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久山秀子作品


      久山秀子(ひさやまひでこ)略年譜

    1896.12.11(明治29年) 生まれる。本名は片山襄、後改名し芳村升
    1922.xx 東京帝国大学文学科を卒業、のち立正大学の講師を勤める
    1925.04. 「浮かれている『隼』」を新青年に発表。以後「隼シリーズ」を中心に発表
    1928.04.〜 海軍機関学校(?)、予科練で教師を勤める
    1929.12 『日本探偵小説全集16 濱尾四郎・久山秀子集』を改造社より刊行
    1939.02.頃 予科練国漢科(のち国語科?)教師として霞ヶ浦(土浦)へ移動(真鍋へ転居?)
    1943.05.頃 予科練教師として鹿児島へ移動
    1952.04 鹿児島ラ・サール高校の講師を勤める
    1955.02. 「梅由兵衛捕物噺」を発表
    1976.12.05(昭和51年) 死去

    筆名は、久山秀子、久山千代子、富田達観、片山秀、(芳村春風、桜島人、桜ノ島人、霞ノ浦人、索楽観道士)


      小説

  1. 「浮かれている『隼』」 [隼]
    ( 新青年 1925.04. )
    『濱尾四郎・久山秀子集』 改造社・日本探偵小説全集16 1929.12.03
    『新青年傑作選 第三巻 恐怖・ユーモア小説編』 立風書房 1969.12.25/新装版 1975.01.xx/新々装版 1991.08.01
    ( 『大衆文学大系30 短篇(下)』 講談社 1973.10.20 )
    幻影城 1976.11.
    『久山秀子探偵小説選1』 論創社 2004.09.20
     房州の店で出会った娘は、浅草で誘拐されて売られて来たという。田舎出のふりをした隼お秀はその人相の男に声をかけられ……。
     気まぐれで自由な行動と蓮っ葉な口調の隼の初登場。三人のうち一人、とは気まぐれなのか。御都合主義な所もあるが短さ故か気にならない。 (2004.11.20)

  2. 「チンピラ探偵」 [隼]
    ( 新青年 1926.03. )
    『創作探偵小説選集 一九二六年版』探偵趣味の会編 春陽堂 1927.02.10/復刻版 1994.04.10
    『新進作家集』 平凡社・現代大衆文学全集35 1928.12.01
    『濱尾四郎・久山秀子集』 改造社・日本探偵小説全集16 1929.12.03
    『久山秀子探偵小説選1』 論創社 2004.09.20
     赤倉男爵が自動車で帰宅途中、ピストルで殺された。女の犯行では、と秀子は思った。先月男爵とTホテルで会食した際に手に入れた手帳から里子嬢が怪しい。彼女に会うと姉のように慕ってくれた。
     決め手が後出しなのが残念。とはいえ、それを匂わす描写もあり、効果的ではある。 (2004.11.20)

  3. 「浜のお政」 [隼]
    ( 探偵趣味 1926.03. )
    『新進作家集』 平凡社・現代大衆文学全集35 1928.12.01
    『濱尾四郎・久山秀子集』 改造社・日本探偵小説全集16 1929.12.03
    『久山秀子探偵小説選1』 論創社 2004.09.20
     隼の皮肉篇か。一矢報いるさまは痛快、とまでは言えないが工夫がある分だけましか。(2004.11.20)
     決め手が後出しなのが残念。とはいえ、それを匂わす描写もあり、効果的ではある。 (2004.11.20)

  4. 「娘を守る八人の婿」 [隼]
    ( 新青年 1926.05. )
    『濱尾四郎・久山秀子集』 改造社・日本探偵小説全集16 1929.12.03
    『久山秀子探偵小説選1』 論創社 2004.09.20
     T大の劇研究会会員として、劇「一人の伯爵令嬢と八人の求婚者」のヒロインを演じた隼は……。
     駆け出しの頃の話。一人だけなのはスキが無く未熟だった為という可能性もあるのか。乾分が今では36人……。 (2004.11.20)

  5. 「代表作家選集?」 [隼]
    ( 新青年 1926.07. )
    『濱尾四郎・久山秀子集』 改造社・日本探偵小説全集16 1929.12.03
    『久山秀子探偵小説選1』 論創社 2004.09.20
     掏ったら原稿だった。それを新青年に押しつけることに。「闇に迷く」隅田川散歩、「桜湯の事件」鎗先潤一郎、「画伯のポンプ」興が侍ふ、「人工幽霊」お先へ捕縛。
     パロディ4篇。とはいえ、中味は直接関係ない。小粒とはいえ単独でも通用する内容だと思う。甲賀三郎が笑える。 (2004.11.20)

  6. 「隼お手伝い」 [隼]
    ( 探偵趣味 1926.07. )
    『新進作家集』 平凡社・現代大衆文学全集35 1928.12.01
    『濱尾四郎・久山秀子集』 改造社・日本探偵小説全集16 1929.12.03
    『「探偵趣味」傑作選』ミステリー文学資料館編 光文社文庫(み-19-02) 2000.04.20
    『久山秀子探偵小説選1』 論創社 2004.09.20
     浅草万歳館の和千代が毒殺された。隼は私立探偵富田達観氏の手伝いをして聞き込む。和千代は師匠の和駒に前座の艶五楼を寝取られたという。
     無理があるというか、強引。トリックは確かに日本的だが類似は海外にもありそう。 (2004.11.20)

  7. 「川柳 殺さぬ人殺し」 富田達観[隼]
    ( 探偵趣味 1926.08. )
    『久山秀子探偵小説選1』 論創社 2004.09.20
     私立探偵富田達観氏と思われる人物へのインタビュー記事で、柳多留から川柳を紹介する。
     随筆。無理に人殺しの句とする所がミソ。オチの一句は見事な殺し、なのか。 (2004.11.20)

  8. 「隼登場」 戯曲[隼]
    ( 探偵趣味 1926.12. )
    『濱尾四郎・久山秀子集』 改造社・日本探偵小説全集16 1929.12.03
    『久山秀子探偵小説選1』 論創社 2004.09.20
     子爵の左成実麿鉄道大臣が視察旅行に来た。村会議員の山倉権三は熊を献上するという。そこへ猟師勘助が俺の熊だと暴れて登場。
     水谷準からのお題提供による作品らしい。その登場ぶりは見事。人物一覧で隼は二十二歳との事。 (2004.11.20)

  9. 「四遊亭幽朝」 [隼]
    ( 探偵趣味 1927.01. )
    『久山秀子探偵小説選1』 論創社 2004.09.20
     浅草枯木亭に入った隼。四遊亭仙楽が師匠幽朝の噺をしていると。
     怪談なのか、芸の凄さなのか、その後の暗示なのか。読み手によって受け取り方が違いそう。 (2004.11.20)

  10. 「隼の公開状」 [隼]
    ( 探偵趣味 1927.02. )
    『久山秀子探偵小説選1』 論創社 2004.09.20
     西田政治の「隼登場」に関する評の反論。
     随筆。探偵悪趣味の大道芸と自らを評する、この一貫性は賞賛に値する。登場に対して退場というべき作品。 (2004.11.20)

  11. 「隼の勝利」 [隼]
    ( 新青年 1927.05. )
    『新進作家集』 平凡社・現代大衆文学全集35 1928.12.01
    『濱尾四郎・久山秀子集』 改造社・日本探偵小説全集16 1929.12.03
    『おお、痛快無比!! 新青年傑作集5ユーモア・幻想・冒険編』中島河太郎編 角川文庫(緑434-05) 1977.12.25
    『久山秀子探偵小説選1』 論創社 2004.09.20
     富田達観氏は渋谷で殺された女優松ヶ枝歌路の事件を姉磯野千鳥からの依頼で調査しているという。内縁の夫萩原定彦、前の情夫小森勝之助、千鳥の旦那吉村達雄、そして浜のお政、小川運転手も登場。吉村の小間使いになった隼は、彼が脅迫されているのを知った。
     オールスターキャストではないが、以前の登場人物が再登場するのは読者サービスか。勝利、ではあるがほろ苦さも。冒頭のシーンも含めて、秀作。 (2004.11.20)

