橋本五郎(はしもとごろう)略年譜
1903.05.01(明治36年) 岡山県にて生まれる。本名は荒木猛
19xx.xx. 自動車学校、電気学校卒、日本大学美術科中退、種々の職業を経て入隊
1926.05. 新青年に「レテーロ・エン・ラ・カーヴォ」「赤えいのはらわた」が掲載
1927.xx. 博文館入社、朝日・新青年・文芸倶楽部 編集部員
1930.04. 「地図にない街」を新青年に掲載
1932.12. 博文館退社
1932.12. 『疑問の三』を刊行
1937.xx. 招集され出征、二年後帰還
1941.12. 陸軍報道班員としてマレーシアへ
1947.02. 「印度手品」をロックに掲載
1948.05.29(昭和23年) 死去
筆名は、橋本五郎、荒木十三郎、女銭外二、釈十三郎、荒木猛
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探偵小説 (軍記?時代小説含む)
- 「レテーロ・エン・ラ・カーヴォ」 (「Letero en la Kaveto」「れてーろ・えん・ら・かうぇーと」(うに濁点))
( 新青年 1926.05. )
『新進作家集』 平凡社・現代大衆文学全集35 1928.12.01 (国DC※)
『平林初之輔・橋本五郎集』 改造社・日本探偵小説全集14 1929.10.03 (国DC)
幻影城 1976.12.
『橋本五郎探偵小説選1』 論創社・論創ミステリ叢書11 2005.01.20
( 『江戸川乱歩と13人の新青年 文学派編』ミステリー文学資料館編 光文社文庫(み-19-30) 2008.05.20 ) |
手紙形式。SからM子を介して手紙を受け取った女性は教会の石垣の小さな穴に返信を入れるように頼む。女性は手紙、Sは穴へと恋文のやりとりの後……。 |
最後の手紙と作品構成は上手い。無理のないドンデン返し作品。 |
- 「赤えいのはらわた」(えいは魚偏に覃) 荒木十三郎
( 新青年 1926.05. )
『平林初之輔・橋本五郎集』 改造社・日本探偵小説全集14 1929.10.03 (国DC)
『橋本五郎探偵小説選1』 論創社・論創ミステリ叢書11 2005.01.20 |
放蕩息子が帰ってきた。女郎を嫁にもらいたく、落籍に五百円いるという。男が立たなければ……。 |
コント風作品。エイの内臓を知っているわけではないので今ひとつ実感できない。 |
- 「勇気」
( 新青年 1926.07. )
『平林初之輔・橋本五郎集』 改造社・日本探偵小説全集14 1929.10.03 (国DC) |
会社員の金崎君は内気である。M君より勝っているのに。悪友のとにかく勇気、との言葉に衣装、アクセサリー万端整え公園へ。男が来る前に交渉していたら。映画館で膝を下腹部を這う女の手。立ち去る女の後を追う金崎君……。 |
コント風作品。短く余分な描写もないのでオチは比較的自然。 |
- 「狆」 荒木十三郎
( 探偵趣味 1926.08. )
『橋本五郎探偵小説選1』 論創社・論創ミステリ叢書11 2005.01.20 |
男は妾の女から金目の物を貰い、女は旦那に盗まれたと言っていた。若い探偵が女の飼っている狆を連れて男の所に聞きに来た。一月後、男は女のところに行き……。 |
倒叙。犬の鼻や毛でないところがやや意表をつく。 |
- 「探偵開業」
( 新青年 1926.12. )
『平林初之輔・橋本五郎集』 改造社・日本探偵小説全集14 1929.10.03 (国DC)
『橋本五郎探偵小説選1』 論創社・論創ミステリ叢書11 2005.01.20 |
堤君は卒業一年しても無職。山田君が来て家出した令嬢と同棲するので部屋を探しているという。堤君は部屋を明け渡してホテル風のところに移った。その午後、小松子爵邸から南家から聞いたと訪ねてきた。邸へ行くと令嬢が家出したという。南家と会うが関係ないようだ。堤君は山田君に……。 |
探偵開業に至る話。大きな一つの偶然によってであるが、他も偶然なのか芋蔓式必然なのか、あるいは友人の意志も介在していたのか。偶然多発に思えてしまう。 |
- 「塞翁苦笑」
( 探偵趣味 1927.02. )
『新進作家集』 平凡社・現代大衆文学全集35 1928.12.01 (国DC※)
『平林初之輔・橋本五郎集』 改造社・日本探偵小説全集14 1929.10.03 (国DC)
『橋本五郎探偵小説選1』 論創社・論創ミステリ叢書11 2005.01.20 |
現時有名な洋画家の青春時代の話。彼は同居人中沢静雄と残り一円で飲み、物乞いをしていると仕事の世話をするという紳士西田貞次郎から五円と名刺を貰った。彼は中沢のトランクに西田の名刺を貼って故郷の手前の駅で降りると迎えがいた。主人山口の話では姉の嫁ぎ先野々村が病気で娘信子がいたが、彼は音信不通の息子進の代理として……。 |
禍福交互にくるコメディ。ある意味起伏があるが、飲んでだったり友人に関係したり、苦笑という題は合っているかも。偶然はコメディにとっては必然か。 |
- 「自殺を買う話」 (「自殺を買ふ話」)
( 探偵趣味 1927.05. )
『平林初之輔・橋本五郎集』 改造社・日本探偵小説全集14 1929.10.03 (国DC)
