甥宗五郎との祝言が間近だった。女中お菊の見た雪女、お袖のみの足跡。四番番頭長吉は人形師常三郎としばしば会っていたという。常三郎の人形小屋で殺されていたお袖。足跡。偽の使い。話を聞いた文七は……。 |
| 雪の足跡を用いた作品。雪は予測が難しいような。 |
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ストーリー 1949.07. 『千両文七捕物帳(1)』収録 |
| 合点勘八が一夜一匹烏猫がいなくなり、またたびを燃やしていた小悪党の新六は捕らえられた話を文七にする。呉服問屋吉野屋の息子長太郎が首をくくられ、そばで烏猫が鳴き、女房お米が姿を消したという。主人久右衛門、番頭角兵衞。庭に埋められていた七匹の猫。土蔵の壁に埋もれていたむささびの三次。問い詰めて聞いた文七は……。 |
| 意外な真相ともいえるが、やりすぎて墓穴を掘っただけのようでもある。 |
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読切読物 1949.08. 『千両文七捕物帳(1)』収録 |
| 浅草観音の境内、武士が五十両掏ったと女に言う。女は裸になるが出てこない。見ていた文七は勝田京之助に女は掏摸の胡蝶のお銀でとり返すという。文七はお銀に会いに行き、姉お蓮から紙入れを取り返すがお蓮が刺される。他に出入りできる状態ではなかった。文七がお銀を番所に連れて行く途中、攫われる。京之助のあとをつけた合点勘八はまかれる。料理屋の者から持ち込まれる贋金。京之助に襲われた時にお銀の声が。連れ去られた文七だが、与力山崎格之進と……。 |
| 人情話といえそうな内容。 |
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読切読物 1949.09. 『千両文七捕物帳(1)』収録 |
| 彫千代のところで紫蜘蛛の刺青を入れる女、鬼女の面のお角。与力山崎格之進が北町奉行所で怪盗紫蜘蛛を捕えると豪語してしまい文七があたることになった。お角から紫蜘蛛の女のことを聞いて彫千代の所へ行くが現れなかった。紫蜘蛛からの石つぶての文。袋小路で消えた女。お角の旦那千草屋平吉が殺されお角が縛られていて紫蜘蛛の印が残されていた。むささびの長吉、お菊。二人の紫蜘蛛。文七は……。 |
| 唐突な展開。墓穴を掘っているとしか思えない行動には疑問も。 |
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実話講談の泉 1949.10. 『千両文七』『刺青の女』『千両文七捕物帳(1)』収録 |
| 彫辰が彫り物くらべを主催し文七と勘八が出向く。費用は某奥方。双子の娘お澄が滝夜叉、お雪が楊貴妃。お才が運び込んだ長持の中には皮を剥がれた女の死体、お澄かお雪に頼まれたというがお澄は信濃屋の旦那と、お雪は柳光亭青風と父といたという。賞金が盗まれ、彫辰と御高祖頭巾の女がいなくなっていた。お雪と歌川芳麿。歌川芳麿の見たお澄と長持の女。女に毒を飲まされたと絶命した彫辰。山本六郎右衛門の側室薄雲は妹お浪だという。お浪の男すばしりの権次。お澄はそっくりな女に殺される。権次の所に来た女を追って文七は……。 |
| 不可能犯罪的でトリックも面白い。江戸時代ならではで成立するともいえそう。 |
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読物と講談 1949.10. 『千両文七捕物帳(1)』収録 |
| 合点勘吉は谷中の荒寺から飛び出して来た男に生首が二つあると言われる。男と女。口をきく生首。勘吉は殴られ、気付いて文七に伝える。二人が行くと生首はなかった。掘ると張り子の首。墓場を改めると首のない二つの死体。呉服問屋下総屋の番頭宗六は、お綱に行方不明のお春のことを譫言で言う長吉の梟長屋の家に案内される。犬の鳴き声、隣の権六、生首の発見。長吉の弟の巳之吉。お春の従兄久作。首つり死体。文七は……。 |
| 埋める時間があれば、と思わないでもない。言葉は禍の元。 |
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読切読物 1949.10.?or 別冊読切読物 1950.11. 『千両文七どくろ観音』『どくろ観音』『千両文七捕物帳(1)』収録 |
| 墨田川の川開き、佐倉屋権兵衛の娘お雪、お花、お絹の乗った舟が転覆、お雪が行方不明になった。舟には傷、白い蛇が現れたという。女中お常。お花を浪人から助けた浪人白藤源之丞。お花は源之丞に会いに行き床には白蛇。甥長次郎。白鬼からの書き置き。源之丞の部屋にもいた白蛇。矢文で二人の娘の命と引き換えに金の要求。強盗と火事の知らせで戻った権兵衛、現れた白鬼。お絹が攫われたという知らせ。文七は……。 |