  12. 「どうもいいお天気ねえ」 久山千代子
    ( 文藝倶楽部 1927.05. )
    『久山秀子探偵小説選1』 論創社 2004.09.20
     隼、久山秀子の妹の千代子は女学校の三年生。ピンという名の犬とインコを飼っている。犬をホテルで飼う条件として、そこらじゅうにおしっこをさせない、というのがあった。そして、ある日……。
     小品ながら、妹らしさ、そしてマジック的手法が良い感じ。隣の部屋の片山佐保瑠(さぼちゃん)は学校で芝居の講義をしているとか。作者登場? (2004.11.20)

  13. 「刑事ふんづかまる」 [隼]
    ( 探偵趣味 1927.07. )
    『創作探偵小説選集 一九二七年版』探偵趣味の会編 春陽堂 1928.01.01/復刻版 1994.04.10
    『新進作家集』 平凡社・現代大衆文学全集35 1928.12.01
    『濱尾四郎・久山秀子集』 改造社・日本探偵小説全集16 1929.12.03
    『久山秀子探偵小説選1』 論創社 2004.09.20
     これまでとは違ったスリ狩りが始まった。由公も捕まった。象潟署の高山刑事につきまとわれながら隼は電気館で……。
     電気館では坂東妻三郎の映画が上演中。という事はさておき、スリ対刑事の騙し合いで隼の逆襲は見事。このスリ狩りの手法は今では違法のはず。 (2004.11.20)

  14. 「隼の藪入り」 [隼]
    ( サンデー毎日 1927.07. )
    『濱尾四郎・久山秀子集』 改造社・日本探偵小説全集16 1929.12.03
    『久山秀子探偵小説選1』 論創社 2004.09.20
     「刑事ふんづかまる」の件でうるさくなったので息抜きに大阪へ。小僧のがま口が三人の青年に盗られたのを見ると取り返し、困っている小僧にその分だけ奢るという隼。活動写真に入った二人は……。
     小僧の藪入りでもある。一度はやられた隼ではあるが、一枚も二枚も上手というところか。 (2004.11.20)

  15. 「隼の解決」 [隼]
    ( 新青年 1927.12. )
    『新進作家集』 平凡社・現代大衆文学全集35 1928.12.01
    『濱尾四郎・久山秀子集』 改造社・日本探偵小説全集16 1929.12.03
    『久山秀子探偵小説選1』 論創社 2004.09.20
     ホテルにて桜井博士と会った。研究室でプラチナを盗まれたという。鍵は博士、助手の李と永見が持っているだけ。隼と博士は散歩中に朝鮮煙管を買った。隼の部屋へ忍び込んだ朝鮮人労働者の崔。父から餞別にもらった煙管だという。翌朝、崔の監督官であった落合が殺されていたと新聞に。
     プラチナの行方は少々手が込んでいる。労働者搾取にたいする社会派的要素はあるが、民族的差別感は一切感じない。 (2004.11.20)

  16. 「盗まれた首飾」
    ( 少女画報 1928.01. )
    『久山秀子探偵小説選2』 論創社 2004.10.30
     片瀬伯爵家のかるた会の時に令嬢綾子の首飾りが紛失した。紙屑籠から出てきたかるたの取り方のメモがおかしな事に気付いた綾子は……。
     暗号はこじつけの感があるものの見事。暗号文ではあるがそのまま屑籠、など安易な点も多い。しかしこの時代の純粋な謎解き小説は少年少女物に多い気がする。 (2004.11.20)

  17. 「隼のお正月」 [隼]
    ( 探偵趣味 1928.02. )
    『創作探偵小説選集 一九二八年版』探偵趣味の会編 春陽堂 1929.02.13/復刻版 1994.04.10
    『濱尾四郎・久山秀子集』 改造社・日本探偵小説全集16 1929.12.03
    『久山秀子探偵小説選1』 論創社 2004.09.20
    『探偵小説の風景 トラフィック・コレクション(下)』ミステリー文学資料館編 光文社文庫(み-19-34) 2009.09.20
     子分が集まった新年会の後の一仕事。高山刑事に後をつけられ射的場へ。
     衆人環視の中の掏摸、お見事。とはいえ、少々アンフェア。 (2004.11.20)

  18. 「隼のプレゼント」 [隼]
    ( 新青年 1928.03. )
    『濱尾四郎・久山秀子集』 改造社・日本探偵小説全集16 1929.12.03
    『久山秀子探偵小説選1』 論創社 2004.09.20
     ××新聞の社会部長津崎順一郎に出会った後、浅草へ行く途中に隼が乗った車の窓が癇癪玉で割られた。犯人の子供を連れて追ってきたのは高山刑事。父親が休業銀行頭取西山大作の娘の車に轢かれ、慰謝料がたったの二十五円だったという。隼はプレゼントをすべく奔走する。
     どこへ行くにも車を利用するように、自動車の中から活動写真、どちらも与太としているが現実は……。最後の原稿料の件はやや唐突。店員などしたたかな登場人物が多く感じられるのは面白い。 (2004.11.20)

  19. 「隼探偵ゴッコ」 [隼]
    ( 新青年 1928.10. )
    『濱尾四郎・久山秀子集』 改造社・日本探偵小説全集16 1929.12.03
    『久山秀子探偵小説選1』 論創社 2004.09.20
     昭和美術倶楽部に江藤伯爵家の徽宋皇帝の軸が出ていた。未亡人村山秋子の子連れ自殺を救った隼。聞くと、江藤伯爵に売る為に徽宋皇帝の軸を持っていくと、鑑定家の永見性光が偽物と鑑定。さらに伯爵の土蔵から盗んだとして取り上げられてしまったという。私立探偵富田達観の助けも借りて、隼は事件を追う。
     社会部長津崎順一郎も登場。真相は意外だが、唐突すぎる。しかし、名前が……。 (2004.11.20)

  20. 「隼の万引見学」 [隼]
    ( 新青年 1929.06. )
    『濱尾四郎・久山秀子集』 改造社・日本探偵小説全集16 1929.12.03
    『久山秀子探偵小説選1』 論創社 2004.09.20
     津崎さんと銀座をモガモガしていると、◎◎会の大川代議士の細君を見かけた。万引きの大家という事で後をつけていく事に。白越百貨店で宝石を見る夫人と監視している刑事。
     これは隼が目ざといという事か。銀座の描写で「人絹。人絹。人絹。人絹。」というのも凄い。 (2004.11.20)

  21. 「隼いたちごっこの巻」 [隼]
    ( 新青年 1929.12. )
    『久山秀子探偵小説選1』 論創社 2004.09.20
     由公が掏摸に失敗し、暴力書生に右腕の骨を折られた。それを聞いた隼は、高山刑事からその男の情報を得て対決する。
     敵は本能寺、は見事。そして最後の華も。 (2004.11.20)

  22. 「清風荘の事件」 [美智子]
    ( 少女画報 1930.09. )
    『久山秀子探偵小説選4』 論創社 2006.07.10
     美智子さんの兄神井海軍大尉は日本に立ち寄った飛行客船X豪の乗員達を清風荘へ招待しました。離屋の研究室から設計図が盗まれた。仲良しの雪子さんは男から渡されたという美智子さんの人形。その夜から行方不明の雪子の兄の啓吉。愛犬ベブが掘り出したものは。
     登場人物も限定され謎は啓吉の行方くらいか。名前表示が頭文字表示になるのはアルファベットの勉強? (2016.07.28)