『「探偵趣味」傑作選 幻の探偵雑誌2』ミステリー文学資料館編 光文社文庫(み-19-02) 2000.04.20 (青空) |
私は友人野々村新二の自殺買いたしとの新聞広告をみて、すがりたい気もあり訪れた。彼が未だ画の修業時代、食う物もなく自殺しようとしたところを救われた。恩田さんに会わして下さい、急用なんです、伴田からですと言うように教えられ……。 |
人情話というべきか。野々村の真意はよくわからない。購入資金も同様なのか。恩返しという意味なのか。 |
- 「素敵な素人下宿の話」 荒木十三郎
( 探偵趣味 1927.09. )
『平林初之輔・橋本五郎集』 改造社・日本探偵小説全集14 1929.10.03 (国DC) |
味方のような敵のような変な友人岸根が下宿に来て、いつでも彼女といられる下宿を紹介するという。婆さん一人で耳と口が不自由で強度の老眼、物解かりが良いという。僕は下宿を移り、毎日のように彼女が来た。支払いは彼女の飲食も、惜しみなく愛は奪う。佐々木も同じような下宿だという。様子をさぐることにしたが……。 |
ユーモア作品。現実的ではないが目のつけどころが面白い。 |
- 「海龍館事件」
( 新青年 1928.03. )
『平林初之輔・橋本五郎集』 改造社・日本探偵小説全集14 1929.10.03 (国DC)
『創作探偵小説選集 一九二八年版』探偵趣味の会編 春陽堂書店 1929.02.13/復刻版 1994.04.10
『橋本五郎探偵小説選1』 論創社・論創ミステリ叢書11 2005.01.20 |
避暑海水浴場の町から更に三十分、旅館海龍館がある。九月、二人二組の客が来て旅館を買いたいといって値を上げていく。主人は半年以上滞在している青年当麻君に相談する。ひょっとすると窃盗犯が捕まる前に五万円を隠したのではないか。主人は当麻君の話を聞いて……。 |
やや意外な結果。但しどのような結末にでももっていけそうな作品。例え五万円が見つかっても横領になりそうだが。 |
- 「天明果報談」 荒木十三郎
( 文藝倶楽部 1928.03. )※7 |
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※時代小説とのこと |
- 「脣花NO・1」
( 探偵趣味 1928.04. )
『平林初之輔・橋本五郎集』 改造社・日本探偵小説全集14 1929.10.03 (国DC)
『橋本五郎探偵小説選1』 論創社・論創ミステリ叢書11 2005.01.20 |
雑誌女性思潮の「恋愛に関する変わった物語」を一般募集したところ、久喜田一雄から手紙がきた。唇のコレクション。友人が始めたきっかけは女性と恋愛関係にあったが女性は他の男に走った。復讐として唇のついた写真を……。 |
フェチでもある少し変わった話。結末の意外性は薄い。何種類も一人でできそうで何か限定事項があるのだろうか。 |
- 「恥を知れ」
- 「青い手提袋」
( 探偵趣味 1928.09. )
『平林初之輔・橋本五郎集』 改造社・日本探偵小説全集14 1929.10.03 (国DC)
『橋本五郎探偵小説選1』 論創社・論創ミステリ叢書11 2005.01.20 |
富豪小原氏の君子夫人が殺された。井上刑事と警察医と署長が向かう。昨日、夫人は駅で小間使秋子と庶務副長佐谷の三人でいるときに現金入りの手提げが盗まれていた。佐谷は二十歳位の女性が便所から出ると四十歳位になっていたという。二十歳位の令嬢は市長の姪だった。殺人現場の離れにあった駒下駄、手提……。 |
女性の年齢違いなど魅力的な謎だが竜頭蛇尾。物語の展開だけで推理は小間使いの件以外ない。 |
- 「お静様の事件」
( 新青年 1928.10. )
『平林初之輔・橋本五郎集』 改造社・日本探偵小説全集14 1929.10.03 (国DC)
『橋本五郎探偵小説選1』 論創社・論創ミステリ叢書11 2005.01.20 |
田坂老人は岡本庸三氏とおなみ夫人んから唖で白痴の夫人の妹お静様が妊娠したとして調査を依頼された。手代の順三に遣わすはずであったが、番頭の久蔵、伯父の甥のごん太、按摩で盲人の久米市が名乗ってきた。夫婦が留守の夜、婆やもいなかったという。田坂老人は……。 |
少し理論的な味がある作品。すぐに判明しそうで浅い感じは否めない。 |
- 「若様か、悪党か 名物身上話」 荒木十三郎
( 文藝倶楽部 1928.11. )※7 |
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※時代小説とのこと |
- 「艶事御法度」 荒木十三郎
( 文藝倶楽部 1929.02. )※7 |
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※時代小説とのこと |
- 「ペリカン後日譚」
( 新青年 1929.04. )
『平林初之輔・橋本五郎集』 改造社・日本探偵小説全集14 1929.10.03 (国DC)
『橋本五郎探偵小説選1』 論創社・論創ミステリ叢書11 2005.01.20 |
佐々木探偵事務所所長佐々木三郎君が助手の僕加知すすむに困ったなあと言う。銀行家M氏の娘悠美子が帰らなくて見つけてほしいという。佐々木君を有名にしたのは祭の飾りの龍の眼を見つけたペリカン事件。僕の叔父が僕が話した佐々木君が犬の元の飼主をあてたことに感心しての依頼だった。佐々木君と僕は良い考えもなく……。 |
