Shift_JIS Page 著者別リストへ |
本田緒生 作品 |
Since: 2022.12.19 Last Update: 2024.09.22 |
略年譜 - 探偵小説 - 随筆 - 著書 |
1900.04.15(明治33年) 名古屋で生まれる。元の姓は北尾だが商家の養子後の本名は松原鉄次郎(哲次郎)。
19xx.xx. 日本少年、文章世界、文章倶楽部などに様々な筆名で投稿
1922.11. 「呪はれた真珠」を新趣味に投稿、掲載される
1974.12. ユーモア物の山本君シリーズ「財布」を新青年に掲載
1925.04. 「蒔かれし種」が新青年の懸賞で当選し掲載される
1928.08〜09 「鼠賊為吉簪奇譚」を猟奇に掲載
1976.01. 「謎の殺人」を幻影城に掲載
1983.05.18(昭和58年) 死去
筆名は、本田緒生、(本多緒生)、(木多緒生)、あわぢ生、松原文鳥、松原不二男、松和久平、淡路千之助、(松原乙之助)、南丘哲、松原一白、ほか
(国DC※)は国立国会図書館デジタルコレクション個人送信(ログイン必要)で公開されています(今後非公開になる可能性もあります)
( 新趣味 1922.11. ) 『「新趣味」傑作選 幻の探偵雑誌7』ミステリー文学資料館編 光文社文庫(み-19-07) 2001.11.20 『本田緒生探偵小説選1』 論創社・論創ミステリ叢書73 2014.03.20 |
弓削雪子が庭で頭部を刺されて死んでいたのを女中頭お由が見つけた。無くなった真珠の簪。妹の百合子は秘された恋人秋月圭吉がいることを知っていた。貴金属商で見かけた真珠は青木伯爵夫人の依頼で秋月圭吉が売ったものだという。取り調べを受ける俳優秋月、秋月は……。 |
暗号、名前、死因など謎は多い。声とか態度とか妊娠していたこととか不明点は多いが事件自体は必要最小限の描写であっさりとしたまとまった作品。 |
( 新趣味 1922.12. ) 『創作探偵小説選集 一九二五年版』探偵趣味の会編 春陽堂書店 1926.03.20/復刻版 1994.04.10 (国DC※) 幻影城 1975.09. 『「新趣味」傑作選 幻の探偵雑誌7』ミステリー文学資料館編 光文社文庫(み-19-07) 2001.11.20 『本田緒生探偵小説選1』 論創社・論創ミステリ叢書73 2014.03.20 |
秋月から百合子への手紙。秋月の友人の永井の美しい妻君梅子の指に呪われた真珠が輝いていた。梅子が配達された牛乳に入ったモルヒネで毒殺された。女中のお花は永井が牛乳に薬を入れているのを見たという。警察に引かれていった永井。梅子の故郷を調べる秋月。配達された保険会社からの書状。百合子の示唆……。 |
意外な犯人。手がかりも悪くなく代表作に値する作品。 |
( 新青年 1924.12. ) 『本田緒生探偵小説選1』 論創社・論創ミステリ叢書73 2014.03.20 |
その日は何もかもが山本君の癪にさわった。電車から飛び降り身を転がし、大通りの人の波に逃され、免職を言渡した重役Hに似たような太った洋服の人の背中にぶつかり、ふくらんだ古財布を見、押されて知らぬ間に手には財布が。家に帰り机の引き出しに入れて表へ飛び出した。細君は赤飯と鯛と鮪の刺身を据えて……。 |
ユーモア風小説。羅列描写は混乱を示していておもしろい。女房、ワイフ、細君と変わるのは気になるが。オチ自体はありきたり。 |
( 新青年 1925.04. ) ( 『鉄道推理ベスト集成1』鮎川哲也編 徳間書店トクマノベルス 1976.11. ) 『シグナルは消えた トラベル・ミステリー1』鮎川哲也編 徳間文庫(134-03) 1983.02.15 (国DC※) ( 『幻の名探偵』ミステリー文学資料館編 光文社文庫(み-19-41) 2013.05.20 ) 『本田緒生探偵小説選1』 論創社・論創ミステリ叢書73 2014.03.20 |
日記形式。友人草川の言葉で電柱にあるクローバーに矢のマークの広告を調べることにした。広告取扱所所長は依頼人不明で女の人からと若い男から問い合わせに来たという。女の人は富豪の山田という男の妻だとわかる。国へ帰る寝台列車で山田いと子が絞殺されていた。発見者は青木良之助伯爵で牛尾田定吉は言い合いをする声を聞いたと言う。落ちていた伯爵のネクタイピン。山口署長からの情報。水害による単線運行。工夫の足立の話。草川の来訪。第二の殺人。警告状。伯爵のネクタイ。血のついた短刀……。 |
力作ではあろうが伏線や説明の不足や偶然が多く唐突感は免れない。単線と複線の着想は面白いが計画性がなく偶然の手懸りなのだろうか。 |