  23. 「秀ッペ フォックス・マーチ」 [隼]
    ( アサヒグラフ 1930.11.12〜11.26 )
    『久山秀子探偵小説選4』 論創社 2006.07.10
     上野の秋は帝展。広小路のコスモス美容院の特別施術は美男子先生。泥棒ッの声で前に立ち塞がった大井川刑事。返そうにも持ってないンだもの。翌日も出会って蟇口探し。次はキスを盗まれた?
     テンポ良い語り口と展開で掌編連作のようでありながらまとまっているのはさすが。3回連載との事が理由かもしれないが。 (2016.07.28)

  24. 「月光の曲」 (中絶)[美智子]
    ( 少女画報 1931.01.〜09. )
    『久山秀子探偵小説選3』 論創社 2006.04.30
     母のいない醒井清美は父から兄があると聞かされていた。女学校が休暇になり、神井美智子の家に遊びに行って戻ってくると、父から旅行へ行くと告げられた。三浦半島の家で親娘は襲われ、清美は追ってきた愛馬の白銀号や玉野祥子に助けられ、難を逃れる。 一方、東京行き急行十三号で起こった殺人事件から逃げ出した謎の少年がいた。玉野馮夫探偵のもとに現れ、追う山本巡査を翻弄する少年。盗まれてしまった父から預かった物が入っている鞄。横浜税関桟橋での追跡劇。少年は美智子に助けられて別荘の清風荘で療養していた。そして美智子が行方不明に。
     唯一の長編であり、広がりきった話の収拾がつかなくなったのだろうか。人物関係と背景は違っているかもしれないが予測がつく。しかし殺人事件関係の方は手がかりがなさすぎて予測不可能。どのようなプロットだったのだろうか。未完に終わったのは残念。 (2006.05.03)

  25. 「女優の失踪」 [隼]
    ( 新青年 1931.11. )
    『久山秀子探偵小説選2』 論創社 2004.10.30
     隼の勧めで劇団を移った後に、花形女優美代子が誘拐された。美代子を敵視していた林龍子が帝国座で義侠的に出演するという。そんな折り、隼は田舎親父に暴力団の岡本利吉と間違えられる。岡本に五百円と証文を取られたという。
     女優の失踪は薄く、五百円と証文の謎といった内容。利用したりされたり、が全編に渡っている。隼の騙され方は意外。 (2004.11.20)

  26. 「ボ−ナス狂譟曲」 [隼]
    ( 新青年 1933.12. )
    『久山秀子探偵小説選2』 論創社 2004.10.30
     井の頭公園での若い恋人同士の会話を聞いた秀子。ボーナスが盗まれ、捕らえたらお嬢様をという約束をしたという。社長宅の横から出てきた怪しい男。スーツケースを奪うが逃げられた。
     盗みの件は他愛がないが、もう一ひねりのドタバタコメディはさすが。 (2004.11.20)

  27. 「当世やくざ渡世」 久山千代子[隼]
    ( 新青年 1934.02. )
    『久山秀子探偵小説選2』 論創社 2004.10.30
     久山秀子の妹の千代子。就職出来ず、姉に私立探偵の助手を世話してもらう。探偵先生、実は姉だった。青年紳士から婚約者を捜す依頼がきた。調べると新聞に出ていた「不良団長のピストル自殺」に関係するらしい。自殺とは思えない。その事件の発見者が連れ去ったらしい。
     順調すぎる捜査ではあるが、隼の職業の利用の仕方はうまい。久山千代子名義である必然性はなさそうだが、なぜそうしたのだろうか。 (2004.11.20)

  28. 「新説デカメロン 白旗重三郎が凄かった話」 [隼]
    ( 新青年 1936.01. )
    『久山秀子探偵小説選2』 論創社 2004.10.30
     前田良白の「回想録」からの紹介。大稲毛屋の総支配人、番頭の徳兵衛が見染めた辰巳芸者の仲吉。巽暁という競争者が現れ、身受けという切り札を使う。妾宅がなく、世話になった御隠居の所に預けたものの、巽暁に連れ出されてしまう。そして珍妙な同居生活。さらにお仲が引っ張りこんだ白旗重三郎。
     艶話ではあるが、凄い話。何が一番凄いのかが問題。この話を紹介した(書いた)秀子かも。 (2004.11.20)

  29. 「当世内助読本」
    ( 新青年 1937.05. )
    『久山秀子探偵小説選2』 論創社 2004.10.30
     待鳥が好きなカフェーのメメ子。待鳥の会社の社長もメメ子に気がある。原料輸出制限されているなか、外国船から協議を持ちかけてきた。金策に走る営業部長。待鳥は社長とメメ子がいるホテルへ行くが。
     ユーモラスでドタバタ調。騒動の結果はやや意外。メメ子の調子の良さも。 (2004.11.20)

  30. 「隼銃後の巻」 [隼]
    ( 新青年 1937.12. )
    『久山秀子探偵小説選2』 論創社 2004.10.30
     由公に招集令状が来た。象潟署の高山刑事に捕まりそうな所を兼吉に助けられたりしながら餞別を用意する隼。高山も加わった祝宴の後、見送りに行った一行は由公の大家に出会う。
     千人針やニュース映画、幟に献金。戦時色が濃いわりに明るい作品。敵味方のない仲間意識の為か。隼作品の最後を飾るにふさわしいと思える。 (2004.11.20)

  31. 「或る成功者の告白」 片山秀
    ( 新青年 1938.08. )
    『久山秀子探偵小説選2』 論創社 2004.10.30
     男爵家の一粒種で両親ともに居ない僕は、学校を卒業すると伯父からの援助も無くなった。帝国ホテルで出会った男二人から見本の砂金を見せられ、沈没船引き上げの募金集めを始めた。面白いようにお金が集まる。ダンスホールで女性と知り合い贈り物をしたり使い込み。いよいよお金に困って……。
     成功者となった顛末は悲劇喜劇の大波で面白い。「僕」は一体有能なのか無能なのか。 (2004.11.20)

  32. 「ゆきうさぎ」 [梅由兵衛捕物噺]
    ( 探偵倶楽部 1955.02. )
    『久山秀子探偵小説選2』 論創社 2004.10.30
     新年早々、松江出雲守は家宝の珊瑚樹が盗賊に盗まれたと言いう。家老の安井出雲に内々に探して欲しいと頼まれた旗本御隠居が深川の料亭梅本に由兵衛を訪ねてきた。良い知恵が浮かばないまま由兵衛は、浮世絵師の英泉や子童の小雪に出会う。
     着想や物語展開は面白いものがある。松江出雲守も良い味をだしている。伏線はあるのだが、偶然的な要素が強すぎるのが物足りない。 (2004.11.20)

  33. 「恩讐畜生道」 [梅由兵衛捕物噺]
    ( 探偵倶楽部 1955.06. )
    『久山秀子探偵小説選2』 論創社 2004.10.30
     若狭屋の倅桃吉を勘当した当主が亡くなってから、女房と妹お君は細々と生計を立てていた。そして十年。桃吉が帰ってきた。深川材木問屋の由兵衛は彼を木場の見習いとした。お君の縁談話が起こり……。
     講釈師が語る場面もあり、人情譚そのもの。良い噺ではある。 (2004.11.20)

  34. 「由兵衛黒星」 [梅由兵衛捕物噺]
    探偵倶楽部 1955.09.
    『久山秀子探偵小説選2』 論創社 2004.10.30
     南町奉行所に出入りしている目明かしの喜久三には気になる二人の人物がいた。北町奉行に出入りしている丈五郎と深川の材木問屋の主人の由兵衛だ。江戸を荒らしていた賊が丈五郎によって挙げられた。証拠は三年前の事件での花魁若葉からの手紙に刺青。捕らえられた左官の清吉は拷問で死亡。遺された妹の芸者初次と信濃の客、由兵衛と芸者梅吉、丈五郎と目明かしの丈八らは……。
     人情譚に意外性ありで、なかなか面白い。短い中に詰め込みすぎなのと活劇がないのがあまり評判にならなかった理由かも。 (2002.02.04) このシリーズは人情譚であり活劇は関係なかった。(2004.11.20)

