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小酒井不木 作品(メモ版)

Since: 2022.10.25
Last Update: 2024.01.21
略年譜 - (探偵)小説 - 翻訳 - 随筆 - 著書
注)このページの大部分は、もる氏の「奈落の井戸」をベースにしています。
小説再録はWeb閲覧可能なもの(の底本)、入手または図書館貸出が容易なもの、文庫、所持本(割愛あり)として網羅してはいません。
「ジェンナー伝」「餅二題」「麻酔薬の発見」「国際射的大競技」「国際数学大競技」「秘蔵の皿」は随筆・紹介読物扱いとしています。
「蜀江の錦」「紅はこべ」「緑柱石の宝冠」は翻案扱いとしています。
随筆は探偵雑誌掲載作、書籍収録作を主とし、多くは割愛しています。
著書は小説関係以外、特に医学書の細目は省略しています。
より詳細・正確な情報はもる氏のサイト「奈落の井戸」をご覧ください。

      小酒井不木(こさかいふぼく)略年譜

    1890.10.08(明治23年)  愛知県蟹江にて生まれる。本名は小酒井光次
    1914.12.  東京帝大医学部卒業、大学院に入る
    1915.06.  『生命神秘論』を刊行
    1920.11.  留学生として三年間を米英仏に滞在し帰朝
    1921.09.  東京日日新聞掲載の『学者気質』が森下雨村の注目を引く
    1923.01.〜  『スミルノ博士の日記』を鳥井零水訳として新青年に連載
    1924.12.〜  「紅色ダイヤ」を子供の科学に掲載、以降少年科学探偵シリーズを書き継ぐ
    1925.04.  「呪われの家」を女性に掲載
    1926.01.  「人工心臓」を大衆文芸に掲載
    1926.08.  『闘病術』を刊行
    1927.01.〜  『疑問の黒枠』を新青年に連載
    1929.04.01(昭和4年)  死去
    1929.05.〜  『小酒井不木全集』を改造社より刊行、増巻を重ね最終的に17巻となる

    筆名は、小酒井不木、小酒井光次、不木生、不木軒主人、鳥井零水

      (国DC)は国立国会図書館デジタルコレクションでインターネット公開されています
      (国DC※)は国立国会図書館デジタルコレクション個人送信(ログイン必要)で公開されています(今後非公開になる可能性もあります)
      (早稲田)は 早稲田大学 の「古典籍総合データベース」でインターネット公開されています
      (青空)は青空文庫でインターネット公開されています
      (奈落)は もる氏 の「奈落の井戸 小酒井不木研究サイト」でインターネット公開されています
      (蟹江)は 蟹江町 の「蟹江文庫」で現代語訳がインターネット公開されています(底本不明なので初出に仮記載)



      探偵小説など(犯罪実話読物は除く)

  1. 「あら浪」不木生
    ( 京都日出新聞 1911.03.04〜05.23 )(奈落)
     須磨警察署へ行李が届いた。中は男の死体だった。塩原では藤枝勝清と雪子夫婦と下女のお清が来ていた。自殺しようとしていた新井芳江を勝清が救うが東京に戻って二人は関係が深くなっていく。京城では井上時雄と大村が死体は花ちやんと本土に行った近藤に似ていると話していた。時雄は叔父井上諦覚に出会う。雪子は妊娠し、勝清もついには芳江と別れる決心をするが、芳江は……。
     殺人事件は起こるが、ほぼ通俗家庭小説。序盤は男の優柔不断さ、中盤以降は旧弊な女性像と再会劇、それに悪女要素と因縁話。医科学的比喩など部分的に面白いところもある。また、最後の家を断つというのは斬新な気がする。
  2. 「紅色ダイヤ」 (「名探偵俊夫君登場」)[塚原俊夫]
    ( 子供の科学 1924.12.〜1925.02. )(奈落)
    ( 『少年科学探偵』 文苑閣 1926.12.13 )(国DC)
    『小酒井不木集』 平凡社・現代大衆文学全集7 1928.03.01
    『小酒井不木全集9探偵小説中篇集』 改造社 1930.01.28 (国DC※)
    ( 『少年科学探偵』 春陽堂少年文庫(152) 1932.12.25 )
    ( 『少年探偵 紅色ダイヤ』 世界社 1948.06.10 )(国DC)
    ( 『少年少女世界の名作文学48 日本編4』浜田広介編 小学館 1967.01.20 )(国DC※)
    ( 『少年探偵小説集』中島河太郎編 三一書房・少年小説大系7 1986.06.30 )
    『小酒井不木探偵小説選』 論創社・論創ミステリ叢書8 2004.07.25 (青空)
    『少年科学探偵』 真珠書院パール文庫 2013.08.10
     塚原俊夫君は十二歳だが賢い少年科学探偵です。私大野は柔道三段で助手です。俊雄君のところに窃盗予告の手紙がきました。不完全ですが指紋が残っています。叔父さんからは紅色ダイヤが盗まれたと電話がありました。残されていた新聞紙には暗号が。新聞紙は今朝のものでした。俊雄君は暗号を解き、宝石を見付け、犯人を呼び出したようです。
     少年探偵の活躍譚。智恵比べにはヒント伏線が弱い。
  3. 「画家の罪?」
    ( 苦楽 1925.03. )
    幻影城 1975.02.
    『叢書新青年 小酒井不木』 博文館新社 1994.04.25
    『小酒井不木探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書109 2017.11.30
     名探偵サブロー・ゴトーのドイツのドレスデンでの事件。ゴル男爵がホテルの居間でピストルで殺された。新婚の画家レヒネルは当初否認したものの犯行を認める。裁判での秘書のヘルビングの証言、ゴル夫人の証言で現レヒネルの妻リンダとエヂス・ベルゲルとゴル夫妻が旅行中に宝石のついた前髪飾りが盗まれた事件が起こていた。リンダが宝石商に売ったという……。
     翻案探偵読物。裁判以前に判明しそうで名探偵譚とは思えない。あらすじのようにも思える。
  4. 「暗夜の格闘」 [塚原俊夫]
    ( 子供の科学 1925.03.〜05. )
    ( 『少年科学探偵』 文苑閣 1926.12.13 )(国DC)
    『小酒井不木集』 平凡社・現代大衆文学全集7 1928.03.01
    『小酒井不木全集9探偵小説中篇集』 改造社 1930.01.28 (国DC※)
    ( 『少年科学探偵』 春陽堂少年文庫(152) 1932.12.25 )
    ( 『少年探偵 紅色ダイヤ』 世界社 1948.06.10 )(国DC)
    ( 『少年少女世界の名作文学48 日本編4』浜田広介編 小学館 1967.01.20 )(国DC※)
    ( 『少年探偵小説集』中島河太郎編 三一書房・少年小説大系7 1986.06.30 )
    『小酒井不木探偵小説選』 論創社・論創ミステリ叢書8 2004.07.25 (青空)
    『少年科学探偵』 真珠書院パール文庫 2013.08.10
     木村英吉の奥さんが来て工場に泥棒が入って津村伯爵家から彫刻の依頼のあった白金の塊を盗まれたという。竹内さんは窓が割られいやな匂いの風が吹いてきて気を失ったという。俊夫君は岡島先生に木村さんと竹内さんの体をエックス線で調べてもらいますが白金は見つかりませんでした。俊夫君はおばさんから住所を聞くと私に警視庁のPのおじさんこと小田刑事あての手紙を託し工場へ……。
     少年探偵の活躍譚。犯人が誰というより白金の行方が主の話。
  5. 「呪われの家」 (「呪はれの家」)[霧原警部]
    ( 女性 1925.04. )(国DC※)
    『創作探偵小説選集 一九二五年版』探偵趣味の会編 春陽堂書店 1926.03.20/復刻版 1994.04.10 (国DC※)
    ( 『恋愛曲線』 春陽堂・創作探偵小説集 1926.11.13/復刻版 1999.07.20 )
    『小酒井不木集』 平凡社・現代大衆文学全集7 1928.03.01
    『小酒井不木全集3探偵小説短篇集』 改造社 1929.05.25 (国DC※)
    ( 『明治大正文学全集56 江戸川乱歩・大下宇陀児・甲賀三郎・小酒井不木篇』 春陽堂 1931.08.15 )(国DC※)
    ( 『恋愛曲線』 日本小説文庫(219) 1932.12.15 )(国DC)
    ( 『展望塔の死美人』 日本小説文庫(416) 1936.10.30 )
    ( 『短篇集 城昌幸・小酒井不木篇』 春陽堂・日本探偵小説全集13 1954.05.30 )
    別冊幻影城『小酒井不木』 1978.03.