( 新青年 1925.08. ) 『本田緒生探偵小説選1』 論創社・論創ミステリ叢書73 2014.03.20 |
山本君が銀行員になって十日もたたないある日の昼下がり、札束の枚数を一枚少なくして帯封に鈴木君の認印を捺した。鈴木君は山本君が不足分を払うという。証拠はないはずだが……。 |
倒叙コント。意外な証拠とはいえるがオチは頂けない。 |
( 探偵趣味 1925.11. ) 『本田緒生探偵小説選1』 論創社・論創ミステリ叢書73 2014.03.20 |
対話形式。半年前に妙な色のカアテンを注文、壁の塗り替え、照明、音楽、ごちゃまぜの味、寒い日の窓の開放と暑い日の重ね着、不調和、細君……。 |
コント。不調和の羅列はそれなりに面白いがオチは後出しで意外性には乏しい。 |
( 新青年 1926.01. ) ( 『急行出雲』鮎川哲也編 光文社カッパノベルス 1975.11. ) 『急行出雲 鉄道ミステリー傑作選』鮎川哲也編 光文社文庫(あ-02-04) 1986.07.20 (国DC※) 『奇想の森 ミステリーの愉しみ1』鮎川哲也編、島田荘司編 立風書房 1991.12.20 『本田緒生探偵小説選1』 論創社・論創ミステリ叢書73 2014.03.20 |
山本君は四つ角に来るときまってチョウクで数字を書く紳士を見かけた。後から来た紳士。葉巻と紙巻き煙草と囁いた一言。山本君は数字の謎を解こうとする。今夜、S駅五十六号、石、女。山本君はS駅に行き……。 |
こじつけともいえる話で偶然を逆手にとった面白さがある。紳士同志の会話の説明は『急行出雲』収録時に追加されているとのこと。 |
( 探偵趣味 1926.01. ) 『本田緒生探偵小説選1』 論創社・論創ミステリ叢書73 2014.03.20 |
商人風の男に顔が真青だと言われる。学生に苦しそうだと言われる。僧侶に足許がふらふらしていると言われる。洋服の男はながめている。心臓が弱い家系、順番。いよいよ駄目だと彼は言う。自分の家の敷居をまたぐ。女房の声……。 |
さすがに無理がありすぎ。書かれざる背景がさらにあればあるいは。 |
( 探偵と映画 1926.02. ) |
※「一束」による |
( 探偵文芸 1926.03. ) 『「探偵文藝」傑作選 幻の探偵雑誌5』ミステリー文学資料館編 光文社文庫(み-19-05) 2001.02.20 『本田緒生探偵小説選1』 論創社・論創ミステリ叢書73 2014.03.20 |
寒さと飢えで動けなかった。ポケットに残っていた煙草の吸い残り。ショックと幻の世界。黒づくめの男……。 |
掌編。マッチ売りの少女の翻案とのこと。少女ではなく、中年か青年かはっきりしないが男性の浮浪者の場合という話。 |
( 探偵文芸 1926.05. ) 『探偵小説の風景 トラフィック・コレクション(上)』ミステリー文学資料館編 光文社文庫(み-19-33) 2009.05.20 『本田緒生探偵小説選1』 論創社・論創ミステリ叢書73 2014.03.20 |
故郷の駅はもうこの次。車内の人々。敗残者。車窓の風景。車内の男からの視線。駅。右手の短刀……。 |
掌編。ホラーになるのだろうか。不条理な作品。 |
( 探偵趣味 1926.10. ) 『本田緒生探偵小説選1』 論創社・論創ミステリ叢書73 2014.03.20 |
何かが常に自分の後ろから襲いかかってくる。一つだけ忘れられた兇器がある。鋏。手。自殺。ショベル。手。椅子に縛られた身体……。 |
掌編ホラー。体が意志に反する動きをするのか、意識自体が二重なのかまではよくわからない。 |
( 苦楽 1926.10. ) 『本田緒生探偵小説選1』 論創社・論創ミステリ叢書73 2014.03.20 |
山本君は一度だけ不義理をした事がある。X会社に勤めていた頃に竹下君にお金を借りたが彼の転勤で、山本君のR銀行への転職で返せないでいた。一年後、山本君は竹下君を見かけたが彼は気付かないようだった。竹下君がなおも気付かないように髭を……。 |
コント。ありがちのオチ。 |
( 探偵文芸 1926.12. ) 『本田緒生探偵小説選1』 論創社・論創ミステリ叢書73 2014.03.20 |
俺の計画した犯罪だった。君が実行し罰を背負った。運命だった。君は復讐を誓い証拠を握っている。死ぬか殺すか……。 |
二人の対決場面の作品。結末は予測がつく範囲内。 |
( 探偵趣味 1927.01. ) 『本田緒生探偵小説選1』 論創社・論創ミステリ叢書73 2014.03.20 |