  35. 「恐妻家御中」 (「女房操縦法」)[梅由兵衛捕物噺]
    ( 探偵倶楽部 1955.10. )
    『久山秀子探偵小説選2』 論創社 2004.10.30
     女房の言いつけで屑六は与太郎の弟子になった。後をついて来るように言われた屑六。与太郎は掻っ払いに気付かれ、男に追われて財布を屑六に。屑六は男が落としたに違いない、と思うが返す当てもない。通りかかった由兵衛が吉原で聞くように助言した。
     落語調で面白い。由兵衛は財布の中味を見て助言するだけに登場し、ミステリー的要素はほとんど無い。 (2004.11.20)

  36. 「心中片割月」 [梅由兵衛捕物噺]
    探偵倶楽部 1956.03.
    『久山秀子探偵小説選2』 論創社 2004.10.30
     由兵衛は尾張屋の倅福次郎が死んだと知らせを受けた。着物が不自然に濡れていて持っていた二十両がなくなっていた。往来の人から略奪する荒稼ぎ団か? 同じ頃、寺を追放された浄心と花魁宵月の心中事件があった。
     ほとんど由兵衛の思いつきがそのまま当たっていたという感じ。絞り込んではいますが。このシリーズ、もう少し人物や情景描写があれば良い作品になったと思うのですが。 (2002.02.04)

  37. 「新版鸚鵡石」 [梅由兵衛捕物噺]
    ( 探偵倶楽部 1957.04. )
    『久山秀子探偵小説選2』 論創社 2004.10.30
     上方で修行した俳優の沢村藤十郎は美貌や愛嬌だけでなく芸の上の苦心もおこたりない。初日、藤十郎が出ずに弟子や座頭の松鶴が代役。翌日、強盗に殺されたという噂が。黒江町の親分喜久三は藤十郎を追ってきたともいわれる検校の妻らにも話を聞くが見込み違い。由兵衛に話を引き出される喜久三。
     冒頭で題名について一言ある。なるほど。トリックといえるほどのものではないが、設定に必然性はある。安易だが、ある意味で意外性のあるパターンを踏襲しているともとれる。 (2004.11.20)

  38. 「相馬の檜山」 [梅由兵衛捕物噺]
    ( 探偵倶楽部 1958.07. )
    『久山秀子探偵小説選2』 論創社 2004.10.30
     由兵衛の伯父だという大尽に呼び出された棟梁の吉松。相馬に檜山を多数持っているという。吉松は相馬の家の普請を頼まれ、滞在中の話のたねにと賭場の案内を請われる。
     相馬の大尽の壮大さが面白い。動機も意外性がある。 (2004.11.20)

  39. 「ぬすみぎき」 [梅由兵衛捕物噺]
    『久山秀子探偵小説選3』 論創社 2006.04.30
     駿河屋徳右衛門の頼みは、娘が出した元手代の新三郎宛の手紙を取り返して欲しいという事。由兵衛には一方的にまくしたてて引き下がる新三郎。案外厄介な相手かもしれない。
     題名が意味深長。片方は盗み見も。粋な話。末尾の「後篇 秋の夜なが」は書かれなかったもよう。 (2016.08.20)

  40. 「遺品の文束」 [梅由兵衛捕物噺]
    『久山秀子探偵小説選3』 論創社 2006.04.30
     辰巳屋のお婆さんが死んで身代は従弟に。実の孫のように世話をしていたお若へは伊之助からお辰への文束が遺品となった。由兵衛は書が好きな叔父の倅に見せるといって預かるが。
     書が好きとはどのような意味だったのだろうか。安易にいきすぎだが結果良ければすべて良し。末尾の「後篇 ひなの白酒」は書かれなかったもよう。 (2016.08.20)

  41. 「奥州なまり」 [梅由兵衛捕物噺]
    『久山秀子探偵小説選3』 論創社 2006.04.30
     日吉山王権現の天下祭の帰り、梅吉は奥州なまりの若者になつかしそうに声をかけられた。近所で人殺しがあって捕まった男をかつぐお神輿さわぎで押されて若者に抱き着く梅吉だが。
     梅吉の活躍譚。題名も安直。偏見としか思えないが、それだけに実体験が元のような気もする。末尾の「後篇 なつまつり」は書かれなかったもよう。 (2016.08.20)

  42. 「おっかさん」 [梅由兵衛捕物噺]
    『久山秀子探偵小説選3』 論創社 2006.04.30
     浮世長屋の金棒引きお宣婆さんとお伝婆さん。上州屋の妾お浦とその子が新道に越してきた。お浦は縮緬のねんねこにくるまれて瘡守稲荷に捨てられた子だったという。
     お宣婆さんは強い。まわりは人が良すぎるため、ユーモラスな落語のような印象。 (2016.08.20)

  43. 「怪盗の約束」 [梅由兵衛捕物噺]
    『久山秀子探偵小説選3』 論創社 2006.04.30
     南町奉行所に出入りしている目明かしの喜久三には気になる二人の人物がいた。北町奉行に出入りしている丈五郎と深川の材木問屋の主人の由兵衛だ。江戸を荒らしていた賊が丈五郎によって挙げられた。捕らえられたお初の兄左官の清吉は拷問で死亡した。信濃の客は由兵衛と約束する。
     「由兵衛黒星」の原型。雑誌発表時には三年前の事や刺青の事が追加されていて背景の厚みが増している。 (2016.08.20)

  44. 「ぬれつばめ」 [梅由兵衛捕物噺]
    『久山秀子探偵小説選3』 論創社 2006.04.30
     梅吉が推理する。由兵衛が懐中物を忘れたのではなく相合傘で二十二三の小粋な女に掏られたと。梅吉が種明かしをする。掻っ払いの与太郎が知らせた美人局の事を。
     梅吉の推理もあるが、行動が良い味をだしている。上州屋忠兵衛さんも人が好い。末尾の「後篇 鼻息三味線」は書かれなかったもよう。 (2016.08.20)

  45. 「異説野崎村」 [梅由兵衛捕物噺]
    『久山秀子探偵小説選3』 論創社 2006.04.30
     深川材木問屋の由兵衛は手代の乙三から相談された。油屋のお染さんの乳母をしている母が手代の久七とお染が駆け落ちをして探しているという。実家の須崎村の久作は来ていないという。大川橋にあった二組の下駄は心中を暗示するが。
     「お染久松野崎村」を知らないのでどこまで本歌取りをしているかは不明。下駄からの当推量はなかなかのもの。 (2016.08.20)

  46. 「与太郎の恋」 [梅由兵衛捕物噺]
    『久山秀子探偵小説選3』 論創社 2006.04.30
     与太郎はお花の欲しがるものを掻っ払っていた。しかしダイヤモンドに目がくれて出羽屋へお嫁にいくという。与太郎は女嫌いである。金持ちを呪った。そして与太郎は義賊になった。初次が身受けされることになった。身受け金の百両が掻っ払はれますように、との願いを聞いた与太郎は。
     お初は「怪盗の約束」の後の状況で登場。与太郎は捕物帖でいえば子分のような感じ。二重独楽になるのは何故、と思うのは野暮なのだろうが。 (2016.08.20)

