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平塚白銀 作品

Since: 2022.01.24
Last Update: 2024.03.31
略年譜 - 探偵小説 - 随筆 - おまけ

      平塚白銀(ひらつかはくぎん)略年譜

    19xx.xx.  日本橋あたりの呉服屋に生れたらしい。本名は橋本敬三とのこと。
    1934.07.  ぷろふいるに青地流介名義で読者投稿
    1935.08.  「セントルイス・ブルース」がぷろふいるに新人として掲載される
          ぷろふいる、探偵文学 に作品発表
    1937.06.  シュピオにアンケート回答掲載
    1945.終戦以前  死去

    筆名は、平塚白銀、青地流介、(青地柳介※誤植か?推測)

      (国DC※)は国立国会図書館デジタルコレクション個人送信(ログイン必要)で公開されています(今後非公開になる可能性もあります)



      探偵小説

  1. 「セントルイス・ブルース」
    ( ぷろふいる 1935.08. )
    ( 『新作探偵小説選集 昭和11年版』 ぷろふいる 1936.10.04 )(国DC※)
    幻影城 1977.10.
    『探偵小説の風景 トラフィック・コレクション(下)』ミステリー文学資料館編 光文社文庫(み-19-34) 2009.09.20
     子爵松倉晃文の誕生日兼結婚前披露で子爵邸に婚約者門田悦子、児玉恭太郎夫妻、杉一馬ときん子兄妹、橘高次郎、今津陽之助、川上頼雄夫妻が来ていた。執事有村が赤樫徹平からの電話で悦子を呼びに行く時に銃声がし、悦子が殺され晃文が拳銃を持って立っていた。晃文ときん子は自動車で逃避行をはかる。出会った鷺坂龍介は解決する為に子爵邸へ。本郷警察署司法主任白壁警部の聴取、自首する人……。
     トリック自体は単純。偶然や御都合主義も多い。削りすぎで説明不足なのかもしれない。手がかりはそれなりにあり、特に題名に関しては動機にも結びつくものになっている。
  2. 「三面記事」
    ( ぷろふいる 1935.11. )
     ダンスの先生をしていた鶴田は病気養生のため脅迫するように黒川志摩子夫人にお金を要求していた。P博士夫人のところへも行く。ホテルに戻ると黒川家の一人娘摩耶子が来ていた。翌日の夕刊では……。
     確かに珍しくはあるが無いとはいえない。予防線だろうか。届け物の顛末が気がかりでもある。
  3. 「偶像の女」
    ( 探偵文学 1935.11. )
     フランス帰りのカトリーヌこと図案家早瀬京子と画家の光弦一郎。彼女は弦一郎を夫と公表せず兄としていた。早瀬洋品店が東京少女歌劇団のレビューの衣装を受け持つ。初日フィナーレで事件が……。
     事件の意図がよくわからない。結末部の一部に同感だがそれも独善的すぎる。
  4. 「南風」
    ( ぷろふいる 1936.05. )
     藤倉燿子は三枝佑司と姉紀美子を見送ることになった。父昇作が決めた結婚相手の高橋浩平。昇作は書斎でピストルで撃たれて死亡。窓が少し開いていたが……。
     トリックを用いた作品。動機と方法と気付きはまだ良いとしてもまさかの結末。
  5. 「クリスマス・イヴ」