山本秋雄君は一度だけ探偵小説を書いたことがある。X銀行S―町支店出納係の帰りに筋を立てる道楽を始めた。面白いトリック、奇抜なトリックを寄せ集めた作品であっても山本君には面白くなかった。一度だけ銀行の支店長の人物月旦を書いたのみではあるがT―誌の原稿募集に書き上げた。〆切はは今日、細君に書留を頼み……。 |
軽い伏線もありオチはやや効いている。探偵小説に対する考えは興味深い。 |
( 探偵趣味 1927.03. ) 『本田緒生探偵小説選1』 論創社・論創ミステリ叢書73 2014.03.20 |
昼食後机に戻った山本君は日本字タイプライターで打たれた紙片があった。解読して公園の三つ目のハート形花壇へ六時に行くと女性の悲鳴が。酒井君は廊下に落ちていた紙切れを山本君の机の上へ。片岡春子嬢は……。 |
解読に関してはこじつけが過ぎる。救は字余りだろうか。時間と場所と悲鳴と男の逃走はさすがに偶然が多すぎる。多少の偶然はありがちだとしても。 |
( 探偵往来 1927.03. ) 『本田緒生探偵小説選1』 論創社・論創ミステリ叢書73 2014.03.20 |
深夜、ただ歩く。彼は人を殺した。彼の部屋の鏡。彼のではない顏……。 |
詩に似た作品。被害者によっては納得できもするが謎で不条理な作品。 |
( 苦楽 1927.05. ) 『本田緒生探偵小説選1』 論創社・論創ミステリ叢書73 2014.03.20 |
三番町の目明し隼、早川の秀蔵は寿座で八年前の女白波夜桜お絹を見かけた。籠の後をつけるがまかれる。近江屋に続き吉田屋に押し込み強盗が。吉田屋の前でその時に見かけた男。犯人は女のように思われる。役者市川半之丞がよく出かける美濃屋の後家の家が襲われる。後家の話では……。 |
最後でトリックらしきものもあるが、中年目明しの心情が主の作品。但し、その心情は理解できない。男の件や独断専行できたことなど謎が多い。 |
( 探偵趣味 1927.07. ) 幻影城 1976.10. 『本田緒生探偵小説選1』 論創社・論創ミステリ叢書73 2014.03.20 |
結婚前の真夜中、百合子は祝品のある洋間からの物音に気付いた。窓から見た祝品の指輪をした女中のお久米。庭を逃げるお久米の物音が途切れる。裏木戸の音。倒れていたお久米……。 |
意外といえば意外な原因であるがそれだけの話。指輪はどうなったのだろうか。 |
( クラク 1927.11. ) 『本田緒生探偵小説選1』 論創社・論創ミステリ叢書73 2014.03.20 |
伊藤の死は殺害されたものだと私は知っていて六人を集めた。科学者の私、織田学士、藤田博士、松丘博士、笹原学士、新進作家梅村光春、原清。私は語る、伊藤と国子の恋、国子に惹かれた男がいた事を。私はピストルを取り出し……。 |
上手くいくとは全く思えない裁き。良心も弾も都合が良すぎ、または説明描写不足。 |
( 探偵・映画 1927.12. ) 『「探偵」傑作選 幻の探偵雑誌9』ミステリー文学資料館編 光文社文庫(み-19-09) 2002.01.20 『本田緒生探偵小説選1』 論創社・論創ミステリ叢書73 2014.03.20 |
結婚三年目、山本君は物足りなさを覚えていて、タイプライター係の古川芳子に頼んだラヴレターをポケットに入れておき、細君が見つけるように考えた。冷ややかになったような細君、外出する細君。第二のラヴレター後、後をつけると映画館へ。同僚の鈴木君のようだ。芳子に誘われカフェーで飲む山本君。第三のラヴレターと紙片……。 |
ラヴレターのオチは初登場が例の鈴木君という記述で唐突にしかなっていない。推敲でなのか編集で削られたのか不明だが。題材は悪くないのだがやはり伏線がほとんどなく奇想な結末でもない。 |
( 猟奇 1928.05. ) 『本田緒生探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書74 2014.04.20 |
嵐の後の夜明け、あちらこちらに窒息死。都合十三人。シャロック・ホルムス先生が夜の町を歩くと……。 |
風刺小品。ナンセンスは人数だけで連日なのか限定された場所なのかの説明がないだけ。 |
( 猟奇 1928.06. ) 『本田緒生探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書74 2014.04.20 |
年の瀬、浪人の橋本治郎左衛門の妻絹は兄で薬師の了庵から小判十枚を借りることができた。粋な文が書かれていて、仲間七人に披露となった。一枚ない。青山は一両持っていて腹を切ろうとする。酒瀬豊助は小判一枚を見つける。絹が重箱の蓋裏から一枚見つける。武士たるものはかくあるべきとのことで……。 |
偶然の重なりで異なる結果となる話。風が吹けば〜ほどの飛躍はない。 |