  47. 「河豚喰はぬ」 [梅由兵衛捕物噺]
    『久山秀子探偵小説選3』 論創社 2006.04.30
     弥八は河豚好き。若い後妻のおつぎさんのお腹が大きくなった頃、あっさり昇天。夫が亡くなって戻ってきたしっかり者の一人娘おかねさんに婿をとらすか。産まれてくる子が男かどうかまだわからない。弥八の弟が後見人で現状維持になったが、今度はおかねさんが。おつぎさんとの仲を疑われた丹七が由兵衛を訪ねてきた。
     鱈で河豚中毒の一文を冒頭にもってくればインパクトがあったのに残念。探偵小説的に面白い話。 (2016.08.20)

  48. 「盗人に追銭」 [梅由兵衛捕物噺]
    『久山秀子探偵小説選3』 論創社 2006.04.30
     「怪盗の約束」「秋の夜空」の男が由兵衛の家に逗留している。無実の罪で火付盗賊改めに捕まった知り合いを助けたいというのだ。恵比寿講で武蔵屋重兵衛が去年の暮の不思議な災難を語りだした。手代の次郎吉が北条安房守の支払いの使いで下屋敷へ行くと待たされて後、受け取ったものの次の先は既に払い済みとの事だった。次郎吉の狂言でないとすると。
     盗人に、なのかは疑問だがたしかに追銭。利息と思えば追銭でもないかも。「怪盗の約束」「秋の夜空」の後の作品。 (2016.08.20)

  49. 「怪談枇杷瀧」 [梅由兵衛捕物噺]
    『久山秀子探偵小説選3』 論創社 2006.04.30
     河内屋の彦三はおきんの間に彦太郎が生まれた後、箱根へ湯治に行ったが谷底に落ちて死亡した。妙庵のもとにおきんをたのむと血みどろの男があらわれた。その後幽霊はおきんにだけ見えるようだ。後見人が定まらぬなか、おきんは高尾山の枇杷の瀧にうたれに行く事になり、由兵衛に留守をたのむ。
     突然の出来事にまわりくどい計画で素直に受けても変わらないような。見抜き方は、確かにその通り。末尾の「後篇 葛湯瀧由来」は書かれなかったもよう。 (2016.08.20)

  50. 「霜枯与太郎」 [梅由兵衛捕物噺]
    『久山秀子探偵小説選3』 論創社 2006.04.30
     梅吉の独舞台。葛籠を背負った与太郎が同心葦野健三に引っぱられた。上州屋忠兵衛の妾お浦が梅吉に駈け込んできた。隣家でお婆さんが殺されて八丁堀の一行に与太郎もいたという。与太郎はお婆さんが生きている時に着物を盗んだがかわいそうになって返そうとしてうろついていた時に捕らえられたのだというが。
     冒頭の与太郎とお初の掛け合い漫才だけでなく、上州屋忠兵衛も良い味をだしている。伏線も面白い。空巣も嘘? (2016.08.20)

  51. 「けむり小僧」 [梅由兵衛捕物噺]
    『久山秀子探偵小説選3』 論創社 2006.04.30
     由兵衛が手に入れた妙な香木が牢破りをしたけむり小僧に盗まれた。一月後、けむり小僧が殺されたと目明し黒江町の喜久三は由兵衛に香木を返す。香木の匂いに反応した小娘のしづは母が連れ戻しにきたと思ったと語る。
     唐突、偶然が多い。由兵衛も顔が広すぎ。末尾の「後篇 しのびごま」は書かれなかったもよう。 (2016.08.20)

  52. 「ほたる供養」 [梅由兵衛捕物噺]
    『久山秀子探偵小説選3』 論創社 2006.04.30
     島田屋平右衛門が離れで殺された。蛍籠が無くなっていた。江戸中の蛍籠を当たって来い、と喜久三。元奉公人の半兵衛が捕まった。お内儀のお千代は由兵衛と梅吉に相談するが。
     提灯代わりに蛍籠とは風流。由兵衛の小細工はたまたまうまくいっただけのような。 (2016.08.20)

  53. 「茶番に一役」 [梅由兵衛捕物噺]
    『久山秀子探偵小説選3』 論創社 2006.04.30
     花下屋長次郎が雨で辻堂の軒下に駈け込んだとき、美人の先客お照がいた。つい近所なので着物を乾かしていらっしゃいません? 明日の今頃も。女房の目をくらますには、由兵衛の知恵を借りよう。
     鼻の下が長いという意味か。三人三様に一役かって、女房に内緒。めでたしめでたし。 (2016.08.20)

  54. 「羽織の片袖」 [梅由兵衛捕物噺]
    『久山秀子探偵小説選3』 論創社 2006.04.30
     与太郎が持ち込んだ羽織の片袖と五十両。お蔵の渡し付近で笑いながら争うようす。人が河へ落ちたらしい水音がした後に残っていたという。由兵衛は喜久三の手先の仙八を使いにやると三河屋の婿になる駒込の馬吉が土左衛門で見つかった。恋仇の三河屋手代の幸吉が捕らえられ、廻り方の葦野健三は皆を集めて吟味する。
     平賀鳩渓(源内)の『徒然本草』とはいかにもな書物。『物類品隲』には載っていないようで。『新つれつれ草』は不明。袖の破れ方は忘れられた着眼点といえるかも。 (2016.08.20)

  55. 「風流落語調」 [梅由兵衛捕物噺]
    『久山秀子探偵小説選3』 論創社 2006.04.30
     松島屋の跡をついだ伊達吉は吉原の三浦屋の十三代目高尾太夫に入れ揚げて破産。二代目は泥鰌が好きであったらしい。由兵衛は十三代目高尾太夫から二代目から受け継がれた文箱が無くなったと相談される。
     原稿用紙に書かれ最後に「挿絵の由兵衛は、三十二才、美男に願います。」と書かれているとの事。「泥鰌汁由来」の題で同内容のものもあるとの事。内容的にも艶笑雑誌に芳村春風名義で掲載された可能性もありそう。 (2016.08.20)

  56. 「死出の股旅」 [梅由兵衛捕物噺]
    『久山秀子探偵小説選3』 論創社 2006.04.30
     越後者の新助は旅人宿の越後屋で相部屋になった巳之吉に博打で負けて売上代金を失ってしまった。由兵衛に頼ろうとした新助だが、部屋に戻った時に巳之吉は殺されていた。巳之吉を訪ねてきた沼津の文吉。親分友蔵の女房とできて友蔵を殺して逃げた巳之吉を追ってきたという。足野堅三は皆を集めて詮議する。
     股旅ものではなく、道中○○栗毛ものだという。越の国があったかどうか不明。最後の文吉の行動は義侠に厚いというべきか。 (2016.08.20)

  57. 「箱根みやげ」 [梅由兵衛捕物噺]
    『久山秀子探偵小説選3』 論創社 2006.04.30
     由兵衛とタイコの長次郎が手先らしい男に連れられた梅吉を見かけた。ウチへ行ってみよう。大岡屋越兵衛と名乗り梅吉の父親に会うと、預かった講のお金が無くなった。いやがらせで手先の丈五郎が連れて行ったようだ。由兵衛は船頭の三次に一筆文を渡す。
     どこが箱根? 筆者の箱根での出来事が元なのかもしれないが。伏線はないが解明は探偵小説的。巻末復刻メモで(1)なので着想は最初の作品だが決定稿?にならないままの作品となったように思われるがどうだろか。 (2016.08.20)

  58. 「妾宅の盗難」 [梅由兵衛捕物噺]
    『久山秀子探偵小説選3』 論創社 2006.04.30
     喜久三の子分の仙八はソバのヘドに顔を突っ込んだ死体にぶつかった。一両二分の金、ヒスイのカンザシ、ベッコーのクシを持っていた。着物五枚を質に入れた七五郎が調べを受けていた。行方のわからない女房増が融通してきたという。盗まれたのは医者の玄洞の妾宅からで、盗まれた刻限に七五郎は与太郎といたのだが。
     少々わかりにくかった。ザル助のそば往生。お寿満のスミ入り紅。何より動機が不明。未定稿という印象。 (2016.08.20)