    『怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 恋愛曲線』日下三蔵編 ちくま文庫(か-35-06) 2002.02.06 (青空)
    『小酒井不木探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書109 2017.11.30
     霧原庄三郎警部の特等訊問法。女性が殺されツノダの文字が。現場付近で平岡貞蔵が叫び声を聞いた警官に連行されていた。平岡は園田こと鬼頭清吾と同居していた。朝井刑事はツノダと書かれた桜紙を見付ける。霧原警部は平岡と鬼頭を面談させ、さらに特等訊問法で……。
     いかに急所を突く尋問をし解決するかという話。身元不明の被害者の当て推量は賭けでしかないが。
  6. 「百」
    ( 医学及医政 1925.05. )
  7. 「胃の中の小刀」 (「一疋の蚤」「一匹の蚤」)
    ( キング 1925.06. )(蟹江)
    ( 『稀有の犯罪』 大日本雄弁会 1927.06.18 )(国DC)再版
    『小酒井不木全集13探偵小説短篇集』 改造社 1930.06.15 (国DC※)
    ( 『闘争』 春秋社 1935.10.05 )
    『叢書新青年 小酒井不木』 博文館新社 1994.04.25
     医学博士山村勉と助手岡田実。刑事島崎朗三は隅田川からあがった死体の鑑定を依頼した。顔の皮膚がむけていた。血を吸った蚤がいた。衣服に象の毛があった。解剖すると胃の中に小刀があり動脈を傷つけていたのが死因だった。大正曲馬団の象使い松花、小刀呑みの松刀、猿使いの松猿がいなくなっていて団長山楼斎松月は松刀と松猿は双子で顔の黒子で見分けられるというが……。
     鑑識の結果から事件の真相を明らかにしていく話。手がかりを得ていく過程はさすがに上手い。双子ネタや性格の違いや筆跡など都合の良い設定にしているところはあるが。
  8. 「髭の謎」 (「ひげの謎」)[塚原俊夫]
    ( 子供の科学 1925.06.〜08. )
    ( 『少年科学探偵』 文苑閣 1926.12.13 )(国DC)
    『小酒井不木集』 平凡社・現代大衆文学全集7 1928.03.01
    『小酒井不木全集9探偵小説中篇集』 改造社 1930.01.28 (国DC※)
    ( 『少年科学探偵』 春陽堂少年文庫(152) 1932.12.25 )
    ( 『少年探偵 紅色ダイヤ』 世界社 1948.06.10 )(国DC)
    ( 『少年探偵小説集』中島河太郎編 三一書房・少年小説大系7 1986.06.30 )
    『小酒井不木探偵小説選』 論創社・論創ミステリ叢書8 2004.07.25 (青空)
    『少年科学探偵』 真珠書院パール文庫 2013.08.10
     遠藤雪子さんが探偵して欲しいと訪ねてきました。兄信清さんは昨日父に呼ばれて帰宅し、翌朝父が首を絞められ殺されてているのが発見されて警察に連れていかれました。俊夫君は小田刑事に死骸を見せてもらいます。髭と爪の毛を採取して遠藤博士邸へ行き顕微鏡でみると蝙蝠の毛でした。博士の発明の発見、助手の斎藤さんや雪子さんに聞いて、私には電話のところで……。
     少年科学探偵の活躍。俊夫君の知識に脱帽。思わせぶりな行動でかなり推測可能か。
  9. 「通夜の人々」 [野々口雄三]
    ( 苦楽 1925.07. )(蟹江)
    『小酒井不木集』 平凡社・現代大衆文学全集7 1928.03.01
    『小酒井不木全集3探偵小説短篇集』 改造社 1929.05.25 (国DC※)
    ( 『展望塔の死美人』 日本小説文庫(416) 1936.10.30 )
    『小酒井不木探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書109 2017.11.30
     私立探偵野々口雄三は吉田吾平の依頼で調査する。蟹江町で女学校入試に不合格で母親が自殺、三人斬り事件と立て続けに事件が起きていた。吾平の娘で英三郎の妻とみ、長男太郎、とみの祖母さいが殺され、とみは臨終の際に犯人は亭主だと言ったというが英三郎は雇人酒井と牛乳配達をしていた。太郎の持っていた五円紙幣、通夜に来た人々に野々口は犯罪探偵の話をして……。
     迷宮事件を元に空想を加え解決させた作品。探偵が解決する前に事件は解決される。残された謎や、田舎の事件対応などを揶揄するところもあり面白い。その為に生誕地を舞台にしたのかもしれない。
  10. 「謎の咬傷」 [霧原警部]
    ( 女性 1925.07. )(国DC※)
    ( 『恋愛曲線』 春陽堂・創作探偵小説集 1926.11.13/復刻版 1999.07.20 )
    『小酒井不木集』 平凡社・現代大衆文学全集7 1928.03.01
    ( 『小酒井不木集』 改造社・日本探偵小説全集1 1930.03.20 )(国DC)
    『小酒井不木全集14探偵小説集』 改造社 1930.07.15 (国DC※)
    ( 『明治大正文学全集56 江戸川乱歩・大下宇陀児・甲賀三郎・小酒井不木篇』 春陽堂 1931.08.15 )(国DC※)
    ( 『大雷雨夜の殺人』 日本小説文庫(415) 1936.11.05 )
    『大雷雨夜の殺人 他8編』 春陽文庫(C98-01) 1995.02.25
    『怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 恋愛曲線』日下三蔵編 ちくま文庫(か-35-06) 2002.02.06 (青空)
    『小酒井不木探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書109 2017.11.30
     貴金属商大原伝蔵が咽喉笛に咬みつかれて殺されていた事件で霧原警部は朝井刑事、水野刑事、警察医で大原邸に赴いた。手にはタニムラと刺繍された手巾があった。金庫の中の手箱には髢一房、皮手袋、櫛があった。大原は店員中島せい子と店を出たという。せい子、出入りしていた細工師谷村三造に霧原警部は特等訊問をしていき……。
     特に訊問によって解決したという印象はなく、見つかった物証を調べて解決しただけの印象しかない。変態性欲との事だがあいまいでよくわからない。
  11. 「心臓の呵責」 (「心臟の苛責」)
    ( 文芸日本 1925.07. )(蟹江)
    ( 『恋愛曲線』 春陽堂・創作探偵小説集 1926.11.13/復刻版 1999.07.20 )
     なぜ女を殺して自首したか。短刀で右の乳房の下を刺し殺した夜、右の胸でどきん、どきんという音が……。
     気付いていないのは無理がありそう。医者らしい着想。
  12. 「アイロニー」
    ( 医文学 1925.08. )(奈落)
     ボストンからニューヨークに広まったスペイン風邪。友人のドクター杉村が罹ったのを見舞っていた花田が罹った。ボストンから戻った平尾に見舞われることに。留学生村山が死んだという。留学生会幹事である花田は楽天家の中島に村山のことを依頼し、彼は国元へ知らせたことと葬儀の様子を語った。花田が回復にむかうなか……。
     一般小説。罹る罹らない、重症か軽症か、皮肉にもという話だろうか。異国での孤独と連帯を感じさせる作品ではある。
  13. 「犬神」
    ( 講談倶楽部 1925.08. )
    ( 『稀有の犯罪』 大日本雄弁会 1927.06.18 )(国DC)再版
    『小酒井不木全集13探偵小説短篇集』 改造社 1930.06.15 (国DC※)
    ( 『闘争』 春秋社 1935.10.05 )
    『人工心臓』 国書刊行会・探偵クラブ 1994.09.20
    『怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 恋愛曲線』日下三蔵編 ちくま文庫(か-35-06) 2002.02.06 (青空)
     私は犬神の家に生まれた。犬神の家の者は犬神の家の者と結婚しなければ非業の死をとげるなど迷信があった。自由な生活を求め家宝の「金毘羅大神」の額を持って上京した。私が犬に噛まれた時に同棲していた露木はるは血を吸って治そうとする。彼女は妊娠したのか犬のように灰や泥を舐めるようになった。犬神の祟なのか……。
     内容は怪奇小説でもあるが文体とオチはコントのような作品。医師の発見が何だったか気になる。
  14. 「按摩」
    ( 新青年増刊 1925.08. )
    ( 『恋愛曲線』 春陽堂・創作探偵小説集 1926.11.13/復刻版 1999.07.20 )
    『小酒井不木全集3探偵小説短篇集』 改造社 1929.05.25 (国DC※)
    ( 『小酒井不木傑作選集』 博文館・新青年叢書3 1929.06.18 )
    『怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 恋愛曲線』日下三蔵編 ちくま文庫(か-35-06) 2002.02.06 (青空)
    『森下雨村 小酒井不木 ミステリー・レガシー』ミステリー文学資料館編 光文社文庫(み-19-53) 2019.05.20
     ニコチン中毒の旦那に按摩が言う、眼をつぶすに限ると。恋敵を殺した時に血が目に入り、病院で洗っても痛みがとまらない。モリヒネで治ったが殺害時刻になるとまた痛み出す。右目が失明、モルヒネが体内に入る感覚が恋しくなり別の場所に注射、ついには左眼にも……。
     死んだ人の恨みか、というコント風作品。オチは上手く繋げている。
  15. 「虚実の証拠」
    ( 新青年増刊 1925.08. )
    ( 『恋愛曲線』 春陽堂・創作探偵小説集 1926.11.13/復刻版 1999.07.20 )
    『小酒井不木全集3探偵小説短篇集』 改造社 1929.05.25 (国DC※)
    ( 『小酒井不木傑作選集』 博文館・新青年叢書3 1929.06.18 )
    『森下雨村 小酒井不木 ミステリー・レガシー』ミステリー文学資料館編 光文社文庫(み-19-53) 2019.05.20
     虚の証拠、判事が大藤みよから年のことで……。実の証拠、大野君を殺した容疑の男にチョークのことで……。
     判事が供述を導きだす例二題。前者は引っ掛けだが後者は後出し。
  16. 「研究室」
    ( 医文学 1925.09. )(奈落)(国DC※)
     ロンドン私費留学生の吉野君は思うような研究成果が出せていなかった。金森君は順調そうだ。この苦しい思を分とう。吉野君は細工をするが悔恨し……。
     一般小説だが広義的に探偵小説に含めて良いかも。オチはなかなか愉快。
  17. 「ふたりの犯人」 [野々口雄三]
    ( 苦楽 1925.09. )(蟹江)
    『小酒井不木集』 平凡社・現代大衆文学全集7 1928.03.01
    ( 『小酒井不木集』 春陽堂・探偵小説全集2 1929.10.08 )(国DC)
    『小酒井不木全集16探偵小説短篇集』 改造社 1930.09.15 (国DC※)
    『小酒井不木探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書109 2017.11.30
     鳴海二婦人殺しを扱っている武藤予審判事が私立探偵野々口雄三を訪れた。会社社長富田氏方の離れで女中川上うたと留守居に来ていた佃房枝が殺されていて、房枝は凌辱され財布も失われていた。社員小田鶴三が自白したが予審で翻していた。北尾八太郎は窃盗に入り殺したと自白していた。武藤判事は調書の一部が盗まれたとの事で川田予審判事と給仕佐藤少年に可能性があるという。野々口は料亭吉野家の芳香などに聞いて……。
     どちらが犯人かで派生する問題が主となっている。共に思いつきからほぼ自白に依って明かされる。
  18. 「遺伝」
    ( 新青年 1925.09. )(奈落)
    ( 『恋愛曲線』 春陽堂・創作探偵小説集 1926.11.13/復刻版 1999.07.20 )
    『小酒井不木集』 平凡社・現代大衆文学全集7 1928.03.01
    『小酒井不木全集3探偵小説短篇集』 改造社 1929.05.25 (国DC※)
    ( 『小酒井不木傑作選集』 博文館・新青年叢書3 1929.06.18 )
    ( 『闘争』 春秋社 1935.10.05 )
    探偵実話増刊 1956.07.