( 猟奇 1928.08.〜09. ) 『本田緒生探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書74 2014.04.20 |
大川に飛び込もうとした為吉は袂に珊瑚の簪が入っていた。秋祭りの人混みで巾着切りと叫ばれ逃げたがその時に入れられたものだろうか。心機一転、珊瑚を売り大商店の潜戸が苦もなく開いたので入ると後家が立女役市川半之丞と思い込み長唄の師匠お絹との仲をを疑い結局手にした金。辻斬りの男、扇面の絵描きの男、近江屋の押し込み強盗、白髪の僧侶、質屋への押し込み、珊瑚の簪……。 |
それぞれの人の一断面を描く代表作といえる。但し時代小説であり、人は見かけによらず表裏があるという事以外に探偵小説味は薄い。 |
( 猟奇 1928.10. ) 『本田緒生探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書74 2014.04.20 |
男がはまり込んだ中年の人妻。男は可愛らしいお久米といい仲になっていた。女の夫は缶詰会社の工場監督で、女は届けられた缶詰を開ける。中に入っていた白い物。会社からの知らせで小指が挟まり取られたという。女は男に缶詰に入っていた白い物を……。 |
怪談風作品。思わせぶりな描写は良いがやはり偶然は気になる。魚肉の缶詰とのことだが経路は不明。意図されたものであればそれはそれで面白いが説明か描写がない。 |
( 猟奇 1928.11. ) 『本田緒生探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書74 2014.04.20 |
富豪の車が子を轢き母親に金を払う。女給を見かける。労働演説会会場。新聞記者のトクダネという叫び。自動車会社の外交員。警官の解散命令。富豪の妻と運転手。それぞれが……。 |
一つの事がいろいろな人々に利用され影響していく作品。労働演説会の解散による利益のところと妻と運転手への影響の二点は良くわからない。 |
( 猟奇 1928.12. ) 『「猟奇」傑作選 幻の探偵雑誌6』ミステリー文学資料館編 光文社文庫(み-19-06) 2001.03.20 『本田緒生探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書74 2014.04.20 |
原稿紙に書かれた遺書を拾った。原文のまま記す。俺は青木の従妹俊子に恋をしたが臆病で打ち明けられなかった。青木から俊子が高山に恋しているが二人とも後取りで結婚はできないという。高山は頭、金、美で俺に勝っている。憎悪、復讐。俺は二人の筆跡を真似て手紙を出し……。 |
とても成功するとは思えない手法と予測できなかった結果は頭が劣ると思われても仕方がない。やはり原稿用紙上のことなのだろう。 |
( 猟奇 1929.01. ) 『本田緒生探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書74 2014.04.20 |
公園で殺される男と殺す男が言い合っている。俺の女だ、嘘だ、本当だ、決闘だ。女の部屋で女と殺した男が対話している。殺した、血だ。殺した男と捕える男の会話。街角で女と捕えた男が……。 |
一言対話でテンポ良い作品。結末はやや意外。教唆が気になる。 |
( 猟奇 1929.03.、04. ) 『本田緒生探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書74 2014.04.20 |
A、彼は発明品を秘密にしていたが堪えられず友人に打ち明け、友人は兄に、兄は学友に、学友の警部はさらに……。B、彼は地下室の椅子に座ると明り取りのガラス窓から白い物が歩いていくようにちらりちらり、外へ出て見ると……。C、彼は女に誘われ家に行き明るいところで乱舞、彼は古い友人に会い誘われたが……。D、彼は風の吹く日に街へ出かけると町角毎に男が二人、五人、更に多くの男がいて見えるという……。E、私は友人Aと温泉に泊っていたが一緒に風呂に入ろうとしなかったので鏡を設置し……。 |
コント五編。馬鹿馬鹿しい誇張が面白くもあり脱力でもある。アルファベットと話の内容の関係はわからなかった。 |
( 猟奇 1929.05. ) 『本田緒生探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書74 2014.04.20 |