コメディ。パロディでもあるかもしれない。話としてはありがちだが展開はスムーズ。 |
- 「謎の電話」
- 「地図にない街」
( 新青年 1930.04. )
( 『怪奇探偵小説集』鮎川哲也編 双葉新書 1976.02.10 )
『骨まで凍る殺人事件 新青年傑作集3推理編3』中島河太郎編 角川文庫(緑434-03) 1977.08.30 (国DC※)
『怪奇探偵小説集1』鮎川哲也編 双葉ポケット文庫(あ-02-01) 1983.12.25 (国DC※)
『怪奇探偵小説集1』鮎川哲也編 ハルキ文庫(あ-04-01) 1998.05.18 (青空)
『橋本五郎探偵小説選1』 論創社・論創ミステリ叢書11 2005.01.20
( 『日本ミステリー名作集2』フロンティア文庫編 フロンティア文庫086 2005.05.xx )
『恐怖ミステリーbest15 こんな幻の傑作が読みたかった!』 コアラブックス 2006.05.30 |
寺内氏から生前に聞いた話。上京して二月、履歴書、辞令、謄本、そして蟇口を池に。老人からバナナ、煙草を、伴われて風呂に宿泊。都会はただで何でも言うことを聞いてくれるという。食堂、服、床屋。老人は道順を示し、彼が行くと女ばかりの一画で……。 |
都会におけるおとぎ話風な作品。現世に戻った時の一つの結末ともいえる。 |
- 「蒼ざめた弟」
- 「因果物師」 荒木十三郎
( 文藝倶楽部 1930.10. )※7 |
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※時代小説とのこと |
- 「貸家ノート」
- 「蝙蝠と空気船」
( 文学時代 1931.01. )
『橋本五郎探偵小説選1』 論創社・論創ミステリ叢書11 2005.01.20 |
突然の会社の休み。食事が終わり二間の奥の部屋に行き、煙草エアシップを取りに戻ると火鉢に少しだけ吸ったバットがあった。妻みさ子は知らないという。だが、仕事で不在の間の妻には家事だけでは時間が余るはず。休みと知らずに来た男ではないだろうか……。 |
疑いから徐々に確信に変わっていく展開は面白い。結末は、ないとはいえないが考えにくい。題名が銘柄とは気付かなかった。 |
- 「眼」
( 新青年 1931.04. )
『橋本五郎探偵小説選1』 論創社・論創ミステリ叢書11 2005.01.20 |
眼科三等病棟。入院患者正木が夜に薬を届けにきたのは木村医師だと思ったが違い、川田医師でもなかった。彼女の過去の男に似ている齋藤との電光浴、冷温療法での洗面器入れ替わり。そして風呂で……。 |
サスペンス風作品だろうか、よくわからない。どの程度見えているのか、片目で見えているのか、声でわからないのか、などで印象が変わる。個人的にこの結末のつけ方は大嫌い。 |
- 「兇盗餘聞」
- 「疑問の叫び」
( 文藝倶楽部増刊 1931.04. )
『橋本五郎探偵小説選1』 論創社・論創ミステリ叢書11 2005.01.20 |
佐々木三郎は目をつぶってぶつかった石井次郎事務所に飛び込み使ってもらいたいと言う。石井氏は試験をする。アパート二階で宮本が殺された。直前に飛び出してきた佐藤という女性。物音で発見したアパート小使の岡田。死因は背後からの刺殺。凶器は銛。佐々木は難試験に挑み……。 |
推理クイズにもなっていない作品。屋根からとか、姿勢とか、念のためだけでも指紋はとれなかったのだろうか、とか限定条件不足。 |
- 「撞球室の七人」
( 探偵 1931.06. )
『「探偵」傑作選 幻の探偵雑誌9』ミステリー文学資料館編 光文社文庫(み-19-09) 2002.01.20 (青空)
『橋本五郎探偵小説選1』 論創社・論創ミステリ叢書11 2005.01.20 |
撞球室で黒子の男福原が刺殺された。法被の青年、ワイシャツの青年、商人風の男、禿頭の老人、私、色の黒い男。ゲーム取りの娘お君の通報で警察が来る。色の黒い男が怪しくはあるが凶器が発見されない。私は友に……。 |
凶器消失の謎。調べられた七人の男というのは被害者を含めてだろうか。タイミングといい、無理矢理に舞台を設定した感が否めない。 |
- 「カフェ・チチアンの不思議な客」
- 「美談の詭計」 (「伝説の詭計」)
( 文学時代 1931.09. )
『橋本五郎探偵小説選1』 論創社・論創ミステリ叢書11 2005.01.20 |
馬宿に坊主、造酒屋、修験者、造酒屋、学者、僧が次ぎ次ぎに美濃を目指して馬を借りに来た。都の衛士も借りて多度へ。衛士は小狭次と山へ行き、滝水を瓢に入れて山を下り、父が里人が飲み、衛士も……。 |
養老孝子伝説の一解釈。導入部は引きつけられるが少しひねっただけ。孝父物語といったところか。 |
- 「広告燐寸」
( 文学時代 1932.01. )
( 『廣告燐寸』(豆本) 十三舎 2012.xx. ) |
私は友人Yに勧められて燐寸蒐集家M氏を訪れた。待合、銀行、給油所、競馬場、質店、料理屋の六個の燐寸を見知らぬ男から話を聞いて五圓で買ったという。私はその燐寸を見て……。 |
小咄。六個はさすがに無茶だし話もありきたり。 |