| 唐突すぎで動機と手段が合っていないような。最後は思いがけない唐突ではあるが。 |
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読物と講談 1949.12. 『千両文七捕物帳(1)』収録 |
| 雨の夜、隅田の土手で合点の勘八は仙之助に恨みをもつ幽霊に文を託される。千両文七に見せると白紙だった。土手に行き埋められていた小指のない白装束の女の死体を見つける。深川羽織芸者小菊で恋した仙之助は行方不明、その前の男はばくち打ちの甚吉だった。太物問屋上総屋正兵衛、娘お琴と聟仙之助、大番頭彦六。女から文を受け取る仙之助。甚吉が来て小菊の死を伝える。殺された甚吉は仇を、仙之助にと言い残す。仙之助の捕縛。料理屋深清に来た般若のお角。文七は……。 |
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唐突な登場が多い。幽霊の正体が主眼ではあるが。 なお、読物キング版(『千両文七捕物帳(1)』収録)はその後のことや末尾の「千両文七捕物帖、お目見え、狂言は、怪談幽霊文の一席、――」が抜けているなど若干の省略がある。 |
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ホープ 1950.04. 『千両文七』『刺青の女』『千両文七捕物帳(1)』収録 |
| 病あけの文七は怪しい男女を見かけるが逃してしまう。残されたのは首だった。小塚原から伊蔵の獄門首が盗まれていた。両替屋の下野屋銀兵衛を訪ねた深川の小菊。番頭宗吉。伊蔵の島破りの相棒金平は銀兵衛の弟だという。銀兵衛は病で顔がくずれて白頭巾をかぶっていた。殺され首を切られた女、箱屋清吉、首と共に見つかった男と白頭巾。岡っ引き佐平治。柳橋の芸者兼竜。文七は変装し……。 |
| 唐突なところが多い。最後は文七の面目躍如か。 |
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ホープ 1950.05. 『千両文七どくろ観音』『どくろ観音』『千両文七捕物帳(1)』収録 |
| 大男の天狗が現れ連座の会からの帰りの武士成瀬隼人が殴り殺された。現場には普通の足跡と途中で消えた女の足跡があった。豊後屋六兵衞の店の二階の軒あたりに短刀が刺さっていた。三度目だった。番頭亀吉は届けることを勧めるが六兵衞は反対する。文七は会に出た人々を調べて豊後屋へ行く。兄の仇をと隼人の妹お妙が豊後屋へ。豊後屋へ現れた四つん這いで走る天狗、行方不明の六兵衞。文七は桔梗屋へ、そして仇射ち……。 |
| ある種人情話といえなくもない。江戸時代ならではか。 |
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ホープ 1950.06. 『千両文七どくろ観音』『どくろ観音』『千両文七捕物帳(1)』収録 |
| 文七の家の前に置かれた駕籠には大和屋のお美和が髑髏の彫り物をされて乗っていた。主人長兵衛、鳶の松吉。元武士の落胤という小間物問屋松屋菊次郎が持参金付きで婿入りするという。盗賊髑髏小僧が大和屋へ縁談不承知と文を残すようになっていた。菊次郎を断るお美和。名人彫貞は依頼されて彫ったという。長兵衛が殺され髑髏のしるしなどが残されていた。佐平治。文七は一計をたてて……。 |
| 真相の一つはあっさり判明してしまう。金が無いなら無いなりにという事か。 |
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小説の泉増刊 1950.10. 『千両文七捕物帳(1)』収録 |
| 千両文七の子分合点勘七は口に牙をもつ女に出会う。勘七が文七に話していると井筒屋総右衛門の番頭弥兵衛が来て、総右衛門が寮で毒蛇の牙に噛み殺されたという。寮へ行き、総右衛門の弟清兵衛から話を聞くと、囲われていたのは娘芸人の蛇使いのお糸でいなくなったという。通夜、総右衛門の女房はお糸を見たといって怯える。見世物小屋の二代目お糸、蛇捕りの権次。第二の毒殺、文七は……。 |
| 簡単な解決ともう一段の真相。最後は動機の因果応報の可能性もありそう。 |
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宝石1951.04. 『千両文七捕物帳(2)』収録 |