信濃屋お半、おきち、おかね、おとくはこよりを結んでの帯屋長右衛門、丁稚の長吉、家主の六兵衛、麩屋町の助兵衛との縁占い。結果に駄々をこねるお半。宿に着いたお座なり主義の長右衛門。隣同士の二人が旅の宿で出会い……。 |
世話狂言「桂川」(人形浄瑠璃「桂川連理柵」)の推測心理を少し加えた、出会うまでのリライト。解釈はそれぞれ。 |
( 猟奇 1929.08. ) 『本田緒生探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書74 2014.04.20 |
銀行員の山本一雄君は探偵雑誌を持って出るのを忘れて電車に乗ると、向かいの席の男が読んでいた。E氏、K氏。借りたがそれで充分。男との会話。E氏を知っている? K氏かY氏かO氏か、探偵作家だろうか。降車した男の後を追いもう少し……。 |
意外な展開ともいえる作品。マニア心が良い感じ。 |
( 猟奇 1929.11. ) 『本田緒生探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書74 2014.04.20 |
彼は逢引の時間から三分、彼女の不安そうな顔を頭に走った。サラリーマンがそれを見て事件だ、と追って走る。商人風の男が、労働者四人が、主婦三人が、学生二人が……。 |
ナンセンス掌編。全て好奇心ありすぎ。はたして別の街ではどうなったのだろうか。 |
( 猟奇 1930.01.,03.〜05. ) 『本田緒生探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書74 2014.04.20 |
秋月と百合子は群衆の後ろから覗こうとする。女が心臓麻痺で死んだという。あらゆる感情を合せた表情を見せた男。翌日、二人は死んだ蝶子の良人小川医学士の家を訪れる。二階を睨みつけていた男。投げ込まれた小石に包まれた紙片。恋を奪われたという岩槻。蝶子の日記帳。然らざれば死。書生山本。日記帳の消失。岩槻の脅迫状。女中お芳。乳母おとせと久美子。小川の研究……。 |
6回完結予定が雑誌休刊で4回で中絶となったらしい。幾つもある偶然のうちの三つとは何を指すのか、最初の男とは、研究とは、登場人物の背景など多岐にこじつけられるので後の展開は予測できない。 |
( 猟奇 1931.03. ) 『本田緒生探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書74 2014.04.20 |
田舎道を歩いているとふらふらと自動車が一台通り過ぎて止まった。御乗りなさい、と若い男の人。友人が世の中が退屈で自殺したという。ローマンスが必要です。美しいお嬢さんの乗った自動車……。 |
たまたま出会った話。その後を知っているのかいないのか、よくわからない。日にちが違うというなら怪談だが。 |
( 映画サロン 1931.03. ) |
( 猟奇 1931.09. ) 『本田緒生探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書74 2014.04.20 |
新聞記者梅村は深夜十字路で血溜まりに気付きパイプを拾う。翌日、事件は古島医師の自殺以外なかった。同僚の原口は早朝の十字路に血の痕跡はなかったという。カフェーの女給が届けた男からの手紙には古島医師が殺されたと書かれていた。 |
次回執筆者を指名していく連作とのこと。第二回滋岡透、第三回佐野甚七、第四回西田政治の予定のようだったが第一回のみ。冒頭から不可能状態だがどのように展開させていく予定だったのだろうか。 |
( ぷろふいる 1934.12. ) 『本田緒生探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書74 2014.04.20 |
水野君と長谷川君の往復書簡。二人が森の池で見た男と女。水野の妹登美子と長谷川の弟俊夫のようだった。登美子は両親から西村を婚約者と定められてしまっていた。男二人が争っているようにも見えた。池に投げた小石の波紋。再びその場へ行くと西村が刺殺されていた。兇器の隠匿と発見、指紋、靴跡、轢死自殺した女性……。 |
本格に近いが手懸りは後出しで謎の解明も不十分。疑心暗鬼、心理的サスペンスが主であろうか。 |
( (食料公団機関誌) 戦後 ) |
( 幻影城 1976.01. ) 『甦る「幻影城」2 探偵小説誌 幻の名作』 角川書店カドカワ・エンタテインメント 1987.11.25 『本田緒生探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書74 2014.04.20 |