- 「第二十九番目の父」 (「第二十九の父」)
( 文学時代 1932.03. )
『橋本五郎探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書12 2005.07.20 |
数々の名士高官の屋敷に子と名乗り出ていた神谷仙賢。私の昔の友新見計介だった。彼は精神異常者とされていたが全くそうは見えず裕福に暮らしていた。彼は万一の時のためにと紙包みを私に送ってきた。間もなく彼は死亡し……。 |
被疑者多数、鑑定医や警察関係者も含まれているのならと思わせられる。横の連携の有無はわからない。最後の事実と行動はやはり唐突で理解し難いが真偽混在で面白い話ではある。 |
- 「嘘の誕生」
- 「鮫人の掟」
( 新青年 1932.06. )
『新青年傑作選 第二巻 怪奇・幻想小説編』中島河太郎編 立風書房 1970.03.25/新装版 1974.12.30/新々装版 1991.07.01 (国DC※)
( 『大衆文学大系30 短篇(下)』 講談社 1973.10.20 )(国DC※)
幻影城 1978.08. (幻影城)
『橋本五郎探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書12 2005.07.20 |
権蔵と二郎が海に潜っていた時、権蔵の緊急引き上げ信号があり、幽霊に追いかけられたという。二郎は胸に銛で突かれたような破れがあり死んでいた。権蔵は改訂で銛を持った死体を見たという。竹田医師は堤に為吉が潜って調べると話す。為吉は幽霊を見る。権蔵はまとまった金が入り潜水夫をやめるからと二郎の遠縁の美代に結婚を迫っていた。堤は潜って確かめることに……。 |
殺人か事故か幽霊か。海底の事件は珍しいがかなり限定される。海流と死体、銛の出所、空気の送り手、入手手段など疑問はつきない。 |
- 「殺人迷路 第六回 見えざる敵」 (女銭外二)
( 探偵クラブ 1932.11. )
( 『殺人迷路』 探偵公論社 1947.07.20 )
『殺人迷路・悪霊物語』 春陽文庫(C01-35) 1993.12.20
『「探偵クラブ」傑作選 幻の探偵雑誌8』ミステリー文学資料館編 光文社文庫(み-19-08) 2001.12.20 (青空)
『五階の窓・江川蘭子 合作探偵小説コレクション1』 春陽堂書店 2022.10.12 |
森下雨村、大下宇陀児、横溝正史、水谷準、江戸川乱歩、橋本五郎、夢野久作、浜尾四郎、佐左木俊郎、甲賀三郎による連作探偵小説。探偵作家星田代二の調査と嫌疑者として連行される場面。 |
そつなく展開といったところか。(橋本五郎分のみ) |
- 「小曲」
( 探偵クラブ 1932.12. )
『「探偵クラブ」傑作選 幻の探偵雑誌8』ミステリー文学資料館編 光文社文庫(み-19-08) 2001.12.20 (青空) |
嵐の夜、田中君は一人で留守番をしていた。外で悲鳴、怒声、地響き、悲鳴、怒声。明日にしよう……。 |
落とし話。幽霊見たり、というような話。 |
- 『疑問の三』
( 『疑問の三』 新潮社・新作探偵小説全集5 1932.12.25(国) )(国DC※)
幻影城 1977.11.〜12. |
新聞配達をしていた正直者の友人の上月が百万長者になっていたのは血のついている明治四十四年の一銭銅貨からだと話はじめる。神戸湊川公園のベンチで一銭銅貨を握らされた女性が絞殺されていた。翌日もベンチのそばで一銭銅貨を握らされた男が絞殺されていた。四日目、新聞配達員上月と田南は女性の死体を見つけた。早朝、煙草屋の老婆ノブは男に抱えられながらも生きていたという。上月も配達途中で見ていた。しかし死亡推定時刻では死んでいたことになる。日南は匂いから調べて湊川劇場に行く。
三番目の犠牲者が棚橋幸蔵夫人はつえと判明。前夜夫婦と従弟横山十吉、東京の伯父壁川剛三が湊川劇場へ市川男女十郎の人形芝居を見ていたが、幸蔵と十吉はそのまま行方不明になっていた。最初の犠牲者が棚橋の知人六角堂ユキ子で次が六角堂紫雲と判明。同じく湊川劇場への招待状で出かけたが死亡は一日ずれていた。棚橋には行方不明の息子藤太郎と娘敏子がいた。敏子の奇禍、救う日南。電報で壁川が、公演で男女十郎が、角田警部が、日南が東京へ。そして幸蔵が……。 |
語り手主人公が活躍するわけでも同行しての記録者でもなく視点が一定していない。なぜ突然実行されたか、なぜ策を弄したか、などなど背景説明も不足している。独創的でもなく印象に残り難い作品。主題が疑問の三であり、一と二は従ということだろうか。 |
- 「箪笥の中の囚人」 [はとノ(蒙偏に鳥)]
( 新青年 1933.04. )
『橋本五郎探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書12 2005.07.20
『竹中英太郎(二)推理』末永昭二編 皓星社・挿絵叢書2 2016.08.01 |
隠退した捜査課長伴岡氏は筆者にはとノが解決した事件を語ってくれた。はとノが中学三年の時、伴岡巡査が巡回し香西宅に行くと、主人が洋服箪笥から縛られた男が出てきたという。主人は帰宅して間もなく、細君も買物に出ていたという。男益内は往来で昏倒させられ気付いたら縛られ箪笥の中でお金が無くなっていたという。伴岡巡査がはとノに相談すると……。 |