| 金貸の寿屋伝右衛門のところに矢文がきた。先妻お島との子のお千代とお小夜、後妻お吉との子お梶。三年前お小夜が行方不明になっていた。矢文は秋葉山大天狗の名でお小夜を百両と引き替えに返すという。文七はお吉、番頭宗吉、お千代、お梶、お千代の婿の予定の緑屋清吉が立ち会う。帰ってきたお小夜、記憶はないという。二日後、宗吉はおかしなことが起こるという。蝙蝠の安が寿屋に強請りに来る。行方不明の真相。悪党紫小僧。お千代が毒殺される。三人の容疑者、文七は……。 |
| 偶然とも必然ともどちらとも言えそう。少し飛躍はしているが。 |
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読切読物 1952.06. 『千両文七どくろ観音』『どくろ観音』『千両文七捕物帳(2)』収録 |
| 文七は身投げしようとしている女を助ける。懐に血の付いた将棋の駒。上野屋女中おきよで人殺しの罪を着せられたという。河野玄斎とお柳さんの勝負、上野屋庄右衛門、番頭弥兵衞、大野屋、甥清助が立ち会っていたところに八百長と言いながら斑猫の毒で玄斎が死んだ。お柳の父は賭け将棋で玄斎に負けて首を縊っていた。庄右衛門の後妻のお島。文七は……。 |
| 意外な真相ともいえそう。ただ、できすぎているだけかもしれないが。 |
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読切読物 1952.07.? 『千両文七どくろ観音』『どくろ観音』『千両文七捕物帳(2)』収録 |
| 黒田屋与兵衞が火炎太皷を手に入れてから三度ぼやが出た。与兵衞と番頭佐吉の話。娘のお琴には近江屋の次男との話があるがお琴は首を縦に振らない。火炎太皷は太皷職人佐助から借金のかたに五両で手に入れたもので彼は首をくくって死んだ。火炎太皷を買いに来た近藤三四郎は百両とふっかけられる。船宿の船頭春吉は佐助と仲がよかった。佐助の娘お富。文七は火炎太皷を見せてもらい……。 |
| 人情話風の作品。言葉の違いはやや意表をつかれた感じ。 |
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読切読物 1952.11. 『千両文七どくろ観音』『どくろ観音』『千両文七捕物帳(2)』収録 |
| 托鉢僧が質店の吉田屋清吉夫妻の娘お米は離婚病という。旅人宿相模屋滞在の浪人青貝三右衛門、米商人寿屋嘉平次、女郎屋鈴木屋文吉、薬売り新助、織物屋福屋三次郎とお粂夫婦、貸元不動の岩吉。消えた女。女の幽霊。そして青貝三右衛門が幽霊に殺される。死んでからの七つの傷あと。文七は相模屋へ。残されたお米の銀かんざし。ほぼ同じ時刻にお米は死んでいた。乳母お糸はお米を騙した男だという。文七は与力山崎格之進に話し、その後……。 |
| 真相の予測はつくがそこまで手広くやっているとまでは予想外。 |
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講談 1952.12. 『千両文七捕物帳(2)』収録 |
| 紫頭巾の女が医者竹斎を二挺の駕籠で迎えに来る。泉屋万兵衞の次男で許嫁お琴でなく役者お静を女房にしていた。老人を診て帰るとお静が絞殺されていた。駕籠屋に確認すると一挺の駕籠で飯屋一の字へ行ったという。呑屋の女中お角も一人だったという。四本指の女。万兵衞の後妻お勘が来て文七に見がわりにと訴える。長男松太郎は長病、梅三郎は幼い。お琴が来て役者の新三が竹斎に似ているという。行くと紫頭巾の女が現れたらしく、新三は顔をつぶされ殺されていた。文七は与力山崎格之進をこれから起こる現場へ案内し……。 |
| 細工しすぎのような。瑣末事だが最後はお静がお袖になっている。 |
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読切読物 1953.01.〜02. 『千両文七』『刺青の女』『千両文七捕物帳(2)』収録 |
| 鍋島紀伊守の家来直江景樹が来てご落胤を捜して欲しいという。左肩の牡丹痣、短刀、お墨つき。二代目栄泉作の羽子板ばかり盗まれていた。人入れ稼業柳屋染五郎の娘おひさが羽子板を持っていて張り込む文七と合点勘八。肩に痣のある若侍は黒装束に襲われ、おひさの家へ逃げるがいなかった。乳母お兼。盗まれていた羽子板、消えた黒装束の死体。向島の牡丹屋敷で殺されていた若侍、羽子板の燃やしたあと。栄泉の娘お仙。投げられた小柄の短刀で殺されるお仙。栄泉の息子徳太郎。柳屋染五郎。軽業お玉。短刀探し。手裏剣。文七は柳屋の店で……。 |
| 飛躍するところもあるが意外な真相といえる作品。それぞれの忠義のあり方の話でもある。 |
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読切小説集増刊 1953.11. 『千両文七捕物帳(2)』収録 |