    『怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 恋愛曲線』日下三蔵編 ちくま文庫(か-35-06) 2002.02.06 (青空)
     K博士が刑法学者になったのは、花魁初花の父が殺され母が初花を生んで百日後に殺されたという身の上話を聞いて、犯人を探し出そうとしたときから。犯人は……。
     法律に関するトリック的な話。旧刑法とのことだが改正後は調査していないのでよくわからない。
  19. 「指紋研究家」
    ( 苦楽 1925.10. )(蟹江)
    ( 『小酒井不木集』 改造社・日本探偵小説全集1 1930.03.20 )(国DC)
    『小酒井不木全集14探偵小説集』 改造社 1930.07.15 (国DC※)
    ( 『展望塔の死美人』 日本小説文庫(416) 1936.10.30 )
     小山道也は夫人冬子を殺害したとして検事松井重雄に告発され弁護士秋田恒三によって証拠不十分で釈放された。三人は友人だったが小山は松井夫人といた為に現場不在証明を明かさなかった。指紋研究家という男が無くなっていた凶器の短刀と結婚指輪を持って現われた。短刀の二人の指紋、一つは小山夫人でもう一つは……。
     指紋などによって真相が判明していく話。顏違いはなるほどと思うが、偶然によって真相を不明にしたのを改めて明らかにしただけのような。
  20. 「烏を飼ふ女」 (「烏を飼う女」)
    ( 講談倶楽部 1925.10. )(蟹江)
    ( 『小酒井不木集』 春陽堂・探偵小説全集2 1929.10.08 )(国DC)
    『小酒井不木全集17探偵小説中篇集』 改造社 1930.10.10 (国DC※)
    ( 『大雷雨夜の殺人』 日本小説文庫(415) 1936.11.05 )
    『大雷雨夜の殺人 他8編』 春陽文庫(C98-01) 1995.02.25
     紳士盗賊のわたしは同棲者を殺し、第二の同棲者に白状させられたかを記す。彼女は謎の通信をしていて嫉妬に狂ったわたしは殺して秘密室に葬った。頸部を刺されて死んだ古田男爵開設の舞踏場で女と知り合い同棲する事になった。条件は烏を飼うこと。二日置きの烏の鳴き声と夢にうなされ寝言を言う彼女。告白は……。
     どのように告白させられたかという話。飼われた烏の習性はよくわからない。第二の同棲者と紳士盗賊、ともに個人的イメージとやや異なるところがあり展開が面白い。
  21. 「頭葢骨の秘密」 [塚原俊夫]
    ( 子供の科学 1925.10.〜12. )
    ( 『少年科学探偵』 文苑閣 1926.12.13 )(国DC)
    『小酒井不木集』 平凡社・現代大衆文学全集7 1928.03.01
    『小酒井不木全集9探偵小説中篇集』 改造社 1930.01.28 (国DC※)
    ( 『少年科学探偵』 春陽堂少年文庫(152) 1932.12.25 )
    ( 『少年探偵 紅色ダイヤ』 世界社 1948.06.10 )(国DC)
    ( 『少年探偵小説集』中島河太郎編 三一書房・少年小説大系7 1986.06.30 )
    『小酒井不木探偵小説選』 論創社・論創ミステリ叢書8 2004.07.25 (青空)
    『少年科学探偵』 真珠書院パール文庫 2013.08.10
     小田刑事の従兄妹ふさが継子の草野富三を殺したと白状したとのことで俊夫君に捜査の依頼に来ました。富三と津田栄吉は小学六年の時に五十円を持って家出し、富三の服を着た白骨死体が発見されたのです。F町へ行って服を調べ、栄吉の母に会い、そして頭蓋骨に肉付けをすると発表しました。その結果……。
     少年科学探偵の活躍。当時肉付けがどの程度できたかわからないが、着目点は別のところなので問題はない。しかし継母と実母の子に対する教育などよくわからない。
  22. 「手術」
    ( 新青年 1925.10. )(奈落)
    ( 『恋愛曲線』 春陽堂・創作探偵小説集 1926.11.13/復刻版 1999.07.20 )
    『小酒井不木集』 平凡社・現代大衆文学全集7 1928.03.01
    『小酒井不木全集3探偵小説短篇集』 改造社 1929.05.25 (国DC※)
    ( 『小酒井不木傑作選集』 博文館・新青年叢書3 1929.06.18 )
    ( 『小酒井不木集』 春陽堂・探偵小説全集2 1929.10.08 )(国DC)
    ( 『闘争』 春秋社 1935.10.05 )
    ( 『現代怪奇小説集3』中島河太郎編、紀田順一郎編 立風書房 1974.09.10 )
    『現代怪奇小説集(上)』中島河太郎編、紀田順一郎編 立風書房 1977.04.15/1981.12.
    ( 『現代怪奇小説集』中島河太郎編、紀田順一郎編 立風書房 1988.07.10 )(青空)
    『怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 恋愛曲線』日下三蔵編 ちくま文庫(か-35-06) 2002.02.06
     探偵趣味の会の例会で人間の共食いの話題となった。元看護婦のC子の話。産婦人科T先生が子宮摘出手術をしたが摘出したのは……。
     怪奇小説。一時的な異常心理ではなかったのか、見た物が何か、はっきりしないのが不気味ではある。
  23. 「いたづら蟹」
    ( 講談倶楽部 1925.11. )(蟹江)
    ( 『小酒井不木集』 改造社・日本探偵小説全集1 1930.03.20 )(国DC)
    『小酒井不木全集14探偵小説集』 改造社 1930.07.15 (国DC※)
     萬年青(おもと)屋敷の萬年青の芽が切り捨てられていく。弥助爺は蟹が犯人と想像した。蟹が出るのは不吉な前兆との伝説がある。十七年前、貞一が泡を吹く癲癇もちとなり新妻富子が離縁され、貞一も死亡し後見人だった叔父妻戸清七と広子夫婦が現在の主人となっていた。法要の時に現れた蟹、広子は足の甲をはさまれ敗血症で回復が難しくなる。小間使いお里は逃げる蟹を見ていたた。やがて広子は……。
     怪談と犯罪読物の混交か。さすがに瓶は想像できない。犯行時期と動機も今ひとつ納得できないところがある。
  24. 「跳ね出す死人」
    ( キング 1925.12. )(蟹江)
    ( 『稀有の犯罪』 大日本雄弁会 1927.06.18 )(国DC)再版
    『小酒井不木全集13探偵小説短篇集』 改造社 1930.06.15 (国DC※)
    『叢書新青年 小酒井不木』 博文館新社 1994.04.25
     津田雪子には工科大学生種村静也という恋人がいたが、父仙造は旧友の山本才吉との結婚を強要していた。津田邸の山本が紹介した我儘な女中お豊、雪子に懸想するその兄留吉、雪子の弟清。種村は山本の家を訪れて口論し、書生久米がウイスキーを買いに行って戻るとラケットで撲殺されていたという。佐谷警部らの現場調査後、刑事が眠らされて死体が消失した。物置、行李の跡。容疑者の種村は下宿にも帰らず……。
     誰がどのように活躍するかという話か。死体消失の理由などははっきりしない。
  25. 「硬骨漢」
    ( 苦楽 1925.12. )
    ( 『小酒井不木集』 春陽堂・探偵小説全集2 1929.10.08 )(国DC)
    『小酒井不木全集16探偵小説短篇集』 改造社 1930.09.15 (国DC※)
     中学の英語教師の私の知人で県会議員近藤の頼みで、落第しそうな息子の代数と歴史の増点をしてもらうように頼まれた。代数の教師大野は硬骨漢で承知してくれない。校長に頼み込むと……。
     理由は明示されていない。全く同じでなければならないということだろうか。
  26. 「難題」
    ( 女性 1925.12. )(国DC※)(蟹江)
    ( 『恋愛曲線』 春陽堂・創作探偵小説集 1926.11.13/復刻版 1999.07.20 )
    『小酒井不木集』 平凡社・現代大衆文学全集7 1928.03.01
    『小酒井不木全集3探偵小説短篇集』 改造社 1929.05.25 (国DC※)
     内科医の私のところに妊娠三ヶ月という夫人が手術を願ってきた。因縁話をするが翻さず、私は小児科医Rを紹介する。胎児の人工養成……。
     オチに意外性があって面白い。意外性を感じない人はそれほどではないだろうが個人的には佳作。
  27. 「痴人の復讐」
    ( 新青年 1925.12. )
    ( 『恋愛曲線』 春陽堂・創作探偵小説集 1926.11.13/復刻版 1999.07.20 )
    『小酒井不木集』 平凡社・現代大衆文学全集7 1928.03.01
    『小酒井不木全集3探偵小説短篇集』 改造社 1929.05.25 (国DC※)
    ( 『小酒井不木傑作選集』 博文館・新青年叢書3 1929.06.18 )
    ( 『小酒井不木集』 改造社・日本探偵小説全集1 1930.03.20 )(国DC)
    ( 『恋愛曲線』 日本小説文庫(219) 1932.12.15 )(国DC)
    ( 『闘争』 春秋社 1935.10.05 )
    『ひとりで夜読むな 新青年傑作集4・怪奇編』中島河太郎編 角川文庫(緑434-04) 1977.10.15
    『日本探偵小説全集1 黒岩涙香・小酒井不木・甲賀三郎集』 創元推理文庫(400/Mん-01) 1984.12.21 (青空)
    『奇想の森 ミステリーの愉しみ1』鮎川哲也編、島田荘司編 立風書房 1991.12.20
    ( 『日本ミステリーの一世紀(上)』長谷部史親編 廣済堂出版 1995.05.15 )
    ( 『ひとりで夜読むな 新青年傑作選怪奇編』 角川ホラー文庫(H800-01) 2001.01.10 )
    『怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 恋愛曲線』日下三蔵編 ちくま文庫(か-35-06) 2002.02.06
     殺人倶楽部の例会で自殺するようにするには腕次第ということでC眼科医は語る。眼科医教室でもS教諭に私は鈍いとかどじとか言われていました。女優が緑内障できて検査しているとのろいと言います。容態悪化でS教諭はまた私を責めます。右目の摘出手術を行うことになり、S教諭が手術します。繃帯を取ると……。
     痴人ではなく痴人の単純で効果的な復讐の話。余計な一言で医者も怖いという恐怖小説でもある。佳作。ただ、追及されれば直に発覚しそうなので倶楽部での創作話として。
  28. 「手紙の詭計」 [松島龍造]
    ( 苦楽 1926.01. )(蟹江)
    ( 『稀有の犯罪』 大日本雄弁会 1927.06.18 )(国DC)再版
    『小酒井不木全集13探偵小説短篇集』 改造社 1930.06.15 (国DC※)
    『小酒井不木探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書109 2017.11.30