推理クイズと意外な結末か。伏線がないとは言わないが行動が馬鹿げている。意外性重視か。 |
- 「花爆弾」 [はとノ(蒙偏に鳥)]
( 新青年 1933.09. )
『橋本五郎探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書12 2005.07.20 |
演習の夜、はとノと吉村は学生連盟として警戒にあたっていた。花火が上がる。花火屋の放火だった。棺ヶ島平左衛門は留守、妻は里に、娘八重子は救護班に、徒弟圭吉は謎の男に呼び出されていた。教師アウレル先生が持っていた平左衛門の扇子。二人が下宿に訪問し……。 |
冒険探偵小説。この時期に本土での演習、軍国的内容とは驚き。深刻度は違うが数年後を舞台にしているような作品。標的も後々の為としか思えない。 |
- 「鍋」
( ぷろふいる 1933.09. )
『橋本五郎探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書12 2005.07.20 |
僕がここに来るようになった理由。古雑誌を売って得た五十銭、友人三好が肉と酒を手に入れて鍋を始めた。家賃の催促にきた家主は近くで女の轢死があり臀部は見つかっていないという。三好は竹の皮にのった肉を拾ったという。女は病気を苦に……。 |
コントに近い二段構えの落とし話。拾った肉はさすがに無理。 |
- 「樽開かず――謎物語を好みたまふひとびとへ――」
( ぷろふいる 1934.01. )
『橋本五郎探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書12 2005.07.20 |
樽の家に住んだヘトロデトスは今では弟子は造酒屋の息子ポトムススだけであった。トロデトスは大公ホスビウスが教えを乞いたいと宮中へ連れて行かれて帰ってこなかった。ポトムススは衛兵に、衛兵長に、そして橋廊の見張兵にと聞いていくと、人も自由に入れず土もないところに薔薇の房があった理由を問われたのであった。洗濯女リかからイリアナ姫とエカテーナ老女との問答、入牢させられてと聞いて牢番に……。 |
徐々に謎が解けていくのは探偵小説的。出発点が違っていたとしても。途中の意外な証拠になるだろうという部分と最後の文は意味不明で蛇足。面白い話ではあるが細かな疑問点が残る。 |
- 「嶺北の密雲」
( 科学の日本 1934.01.〜06. ) |
|
※広告より 連続科学冒険小説/※5より |
- 「空中踊子」 [はとノ(蒙偏に鳥)]
( 大衆倶楽部 1934.06. )
『橋本五郎探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書12 2005.07.20 |
はとノと吉村は名古屋の金城屋百貨店の広告気球に何かぶら下がっているのを見た。降ろす現場へ行くと金星座のレビューガールのマミの死体だった。吉村のコートがあった事、風の強い前夜に係留場に見廻りといってコートを着ていた男がいたことで吉村は警察へ連行される。はとノは……。 |
死体がなぜ気球にぶらさがっていたか、面白い話ではある。不自然にならない程度の記述もあるし、二本で係留されていたようでもあり説明もできなくはない。高さは数百メートルになりそうで強風下登るのは困難だが。 |
- 「叮寧左門」 荒木十三郎[板東左門]
( ぷろふいる 1934.06. )
『橋本五郎探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書12 2005.07.20 |
身投げを止めた八丁堀同心の丁寧左門こと坂東左門。万屋金右衛門忰銀次郎は同心衆は人形だという。三人組押し込み強盗が江戸商家を荒している。切り口見事な首を置いていく。一人は女らしい。浪人、使い手、娘がいるということだけで捕らえられた八郎右衛門と琴江を銀次郎は嘆く。左門は残された首を調べ…… |
コント風作品。首の鑑定部分は笑える。身投げするにも早すぎるし犯行が続いているのに釈放されないなど不条理も多い。 |
- 「骨牌三千石 叮寧左門2」 荒木十三郎[板東左門]
- 「炎」
- 「寝顔」 [はとノ(蒙偏に鳥)]
( ぷろふいる 1935.07. )
『橋本五郎探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書12 2005.07.20 |
ウエスレー教会牧師の弟の僕はやってきたはとノにねがいの箱に入っていた手紙を見せた。少女を先生に預けた青年を知りたいという。はとノは興味を持って赤塚医師を見つけ話を聞く。はとノは伴岡に聞いて鯨内節子であることをつきとめ、青年の見当も……。 |
青年の正体は、一理ある。青年の行動含め、たまたま判明しただけという印象はぬぐえない。 |
- 「G・Mの幽霊屋敷」
- 「双眼鏡で聴く」 [はとノ(蒙偏に鳥)]
( ぷろふいる 1936.07. )
『橋本五郎探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書12 2005.07.20 |