| 伊勢屋宗兵衞の娘お栄は伊勢幸の馬鹿息子吉之助の嫁になることになった。番頭清助が来て、お栄町がかどわかされて黒手組の名の手形が残されていたという。店の者に同じ手形はない。易者武部竹斎は手形に見覚えがあるという。寺侍、お小姓の林也だというが、金を持ち出し出奔したという。暇を出された乳母お里のあとをつけた文七と勘八は行った家でお里の死体と男の死体を見付ける。成田詣から戻った彦六はお里の甥で……。 |
| 簡単なトリックと後づけの証拠。易者に手相を見てもらっていて、というのは偶然としても面白い。 |
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初出不明 『名作捕物小説集 昭和28年度年鑑』『千両文七どくろ観音』『どくろ観音』『千両文七捕物帳(2)』収録 |
| 谷中で旅人清六は墓から腕を掘る鬼を見て一軒家に逃げるが老婆の留守に見たのはばらばらになった人間だった。文七が和尚に聞くと穴はあるが骸のない所だという。一軒家が見つかり、そこには男の手足胴だけあった。両替屋の南部屋、番頭新助、先代庄兵衞の妻お菊、娘お蝶、座敷牢に入れられた婿。一軒家はお蝶の乳母お百の家だった。文七は座敷牢を……。 |
| 人情話に近い。普通に調査していくだけで判りそう。 |
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別冊宝石 1954.01. 『千両文七捕物帳(2)』収録 |
| 吉野屋総兵衞は病で長くなかった。後添の山口屋喜平次の娘お花のも子はなかくお花の弟清十郎が後継候補だった。番頭長吉が来て、郷里を出奔する時に捨てた銀次郎が二人見つかり見極めて欲しいという。牡丹形のあざ、臍の緒書き、短刀。番頭清吉が見つけた大工松五郎の弟子が短刀を、鳶頭長五郎が見つけた小間物屋が臍の緒書きを持つ。物置の二階、階段の上で大工の銀次郎が刺され死亡。女が、と言い残す。小間物屋の銀次郎は女に駕籠に乗せられ深川近くへ。死体は大工の留吉で短刀を盗んだという。手裏剣お蝶と男。文七と合点勘八は……。 |
| あらかじめというのは逆になっていることもあり苦しい。香りも謎。 |
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読物と講談 1954.02. 『千両文七捕物帳(2)』収録 |
| 千両文七の庭に投げ込まれた文は、清三郎という名で染吉宅に殺しがあると書かれていた。合点勘八を調べにやる。主人尾張屋喜平次と妾の染吉、一青庵緑雨、野中源之丞、宝田松月が仲秋の月見を妾宅でしている。そこへ喜平治の女房お琴が喜平次の命を頂戴するという文を受け取り現れる。文七が現れたところでお琴が毒酒で死ぬ。文の筆跡、番頭権三、行方不明のお琴の弟清三郎。文七は……。 |
| 自然と真相が判明するような印象。意図は今一つはっきりしない。 |
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オール読切 1954.02. 『千両文七どくろ観音』『どくろ観音』『千両文七捕物帳(2)』収録 |
| 呉服問屋上州屋の娘しのぶが浪人北村新之丞との仲を親に知られ首をくくってからの新盆、燈籠を下げて新之丞の所に現れるという。日照寺住職日海は新之丞に幽霊対策として魔よけの観音像を置いていく。文七と勘八が見張っていると燈籠を持った女が入っていき、新之丞は像を握って殺されていた。女はいなくて下駄だけがあった。隣の助造、女房お徳。文七を狙って投げられた両刃の短剣。二代目春駒太夫。文七は……。 |
| 都合が良すぎる感もする。隠し場所は唐突だが面白い。 |
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読切小説集増刊 1954.03. 『千両文七捕物帳(2)』収録 |
| 両替商相州屋銀兵衞の妾宅でお吟が撲殺された。凶器もなく、かまいたちならぬ棒いたちで殺されたように。女中お松。本宅の女房お栄、番頭仙吉。文七は女に呼び止められ、河野新之丞が切支丹バテレンの魔法で飛ばして殺したという。文七の目の前で女も同じように殺される。その女お梶の夫の博奕打権次に話を聞き……。 |
| 不可能犯罪らしい状況ではあるがさすがに無理。展開も唐突。 |
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講談雑誌 1954.05. 『千両文七捕物帳(2)』収録 |
| 編笠の武士が易者緑風斎に女の悪霊がついているといわれる。心当たりがあるらしい。それを聞いていた文七は不審に思い勘八に後をつけさせる。旅人宿上総屋にいる播州浪人大屋源之丞、米商人寿屋重右衛門。京都の織物屋井筒屋徳兵衞の女房お梶が女の幽霊を見たと悲鳴をあげる。文七は上総屋を出た女を追うが見失う。上総屋では源之丞が殺されていた。娘をだまし、娘は自殺したことがある。主人清兵衞。血染めの女の手型。寿屋も徳兵衞も源之丞の部屋へ入って行く幽霊を見たという。別れたという娘軽業師お吉。首くくり。文七は皆を集めて……。 |