雪国山間のN市で元ボクサーの若者が午前二時頃に路上で窒息死していた。次は柔道部のキャプテン。大新聞支局員のKは空っ風の強い夜に起こったのに気付き身をもって事件の謎を解こうと……。 |
描写は細かくサスペンス感もある。謎に対する理屈や設定もそれなりに考えられている。被害者は闘争心が旺盛な人とまで考えられていたかどうかまではわからないが。 |
( 新青年 1925.04. ) ( 部分『江戸川乱歩全集4』 平凡社 1931.08.10 )※「江戸川乱歩氏の諸作」部分(国DC※) 『本田緒生探偵小説選1』 論創社・論創ミステリ叢書73 2014.03.20 |
久米正雄「冷火」は新探偵小説とあるが奇智、刺戟、興奮、謎、意外、不思議などがない。岡本綺堂「半七捕物帳」は探偵の苦心談で時代表現が面白く探偵物を扱った新講談。松本泰の諸作は事件が起きて謎が解決されていく奇智や意外性がなく、片カナ人物名も気に入らない。江戸川乱歩の「二銭銅貨」は傑作、段々理屈っぽくなっている。その他、小酒井不木、和気律次郎、山下利三郎、呑海翁。 |
( 探偵趣味 1925.09. ) 『本田緒生探偵小説選1』 論創社・論創ミステリ叢書73 2014.03.20 |
探偵小説需要家は新青年と苦楽、供給者は十以上。文壇作家、文壇。「古城の秘密」。探偵小説を載せない多くの雑誌。 |
( 探偵趣味 1925.09. ) 『本田緒生探偵小説選1』 論創社・論創ミステリ叢書73 2014.03.20 |
探偵小説は芸術であるといい得る時がくる。将来は日本のポオ、ビーストン、マッカレーが現れる。探偵小説は永続する。敬服するのはポオ、好きなのはブラウン物、地下鉄サム、ビーストン、面白いのはリュパン物。 |
( 探偵趣味 1925.09. ) |
創作リスト、緒生・あわぢ生の計5編。 |
( 探偵趣味 1925.10. ) 『本田緒生探偵小説選1』 論創社・論創ミステリ叢書73 2014.03.20 |
カメラ誌の「ある対話」では「罪と罰」は探偵小説的興味がある故に名作ではなく人間心理により芸術であり探偵小説は謎遊び、とある。私は名作を探偵小説とみるのに支障はないと考える。私は取材でなく表現で芸術か区分されると考える。探偵小説は神秘と悪とを取材したもの。 |
( 探偵趣味 1925.11. ) 『本田緒生探偵小説選1』 論創社・論創ミステリ叢書73 2014.03.20 |
江戸川乱歩の「煤煙」作者の記述は誤植か。小酒井不木「遺伝」。片岡鉄兵への質問。国枝史郎の牧と林と谷を個々に評した件。探偵趣味掲載のクロス・ワード。城昌幸の文章と題材。小酒井不木。水谷準。横溝正史。ブリッヂ。各人の本職。江戸川乱歩の作り事結末と春日野緑。 |
( 探偵趣味 1926.01. ) 『本田緒生探偵小説選1』 論創社・論創ミステリ叢書73 2014.03.20 |
ウェルシーニンの「死の爆弾」とヤクザ。国枝史郎の印象。ヘンテコな話を作り出す小酒井不木。「街角の文字」のゼリー・ビーンズ。森永の映画のストーリー応募。江戸川乱歩の探偵小説時代と題する広告。すべてが探偵小説。 |
( 探偵趣味 1926.01. ) 『本田緒生探偵小説選1』 論創社・論創ミステリ叢書73 2014.03.20 |
良い探偵小説ほど映画化や劇化は難しい。 |
( 探偵趣味 1926.02.〜06. ) 『本田緒生探偵小説選1』 論創社・論創ミステリ叢書73 2014.03.20 |
江戸川乱歩の諸作、独特な変態的感じ。小酒井不木の諸作、潤いのない筆から題材によっては力強くせまってくる。城昌幸の諸作、文章のうまさと題材のよさ、心理と描写。甲賀三郎の諸作、本格物以外は不満、深い心理描写が必要。国枝史郎の銀三十枚、前編は無駄だが面白い、中篇は謎と構想の非凡さと熱、後篇は純文芸作品から探偵的に優れているようだが物足りない解決。 |
( 探偵趣味 1926.03. ) 『本田緒生探偵小説選1』 論創社・論創ミステリ叢書73 2014.03.20 |
川口氏「滅亡近し」。ものは取りよう。暗号、同じような作品が無いようである。諸家に求めた批評。探偵趣味か探偵小説趣味か探偵小説趣味か全部白紙の雑誌。 |
( 新青年 1926.03. ) 『本田緒生探偵小説選1』 論創社・論創ミステリ叢書73 2014.03.20 |
新青年新年号の「恋愛曲線」小酒井不木は日本探偵小説界の誇り、「予審調書」甲賀三郎はうまい。 |
( 探偵趣味 1926.05. ) 『本田緒生探偵小説選1』 論創社・論創ミステリ叢書73 2014.03.20 |