     犯罪探偵に従事している松島龍造氏は宝石に纏る犯罪の話として、私に死んだ人間になったと言い出した。ロンドンから帰国し、生家の戸籍を見ると三年前に朝鮮で死んだ事になっていました。弟が付き添っていたとの事で会いにいきました。胸腺淋巴体質の弟の態度に反感をもち、旭信託保管会社から週二回の手紙が来るのをつきとめ社員となりました。金庫破りがあった時に手紙に詭計を用いて……。
     プロバビリティの犯罪の一種。都合が良すぎる部分もあるが詭計自体と背景は考えられている。
  29. 「暴風雨の夜」
    ( 講談倶楽部 1926.01. )
    ( 『恋愛曲線』 春陽堂・創作探偵小説集 1926.11.13/復刻版 1999.07.20 )
    『小酒井不木集』 平凡社・現代大衆文学全集7 1928.03.01
    『小酒井不木全集3探偵小説短篇集』 改造社 1929.05.25 (国DC※)
    ( 『明治大正文学全集56 江戸川乱歩・大下宇陀児・甲賀三郎・小酒井不木篇』 春陽堂 1931.08.15 )(国DC※)
    『怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 恋愛曲線』日下三蔵編 ちくま文庫(か-35-06) 2002.02.06 (青空)
    ( 『闇夜に怪を語れば 百物語ホラー傑作選』東雅夫編 角川ホラー文庫(H113-01) 2005.03.10 )
     十人が集っての百物語の故事にならった怪談会、一緒に寝たものが眼を醒ました時に異形の化け物になっていた話に花を咲かせていた。医師M氏は気絶するか発狂すると言い話始める。黴毒の男が診断に来て治療を待たず結婚した。養子となった加藤信之は妻友江に移す。女中の沢に言い寄る信之は妻を殺そうとしていた。暴風雨の夜、信之は友江が首を吊っていたが死体が無くなったという。眼をさました時……。
     怪談風の作品。動くか動かないか、認識するかしないかの違いは大きいと思う。それにしても冒険しすぎ。
  30. 「白痴の知恵」 (「白痴の智慧」)[塚原俊夫]
    ( 子供の科学 1926.01.〜03. )
    ( 『少年科学探偵』 文苑閣 1926.12.13 )(国DC)
    『小酒井不木集』 平凡社・現代大衆文学全集7 1928.03.01
    ( 『小酒井不木集』 改造社・日本探偵小説全集1 1930.03.20 )(国DC)
    『小酒井不木全集13探偵小説短篇集』 改造社 1930.06.15 (国DC※)
    ( 『少年科学探偵』 春陽堂少年文庫(152) 1932.12.25 )
    ( 『少年探偵 紅色ダイヤ』 世界社 1948.06.10 )(国DC)
    ( 『少年少女世界の名作文学48 日本編4』浜田広介編 小学館 1967.01.20 )(国DC※)
    ( 『少年探偵小説集』中島河太郎編 三一書房・少年小説大系7 1986.06.30 )
    『小酒井不木探偵小説選』 論創社・論創ミステリ叢書8 2004.07.25 (青空)
    『少年科学探偵』 真珠書院パール文庫 2013.08.10
     塚原俊夫君と私は東京郊外に釣りにきていた時、小田刑事と出会いました。三歳児にも劣る知恵で言葉も理解できんないが眼と鼻の鋭い山田留吉の母お豊さんが殺されていた事件の知恵を借りたいといいます。発見者は市さん、現場には信次郎さんの手拭が残されていました。しかし手拭は警察から盗まれていました。俊夫君は留吉を尋問するといい……。
     少年探偵の活躍。物的証拠がなく推定をもとに解決。追い詰める手法はさすがに科学的とはいえない。
  31. 「恋愛曲線」
    ( 新青年 1926.01. )
    ( 『恋愛曲線』 春陽堂・創作探偵小説集 1926.11.13/復刻版 1999.07.20 )
    『小酒井不木集』 平凡社・現代大衆文学全集7 1928.03.01
    『小酒井不木全集3探偵小説短篇集』 改造社 1929.05.25 (国DC※)
    ( 『小酒井不木傑作選集』 博文館・新青年叢書3 1929.06.18 )
    ( 『小酒井不木集』 春陽堂・探偵小説全集2 1929.10.08 )(国DC)
    ( 『明治大正文学全集56 江戸川乱歩・大下宇陀児・甲賀三郎・小酒井不木篇』 春陽堂 1931.08.15 )(国DC※)
    ( 『恋愛曲線』 日本小説文庫(219) 1932.12.15 )(国DC)
    ( 『日本探偵小説傑作集』江戸川乱歩選 春秋社・傑作探偵叢書 1935.09.22 )
    ( 『闘争』 春秋社 1935.10.05 )
    ( 『日本探偵小説傑作集』江戸川乱歩編 一号館書房 1948.02.30 )
    ( 『日本探偵小説傑作集2』江戸川乱歩編 新府書房 1948.11.25 )(国DC※)
    ( 『短篇集 城昌幸・小酒井不木篇 猟銃 他十九篇/恋愛曲線』 春陽堂・日本探偵小説全集13 1954.05.30 )
    ( 『現代推理小説全集』 角川書店・現代国民文学全集27 1958.06.30 )(国DC※)
    ( 『昭和前期集』 東都書房・日本推理小説大系6 1961.05.20 )(国DC※)
    ( 『日本のSF(短篇集)古典篇』 早川書房・世界SF全集34 1971.04.30 )
    別冊幻影城『小酒井不木』 1978.03.
    『日本探偵小説全集1 黒岩涙香・小酒井不木・甲賀三郎集』 創元推理文庫(400/Mん-01) 1984.12.21 (青空)
    『人工心臓』 国書刊行会・探偵クラブ 1994.09.20
    ( 『小酒井不木集』中島河太郎監修 リブリオ出版・くらしっくミステリーワールド6 1997.02.28 )
    『怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 恋愛曲線』日下三蔵編 ちくま文庫(か-35-06) 2002.02.06
    『魔の怪』志村有弘編 勉誠出版べんせいライブラリー・ミステリーセレクション 2002.11.15
    ( 『日本ミステリー名作集2』フロンティア文庫編 フロンティア文庫086 2005.05.31 )
    『恋は罪つくり 恋愛ミステリー傑作選』ミステリー文学資料館編 光文社文庫(み-19-22) 2005.07.20
    『森下雨村 小酒井不木 ミステリー・レガシー』ミステリー文学資料館編 光文社文庫(み-19-53) 2019.05.20
     A君への手紙。雪江との結婚に際して恋愛曲線を贈る。僕は金力の前に失恋の痛手を負った。温かい血が流れている科学者の僕はひたすら心臓の生理学研究に従事した。心臓は死んで間もなくであれば切り出してもロック氏液か血液を流し血清アルブミンか葡萄糖を与えると鼓動する。喜怒哀楽の時の血液を流し鼓動を曲線化する。失恋した女性と失恋した僕の血……。
     さも出来そうな説明と、何よりオチが良い。SF的空想的とは言い難いので、マイナスとマイナスでプラスとか、血液型とかサンプル数が少なすぎるとか、飛躍が甚だしく感じるがそれらを無視して話として傑作といえる。
  32. 「人工心臓」
    ( 大衆文芸 1926.01. )
    ( 『死の接吻』 聚英閣・探偵名作叢書1 1926.05.25 )
    『小酒井不木集』 平凡社・現代大衆文学全集7 1928.03.01
    ( 『小酒井不木集』 改造社・日本探偵小説全集1 1930.03.20 )(国DC)
    『小酒井不木全集13探偵小説短篇集』 改造社 1930.06.15 (国DC※)
    ( 『大雷雨夜の殺人』 日本小説文庫(415) 1936.11.05 )
    ( 『短篇集 城昌幸・小酒井不木篇 猟銃 他十九篇/恋愛曲線』 春陽堂・日本探偵小説全集13 1954.05.30 )
    『日本SF古典集成2』横田順彌編 早川文庫(JA096) 1977.07.31
    別冊幻影城『小酒井不木』 1978.03.
    『人工心臓』 国書刊行会・探偵クラブ 1994.09.20
    『大雷雨夜の殺人 他8編』 春陽文庫(C98-01) 1995.02.25
    ( 『小酒井不木集』中島河太郎監修 リブリオ出版・くらしっくミステリーワールド6 1997.02.28 )
    『懐かしい未来 甦る明治・大正・昭和の未来小説』長山靖生編 中央公論新社 2001.06.10
    『怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 恋愛曲線』日下三蔵編 ちくま文庫(か-35-06) 2002.02.06 (青空)
     わたし(生理学者A博士)が人工心臓の発明を思い立ったのは、講義で人工アメーバと人工心臓を聞いたときでした。生活現象は機械説と生気説が交互に優位にたっていた。心臓運動は筋肉説と神経拙があるが人工心臓になれば電気説になる。人工心臓になれば治る病気もある。人工心臓に肺機能をもたせ、肺は窒素固定の働きをすれば食物の節約にもなる。動物実験、そして肺結核になった妻……。
     SF作品。この時代にこの結末は素晴らしい。当時の状況でもあるが風刺へ転化しているという解釈も可能。
  33. 「外務大臣の死」 [松島龍造]
    ( 苦楽 1926.02. )
    ( 『稀有の犯罪』 大日本雄弁会 1927.06.18 )(国DC)再版
    『小酒井不木全集13探偵小説短篇集』 改造社 1930.06.15 (国DC※)
    『人工心臓』 国書刊行会・探偵クラブ 1994.09.20 (青空)
    『小酒井不木探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書109 2017.11.30
     松島龍造は故意に無頓着な殺人芸術家の犯行は至難な事件だという。D外務大臣官邸で晩餐会兼舞踏会が開催されたが激しい風雨で停電、首相、米国大使、i警視総監との雑談中にD外相が銃殺された。夫人からの依頼で再現実験する。松島龍造は事件の手抜かり、犯人の手抜かりがあるという。犯人そのものは見つけられないようだが……。
     逆転的発想の作品でおもしろくはあるが、身体検査や硝煙反応を調べられなかったのだろうか。要人とはいえ捜査の手抜かりが大きいように思う。
  34. 「三つの痣」
    ( 大衆文芸 1926.02. )(奈落)
    ( 『死の接吻』 聚英閣・探偵名作叢書1 1926.05.25 )
    『小酒井不木集』 平凡社・現代大衆文学全集7 1928.03.01
    『小酒井不木全集3探偵小説短篇集』 改造社 1929.05.25 (国DC※)
    ( 『展望塔の死美人』 日本小説文庫(416) 1936.10.30 )
    ( ルック・エンド・ヒヤー 1949.09. )(国DC※)
    別冊幻影城『小酒井不木』 1978.03.