はとノは森毅十郎将軍の副官秦少佐の依頼でS湖に来た。会議室から新型電話器が発見され、幹部会議はS湖上に舟を浮かべて実施することになった。しかし内容が洩れていた。はとノは……。 |
題名からも直ぐに予測できる内容。最後の証拠部分は唐突だが面白い。 |
- 「流弾四発」 荒木十三郎
- 「上陸第一歩」 釈十三郎
- 「武士道散華」 釈十三郎
( 奇譚 1930.10. )※7 |
|
※時代小説とのこと |
- 「珈琲の椅子」 釈十三郎
- 「隅の兵隊」 釈十三郎
- 「時計」 釈十三郎
- 「二十一番街の客」 女銭外二
( ロック 1946.08. )
『橋本五郎探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書12 2005.07.20 |
詮作君は民主主義の上からも日本に私立探偵が必要だと母を説得して新宿二十一番街二階に探偵事務所を開業した。秘書は縣田さんという英語、速記、応対、事務に申し分ない探偵小説ファンの美人。五日目の午後、来客があり、詮作君は山本さん、上野からこられたのですね、と迎える……。 |
パロディ、コント。ありがちな展開ではある。指輪は無理がありそうだが。 |
- 「印度手品」 女銭外二
( ロック 1947.02. )
『橋本五郎探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書12 2005.07.20 |
日華親善に関して。檳榔の実を噛み唾液も赤く出血した後のようにも見られる。印度人の白昼殺人という大道手品がある。ドンゴロスの袋の下で弟子が豚切り包丁で切られ血が流れ出る。そして呪文を唱えると生き返る。彼南で銀行家の楊氏と連れ立った時は血が流れて手品師は群衆の輪の外に出て戻ってこなかった。若い華僑が死んでいる、と。巡査も駆けつけて来て……。 |
そこまでするのか、という意味も含めて面白い話。二段オチではなく、それぞれにオチがある作中作のような構成は無理がなく良い。佳作かも。 |
- 「朱楓林の没落」 女銭外二
( 真珠 1947.10. )
『「X」傑作選』ミステリー文学資料館編 光文社文庫(み-19-13) 2002.12.20 |
北京、飯舗朱楓林は父母を亡くし文学青年でもあった范君が継いでいた。店員に持ち逃げされたり料理人が辞めたりして客足も遠のいていった。従業員は新しくできた一品齋へと移動していた。范君は鵞鳥が盗まれ一品齋で出されたとか、一品齋は糞池のすっぽんの油を使ったとか、猿頭は行き倒れの人の脳だとか言うが証拠があるわけではない。旅行後北京に戻ると……。 |
深慮遠謀なのだろうか、面白い話。好奇心旺盛な人が多いのだろうか。 |
翻訳(翻案)
- 「子供のために」荒木十三郎翻案
原作者:カロリン・ウェルズ ( 婦人世界 1929.08. ) |
- 「卓十三の女」橋本五郎翻案
原作者:エー・ケー・グリーン ( 婦人世界 1929.08. ) |
- 「判事の頭」荒木十三郎訳
原作者:ロイド・ロナルガン ( 新青年増刊 1937.06. ) |
参考:橋本五郎翻訳説あり ※ミステリマガジン 2019年3月号は未見
- 「白玉環」武進呂侠、訳者名なし
- 「無名飛盗」張慶霖、訳者名なし
- 「賭場母女」幸福斎、呂金七訳
- 「絶命血書」呂侠、阿羅本洋訳
※訳者名は『新青年読本』新青年研究会編 作品社 1988.02.20による
随筆
- 「(投稿俳句)」 荒木猛※推測(岡山)
- 「やけ敬の話――山下利三郎氏へのお答へその他――」 荒木十三郎
( 探偵趣味 1926.08. )
『橋本五郎探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書12 2005.07.20 |
山下利三郎の「赤えいのはらわた」評に対する反論。「寸分違わぬ」ではない。類似した主題はあるが周囲・時間・関係は創作。 |
- 「(マイクロフォン)」 荒木十三郎
- 「犯罪教科書 初等科」
- 「著者自伝」
『新進作家集』 平凡社・現代大衆文学全集35 1928.12.01 (夢現)(国DC※) |
略歴 |
- 「(スポーツ風景 九月)」
( 新文藝日記付録 新潮社 1931.11. )※6 |
※詳細不明、日記帳の「スポーツ風景」という記事の九月部分に掲載とのことらしい |
- 「デ盃欧州ゾーンはどう動く」 ※別人の可能性あり
- 「大下宇陀児」
( 新潮 1932.04. )
『橋本五郎探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書12 2005.07.20 |
のびやかな正しい子供のたましいが大下宇陀児先輩に漲っている。微笑ましく、誇りたい。 |
- 「フレッチャーの大・オップンハイムの強さ」
( 探偵クラブ 1932.04. )
『橋本五郎探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書12 2005.07.20 |
森下氏礼賛。フレッチャーを凌ぎ、力強さはオップンハイムを超える。 |
- 「才気過人」
( 探偵クラブ 1932.08. )
『橋本五郎探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書12 2005.07.20 |