日本少年を振り出しに当初。第一の処女作は「呪われた真珠」。第二は「蒔かれし種」で勧められ懸賞応募になった。江戸川乱歩と小酒井不木と知り合う。第一の頃の野心は純文芸だったが今では考えが変わっている。 |
( 探偵趣味 1926.05. ) 『本田緒生探偵小説選1』 論創社・論創ミステリ叢書73 2014.03.20 |
締切間際の原稿到着。新顔の原稿。国枝史郎の創作。甲賀三郎の創作。依頼と到着原稿。編輯当番の責任、努力。 |
( 探偵趣味 1926.11. ) 『本田緒生探偵小説選1』 論創社・論創ミステリ叢書73 2014.03.20 |
「木馬は廻る」うまいが探偵趣味の巻頭とは。 |
( 新青年 1926.12. ) 『本田緒生探偵小説選1』 論創社・論創ミステリ叢書73 2014.03.20 |
「恋愛曲線」小酒井不木、「監獄部屋」羽志主水、「キャン・シャック・バー」横溝正史、「毒死」松本泰、「鏡地獄」江戸川乱歩。 |
( 探偵趣味 1926.12. ) 『本田緒生探偵小説選1』 論創社・論創ミステリ叢書73 2014.03.20 |
自作では「美の誘惑」が好ましい、「街角の文字」が嫌い。心理描写に終始する面白くないものを書いてみたい。 |
( 探偵趣味 1927.01. ) 『本田緒生探偵小説選1』 論創社・論創ミステリ叢書73 2014.03.20 |
父宛の脅迫状を受け取ったことがある。義列団から硝子ペンで金を要求。難しい文字を使用。警察に届けたが現れず。後に捕まった。 |
( 探偵趣味 1927.03. ) 『本田緒生探偵小説選1』 論創社・論創ミステリ叢書73 2014.03.20 |
かぶろ/生粋/たこ/道心/古道具屋/画/虚空 |
( 探偵趣味 1927.04. ) 『本田緒生探偵小説選1』 論創社・論創ミステリ叢書73 2014.03.20 |
密夫/借店/草履取/首売/臆病/掛物 |
( 探偵趣味 1927.05. ) 『本田緒生探偵小説選1』 論創社・論創ミステリ叢書73 2014.03.20 |
最初に読んだのは「古城の秘密」、呉田博士。三十年後、怪奇小説として純文芸、ユーモア小説、本格物は講談雑誌の色取り。 |
( 探偵・映画 1927.10. ) 『本田緒生探偵小説選1』 論創社・論創ミステリ叢書73 2014.03.20 |
「偽紫田舎源氏」と浄瑠璃の「近江源氏先陣館」とシェークスピアと西鶴。エミール・ヤニングスの「曲芸団」。サンデー毎日の探偵小説号。剣劇の大写し。女流作家のふざけ過ぎているに対する回答の勇敢さ。 |
( 探偵趣味 1927.12. ) 『本田緒生探偵小説選1』 論創社・論創ミステリ叢書73 2014.03.20 |
自作は七篇で「夜桜お絹」が初髷物で嬉しい、自信作なし。緒生でなければという物を書きたい。 |
( 猟奇 1928.06. ) 『本田緒生探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書74 2014.04.20 |
人の集合場所の片隅。他人同志の話は興味深い。 |
( 猟奇 1928.10.〜12.,1929.02.,04.,10.,11.,1930.01.,05.,1931.04. ) 『本田緒生探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書74 2014.04.20 |
最近読んだもの、モルナアル「開かれぬ手紙」「暇乞い」。時代物、山下「時代作品と地理」に対する弁明、江戸を書こうとはしていない、想像した世に知れない男と女の物語を書いている、外国語を使っている。 告白、自作「謎」「無題」「蒔かれし種」のこと。自賛、面白くと芸術的の両立を理想として「蒔かれし種」の日記形式や山本君や「夜桜お絹」の凡人の性格と人間味を書いた。 「陰獣」、トリックなしで探偵小説はかけないものだろうか。柳家金語楼、桂春団治。スポーツ、野球と庭球。毒舌二三、国枝史郎の新連載と本格特集の十六編のこと。 浄瑠璃の話、古い趣味の持主でムダのない筋や不自然でも因果関係を結んで行くのも悪くない。髷物題材、題材はなく創作、有名な作を逆に書くのも手、最初は人名を用いないのも一方法。懐旧談、事実談と違い苦心談や失敗談などの懐旧談は面白い。 エロチック物流行、私には困る。春画、有名な昔の画家にも戯画があるらしい。パリの話、フォリー・ベルゲールの舞台面の写真帖のはだか女。見世物、天勝の趣向。ハルピンの話、はだかおどりと猥褻写真。猥本、文芸市場や魔窟物や和本。映画、エロチックな映画。春画附記、外国の春画は綺麗さを感じさせる。 怪談、泉鏡花と城昌幸と講談師の話と上田秋成と長谷川伸、グロテスクは江戸川乱歩と新青年掲載外国作家作品とポー。 閑話休題、文字は苦手と英語の話、写真機とラジオ、甲子園と庭球とゴルフ、麻雀。 閑話休題、酒はどちらかといえば嫌い、京都の洋食、乱歩の好み、大阪の食堂、名古屋の洋食とホテルと日本料理と支那料理。 脅迫状を受取った話、父の留守中に父宛の脅迫状が届いた時の話。 夢野久作の表現。浜尾四郎の放送小説。甲賀三郎の結びの文と綺麗な原稿。 |