    『怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 恋愛曲線』日下三蔵編 ちくま文庫(か-35-06) 2002.02.06 (青空)
     法医学者B氏は痣の由来を語る。死体にメスを、犯人を精神的に苦しめるのが愉快になっていた。真犯人にのみ苦痛を与え自白させる。死体を容疑者に見せて生理的変化を観察する。死体解剖を容疑者に見せる。死体の小腸を蠕動させて見せる。それでも何も言わない痣のある男がいた。解剖を進め……。
     不気味な描写の話。真犯人でなくても精神的苦痛はありそう。題名のオチの部分は良いとしても休止理由は良くわからない。
  35. 「段梯子の恐怖」
    ( 探偵趣味 1926.02. )
    『「探偵趣味」傑作選 幻の探偵雑誌2』ミステリー文学資料館編 光文社文庫(み-19-02) 2000.04.20 (青空)
     独身弁護士Fの話。女教師Sと妹の二人暮らし。校長の媒酌で青年とS家二階で見合い。階段を落ちた妹は、そして姉は、青年は……。
     掌編。あり得る話だが想像部分はまさか。せいぜい思わぬ結果ととりたい。
  36. 「肉腫」
    ( 新青年 1926.03. )(奈落)
    ( 『恋愛曲線』 春陽堂・創作探偵小説集 1926.11.13/復刻版 1999.07.20 )
    『小酒井不木集』 平凡社・現代大衆文学全集7 1928.03.01
    『小酒井不木全集3探偵小説短篇集』 改造社 1929.05.25 (国DC※)
    ( 『小酒井不木傑作選集』 博文館・新青年叢書3 1929.06.18 )
    ( 『小酒井不木集』 改造社・日本探偵小説全集1 1930.03.20 )(国DC)
    ( 『明治大正文学全集56 江戸川乱歩・大下宇陀児・甲賀三郎・小酒井不木篇』 春陽堂 1931.08.15 )(国DC※)
    ( 『闘争』 春秋社 1935.10.05 )
    『怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 恋愛曲線』日下三蔵編 ちくま文庫(か-35-06) 2002.02.06 (青空)
     右肩にできた悪性腫瘍を取って欲しい、復讐したいと男は私に言う。右手を取れば助かったが今となっては手遅れだ。そのままでも一月は持たないだろうと私は願い通り切断手術をした。手術後、男は今すぐ見せて欲しいと言う。見せると男は……。
     怪奇とまではいかない話。本懐を遂げたのか、遂げそこなったのか。復讐されたとも思えなく意図はよくわからない。
  37. 「催眠術戦」 [松島龍造]
    ( 苦楽 1926.04. )(蟹江)
    ( 『稀有の犯罪』 大日本雄弁会 1927.06.18 )(国DC)再版
    『小酒井不木全集13探偵小説短篇集』 改造社 1930.06.15 (国DC※)
    『小酒井不木探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書109 2017.11.30
     松島龍造は丙午生まれの迷信に関した事件を語る。田安健吉は叔父斎藤圭治と二人暮らしの斎藤百合子から婚約破棄を言われた。精神病院医院柘植が寄宿するようになってからだという。百合子に催眠術で理由を尋ねると亡き母が反対しているという。催眠術戦。その夜、事件が起こり……。
     催眠術戦部分は面白くはあるが、それほど有効であれば他に手段があっただろうと思う。誕生日は合わないような。
  38. 「名探偵」
    ( 女性 1926.04. )
    ( 『稀有の犯罪』 大日本雄弁会 1927.06.18 )(国DC)再版
    『小酒井不木全集13探偵小説短篇集』 改造社 1930.06.15 (国DC※)
     田西君は探偵小説が好きで勧められ私立探偵を始めた。空気を恋人にしている精神病の男。空の薬壜を持って行韻から出てきた男。直観による麻薬密売人。連想作用だ。加藤夫人からの宝石盗難事件の依頼。直観での怪しい書生。金庫、宝石、犯人……。
     風が吹けば式の連想が面白い作品。何でもアリだが発想の飛躍が良い。個人的には佳作。
  39. 「安死術」
    ( 新青年 1926.04. )(奈落)
    ( 『恋愛曲線』 春陽堂・創作探偵小説集 1926.11.13/復刻版 1999.07.20 )
    『小酒井不木集』 平凡社・現代大衆文学全集7 1928.03.01
    『小酒井不木全集3探偵小説短篇集』 改造社 1929.05.25 (国DC※)
    ( 『小酒井不木傑作選集』 博文館・新青年叢書3 1929.06.18 )
    『人工心臓』 国書刊行会・探偵クラブ 1994.09.20 (青空)
    ( 『小酒井不木集』中島河太郎監修 リブリオ出版・くらしっくミステリーワールド6 1997.02.28 )
    『怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 恋愛曲線』日下三蔵編 ちくま文庫(か-35-06) 2002.02.06
     助からない命ならカンフル剤で十分ニ十分延命させるより苦痛を感じないように死なせた方が良いのではないか。私は美濃の山奥H村で開業してから楽な往生をさせてきました。義夫が生れ、妻が亡くなり後妻を迎えました。平和な月日ががらりと変わり、後妻は義夫に辛くあたるようになりました。崖から落ちた義夫は……。
     安楽死に対する問題提示的な、皮肉な結末となる話。自分の子とそうでない人に対して変わり過ぎ。
  40. 「秘密の相似」
    ( 新青年 1926.04. )(奈落)
    ( 『恋愛曲線』 春陽堂・創作探偵小説集 1926.11.13/復刻版 1999.07.20 )
    『小酒井不木集』 平凡社・現代大衆文学全集7 1928.03.01
    『小酒井不木全集3探偵小説短篇集』 改造社 1929.05.25 (国DC※)
    ( 『小酒井不木傑作選集』 博文館・新青年叢書3 1929.06.18 )
    ( 『明治大正文学全集56 江戸川乱歩・大下宇陀児・甲賀三郎・小酒井不木篇』 春陽堂 1931.08.15 )(国DC※)
    ( 『恋愛曲線』 日本小説文庫(219) 1932.12.15 )(国DC)
    ( 『闘争』 春秋社 1935.10.05 )
    『怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 恋愛曲線』日下三蔵編 ちくま文庫(か-35-06) 2002.02.06 (青空)
     文子からTへの手紙。結婚翌日に実家に戻ったのは網膜炎で片目が見えないのを秘密にしていて、子供に遺伝する事を怖れたから。第二信では仲人が来て……。
     急展開する意外性が面白い。背景は別にして機転が素晴らしい。
  41. 「直接証拠」
    ( 大衆文芸 1926.04. )(蟹江)
    ( 『死の接吻』 聚英閣・探偵名作叢書1 1926.05.25 )
    『小酒井不木集』 平凡社・現代大衆文学全集7 1928.03.01
    『小酒井不木全集3探偵小説短篇集』 改造社 1929.05.25 (国DC※)
    別冊幻影城『小酒井不木』 1978.03.
    ( 『ミステリー総合病院』佐野洋編 光文社カッパノベルス 1981.11.15 )
    『ミステリー総合病院』佐野洋編 光文社文庫(さ-01-13) 1992.06.20
    『小酒井不木探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書109 2017.11.30
     西村順一博士が高利貸岩井仙吉を殺害する。死体処理は実験室で痕跡を残さずに。良心の呵責にも悩まないだろう。メスで手に傷を負ったが問題はない。仙吉の養子春雄が来て証拠を見つけ出すという。二年、四年、七年……。
     倒叙。気の長い復讐劇。心証はあっても確証があるとは思えない。ブラフにも思える。
  42. 「友吉のいたづら」
    ( 幼年の友 1926.04.? )
  43. 「三つの証拠」
    ( 講談倶楽部 1926.05. )(蟹江)
    ( 『稀有の犯罪』 大日本雄弁会 1927.06.18 )(国DC)再版
    『小酒井不木全集13探偵小説短篇集』 改造社 1930.06.15 (国DC※)
    別冊幻影城『小酒井不木』 1978.03.
     思わぬ証拠で発覚した殺人。私伏木敏也は株式仲買人に囲われていた福井みちと知り合い打ち明けるが、旦那以外に身を任せることは出来ないという。殺意に転じた私は自殺に見せかける計画をたて、準備、稽古をする。短刀、鞘、ゴム手袋、マスク。旦那の怒鳴る声、嘆願する彼女、病気。私はよい機会と思い実行する。翌日……。
     倒叙ではあるが、発覚理由は後出し。意外性はある。
  44. 「桐の花」
    ( 新青年 1926.05. )(奈落)
    ( 『恋愛曲線』 春陽堂・創作探偵小説集 1926.11.13/復刻版 1999.07.20 )
    『小酒井不木全集3探偵小説短篇集』 改造社 1929.05.25 (国DC※)
    ( 『小酒井不木傑作選集』 博文館・新青年叢書3 1929.06.18 )
     恋は時として遊戯である。木彫り芸術家春雄は才媛千恵子に芸術の為に絶交するという手紙を出した。末尾に創作と記して。しばらくして届いた返信には桐の花と共に父の借金で実業家と結婚するという文だった。もし本当だったら……。
     返信は良いがオチ部分は良くわからない。ケーキ入刀のようなものか。
  45. 「深山の桜(童話)」
    ( 新青年 1926.05. )(奈落)
     春、雉子さんがお猿さんたちにお山の奥の大きな桜が咲いたので一緒に見に行こうと誘います。象、熊、狐、兎も喜んで行きます。山の中腹でみんなは疲れてしまいますが象の背中に乗って進んで行きます。大きな樹で花が一杯咲いています。お弁当、そして疲れたのか……。
     二月十七日、澄宮殿下伊勢御参拝の御途次の名古屋ホテルで不木の御令息が放送(?)された創作童話との事。ほのぼのとした作品。伊勢参拝場面をイメージされてというのはうがち過ぎか。
  46. 「死の接吻」
    ( 大衆文芸 1926.05. )
    ( 『死の接吻』 聚英閣・探偵名作叢書1 1926.05.25 )
    『小酒井不木集』 平凡社・現代大衆文学全集7 1928.03.01
    『小酒井不木全集3探偵小説短篇集』 改造社 1929.05.25 (国DC※)
    ( 『展望塔の死美人』 日本小説文庫(416) 1936.10.30 )
    幻影城 1975.02.