    ( 探偵文学 1936.03. )
     クリスマス・イヴのN町Zホールの仮装舞踏会。外国人の男、画家葉山啓一、妻早苗。東京N町と神奈川W町の貨物鐡道の鉄橋でポール・リュノオが舞踏会の仮装で轢死していた。アリバイ。憲兵隊螺川逍平は……。
     アリバイと時間関係が分り難いが考えられた設定ではある。動機の元となる行動は理解不能。
  6. 「ガス(コント)」
    ( 探偵文学 1936.06. )
     小島君は仮面をかぶった磯村と結婚する事になった夏江さんと心中の相談をする。中学時代のガスという渾名の石原先生に会う。約束の時間に現れなかった夏江。数日後ガス先生に呼ばれて……。
     よくわからない作品。人物的面白さがないとはいえないが。
  7. 「猪狩殺人事件(五)」 (連作:覆面作家(小栗虫太郎)/中島親/蘭郁二郎/大慈宗一郎/平塚白銀/村正朱鳥/伴白胤/伊志田和郎/荻一之介)
    ( 探偵文学 1936.08. )
    『「シュピオ」傑作選 幻の探偵雑誌3』ミステリー文学資料館編 光文社文庫(み-19-03) 2000.05.20
    『諏訪未亡人/猪狩殺人事件 合作探偵小説コレクション6』日下三蔵編 春陽堂書店 2024.03.26
     小栗虫太郎が冒頭部のみで未完の作品を提供。(室蘭北方七里の炭坑町猪狩、猪狩新報記者田母澤大五郎は楠川医学士の醜聞取材で病院へ行くが留守。最上検事の車を見かけて乗り込み蒲原牧師の娘笠尾が殺されたのを知る。軽便鉄道松猪線が上下線共に七分進んでいた。)(樫本警部宅に探偵小説家大月蘭亭が来ていて事件のことを話す。「クス」と断末魔に書かれた便箋があった。容疑者は楠川医学士、軽便鉄道の機関手矢吹久壽夫、白系露人のクスターロフ。) (大月蘭亭は「谷間の灯」の唄声を聴きバー・オーロラに入る。青年が女に笠尾が殺されたと告げ定代に会うため奥へ入っていった。)(田母澤は蒲原家付近で拾い物をした後、バー・オーロラで大月蘭亭を見かける。)「屋上の殺人」を褒めて大月蘭亭に話しかける田母澤。潮定代の叫び声で奥へ行くと青年が殺されていた。(大月、樫本警部、田母澤の話し合い。)(病院で受付野崎青年や看護婦への聞き込み、樫本警部との話。)(大月の定代の聴取、三人の話し合い、自殺の報。犯人は誰か?)(樫本警部から大月への手紙で真相が明かされる。)
     真犯人と無理矢理の解決には驚愕。謎提示の平塚白銀の回までは良いとしてもその後はほとんど三人の話し合いのみ。最終話で後出し解決。人物像も不安定で連携がとれていない中、よく結末をつけるだけつけたものだと感心。
  8. 「B君エピソード(コント二話)」
    ( 探偵文学 1936.09. )
     電話口の女:事務室でミタニの奥さんから休みの電話をP君が受けるのを聞いてBは……。湯の町の怪:P君とB君は顔を真赤に光らせ白い着物を着た妖怪を見て……。
     単純なコント。当時は有り得たかもしれないが今では状況を想像するのも難しく感じる。
  9. 「分光恋愛」
    ( 探偵文学 1936.11. )
     恋愛に有頂天の私田原は愛のない結婚をした須川にバア・ジョージアの牧子を紹介する。牧子の従兄妹だという成瀬。須川が大怪我をしたというので病院へ行くと……。
     愛のかたちそれぞれというような話。よくわからない心理だが。