| やや唐突。意外な犯人の一つのヴァリエーションかもしれないが。 |
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初出不明 『千両文七どくろ観音』『どくろ観音』『千両文七捕物帳(3)』収録 |
| 雛問屋相模屋の別邸に娘お梶と乳母お杉がいて、お梶は若侍を引き入れていた。鳶の吉次は旦那徳兵衞に頼まれ見張っていた。雛壇の女雛だけ盗まれたという事があった。吉次は後を追うが男は神社の境内で消え、翌日は駕籠に乗ったが消えた。駕籠かきは急に軽くなったという。文七と勘八が見張ると同じように駕籠から消え、女雛が残されていた。寮に戻ると男が入っていった。翌日、お杉が殺されお梶が行方不明に。嵐駒之助丈、女房お宮、女形花之丞。文七は……。 |
| 唐突で少し安易な感じもする。最後はよくわからない所もある。 |
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初出不明 『千両文七どくろ観音』『どくろ観音』『千両文七捕物帳(3)』収録 |
| 破戒僧浄照が江戸お構いとなり寺男源蔵のみになった荒寺円照寺の庫裏で、文七も呼ばれて百物語が行われた。話が済むと本堂へ行き札を入れるという趣向。勧進元木場問屋尾張屋喜平、芸者美代吉、俳諧師宝田松月、たいこもち鈴屋巳之助、落語家柳光亭三笑、南部藩の津村三太夫。三笑が鬼を見て悲鳴をあげる。尾張屋は本堂で過ごすことに金を出すという。巳之助も鬼を見る。美代吉が行くが殺される。鬼を追う文七と三太夫。庫裏へ逃げた人々。文七は鬼を見つけて……。 |
| 計画なのか偶然の利用なのか今ひとつはっきりしない。凶器の謎も残っていそう。 |
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初出不明 『千両文七どくろ観音』『どくろ観音』『千両文七捕物帳(3)』収録 |
| 合点勘八が古道具屋伊勢庄主人の庄吉と将棋をしていると芝居に使う首が欲しいと女が来た。文七に話すと役者阪東橘之助が殺され、首を切られて芝居の首があったという。三つあったが二つと生首が失くなっていたという。一緒に住んでいたお栄もいなくなっていた。目明し石原の権次ははりこのさらし首で手掛りを得ようとしていた。蝮のお吉のところの小猿の三吉。三根屋弥平の所で首を買う女。首を集める唐物屋筑紫屋喜兵衞。首を売りに来た女。文七は……。 |
| 粋なはからいの作品ではある。首の細工は藪蛇だったようで。 |
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中日スポーツ 1956.01.23,30 『千両文七』『刺青の女』『千両文七捕物帳(3)』収録 |
| 玉木屋の新妻お千夜が駕籠で里帰りの途中に毒で死んだ。残されていたやもり黒焼きと金蔵の鍵の蝋の型。老主人孫兵衞、夫新吉、その妹お絹と弟孫八、孫兵衞の後妻おりん、番頭清六。文七が店で話を聞いて居ると飛び込んで来たお千夜の兄の浪人水口京之助。京之助も毒殺され、金が無くなっていた。京之助の女お由。文七は……。 |
| どちらが得なのだろうか。早すぎる気がしないでもない。 |
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初出不明 『千両文七』『刺青の女』『千両文七捕物帳(3)』収録 |
| 文七と合点勘八が墨堤で五つ六つの提灯が明滅するのを見る。女の叫びで行くと駕籠だけがあり、常磐津の師匠文字栄がスペードのエースと共に胸を短刀で刺されていた。死後一刻ほどたっていた。弟子のお藤、貸元の目抜きの権次、唐津屋の清吉、蘭医中野桃庵の子新一郎。妹お梶は唐津屋に勤めている。カルタは長崎帰りの新一郎の土産だったが無くなっていた。唐津屋清右衛門、番頭長吉。三番番頭彦三が金を持ち出しお梶と出奔したという。権次の話で文七は……。 |
| ある意味で意外性を感じる作品。提灯の意味とかるたの意味はよくわからない。 |
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講談倶楽部 1958.03. 『千両文七捕物帳(3)』収録 |
| 易学の大家の故人星野竜斎の娘お由が来て幽霊が笛を吹くという。姉お吉が死んだ時に一緒に埋葬された早霧か盗まれた形見の千鳥の音で、化物を見たという。竜斎の弟で蘭学者の玄斎と女房お時と子の千太郎と百々之助が同居していた。蛇小屋で見つかった奇妙なお面。泊まる文七と勘八。笛の音、玄斎が殺され人間の骨格標本を指さす。蛇の牙のあと。眠らされていたお由。医者島崎藤庵。見つかった笛と矢毒。文七は……。 |