    『人工心臓』 国書刊行会・探偵クラブ 1994.09.20
    『怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 恋愛曲線』日下三蔵編 ちくま文庫(か-35-06) 2002.02.06 (青空)
     コレラの流行、一回や二回の予防注射では効果もなく人々は恐怖した。雉本静也は臆病な性質の頽廃人だった。友人佐々木京助の妻敏子に失恋し自殺を決心した。自殺したと思われない方法、亜砒酸を思い出して調べると症状はコレラに似ているという。だが疝痛があるというので自殺を翻し誰か代わり死んでもらおうと考えた。京助をレストランに誘い亜砒酸を与える。留守が続いた敏子を訪れると……。
     恐慌の世情描写はドタバタ調で面白い。自殺から他殺へ考えが変わるのも死者が多い世の中だったからというのもある意味納得。結末は題名から推測できるが留守理由に意表をつかれた。
  47. 「十円紙幣」 (「十圓紙幣」)
    ( 日本少年 1926.05. )(奈落)
    『小酒井不木全集15闘病余録及断片』 改造社 1930.08.18 (国DC※)
     呉服店丁稚の富雄君は性急で粗忽、活動写真好き。主人から十円紙幣を受け取ってのお使い途中、映画の看板を見てふと懐中に手を入れると財布がありません。掏摸を見つけて追いかけ蕎麦屋の出前持ちとぶつかったところを捕らえ……。
     ユーモア作品。蕎麦屋の部分など落語でありそうな気がしないでもない。
  48. 「にせてがみ」 (「にせ手紙」)
    ( 幼年の友 1926.05.? )
    ( 『小学生全集1幼年童話集(上)』 文藝春秋社 1927.07.20 )(奈落)(国DC※)
     白の国と赤の国で戦争があり、青の国は赤の国を加勢するので兵力や兵糧など知らせて欲しいとの使いを出しました。赤の国は使いに手紙を持たせて国一番の知恵のある大臣を同行させました。白の国の間者は国境の茶屋で眠らせ手紙を差し替えます。青の国に着いた死者と大臣は……。
     ほとんど平仮名。対象読者層が幼年なので話自体は単純。余談だが今ならスパイでわかるだろうから間者も当時の幼年でもわかるのだろうか。
  49. 「新聞紙の包」 [松島龍造]
    ( 苦楽 1926.06. )(蟹江)
    ( 『稀有の犯罪』 大日本雄弁会 1927.06.18 )(国DC)再版
    『小酒井不木全集13探偵小説短篇集』 改造社 1930.06.15 (国DC※)
    『小酒井不木探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書109 2017.11.30
     時国英三郎君は神戸行きの汽船の甲板から拳大の新聞紙包みを海に投げようとしていた。彼女との罪の証拠品。罪を犯すのがこれほど苦しいとは。彼はついに投げた。時国君は私立探偵松島龍造に金員を強請られていると相談する。海に落ちずに下の甲板で船員らしき人が拾ったという。松島龍造は……。
     無意味に大がかりすぎる手法のようで首謀者の意図がよくわからない作品。証拠になる、ならないもよくわからない。どこからが罪かもよくわからない。当時の鑑定レベルと法律的知識が必要かも。
  50. 「印象」
    ( 新青年 1926.06. )
    ( 『恋愛曲線』 春陽堂・創作探偵小説集 1926.11.13/復刻版 1999.07.20 )
    『創作探偵小説選集 一九二六年版』探偵趣味の会編 春陽堂書店 1927.02.10/復刻版 1994.04.10 (国DC※)
    『小酒井不木集』 平凡社・現代大衆文学全集7 1928.03.01
    『小酒井不木全集3探偵小説短篇集』 改造社 1929.05.25 (国DC※)
    ( 『小酒井不木傑作選集』 博文館・新青年叢書3 1929.06.18 )
    ( 『小酒井不木集』 改造社・日本探偵小説全集1 1930.03.20 )(国DC)
    ( 『明治大正文学全集56 江戸川乱歩・大下宇陀児・甲賀三郎・小酒井不木篇』 春陽堂 1931.08.15 )(国DC※)
    ( 『闘争』 春秋社 1935.10.05 )
    『「新青年」傑作選 幻の探偵雑誌(10)』 光文社文庫(み-19-10) 2002.02.20 (青空)
    『怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 恋愛曲線』日下三蔵編 ちくま文庫(か-35-06) 2002.02.06
     犯罪学集談話会で話題となった「女子の復讐心」に関する産婦人科医W氏の話。妊娠した婦人の身体が危険な時、胎児を犠牲にするか産ませるか、妊婦の意志に任せるのみ。外交官T氏夫人は肺結核になったが妾宅を持つようになった良人への復讐の為にも産みたいという。産んで一生迷惑をかけようと。藍摺の鬼の絵を毎日眺めながら、そのような子が産まれるのを望みながら……。
     子を利用した復讐譚。女の子に罪はないのだがその後どうなることやら。復讐の効果はそれほどなさそうな気もする。
  51. 「五助爺さんの宝」
    ( 幼年の友 1926.06.〜08. )
     第三回(最終回):五助爺さんの死んだ晩に村の居酒屋で酒を飲んでいた十五人を神主さんは集めて……。
     ※「宝刀の犯人―五助爺さんの宝(三)―」のみデジタルコレクション国立図書館内のみで閲覧可能
  52. 「血の盃」
    ( 現代 1926.07. )
    ( 『稀有の犯罪』 大日本雄弁会 1927.06.18 )(国DC)再版
    『小酒井不木全集13探偵小説短篇集』 改造社 1930.06.15 (国DC※)
    『怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 恋愛曲線』日下三蔵編 ちくま文庫(か-35-06) 2002.02.06 (青空)
     偶然は複雑な必然と見做せる。木村良雄は幼馴染だが荒川あさ子に感染させ盲目になった彼女を捨てた。母は亡く、父丹七は木村家に恩があった。丑の刻参り、夜中の徘徊。村人も気味悪がり丹七は監視する。良雄が結婚するとこになり、三々九度の杯に天井から血が……。
     復讐譚。偶然で劇的効果を得た結果となる。但し因果応報ともいえるので必然と見做せなくもない。
  53. 「躓く探偵」
    ( 講談倶楽部 1926.07. )(蟹江)
    ( 『小酒井不木集』 春陽堂・探偵小説全集2 1929.10.08 )(国DC)
    『小酒井不木全集17探偵小説中篇集』 改造社 1930.10.10 (国DC※)
     私立探偵を開業した私大久保豊は近所に住む原口真平が短時間に殺された事件の解決にのりだした。原口は悪辣な手で金儲けをしており、家には書生加藤、息子保、二人の女中がいた。取締役阿部十郎も行方不明になっていた。私は秘密の抜け穴を見つけ、そこには阿部の死体もあった。阿部が原口を殺して自殺したようにも見えたが、使い込みで服役し最近出所した元秘書の水谷真の指紋が見つかった。私は……。
     経験不足の探偵の失敗の話。大胆に考えられてはいるが指紋は致命的。記述でややアンフェアな部分も。
  54. 「紫外線」 [塚原俊夫]
    ( 子供の科学 1926.07.〜09. )
    ( 『少年科学探偵』 文苑閣 1926.12.13 )(国DC)
    『小酒井不木集』 平凡社・現代大衆文学全集7 1928.03.01
    ( 『小酒井不木集』 改造社・日本探偵小説全集1 1930.03.20 )(国DC)
    『小酒井不木全集13探偵小説短篇集』 改造社 1930.06.15 (国DC※)
    ( 『少年科学探偵』 春陽堂少年文庫(152) 1932.12.25 )
    ( 『少年探偵 紅色ダイヤ』 世界社 1948.06.10 )(国DC)
    ( 『少年探偵小説集』中島河太郎編 三一書房・少年小説大系7 1986.06.30 )
    『小酒井不木探偵小説選』 論創社・論創ミステリ叢書8 2004.07.25 (青空)
    『少年科学探偵』 真珠書院パール文庫 2013.08.10
     石英水銀灯を得た塚原俊夫君。小田刑事が電車に轢かれて身許不明の男が持っていた、でたらめに見える文字が書いてある黒い紙をもって訪ねてきました。俊夫君は解き、空家でダイヤの首飾りを見つけます。しかし盗まれたものの模造品でした。持ち主の侯爵夫人に会い………。
     科学少年の活躍。たまたま解読でき、後は芋蔓式に解決。知恵比べ的要素はほぼない。
  55. 「卒倒」
    ( 新青年 1926.07. )(奈落)
    ( 『恋愛曲線』 春陽堂・創作探偵小説集 1926.11.13/復刻版 1999.07.20 )
    『小酒井不木全集3探偵小説短篇集』 改造社 1929.05.25 (国DC※)
    ( 『小酒井不木傑作選集』 博文館・新青年叢書3 1929.06.18 )
     高等女学校の英語教師武藤ひろ子は新たにきた美貌の教師吉村清子に意地悪くしていた。シカゴ女子師範学校校長ジェファーソン博士が講演することになった。武藤は母の病気見舞いをするので吉村が通訳をすることになったが自信がない。吉村はいないはずの武藤が講堂に入ってくるのを見て卒倒、その後……。
     オチは想定できる範囲内。直訳か意訳か、事前に内容を知らないと講演通訳は難しいのでは。
  56. 「狂女と犬」
    ( 大衆文芸 1926.07. )
    ( 『稀有の犯罪』 大日本雄弁会 1927.06.18 )(国DC)再版
    『小酒井不木全集13探偵小説短篇集』 改造社 1930.06.15 (国DC※)
    『怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 恋愛曲線』日下三蔵編 ちくま文庫(か-35-06) 2002.02.06 (青空)
     私が高校時代に京都から名古屋まで徒歩で帰った時、S原付近で道に迷いたどり着いた村の境内で聞いた子守歌と住職の話。遺伝するといわれた病気の父とお蝶と犬の白が住んでいたが父が亡くなり、やがて流れ着いた五人の悪漢に住まわれ妾のようにされ妊娠した。異嗜で土や灰、芋虫や蛇を食べるのを気味悪がれ家からは逃げ出していった。子を産んだお蝶は食べ物を運んでくれる白に仇をとってくれと言っていた。白が咥えていた食べ物を五人は……。
     怪異譚。最後は衝撃的。佳作。
  57. 「猫と村正」
    ( 週刊朝日 1926.07. )
    ( 『恋愛曲線』 春陽堂・創作探偵小説集 1926.11.13/復刻版 1999.07.20 )
    『小酒井不木集』 平凡社・現代大衆文学全集7 1928.03.01
    ( 『小酒井不木集』 改造社・日本探偵小説全集1 1930.03.20 )(国DC)
    『小酒井不木全集16探偵小説短篇集』 改造社 1930.09.15 (国DC※)
    『怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 恋愛曲線』日下三蔵編 ちくま文庫(か-35-06) 2002.02.06 (青空)
     私は母危篤の電報を受け取り「魔の列車」と呼ばれる盗難んど頻発しておきるという列車ではあったが乗り込んだ。浜松を過ぎた頃、盗難騒ぎがあった。その後、私の右靴が無くなったが前の座席の人が間違って右靴同士を履いて席をたっていた。彼は片目で左足は義足だった。彼はその経緯を語る。先妻が妾をもったのを恨み祟ると遺言して村正で自殺。死体の上には先妻が可愛がっていた三毛がいた。三毛は捨てても戻ってきた。後妻の眼が暗闇で光るようになりやがて失明。脳腫瘍で三毛が来たと言いながら死亡。彼も三毛を見て……。
     鐡道ミステリーかと思えば聞いた話。怪談というか因縁話で魔の列車らしい内容とはいえる。
  58. 「偶然の成功」 [松島龍造]
    ( 苦楽 1926.08. )(蟹江)
    ( 『小酒井不木集』 春陽堂・探偵小説全集2 1929.10.08 )(国DC)
    『小酒井不木全集16探偵小説短篇集』 改造社 1930.09.15 (国DC※)
    『小酒井不木探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書109 2017.11.30
     T商会各務氏からの依頼で盗まれた手紙を取り返して欲しいという依頼が松島龍造にあった。解雇した鳳恒子と田山友治、恒子が面会に来た時に盗ったようだがエレベーター待ちの間に追いついたが持っていなかった。事務室内にも隠されていない。ビルを出ると松島は捕らえられ……。
     偶然の犯行、偶然のタイミングと解決。ほかにも偶然が多い作品。エレベーター待ちは長かったのだろうか。
  59. 「愚人の毒」
    ( 改造 1926.09. )
    ( 『恋愛曲線』 春陽堂・創作探偵小説集 1926.11.13/復刻版 1999.07.20 )
    『小酒井不木集』 平凡社・現代大衆文学全集7 1928.03.01
    『小酒井不木全集3探偵小説短篇集』 改造社 1929.05.25 (国DC※)
    ( 『小酒井不木集』 春陽堂・探偵小説全集2 1929.10.08 )(国DC)
    ( 『明治大正文学全集56 江戸川乱歩・大下宇陀児・甲賀三郎・小酒井不木篇』 春陽堂 1931.08.15 )(国DC※)
    ( 『大雷雨夜の殺人』 日本小説文庫(415) 1936.11.05 )
    別冊幻影城『小酒井不木』 1978.03.