( 猟奇 1929.02.,04.,05.,1930.01.,03.,05.,1931.09.,1932.01. ) |
略。 |
( 猟奇 1929.06.,07. ) 『本田緒生探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書74 2014.04.20 |
小酒井不木からのハガキ31通、手紙5通の紹介と補足コメント。ハガキ1通、手紙2通は小酒井不木全集12巻にも収録。 |
( 猟奇 1929.10. ) 『本田緒生探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書74 2014.04.20 |
朝日、内地入手可の外国煙草蒐集。独逸、英国、埃及煙草、カナダ、米国、マニラ煙草、フランス、支那、朝鮮。 |
( 猟奇 1929.11. ) 『本田緒生探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書74 2014.04.20 |
初トーキーでラジオを聞きながら映画を見ている感じで内容も意外性がない。 |
( 猟奇 1931.04. ) 『本田緒生探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書74 2014.04.20 |
4月馬鹿号を送り出す。 |
( 猟奇 1931.06.,12. ) 『本田緒生探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書74 2014.04.20 |
上海旅行、先入観が猟奇的、タクシー乗車、大洋と小洋との貨幣制度、贋銀貨、釣り銭、払い方、値切り、偽物、不要、女性、摩鏡、競犬、人力車と支払い、二つの上海語。日本料亭、日本芸者、日本租界、汽車、支那文字、杭州、広告地図、物価、関税、エロ本、摩鏡を見に行った連中の話、ダンスホールへ行った男の話。 |
( ぷろふいる 1935.12. ) 『本田緒生探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書74 2014.04.20 |
新人作家には純文芸の有名作を、読者にはルパンなどを読んで欲しい。最近の三面記事ではタクシーに大金を忘れ密輸事件がバレた話に興味を感じた。 |
( 探偵春秋 1937.01. ) 『本田緒生探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書74 2014.04.20 |
傑作として木々高太郎作品に注意している。木々氏の探偵小説芸術論。本年の希望は既成作家の活躍と新人なら小栗、木々級の発見。 |
( 新探偵小説 1947.06. ) 『本田緒生探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書74 2014.04.20 |
送付のお礼など。 |
( 新探偵小説 1947.10. ) 『江戸川乱歩 日本探偵小説事典』新保博久編、山前譲編 河出書房新社 1996.10.25 『本田緒生探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書74 2014.04.20 |
小酒井不木、江戸川乱歩、国枝史郎、川口松太郎との会合と不木全集の写真。戦災で尽く焼失。最近の探偵小説にはつまらなさに嫌気。新趣味、探偵趣味、猟奇。井上良夫の博学に圧倒。大阪圭吉らとの会合。創作探偵小説集に一つで改造社の全集は収録されず。力なく二の足を踏む、書こうか書くまいか。現在の探偵小説はこのままで良いかどうか。 |
( 芸術・写真研究 1922.xx.〜12.? ) |
( 写真新報 1924.07. )(国DC※) |
( 写真新報 1924.09. )(国DC※) |
( 写真新報 1934.11. )(国DC※) |
( アサヒカメラ 1933.12.,1934.06.,1935.06.,1936.02.,07.,1937.04. ) |
( ガレリー 1939.04.〜11. )(国DC※) |
入口へ ← 著者別リストへ ← 先頭へ |
|