水谷準礼賛。才の人。長編に人気沸騰となるだろう。 |
- 「初恋の封切漫談会(座談会)」 丸木砂土、徳川夢声、甲賀三郎、サトウ・ハチロー、荒木十三郎(司会)
- 「ギャング事件を語る(座談会)」 江戸川乱歩、大下宇陀児、甲賀三郎、延原謙、橋本五郎、久山秀子、森下雨村、水谷準、横溝正史
- 「支那の探偵小説」
( 探偵クラブ 1933.03. )
『橋本五郎探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書12 2005.07.20 |
ほとんど翻訳。創作では殺人は少なく、横領、紛失、秘密結社が多い。日常茶飯事だからか。仁義忠孝は考慮していない。神秘に関する言葉がすぐって用いられている。 |
- 「近藤勇の刀」
( 探偵クラブ 1933.04. )
『橋本五郎探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書12 2005.07.20 |
佐々木俊郎追悼文。近藤勇の虎徹というのを見せられ、ほんとかなあ、と言ったのが申し訳なかった。 |
- 「探偵小説問答(アンケート)」
( 新青年 1933.08. )
『橋本五郎探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書12 2005.07.20 |
読んだ探偵小説はみな面白い。 |
- 「大下宇陀児を語る」
( ぷろふいる 1933.10. )
『橋本五郎探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書12 2005.07.20 |
上品な将棋をさす。麻雀、暗誦、謡曲、手品、水泳、羽子板。多趣味で作品の幅が広い。話術家。 |
- 「ハガキ回答(推薦の書と三面記事)」
( ぷろふいる 1935.12. )
『橋本五郎探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書12 2005.07.20 |
新作家には「探偵学大系」江口治が便利。三面記事中では五・一五事件など。 |
- 「ポワロの読後」
( 月刊探偵 1936.04. )
『橋本五郎探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書12 2005.07.20 |
『十二の刺傷』はリンバーク大佐の幼児誘拐事件をモデルとしたものらしい。真実、正義を叫んでいる。リンバーク事件では誘拐ではなく過失致死事件という話も聞いた。 |
- 「昭和十一年度の探偵文壇に(ハガキ回答)」
( 探偵文学 1936.01. )
『橋本五郎探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書12 2005.07.20 |
新しい人達の活躍を望む。新しい全ての方に期待。 |
- 「広瀬中佐の前」
( 探偵文学 1936.04. )
『橋本五郎探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書12 2005.07.20 |
僕一人の考えですが中佐の前は少佐ですよ、とは学生間で流行らしい。探偵小説が芸術かどうか、本格か変格か、個々人の考え。何故殺人事件か、浮世絵や仏像ではなくダイヤモンドか、手拭ではなく手巾、キセルではなくパイプ、雨戸ではなく窓。昔の名探偵ももはやモダンボーイではない。惚れ惚れするモダンボーイを。 |
- 「支那偵探案「仙城奇案」」
( 月刊探偵 1936.06. )
『橋本五郎探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書12 2005.07.20 |
欧米の借り物がほとんど。「仙城奇案」謝直君は欧米の借り物という感じがしない。読後感を楽しいものにしてくれる。殺人事件でヤマを盛ってある。 |
- 「盲人の蛇に等し」
( 探偵文学 1936.10. )
『橋本五郎探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書12 2005.07.20 |
新青年の百枚物募集に複数作品の合計で応募。探偵小説は兵隊へ行った年の「スミルノ博士の日記」で。朝日新聞の長編、神戸の新聞の短編にも応募。わる仲間と訳のわからない毎日。森下氏から応募とは別に掲載との連絡。 |
- 「(お問い合わせ)」
( シュピオ 1937.06. )
『橋本五郎探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書12 2005.07.20 |
直木賞記念号は良い企画で関係者一覧表は殊に。最近読んだのは「犠牲者」「動物園の一夜」平林初之輔。 |
- 「事変に於ける綴方考察」 荒木猛
- 「探偵作家四方山座談会」 大下宇陀児、渡辺啓助、海野十三、延原謙、久生十蘭、城昌幸、荒木十三郎、松野一夫、水谷準
- 「ペナンの風」 荒木猛
( 写真週報 1942.08. )※5(国DC※) |