    『大雷雨夜の殺人 他8編』 春陽文庫(C98-01) 1995.02.25 (青空)
    『日本探偵小説全集1 黒岩涙香・小酒井不木・甲賀三郎集』 創元推理文庫(400/Mん-01) 1984.12.21
    ( 『小酒井不木集』中島河太郎監修 リブリオ出版・くらしっくミステリーワールド6 1997.02.28 )
    『怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 恋愛曲線』日下三蔵編 ちくま文庫(か-35-06) 2002.02.06
    『小酒井不木探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書109 2017.11.30
     津村検事、藤井署長、片田博士が山本医師に訊ねる。奥田とめが高熱と嘔吐を同じ時刻に三度繰り返した後の四度目に死亡した事件で、医師は当初食中毒との見立てで散薬を渡していたが死因は亜砒酸中毒と診断していた。奥田とめには養子の長男健吉、次男保一、長女きよ子がいた。健吉と保一は結婚問題でとめとの関係が悪くなっていて……。
     設定、構成、意外な結末と上手くまとまっている傑作作品。特に一点の発見で終わりのところを伏せて展開していく構成が見事。
  60. 「紅蜘蛛の怪異」
    ( キング 1926.09. )(蟹江)
    ( 『稀有の犯罪』 大日本雄弁会 1927.06.18 )(国DC)再版
    『小酒井不木全集13探偵小説短篇集』 改造社 1930.06.15 (国DC※)
    ( 『闘争』 春秋社 1935.10.05 )
    『叢書新青年 小酒井不木』 博文館新社 1994.04.25
    『小酒井不木探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書109 2017.11.30
     森一が刑事になった動機の話。肺結核で興津に療養に行く時に出発を遅らせた為に京橋付近で病人風の女と出会い、蕎麦屋で食事、お礼にとの事で宿を伴にした。彼女は御前様によって背中に紅蜘蛛の文身を入れさせれた復讐をするため、宝石を盗んだが停車場で盗まれ生きてはいけないという。刺して欲しい、そうでなければ殺されたように見せかけ自殺するという。森一は一度逃げ出したが狂言を疑い戻ると人だかりで殺人があったという。森一はそのまま興津に行き……。
     偶然なのか怪異なのか、喀血と紅蜘蛛。大学文科中退して刑事の理由としてはやはり異色だと思う。
  61. 「メヂューサの首」 (「メデューサの首」)
    ( 大衆文芸 1926.09. )
    ( 『恋愛曲線』 春陽堂・創作探偵小説集 1926.11.13/復刻版 1999.07.20 )
    『小酒井不木集』 平凡社・現代大衆文学全集7 1928.03.01
    『小酒井不木全集3探偵小説短篇集』 改造社 1929.05.25 (国DC※)
    ( 『大雷雨夜の殺人』 日本小説文庫(415) 1936.11.05 )
    ( 小説推理増刊 1974.08. )
    『人工心臓』 国書刊行会・探偵クラブ 1994.09.20
    『大雷雨夜の殺人 他8編』 春陽文庫(C98-01) 1995.02.25 (青空)
    ( 『奇妙な味の菜館 現代ホラー傑作選6』阿刀田高編 角川ホラー文庫(H406-01) 1996.12.10 )
    『怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 恋愛曲線』日下三蔵編 ちくま文庫(か-35-06) 2002.02.06
     わたしと町田は伊豆山S旅館で富豪の息子の付き添いの看護婦と知り合い、ゲームの罰で身体に墨絵を描いていたりしました。それを見た紳士が意外な悲劇が起こった経験談をする。病院開業時、女性が妊娠として来たが肝臓硬変症だった。彼女はお腹の中にメヂューサの首が宿っているという。温泉宿で眠らされてメヂューサの夢を見、起きるとお腹に墨絵が。手術を始めると……。
     悪戯が偶然にも思わぬ結果になる話。医者を題材に因縁怪奇を扱っていてそれなりにまとまっている作品は珍しいかもしれない。
  62. 「五階の窓 合作の六(終局)」
    ( 新青年 1926.10. )
    『小酒井不木全集17探偵小説中篇集』 改造社 1930.10.10 (国DC※)
    ( 『江川蘭子』 博文館 1931.05.12 )(国DC※)
    『合作探偵小説 五階の窓』 春陽文庫(C01-33) 1993.10.25 (青空)
    『五階の窓/江川蘭子 合作探偵小説コレクション1』日下三蔵編 春陽堂書店 2022.10.12
     Sビルディングの五階にある西村商会。社長が路地で死んでいるのを見つけた新聞記者の山本と探偵作家の長谷川。エレベーターのところですれ違った将校服の男。社長にせまられていたタイピストの瀬川。庶務の北川、会計の野田。工場の職長の桝本。ストライキを扇動していた舟木。刑事冬木、沖田、恒藤司法主任。なくなった二千円とスリの留公。
     江戸川乱歩/平林初之輔/森下雨村/甲賀三郎/国枝史郎/小酒井不木 によるリレー小説。平林が一番科学的で論理的。乱歩の描写から雨村にひっくり返されたところもあるが。残念ながら雨村の後半から偶然が多くなり本格から外れてしまう。不木がよくまとめたとはいえ、強引すぎるのは否めない。※不木全集は不木分のみ収録
  63. 「妲己の殺人」 (「妲已の殺人」)[松島龍造]
    ( 苦楽 1926.10. )(蟹江)
    ( 『小酒井不木集』 改造社・日本探偵小説全集1 1930.03.20 )(国DC)
    『小酒井不木全集16探偵小説短篇集』 改造社 1930.09.15 (国DC※)
    『小酒井不木探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書109 2017.11.30
     市江検事から松島龍造への依頼。彫刻家西川と画家小山が一緒に住んでいて、小山が死亡し西川が死体に取りすがっていたという。小山は心霊研究者で西川を霊媒として有名人の霊を呼び出していた。心霊学者ならと話す西川は妲己に殺されたという。小山は西川に呼び出した妲己に恋し、妲己もまた小山に恋し、西川は乗っ取られまいとし、小山は……。
     心霊なのか妄想なのか演技なのか。意図した作品とは思うがもう少し絞ってから結末にして欲しかった。
  64. 「汽車の切符」
    ( 現代 1926.10. )
    ( 『稀有の犯罪』 大日本雄弁会 1927.06.18 )(国DC)再版
    『小酒井不木全集13探偵小説短篇集』 改造社 1930.06.15 (国DC※)
    ( 『見えない機関車』 光文社カッパノベルス 1976.11.20 )
    別冊幻影城『小酒井不木』 1978.03.
    『見えない機関車 鉄道ミステリー傑作選』鮎川哲也編 光文社文庫(あ-02-05) 1986.10.20
     小泉五郎は彼を棄てて姿を隠した女優村田照子を誘き出すために浅間山で遺書を残し狂言自殺をした。二年後、彼は妾になっている彼女を見つけ殺害、F旅館に戻った。やがて新聞記事での小室淳一の逮捕の記事、写真は彼の顏だった。好奇心から小室の家の様子を窺っていると汽車での高飛びの準備をしていた女に見つかり一緒に……。
     倒叙。出来過ぎではあるが、予測はつくが面白い話。女の勘には絶句。
  65. 「ひすゐの簪」 (「ひすいの簪」)
    ( 講談倶楽部 1926.10. )(蟹江)
    ( 『小酒井不木集』 春陽堂・探偵小説全集2 1929.10.08 )(国DC)
    『小酒井不木全集17探偵小説中篇集』 改造社 1930.10.10 (国DC※)
     吉村銀行頭取吉村順平が自宅で妾だった友野ふじの兄と会い、帰ったあとに呼ばれていた銀行の書記志田猛が殺されているのを見つけて書生の菱木に言う。同時に雇婆さんの悲鳴が。幽霊を見たという。松波警部と上谷刑事と稲垣刑事が調べる。庭に落ちていた翡翠の簪は無くなった夫人のものだという。おふじは順平から貰ってなくしたと言う。上谷刑事が銀行で聞くと事務員濱野米子のものだと言う。米子は……。
     意外な犯人というより意外な状況設定の話。動機は後出しだが。簪の移動も意外といえば意外。凶器の行方は不明。
  66. 「不思議の煙(中絶)」 [塚原俊夫]
    ( 子供の科学 1926.10. )
    『小酒井不木探偵小説選』 論創社・論創ミステリ叢書8 2004.07.25
     海軍大飛行演習での東京湾横断低空飛行で吉村海軍中尉が、翌日には大沢海軍中尉が、さらに翌日に常岡海軍中尉が墜落死しました。小田刑事と海軍省T氏が探偵を依頼に来ました。飛行場S町から小蒸気船で沖に行くと煙の向きが異なる一艘の船を見つけました。
     別作品の焼き直し指摘を受け打ち切り。
    参考「空中殺人団」 パウル・ローゼンハイン、鶴毛寧夫 訳
    ( 中学世界 1925.09.〜10. )
    『小酒井不木探偵小説選』 論創社・論創ミステリ叢書8 2004.07.25
     ストックホルムの飛行競技、空中で旋回して機体が破壊し墜落。三日後も同じ。名飛行士オラフ・ジェデルシトロームもまた。航空評定官バルクはジェンキン探偵に相談した。発動機艇に乗り煙の上がる向きが異なる船を一隻見つけた。バルクはジェンキン探偵に秘密結社から探索を止めるよう脅迫を受けているという。屋敷へ行ったジェンキン探偵は……。
     SF冒険小説? 常時なのか試験なのか、連続なのか散発なのか、境界面で光の屈折があるのかないのか不明確。屋敷の出来事も人を識別できないのも意味不明。ダイジェストなのかもしれないが。同じネタでも低空で誰も見ていない所ということでマシになったと思う。
  67. 「新案探偵法」
    ( 大衆文芸 1926.10. )
    ( 『稀有の犯罪』 大日本雄弁会 1927.06.18 )(国DC)再版
    『小酒井不木全集13探偵小説短篇集』 改造社 1930.06.15 (国DC※)
    別冊幻影城『小酒井不木』 1978.03.