| 絞りこむ根拠も薄弱すぎるような。動機は皮肉とも思える。 |
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小説の泉 1959.04. 『千両文七捕物帳(3)』収録 |
| 合点勘八は文七のところから帰る途中断末魔のうめき声を聞く。向いの女おせんが狼の三九郎の家だという。入ると三九郎が殺されて血で八とかかれた茶屋の看板娘おそめの浮世絵があった。隣の易者天眼堂風斎、おせんの兄の魚屋市太郎、八百屋の長吉夫婦。茶屋お静の話では三九郎から旗本東畑八郎兵衞に助られたという。三九郎はおそめの出生の秘密を握っていたらしい。富士屋の若旦那八太郎との縁談もあったという。風斎の話ではおそめは非人ではないかという。強引におせんと関係を持ったともいう。女賊舟玉のお京。文七は……。 |
| 強引すぎるような。最後まで強引すぎるような。 |
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読切倶楽部 1959.08. 『千両文七捕物帳(3)』収録 |
| 神田紺屋町絹物問屋佐野屋久兵衞が来て鍵のかかった蔵から三千両が盗まれた、内輪の事としか思えないので調べて欲しいという。女房お菊、刺青のある妾お藤、お藤と噂のある番頭弥助、二年前奥州から来てのれん分けをしてお藤と噂のある弟利吉、好感をもっていない奉公人。お藤の家の火事。文七を目の敵にしている目明し長次郎。男の焼死体は殴られていたようだった。お藤と利吉の行方不明。飼犬、お藤の死体。お藤の幼友達お栄の話。刺青の理由。お栄と水戸浪人磯畑権十郎。首のない死体。文七は……。 |
| 意外な真相ともいえるが、誰がどの死体でも話は成り立つような。 |
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週刊スリラー 1960.01.08(15合併号) 『千両文七捕物帳(3)』収録 |
| 両替問屋角屋源兵衞の次男源次郎が文七を頼る。源次郎は兄源太郎が死んで長崎から呼び戻されていた。後妻おつねの子源三郎は幼かった。お花と祝言をあげたが勘当され料理屋仲居のおそめと世帯を持って蘭医をしていた。左の小指が切れている女の依頼でどこかわからない屋敷で老人を診断、帰るとおそめが絞殺されていた。目明し喜平。番頭宗兵衞。源次郎を見たという博奕打ち由造が刺殺される。お花の頼みで文七は……。 |
| 「紫頭巾の女」のやや簡略化されたリメイク作品。 |
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別冊宝石 1954.04. 『千両文七』『無想剣進上』『刺青の女』『千両文七捕物帳(3)』収録 |
| 伝馬町一番牢に河内山宗俊が百両を持参し入ってきた。牢名主木下藤五郎は宗俊に捕らえられた経緯を聞く。文七が来て錺屋長次が三つ葉葵のついた瓶子が見つかったという。大奥時計の間から瓶子を盗み長次が作った偽物を置いてきたが、妾お梶の持ってきたのも偽物だった。宗俊は若年寄京極周防守と南町奉行榊原主計頭に呼び出され瓶子を金座座頭後藤三右衛門に改めさせたら本物だった。宗俊は中野碩翁に頼んでいたが文七は……。 |
| 文七捕物帳の外伝とでもいう作品で犯人側からの作品。双方の駆け引きが面白い。 |
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小説と読物 1954.09. 『名作捕物小説集 昭和30年度年鑑』『千両文七』『刺青の女』『千両文七捕物帳(3)』収録 |
| 中仙道深谷宿小松屋、宿帳に白壁町の泉屋文七と記した男がいた。片岡直三郎を追っているという。亭主清吉は一月前に妻が殺され首をとって逃げた。直侍と記した紙が残っていたという。番頭宗吉。血の付いた黄楊の櫛。お花を頼って直侍は住職浄光にかくまってくれという。浄光の妻お花はお滝が殺される前日に病死していた。浄光は文七を連れ戻るが寺男六助が縛られ姿はなかった。文を見た浄光は……。 |
| 文七捕物帳の外伝とでもいう作品で真相を解き明かすわけではない。処置としては良いのか悪いのか。 |
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読切小説集増刊 1954.11. 『千両文七』『刺青の女』『千両文七捕物帳(3)』収録 |