      随筆など

  1. 「「探偵小説は大衆文芸か」について(POP欄)」青地流介
    ( ぷろふいる 1934.07. )
  2. 「「血液型殺人事件」を読んで(POP欄)」青地流介
    ( ぷろふいる 1934.08. )
  3. 「夏日花譜抄(POP欄)」青地柳介
    ( ぷろふいる 1934.10. )
  4. 「(POP欄)」青地流介
    ( ぷろふいる 1935.01. )
  5. 「春閑毒舌録」青地流介
    ( ぷろふいる 1935.03. )
    『水上幻一郎探偵小説選』 論創社・論創ミステリ叢書64 2013.06.20
     本格も変格も探偵小説に含まれているのが現状。推理の面白さのみなら殺人事件である必要はなく、小説的面白さを読者は欲している。推理第一義以外は看板を代えるならを推理第一義を推理小説としても良い。面白い探偵小説なら細かく分類定義する必要はないのではないか。
  6. 「乱歩破像」青地流介
    ( 探偵文学 1935.04. )
  7. 「(編集後記)」
    ( 探偵文学 1935.11. )
  8. 「探偵小説の存在価値」
    ( ぷろふいる 1936.01. )
     フレッシュな熱と力で探偵小説の存在価値の確立を。時代をリードする読物と迄いきたい。
  9. 「(同人随筆)」
    ( 探偵文学 1936.01. )
  10. 「木々高太郎氏を囲み―三五年度探偵小説合評座談会」中島親、大慈宗一郎、荻一之介、伴白胤、平塚白銀、木々高太郎
    ( 探偵文学 1936.01.,02. )
  11. 「『雪空』を読んで(同人随筆)」
    ( 探偵文学 1936.02. )
     話術体の効果ほか。
  12. 「近頃憂鬱(同人随筆)」
    ( 探偵文学 1936.03. )
     聴いた感じと見た感じの違い。合評座談会の項が氏に対する言句を撤回したい。
  13. 「らくがき 蒼井雄」青地流介
    ( 探偵春秋 1937.02. )
  14. 「お問合せ(直木賞記念号の読後感と最近読んだ小説の感想)」
    ( シュピオ 1937.06. )
     探偵文壇の俯瞰坐。「法律事務所の奇妙な客」(ガードナー)。



      参考文献

  1. 「「ぷろふいる」所載主要作品総目録」中島河太郎
    『日本推理小説史(3)』 東京創元社 1996.12.20
  2. 「「探偵文学」「シュピオ」総目次」山前譲編
    『「シュピオ」傑作選 幻の探偵雑誌3』ミステリー文学資料館編 光文社文庫(み-19-03) 2000.05.20
  3. 「靴の裏――若き日の交友懺悔」光石介太郎
    幻影城 1976.02.
    『光石介太郎探偵小説選』 論創社・論創ミステリ叢書67 2013.09.20
  4. 「名軍師と名将たち」
    幻影城 1979.07.
    『光石介太郎探偵小説選』 論創社・論創ミステリ叢書67 2013.09.20
  5. 「解題」横井司
    『水上幻一郎探偵小説選』 論創社・論創ミステリ叢書64 2013.06.20
  6. ほか



      おまけ
 「靴の裏――若き日の交友懺悔」光石介太郎
「幻影城」 1976.02. (昭和51年2月号) より抜粋
(『光石介太郎探偵小説選』論創社 再録)

 (略)
 平塚白銀は本名を橋本敬三といって、曾ては東京日本橋あたりの名代の呉服屋の御曹司だったが、何かのことで家が没落してしまい、当時早稲田近くの裏町のしもた屋で、老いたる両親と (略) 妹の三人を養っていた。
 (略) 偶然私のアパートの近くのどこかの会社勤めをしており、(略) よくフラリとやってきた (略) 時おり五十銭銀貨を五六枚、黙って置いてゆくような気の優しい所があった。 (略) 彼はどこに勤めているのかそれだけは決して明かそうとせず、訊いても、なにつまらんとこだよ、というだけで (略)
 (略) その頃の私たちのグループで乱歩さんに直接会ったことがあるのは、私のほかにこの平塚白銀ただ独りぐらい (以下略)



 「名軍師と名将たち」光石介太郎
「幻影城」 1979.07. (昭和54年7月号) より抜粋
(『光石介太郎探偵小説選』論創社 再録)

 (略) 戦前の木々氏宅に何ってお目にかかっている。その一度は平塚白銀と (略) もし戦後も好漢平塚白銀が生きていたら (略)
 三軒茶屋に住んでおられた小栗虫太郎氏のところへは、平塚白銀と同道でよく押しかけた。(以下略)



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