  59. 「実説牡丹灯」 [梅由兵衛捕物噺]
    『久山秀子探偵小説選3』 論創社 2006.04.30
     柳島の若旦那礼三郎は風流三昧の若隠居生活を送っていた。おゆうには本気で、結婚したが間もなく世を去ってしまう。幻を追うようになった頃の凄艶な詩は由兵衛編纂の「柳蔭詩」にもうかがわれる。下駄の音はおゆうだと下男の伴蔵夫婦に語る。そして礼三郎は幽霊と会っていた痕跡を残して死んでいた。
     最後の付記は私的には蛇足。明らかなウソなのでせめて間接的影響に留めた方が無難。 (2016.08.20)

  60. 「義賊与太郎」 [梅由兵衛捕物噺]
    『久山秀子探偵小説選4』 論創社 2006.07.10
     与太郎と梅吉の出会いの場を枕に。辰巳屋の提灯を持った田舎男から五十両を奪った与太郎。血の流れているそばで提灯を拾った喜久三。駆け落ちをしたおむぎの行方探しを頼む辰巳屋の亭主。おなるに会いたいと頼む十一兵衛。
     チョイト共産党の気味もある義賊、とは妙な表現。馬爪は鼈甲の偽造品らしい。辰巳屋関係の出来事が一つに繋がり結果として与太郎は善根をほどこしたという事ななるのか。由兵衛がどこで見つけたかは結局謎。 (2016.08.20)

  61. 「徳利の別れ」 [梅由兵衛捕物噺]
    『久山秀子探偵小説選4』 論創社 2006.07.10
     二代目ハリマヤ文左衛門は親分長五郎と張り合い深川仲町の芸者源蔵(お源)を女房にした。色里のかわり長五郎のトバに出入りするようになり、ついには店を閉める事になった。長五郎の新道の家から出火し、源蔵の兄の火消しの源太の活躍で延焼は少なくてすんだが、焼け跡から長五郎の死体が見つかった。
     焼け出された者に対して火事を江戸の花というのは確かに妥当ではない。だが材木問屋。空襲経験なのかもしれない。喜久三も良い見たてをするし、文左衛門や源太も良い味を出している。 (2016.08.20)

  62. 「つきもの船」 [梅由兵衛捕物噺]
    『久山秀子探偵小説選4』 論創社 2006.07.10
     船宿の新助が帰ってこない。喜久三の子分が押し込み強盗の争う現場で捕らえたからだ。新助は近江屋の娘と会ってから大川端をぶらついていたという。船頭の三次は由兵衛に助け出してくれるように頼む。喜久三は近江屋への取次ぎを由兵衛に頼む。
     意外な結末といえば喜久三の対応なのかもしれない。船に憑き物がついた怪談ではなかった。 (2016.08.20)

  63. 「奉行泣かせ」 [梅由兵衛捕物噺]
    『久山秀子探偵小説選4』 論創社 2006.07.10
     伊勢から来た高島玄石は小梅に別所を定めた。一月後、小梅で南町奉行所与力の松元秀之進が殺された。南町奉行長野越後守は秀之進と共に前任者を失脚させて奉行になっていた。喜久三は高島玄石を怪しいとにらむが高島玄石はその頃。
     若殿様の新之助も高島玄石と同じ。的射甚和は双方になのか片方だけなのか。今一つ判然としない部分があるようにも思われる。 (2016.08.20)

  64. 「提灯と釣鐘」 [梅由兵衛捕物噺]
    『久山秀子探偵小説選4』 論創社 2006.07.10
     小田原屋長右衛門は息子長太郎が見初めたお丸ちゃんの父ホーズキ屋丸兵衛に縁談を申し入れた。お丸はトビ七と互いに惚れ合っていた。丸兵衛は頭に話をすると家を出ている間、お丸ちゃんが駕篭で連れ去られた。火の見から見ていたトビ七は由兵衛に相談する。
     ユーモアあふれる作品。火の見から見た方角での見当など人の配置はうまい。 (2016.08.20)

  65. 「女難の功名」 [梅由兵衛捕物噺]
    『久山秀子探偵小説選4』 論創社 2006.07.10
     由兵衛は雪舟の軸の鑑賞にと成田屋金右衛門に招かれた。由兵衛はもてなされて後、雪舟の拝借を申し出た。歌麿画を送った由兵衛に観劇を催す金右衛門だが、その間に雪舟が盗まれた。
     題名の意味が意表をつかれた。歌麿の方がましかもしれない。 (2016.08.20)

  66. 「初雪残足跡」 [梅由兵衛捕物噺]
    『久山秀子探偵小説選4』 論創社 2006.07.10
     初雪が降った。お町の下女が親の家から戻るとお町が縛られて殺されていた。旦那の甲州屋円蔵に対しては百両の要求が。お町のイロ竹松も呼ばれていた。庭には乱れた下駄の足跡と外に続く足袋の足跡。番頭は由兵衛に相談し喜久三には内緒に身代金を払うことに。
     足跡の描写説明だけではよくわからない。喜久三の見立てから逆に女のものではないなどとわかる。喜久三は見ていなかったり、身代金の受け渡しなどの状況の設定はよく考えられている。状況証拠の積み重ねだけではあるが。 (2016.08.20)

  67. 「若様やくざ」 [梅由兵衛捕物噺]
    『久山秀子探偵小説選4』 論創社 2006.07.10
     参州吉良の城代家老大腰百合之助は子息金弥を仲間の仁吉をお供につけて江戸へやった。金弥は殿様から代々伝わる彫刻家横井ナニガシ献上のサイコロを貸してもらう。思った目が出る曲作りらしい。江戸見物中、仁吉が三河万才の太夫と才蔵と出会い飲んでいる間に金弥は遊び人風の男に連れ去られた。元火付盗賊改の向島のご隠居から持ち込まれた由兵衛は。
     さすが天下に聞えた智者の子息。丁半博打ではなく道中双六なのはさすが若様、なのか?題名は。 (2016.08.20)

  68. 「怪談涼み船」 [梅由兵衛捕物噺]
    『久山秀子探偵小説選4』 論創社 2006.07.10
     船頭の三次が浪人と商家のオカミサン風の女を乗せて隅田川を上る。お使いから戻ると額から血の髪を振り乱した女が足から水の中へと消えていった。男も女も消えていた。翌日由兵衛は伊東屋小兵衛のオカミさんお絹の葬式に出かけた。船の客は小兵衛の釣りの弟子の浪人雨宮与右衛門とお絹で、お絹は刀で刺された後に溺死したのだった。
     怪談仕立ての話を筋のたった話に。不十分な伏線はあるが後出し。もっとも幽霊話なので本格としての手ごたえが無いのも道理か。 (2016.08.20)

  69. 「空巣ねらひ」 [梅由兵衛捕物噺]
    『久山秀子探偵小説選4』 論創社 2006.07.10
     梅吉姐さんと初次がウナギ屋で飲んでいると外で与太郎と願人坊主と言い争いが。キモノを返してくれという。美人局の熊五郎から百万長者の願人坊主だと聞いた与太郎が盗んだという。由兵衛は通い番頭をしている夫の溜吉を探しているお美代につかまった。店は存在せずあてなく仲町を探しているという。コジツケのようだが。
     副題「与太郎ぬれつばめの恋」。たまたま結びついただけではあるが、その後の伊勢屋シワ衛門との顛末は面白い。 (2016.08.20)