彼南(ペナン)名所、ほとんどまやかしで有難味もない。街から拾う、レストランの入口での物貰いの子が国に残した子に似たところがありやがて給仕に雇う。 |
- 「南方通信 馬来風俗物語」 釈十三郎
- 「修道院の私の学校」 荒木十三郎
- 「不行儀な街」 釈十三郎
( 『マライの土 作家部隊随筆集』井伏鱒二編、海音寺潮五郎編 新紀元社 1943.03.05 )(国DC※) |
彼南の街や人、人種、言語、観光地などの様子。 |
- 「面白い話」 女銭外二
( 真珠 1947.04. )
『橋本五郎探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書12 2005.07.20 |
欧米では家常茶飯の接吻、私の頭に浮かぶのはレプラの女を扱った恐怖小説。「拍案驚奇」の中にも恐怖物がある。舌を噛み切る話。 |
- 「探偵小説の面白さと面白くなさ」 女銭外二
( 真珠 1947.12. )
『橋本五郎探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書12 2005.07.20 |
探偵小説は難しい文芸。一定の型を持つ。型に素材を入れれば量産できるという論。面白い物はない。退屈な仕事と感じないのだろうか。型という制約の中、一作毎に変化創造しなければ面白くない、制作の難しさ。短い枚数、安い原稿料で毎月毎月。 |
著書
- 『新進作家集』 平凡社・現代大衆文学全集35 1928.12.01 (国DC※)
△「巻頭の言葉」編者/(林不忘集/山下利三郎集/川田功集/大下宇陀児集/久山秀子集/角田喜久雄集/城昌幸集/山本禾太郎集/水谷準集)/橋本五郎集「Letero en la Kaveto」/「塞翁苦笑」/△「著者自伝」
- 『平林初之輔・橋本五郎集』 改造社・日本探偵小説全集14 1929.10.03 (国DC)
(平林初之輔集「予審調査」/「犠牲者」/「秘密」/「動物園の一夜」/「オパール色の手紙」/「山吹町の殺人」/「誰が何故彼を殺したか」)/橋本五郎集/「れてーろ・えん・ら・うぇーと」(うに濁点)/「赤えいのはらわた」/「勇気」/「探偵開業」/「自殺を買ふ話」/「海龍館事件」/「お静様の事件」/「青い手提袋」/「ペリカン後日譚」/「塞翁苦笑」/「唇花No.1」/「素敵な素人下宿の話」
- 『疑問の三』 新潮社・新作探偵小説全集5 1932.12.25(国) (国DC※)
『疑問の三』
- 『橋本五郎探偵小説選1』 論創社・論創ミステリ叢書11 2005.01.20
「レテーロ・エン・ラ・カーヴォ」/「赤えいのはらわた」/「狆」/「探偵開業」/「塞翁苦笑」/「海龍館事件」/「脣花No.1」/「青い手提袋」/「お静様の事件」/「ペリカン後日譚」/「地図にない街」/「蝙蝠と空気船」/「眼」/「疑問の叫び」/「撞球室の七人」/「美談の詭計」/△「解題」横井司
- 『橋本五郎探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書12 2005.07.20
「箪笥の中の囚人」/「花爆弾」/「空中踊子」/「寝顔」/「双眼鏡で聴く」/「第二十九番目の父」/「鮫人の掟」/「鍋」/「樽開かず」/「叮寧左門」/「二十一番街の客」/「印度手品」/
△「やけ敬の話」/△「大下宇陀児」/△「フレッチャーの大・オップンハイムの強さ」/△「才気過人」/△「支那の探偵小説」/△「近藤勇の刀」/△「大下宇陀児を語る」/△「ポワロの読後」/△「広瀬中佐の前」/△「支那偵探案「仙城奇案」」/△「盲人の蛇に等し」/△「面白い話」/△「探偵小説の面白さと面白くなさ」/△「探偵小説問答(アンケート)」/△「(ハガキ回答)」/△「昭和十一年度の探偵文壇に(ハガキ回答)」/△「(お問い合わせ)」/△「解題」横井司
参考文献
- 「解題」横井司
『橋本五郎探偵小説選1』 論創社・論創ミステリ叢書11 2005.01.20
『橋本五郎探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書12 2005.07.20
- 「橋本五郎作品リスト」島崎博編
幻影城 1976.12.
- 「一人三役の短距離ランナー・橋本五郎」鮎川哲也
幻影城 1978.08.
『幻の探偵作家を求めて』鮎川哲也 晶文社 1985.10.10
『幻の探偵作家を求めて 完全版(上)』鮎川哲也、日下三蔵編 論創社 2019.06.20
- Web Site 松川氏「アジアミステリリーグ」の「中国ミステリ 読書案内」
- 「続・書誌の補遺」黒田明
新青年趣味23号 2023.05.05
- 「編者解説」日下三蔵
『覆面の佳人/吉祥天女の像 合作探偵小説コレクション5』日下三蔵編 春陽堂書店 2024.01.10
- 「書誌の補遺(補訂)」黒田明
新青年趣味24号 2024.07.07
- ほか
おまけ
「著者自伝」
『新進作家集』平凡社・現代大衆文学全集35 1928.12.01 (昭和3年12月) より
本名猛、明治三十六年五月岡山県牛窓に生る。
大坂自動車学校、電気学校を卒業の後、感じるところあり日本大学美学科に学ぶ。但し半途退学。
その間、自動車運転手、貯金局事務員、市電のポール廻しもやってみたり。軍隊を出て後は創作に専心す。