| なめくじ長屋に美男子の浪人岡島三之丞がいて傘はりをして暮らしていた。父は越後村上の内藤紀伊守に仕えていたが暇を出されて江戸に出てきていた。乾山焼き問屋森田屋清蔵が三之丞が売った父の仏像を持ってきて、捜していた大名のご落胤だという。与えられた大小と紋服で茶屋へ連れられる。お忍びで来たらしい姫君。三之丞の父は内藤紀伊守で江戸家老安藤帯刀が来るはずだったが病気だという。その後音沙汰がなく、森田屋へ行くと……。 |
| 文七は登場しない。まわりくどい計画のような。結末は哀れ。 |
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別冊宝石 1955.05. 『千両文七』『刺青の女』『千両文七捕物帳(3)』収録 |
| 花魁三千歳が但馬屋源兵衞に来て、片岡直次郎には愛想がつきて廓を抜けてきたという。白山下の連れ込み宿桔梗屋で源兵衞が殺され文七も現場へ行く。三千歳と呼ばれる女と一緒だったがいなくなっていて、裸の男が顔を切り刻まれて絞殺されていた。縄張りである鬼瓦の音吉の推測。乾山焼き問屋森田屋清蔵は三千歳を河内山宋俊立ち合いで片岡直次郎とは一年間会わない条件で身請けしていた。文七に手拭いを渡す。役者瀬川菊之丞の紋。三千歳の家で……。 |
| 文七がヒントを与え手柄を譲る話。騙せるほどとも思えないが。 |
| 黒門町の伝七を主人公とし、女房お俊、子分の獅子ッ鼻の竹が登場する。多くの作者が書いている。 |
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京都新聞夕刊 1951.05.27 『黒門町傳七捕物百話 第七巻』『黒門町伝七捕物帳』収録 |
| 浅草で浪人が掏られたと言うがお久からは出てこない。伝七は浪人に声をかけるが去っていく。伝七がお久に会うと紙入れには十本の指が入っていたという。殺され指を切られていたお久。浅見屋の駒吉が綾香姐さんが殺され指を切られていたと迎えに来る。浪人に襲われる伝七……。 |
| 最後の竹に対する言葉は可哀想とも思える。出だしなど類似点の多い別作品が文七捕物帳にもある。 |
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面白倶楽部 1952.10. 『黒門町傳七捕物百話 第八巻』収録 |
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発端篇・野村胡堂。通人の俵屋孫右衛門には娘お筆とお縫とお為の二人の妾がいた。風呂でお縫が蛇を見て卒倒し息が絶える。下男留吉、下女お徳、甥又三郎、掛り人霜月久之進。伝七の子分獅子っ鼻の竹がきて、孫右衛門が手文庫から出た蝮に噛まれて死んだという。寛斎先生は蝮で直ぐ死ぬ事はない、傷は一ヶ所だという。伝七は皆を集め、風呂場、居間、金が残ったままの手文庫を調べる。 解決篇・高木彬光。お筆が見た又三郎。各人のアリバイ。画家司馬江漢。おもちゃの蛇の騒ぎ。神楽坂の仁吉。伝七は……。 |
| ほとんど一言を元にしているだけのようだが淡い伏線もしっかりある。どこまで打ち合わせて執筆されたかは不明。 |
| 京都新聞夕刊 1956.09.23,30 |
| 伝七の子分の獅子ッ鼻の竹は仙之助に恨みをもつ幽霊に文を託される。伝七に見せると白紙だった。その場に行き埋められていた小指のない白装束の女の死体を見つける。深川羽織芸者小菊で恋した仙之助は行方不明、その後ばくち打ちの甚吉が言い寄っていた。太物問屋上総屋の娘お琴と聟仙之助、番頭彦六。女からの文。甚吉が来て小菊の死を伝える。殺された甚吉は仙之助にと言い残す。仙之助の捕縛。お琴は伝七に……。 |
| 伝七捕物帖第百六十話。「幽霊の文」の伝七版だが多少異なるところもある。 |
| 京都新聞夕刊 1957.04.21,27 |
| 本郷先で旅人清蔵とお吉は墓を掘る鬼を見て一軒家に逃げるが老婆の留守に見たのはばらばらになった人間だった。伝七の子分獅子っ鼻の竹はその穴は空、家は焼けて骨がばらばらにあったという。老婆は両替屋の井筒屋に奉公していたお吉。番頭誠吉、大奥様おふね、届けられた鬼女の面、若奥様おきく。座敷牢の二代目源兵衞。伝七は住職に、清蔵に話を聞き……。 |
| 伝七捕物帖第百七十一話。「怪談一つ家」の伝七版だが多少異なるところもある。 |
| 京都新聞夕刊 1958.03.09,16 |
| 呉服屋の近江屋にお蝶という狐つきのような女が毎日来て死人が出ると言っていた。お蝶は元近江屋の女中で長男長太郎と関係したがお花の嫁入りで暇を出されていた。兄由蔵。長太郎が通う常磐津師匠文字栄。狐つきを落そうとしている玄竹。お花が店の外で絞殺される。片足袋と針。弟長吉、番頭新吉。玄竹のところから盗まれた金。伝七は……。 |
| 伝七捕物帖第百八十七話。限定するには弱いがそれなりに理詰めで解き明かしているが片方の足袋など難点もある。 |