  70. 「秋の夜ぞら」 [梅由兵衛捕物噺]
    『久山秀子探偵小説選4』 論創社 2006.07.10
     信州のお大尽が由兵衛を訪ねてきた。素性を知っているのは由兵衛と北町奉行の家来で水田良之助だという。鈴ヶ森で見かけて後をつけると生首が。由兵衛は腕を網ですくいあげていた。腕のイレズミから長崎のヌケニガイ金谷六兵衛らしい。北町奉行は元長崎奉行で六兵衛はダイヤモンドを懐に江戸へ来たらしい。
     副題は「怪盗の約束」のようだが「怪盗の約束」の後日談のひとつ。夜空がダイヤとは。そういえば江戸時代では工芸品や金以外の財宝は聞いた記憶がない。 (2016.08.20)

  71. 「咲いた桜に」 [梅由兵衛捕物噺]
    『久山秀子探偵小説選4』 論創社 2006.07.10
     賊に入られた坂松屋近くの新道。魚政から食事毎に二人前の仕出しが届けられる。喜久三らが見張る中、与太郎が兄として女アルジに連れこまれる。由兵衛は会いに出かける。
     上野浅草ということで松坂屋と勘違い。桜ではなく梅ではないかと思うが、鳴き声は桜で合っているのかも。「義賊与太郎」の削除された一部が利用されている。 (2016.08.20)

  72. 「金貨三枚目」 [梅由兵衛捕物噺]
    『久山秀子探偵小説選4』 論創社 2006.07.10
     金貸牛九郎が焼死した。元は市川団子郎の先代の弟子で牛助という三枚目。金を借りた六兵衛の娘お蓮は牛助のもとに。ところがお蓮は中村馬之助へ乗りかえた。馬之助は高利の金の為に首をくくっていた。由兵衛をお蓮が訪ねてきた。息子の植木職の駒吉が鬼一から牛九郎宛に手紙を託され、その際に火つけしたとして連れていかれたという。
     利息なしの元金で取り立てたとはいえ、元金も払えない人もいたと思われるが。証文が無くなったので容疑者も有耶無耶か。 (2016.08.20)

  73. 「一寸一風呂」 [梅由兵衛捕物噺]
    『久山秀子探偵小説選4』 論創社 2006.07.10
     冒頭3ページ脱落。人物表から題名を特定との事。近江屋の末息子が河内屋の下女お松に惚れた。由兵衛は近江屋大旦那孫右衛門を説き伏せ式を挙げさせた。式の翌日、河内屋の内儀がお松の母お三保に貸した着物が風呂に行っている間に盗まれた。お三保に恋慕している番頭の伯兵衛が着物を受け取りに取りに来たが。
     富士山に三保の松原、天女の羽衣。銭湯の絵は大正元年からのようで。母が天女なら後日談もありそう。喜久三に行動させるところは面白い。 (2016.08.20)


      随筆・評論

  1. 「(大正15年度印象に残っている作品は)(マイクロフォン)」
    ( 新青年 1926.12. )
    『久山秀子探偵小説選2』 論創社 2004.10.30
     「煙突奇談」地味井、「五十六番さん」リーコック

  2. 「(アンケート)」
    ( 探偵趣味 1926.12. )
    『久山秀子探偵小説選2』 論創社 2004.10.30
     自作で好きなのは「隼登場」嫌いなのは「浜のお政」。派手で色っぽくて甘い長編を書きたい、が書けないにきまっている。

  3. 「(マイクロフォン)」
    ( 新青年 1927.01. )
    『久山秀子探偵小説選2』 論創社 2004.10.30
     お正月は十五日まで休み。探偵趣味を見れば、で広告料が入ればおしるこでも一緒に、小流智尼さん。

  4. 「(ルパン、ホームズであったら)(アンケート)」
    ( 探偵趣味 1927.01. )
    『久山秀子探偵小説選2』 論創社 2004.10.30
     ルパンであったら、西園寺公望になる。星野龍緒に会う。ホームズであったら、探偵趣味の上の塵を分析。延原謙宅を訪問する。

  5. 「(マイクロフォン)」
    ( 新青年 1927.02. )
    『久山秀子探偵小説選2』 論創社 2004.10.30
     掏摸の手は心をもっている。佐藤春夫の「発見」、佐々木茂索「千人の散歩者」、掏摸として落第。探偵小説では犯罪や探偵の心の踊りがなくつまらない。

  6. 「(最初に読んだ探偵小説と三十年後は)(アンケート)」
    ( 探偵趣味 1927.05. )
    『久山秀子探偵小説選2』 論創社 2004.10.30
     最初に読んだ探偵小説は子供向きでおぼえていない。三十年後は少数が芸術家探偵小説を書く。隼お秀は自叙伝を書くのをやめて隼ババアに。

  7. 「愚談」
    ( 探偵・映画 1927.10. )
    『久山秀子探偵小説選2』 論創社 2004.10.30
     「探偵・映画」という誌名は好き。ナンセンスはラ・メデタでロイドの喜劇。本格探偵は映画にむかない、悪人を描いたのには心ひかれる。万歳。

  8. 「(昭和2年度印象に残った作品と希望)(アンケート)」
    ( 探偵趣味 1927.12. )
    『久山秀子探偵小説選2』 論創社 2004.10.30
     「昇降機」小舟勝二、「兵隊の死」渡辺温、など。羽志主水、小舟勝二、ナンセンス四人男の活躍を。

  9. 「霜月座談会(座談会)」
    ( 探偵趣味 1928.01. )

  10. 「(好きな外国作家作品と作中人物)(アンケート)」
    ( 探偵趣味 1928.02. )
    『久山秀子探偵小説選2』 論創社 2004.10.30
     ルパンが好き。可愛いいし明快。

  11. 「著者自傳」
    『新進作家集』 平凡社・現代大衆文学全集35 1928.12.01
     生年月日、生地。

  12. 「丹那盆地の断層」
    ( 新青年増刊 1931.02. )
    『久山秀子探偵小説選2』 論創社 2004.10.30
     探偵小説家になった理由の質問には断層がある。自叙伝だから探偵小説家ではない。乱歩の「D坂の殺人」で新青年に病みつき。募集で採用。続けて二作書いたら詩人の小林○○○が松本泰に紹介、泰は森下雨村に紹介。男の変名で大作をする野心はある。

  13. 「探偵作家と殺人 考えるだけでも凄いわ」
    ( 探偵 1931.09. )
    『久山秀子探偵小説選2』 論創社 2004.10.30
     殺人は恐い。科学兵器にはゾッとする。

  14. 「ギャング事件を語る2(座談会)」
    ( 報知新聞 1932.10.09 )

  15. 「読ませたい本と興味深かった三面記事(ハガキ回答)」
    ( ぷろふいる 1935.12. )
    『久山秀子探偵小説選2』 論創社 2004.10.30
     回答資格なし。神兵隊事件。

  16. 「処女作の思ひ出 あの頃のなかま」
    ( 探偵文学 1936.10. )
    『久山秀子探偵小説選2』 論創社 2004.10.30
     作家ではないので名前について。浄化前の浅草。久山秀子と書いた紙と共に捨てられたので読みはわからない。銀さんが会わせたい人がいるという。くやまさんというんだよ。もしや。

  17. 「(昭和12年度気に入った作品)(ハガキ回答)」
    ( シュピオ 1938.01. )
    『久山秀子探偵小説選2』 論創社 2004.10.30
     新青年増刊、シュピオのほかは三編(「蛇屋敷の話」甲賀三郎、「雷」蘭郁二郎、「不思議の国の殺人」邦正彦)を読んだだけ。

  18. 「当世百戦術 簡易貯金術」
    ( 新青年 1938.03. )
    『久山秀子探偵小説選2』 論創社 2004.10.30
     儲けたいは捨てて溜めること。踏み倒す、タカルも。

  19. 「渋団扇」
    『久山秀子探偵小説選4』 論創社 2006.07.10
     昭和15年〜18年の土浦の芸妓梅香との交情記を中心とした作品。と昭和20年5月28日の文。昭和15年3月付で霞ヶ浦(土浦)移転一周年。昭和18年5月に鹿児島へ移動。昭和20年3月18日の空襲で隊に置いておいたものはほとんど消失。土浦を舞台にした丘美丈二郎「空坊主事件」では「海軍将校は船乗りの通例にもれず実によく女遊びをした」とあり、海軍関係の教師になってから深まったような気もする。

  20. 「(送別会礼状)」
    『久山秀子探偵小説選4』解題引用 論創社 2006.07.10
     隼お秀の文体で。博文館へ小包を送付、博文館からお手元へ届くと思います。(鹿児島移動時と思われるが不明)


      著書

  1. 『新進作家集』 平凡社・現代大衆文学全集35 1928.12.01
    (林不忘集/山下利三郎集/川田功集/大下宇陀児集)/「チンピラ探偵」/「隼お手傳ひ」/「隼の勝利」/「刑事ふんづかまる」/「隼の解決」/「濱のお政」/(角田喜久雄集/城昌幸集/山本禾太郎集/水谷準集/橋本五郎集)/△「著者自傳」

  2. 『濱尾四郎・久山秀子集』 改造社・日本探偵小説全集16 1929.12.03
    (「惡魔の弟子」/「彼が殺したか」/「黄昏の告白」浜尾四郎)/「浮かれてゐる隼」/「濱のお政」/「娘を守る八人の婿」/「チンピラ探偵」/「隼お手傳ひ」/「隼の勝利」/「刑事ふんづかまる」/「隼の解決」/「隼の藪入り」/「隼のお正月」/「隼のプレゼント」/「隼の萬引見學」/「隼探偵ゴッコ」/「隼登場」/「代表作家選集?」

  3. 『久山秀子探偵小説選1』 論創社・論創ミステリ叢書9 2004.09.20
    「浮かれている『隼』」/「チンピラ探偵」/「浜のお政」/「娘を守る八人の婿」/「代表作家選集?」/「隼お手伝ひ」/「川柳 殺さぬ人殺し」/「戯曲 隼登場」/「隼の公開状」/「四遊亭幽朝」/「隼の勝利」/「どうもいいお天気ねえ」/「刑事ふんづかまる」/「隼の藪入り」/「隼の解決」/「隼のお正月」/「隼のプレゼント」/「隼探偵ゴッコ」/「隼の万引見学」/「隼いたちごつこの巻」/△「解題」横井司

  4. 『久山秀子探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書10 2004.10.30
    「女優の失踪」/「ボ−ナス狂譟曲」/「当世やくざ渡世」/「白旗重三郎が凄かった話」/「隼銃後の巻」/「盗まれた首飾」/「当世内助読本」/「或る成功者の告白」/「ゆきうさぎ」/「恩讎畜生道」/「由兵衛黒星」/「恐妻家御中」/「心中片割月」/「新版鸚鵡石」/「相馬の檜山」/△「愚談」/△「丹那盆地の断層」/△「探偵作家と殺人」 /△「処女作の思ひ出」/△「当世百戦術」/△「(マイクロフォン)」/△「(アンケート)」/△「解題」横井司

  5. 『久山秀子探偵小説選3』 論創社・論創ミステリ叢書16 2006.04.30
    「月光の曲」/「ぬすみぎき」/「遺品の文束」/「奥州なまり」/「おっかさん」/「怪盗の約束」/「ぬれつばめ」/「異説野崎村」/「与太郎の恋」/「河豚喰はぬ」/「盗人に追銭」/「怪談枇杷瀧」/「霜枯与太郎」/「けむり小僧」/「ほたる供養」/「茶番に一役」/「羽織の片袖」/「風流落語調」 /「死出の股旅」/「箱根みやげ」/「妾宅の盗難」/「実説牡丹灯」/△「付録(執筆メモ)」/△「解題」横井司

  6. 『久山秀子探偵小説選4』 論創社・論創ミステリ叢書17 2006.07.10
    「秀ッペ フォックス・マーチ」/「清風荘の事件」/「義賊与太郎」/「徳利の別れ」/「つきもの船」/「奉行泣かせ」/「提灯と釣鐘」/「女難の功名」/「初雪残足跡」/「若様やくざ」/「怪談涼み船」/「空巣ねらひ」/「秋の夜ぞら」/「咲いた桜に」/「金貨三枚目」/「一寸一風呂」/△「渋団扇」/△「付録(「スターの失踪」のメモ)」 /△「解題」横井司/☆「久山秀子書誌」横井司編


      参考文献

    ※1: 「日本探偵小説總目録」中島河太郎
    『探偵小説年鑑 1950年版』日本探偵作家クラブ編 岩谷書店 1950.11.

    ※2: 「「新青年」所載作品総目録」中島河太郎
    『新青年傑作選 第五巻 読物・復刻・資料編』(新々装版)中島河太郎編 立風書房 1991.10.01

    ※3: 「「探偵趣味」作者別作品リスト」
    『「探偵趣味」傑作選』ミステリー文学資料館編 光文社文庫 2000.04.20

    ※4: 「「探偵倶楽部」作者別作品リスト」
    『「探偵倶楽部」傑作選』ミステリー文学資料館編 光文社文庫 2003.07.20

    ※5: 「解題」横井司 および「久山秀子書誌」横井司編
    『久山秀子探偵小説選』 論創社 2004.09.20、2004.10.30、2006.04.30、2006.07.10


      おまけ

    ・「著者自傳」『新進作家集』より 全文
     明治三十八年五月一日、東京下谷に生る。未婚。
    (引用者注:作中人物として「隼登場」1926年で22歳なので1905年なら数え年で一致)

    ・「解題」横井司 『久山秀子探偵小説選3』より 引用
     久山の履歴のコピーも同封されており (略) 久山秀子は一八九六年(明治二九年)一二月一一日に生まれた。本籍は東京都目黒区中目黒となっているが、出生地もそうなのかは分からない。(以下略)

    ・『濱尾四郎・久山秀子集』改造社・日本探偵小説全集16より 

     あてずっぽうでは湘南あたりの芸妓という気がする。

    ・未発見でどこかに掲載されたかもしれない作品群 『久山秀子探偵小説選3』付録、解題より
     ヨロイビツに秘蔵されてゐると言ふ。好事の君子は、同家執事に紹介してみられるがよろしい。 めでたしめでたし。
     末尾(19ページ)のみ「箱根みやげ」((1)なので(草稿)第一作と推測)の前の部分として残っていたとの事。執事なので現代物、隼の語りではなく、盗まれた貴重品が戻ったか珍しい事件関連品かが秘蔵されている、めでたしめでたしで終わっている、という事で単独作品か少年少女向けではないかと推測。別名義の可能性も十分考えられる。

     「風流三人男」(11)由兵衛、梅吉、金八、長次郎、甚好、ぎん蝶、お若、向島のご隠居、宗田、瓢斎、舞鶴屋の黒■、南町奉行所の同心、手先、吉兵衛、石川五左衛門、成田屋金右衛門、和泉屋治兵衛、熊坂屋長吉
     人物表もある。「若様やくざ」でも「インキョは■■の茶碗の一件(かつて「風流三人男」として照会したことがある)」とあり、最低でも草稿はあったと思われる。清書後不採用で返却もされなかったのかもしれないがどこかで採用されたかもしれない。別名義の可能性もある。

     「名誉の茶室」(13)、「仇討隅田川」(14)、「世はなさけ」(17)
     番号記載だが人物表には無い作品。番号が近いので人物表作成以前に散逸したと思われる。
     その他番号が無い作品は題名のみと推測。5文字以外の題名はあったとしてもメモ程度ではないかと思われる。


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