| 京都新聞夕刊 1959.05.10,17 |
| 男食いで男を不幸にするといわれる質屋美濃屋おれんが伝七に相談する。亭主清吉が家出し白骨の首つり死体となって見つかっていたが、見かけたり手紙で使いの男に金を渡したりしていた。寮へ来るということで女中お八重の案内で女房お俊をなだめて伝七が寮に行く。女中が絞殺、下男が刺殺、おれんが切り刻まれ死んでいた。残されていた清吉の煙草入れ。番頭忠兵衞、力士朝若、托鉢僧良弁。元番頭でお花と駈け落ちした重吉。伝七は……。 |
| 伝七捕物帖第二百八話。結末は人情話的。遺留品などわからない、解明されない所もある。 |
| 京都新聞夕刊 1960.06.05,12 |
| 雑穀問屋田丸屋源右衛門の次男で怪談好きの仙次が姪お光を烏猫で驚かすと源右衛門は殺してしまう。源右衛門はまるで大きな化け猫に頭から咥えられたように死んでいた。縄の先には烏猫の死体。伝七を目の仇にしている釘抜の仁吉。手を骨折している番頭藤六、勘当された長男万之助と女手妻師滝川松之丞、女房お夏、末娘お紋、手代栄吉。見つかった手拭い。仁吉の捕縛、伝七は……。 |
| 伝七捕物帖第二百二十七話。誰もが出来そうで誰もが出来なさそう。殺害方法だけの作品のような。 |
| 昼行燈の九郎が元目明しで願人坊主となった天狗の権八のお千代の為ならという助力を得て解決していくシリーズ。ユーモア味のあるキャラクターだが二作しかなさそうなのは惜しまれる。 |
| 小説倶楽部 1953.04. |
| 旗本三男の徳山九郎は昼行燈とも言われていて父主膳も歎いていたが、同心今若三右衛門の娘お千代に縁組を申し入れていた。知恵の石持京之進、蘭学の岩倉京之進、武勇の服部新之丞と共に三右衛門から呼ばれ、黒手組からお千代を奪うという手型のある貼紙があり、捕らえるか救い出した者を選びたいという。お千代の暗示。女中お霜、叔母村路。炭小屋で消えた黒頭巾、部屋から消えたお千代、女の影絵。九郎は元目明しの天狗の権八に会い示唆を受けて……。 |
| ユーモア味のある作品。消失の謎などはありがちだが、手懸りの与え方が面白い。 |
| 小説倶楽部 1953.05. |
| 今若九郎はお千代に婿入りし三右衛門の跡を継いで同心となっていた。青頭巾を捕らえる命令。鎌倉で美濃屋五平が死にお徳に千両残された後青頭巾の安藤左内と居たが黒猫を残して後に生胆のないお徳の死体の発見、小湊で情夫いがみの三太と黒猫を残してお仙と青頭巾が消えていた。西国参詣に行った与三郎の女房お絹が青頭巾が生胆を喰っていた現場を見たという。お絹は青頭巾が持っていたという猿若座太夫尾上花之丞の定紋入り手拭を渡す。座頭尾上菊之丞、作者瀬川春光。茶に入った毒で死んだ小園。帰らぬ夫にお千代は天狗の権八に助けを求め……。 |
| ユーモア味もある作品。結びつけはやや強引な気もする。 |
| 桃屋四平次を共通の主人公とした懸賞捕物小説。 |
| 小説と読物 1954.07. |
| 下野屋銀兵衞のところに橋場の長吉からという長持が届いた。銀兵衞と番頭宗吉が開けると桜の花一輪の刺青のある女の死体が入っていた。桃屋四平次がかけつけてくる。昔、娘お吉を捨てた。証拠の品は臍の緒書きと一枚の桜の刺青。娘として引き取っていた小万、後妻お島、二番番頭清吉。下野屋へ行くと店中眠らされていて、銀兵衞が絞殺されていた。弟文五郎、医者高井竹斎、四平次の競争相手の河内屋俊助。四平次は……。 |
| 犯人探し懸賞捕物、桃屋四平次捕物帖。文七の「女天一坊」(「さくら小町」)とほぼ同じ内容。 |
| 駒形の半次を共通の主人公とした懸賞捕物小説。 |
| 週刊アサヒ芸能 1957.04.28〜05.05 |
| 発端篇。駒形の半次のところに子分馬鹿囃子の権六がくる。金貸し田原屋権右衛門が生きているが葬式をするという。後妻おとよ、先妻の連れ子おきぬ。目明し鳥越の辰造が脅かされている権右衛門を囮の芝居らしい。七日後、矢が刺さった顔を潰された死体が見つかった。傍には白い衣裳。家作の浪人青貝三郎太。番頭清吉。火傷のあと。影法師からの脅迫状。解決篇。権右衛門に奪われた三郎太の妻おりん。なくなっていた三千両。半次は……。 |
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この死体は田原屋権右衛門でしょうか? という応募クイズの駒形町半次捕物帳第六話。応募結果発表が5/12。どちらでも話としては成り立つような。 なお、第一〜五話は、「片恋くづれ」城昌幸、「鬼化粧」谷屋充、「夜鷹殺し」土師清二、「幽霊懺悔」島田一男、「血文字くずし」水谷準 とのことです。※戸田様ありがとうございます。 |
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