    『人工心臓』 国書刊行会・探偵クラブ 1994.09.20
    『怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 恋愛曲線』日下三蔵編 ちくま文庫(か-35-06) 2002.02.06 (青空)
     鯉坂君は生理学者で学問を楽しむことだけに研究に従事していました。彼は条件反射の研究の副産物として新案探偵法を思いつきました。遺留品の匂いと肉を与え、唾液の分泌で犯人を特定しようというものでした。煙草屋の加藤つる婆さんと娘のよし子が殺害され斧と手袋が残されていました。検事の依頼でアリバイのある情夫を新たな犬で試しましたが反応しません。煙草屋の前で怪しい男が捕らえられ……。
     案として着想は面白い。もっとも警察犬や麻薬捜査犬など訓練で活躍しており十分ではあるが。結末の発覚でその後は何もなかったのだろうか。
  68. 「劇場の事変」
    ( 講談倶楽部 1926.11. )(蟹江)
    ( 『小酒井不木集』 改造社・日本探偵小説全集1 1930.03.20 )(国DC)
    『小酒井不木全集16探偵小説短篇集』 改造社 1930.09.15 (国DC※)
     父が経営していた銀行が破産し、私津田は上京してN新聞記者になった。沙翁劇場主田中清三が貴賓席で殺された記事は入社間もないものだった。長男松雄は観劇途中に男の声の電話で呼び出され、愛人小村春子の家へ行って見張っていたという。戻って来たのを見たという証言で逮捕された松雄。私立探偵大山敏郎は泊っていた夜光時計から……。
     手懸りは面白い。少しおかしなところもあるが。最後も意図が少し矛盾している。惜しい作品。
  69. 「肖像の怪」
    ( 日本少年 1926.11. )
    『小酒井不木全集15闘病余録及断片』 改造社 1930.08.18 (国DC※)
     内山源吉は高利貸富田儀助を絞殺し切断、かまどの中で焼いてしまいました。しかし証拠はなく法律上は無罪ですが良心の苛責が起こってきました。儀助の子哲男は復讐を考えました。電話、逆向きの配置、肖像画……。
     結果責任の有無ではなく、罪名は何かになるかが正しいと思うのだが。返済要求か金の出所で追及すれば良さそうだが。
  70. 「初往診」
    ( 不明 )
    ( 『恋愛曲線』 春陽堂・創作探偵小説集 1926.11.13/復刻版 1999.07.20 )
    ( 『小酒井不木集』 春陽堂・探偵小説全集2 1929.10.08 )(国DC)
    『小酒井不木全集17探偵小説中篇集』 改造社 1930.10.10 (国DC※)
    『怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 恋愛曲線』日下三蔵編 ちくま文庫(か-35-06) 2002.02.06 (青空)
     初往診から戻った彼は遣瀬ない気持ちだった。男の児にカンフル注射をするつもりがモルヒネだった。母親が駆け込んできて……。
     掌編。念のためだったからだろうか。それとも副作用だろうか。
  71. 「塵埃は語る」 (「ほこりは語る」)[塚原俊夫]
    ( 子供の科学 1926.12.〜1927.02. )
    『小酒井不木集』 平凡社・現代大衆文学全集7 1928.03.01
    ( 『小酒井不木集』 春陽堂・探偵小説全集2 1929.10.08 )(国DC)
    『小酒井不木全集13探偵小説短篇集』 改造社 1930.06.15 (国DC※)
    ( 『少年科学探偵』 春陽堂少年文庫(152) 1932.12.25 )
    ( 『少年探偵 紅色ダイヤ』 世界社 1948.06.10 )(国DC)
    ( 『少年少女世界の名作文学48 日本編4』浜田広介編 小学館 1967.01.20 )(国DC※)
    ( 『少年探偵小説集』中島河太郎編 三一書房・少年小説大系7 1986.06.30 )
    『小酒井不木探偵小説選』 論創社・論創ミステリ叢書8 2004.07.25 (青空)
    『少年科学探偵』 真珠書院パール文庫 2013.08.10
     長男豊くんが誘拐されたと富田重雄氏が塚原俊夫君の事務所に来ました。手紙には三万円の要求があり俊夫君が行くことになりました。拳骨団から時間変更とのことで迎えの自動車に乗ると走り去ってしまいました。富田氏のほうでは俊夫君からの電話ということで後妻の常子さんがお金を持って出かけました。俊夫君は捕らえられた場所から埃を持ち帰り……。
     少年科学探偵の活躍。絞れはするがさすがに特定は無理でしょう。ホームズ譚の応用か。
  72. 「ある冒険」
    ( 不明 1926.xx. )
     ※島崎リストより
  73. 「卑怯な毒殺」
    ( サンデー毎日 1927.01. )
    『小酒井不木集』 平凡社・現代大衆文学全集7 1928.03.01
    ( 『小酒井不木集』 春陽堂・探偵小説全集2 1929.10.08 )(国DC)
    『小酒井不木全集16探偵小説短篇集』 改造社 1930.09.15 (国DC※)
    『怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 恋愛曲線』日下三蔵編 ちくま文庫(か-35-06) 2002.02.06 (青空)
     男は病室で病人に向かい毒殺未遂の復讐をしようとしていた。ストリヒニンを二人で飲み、耐性をつけていた男は助かるというものだった。病人は毒殺未遂を後悔して爆裂弾で自殺しようとしたが死に切れなかったので殺されるのは本望だという。両手両脚が無く舌も噛めず、医員は自殺の為に飲めないと分かっていて毒を用意してくれたが生命を長らえさせようとしているともいう。また病人は男に対して女々しい態度と行動を非難する。男は……。
     ある意味で安楽死に関する作品。雄々しいとはいえないが女々しいともいえない。時代の違いか。同時に毒を飲む計画の理由はよくわからない。
  74. 「稀有の犯罪」
    ( 週刊朝日 1927.01.01 )
    ( 『稀有の犯罪』 大日本雄弁会 1927.06.18 )(国DC)再版
    『小酒井不木全集13探偵小説短篇集』 改造社 1930.06.15 (国DC※)
    ( 『闘争』 春秋社 1935.10.05 )
    別冊幻影城『小酒井不木』 1978.03.
    『人工心臓』 国書刊行会・探偵クラブ 1994.09.20 (青空)
    『小酒井不木探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書109 2017.11.30
     箕島、仙波、京山、三人組の宝石盗賊はN男爵家の青色ダイヤを盗んで鑑賞していました。箕島は物音を聞いて宝石を飲み込みました。独り占めしたと思い仙波と京山は箕島を殺害、警察が踏み込んできました。逃げ出した二人、病理学教室の小使いをしていた仙波は計画をたて、京山が法医学教室の奥田教授になりすまして助手に解剖をさせ臓器を持ち出そうとしました。仙波と京山は臓器を……。
     鑑定死体の臓器を盗もうとするのは確かに稀有の犯罪。結末はさすがに偶然すぎる。面白くはあるが。
  75. 『疑問の黒枠』
    ( 新青年 1927.01.〜08. )(奈落)
    ( 『疑問の黒枠』 波屋書房・世界探偵文芸叢書7 1927.07.25 )(国DC)
    『小酒井不木集』 平凡社・現代大衆文学全集7 1928.03.01
    『小酒井不木全集4探偵小説長篇集』 改造社 1929.08.23 (国DC※)
    ( 『疑問の黒枠』 日本小説文庫(220) 1932.12.18 )
    ( 『小酒井不木・甲賀三郎集』 河出書房・探偵小説名作全集2 1956.09.30 )(国DC※)
    別冊幻影城『小酒井不木』 1978.03.
    ( 『疑問の黒枠』 河出文庫(こ-22-01) 2017.09.20 )
     法医学者小窪介三教授は助手肥後俊介に語るのは、殺人=犯人の心−被害者の心。新聞に三人目の偽の死亡広告が出た村井嘉七郎は模擬葬式をすると東円寺住職友田覚と伴僧山場了諦に語る。鶴舞公園で嘉七郎の娘富子は中沢保に模擬葬式兼還暦祝いの後に二人の結婚披露があると語る、保が不審に思う押毛治六。模擬葬式での保、奇術師旭日斎松華、住職友田、押毛、棺桶の中の嘉七郎、そして死。病床の夫人、殿山医師、鳥打帽子と麻藁草履と無くなる丸薬ケース、富子の行方不明。門前署田島恒吉刑事の聞き取り、押毛の失踪。 嘉七郎の死体の法医学教室解剖室からの盗難。教授は外見から青酸中毒死だったと鹿島刑事に言い、肥後は捜査を手伝う。中沢が受け取った脅迫状。住職が預かった金庫の鍵と金庫の中の遺言状。遺言状の証人と中沢の行方不明。肥後の死体盗難調査と犯人。押毛の下宿聞天館の家宅捜査。殿山医院から出てきた女の後を追う鹿島刑事。中沢と殿山医師。見つかった死体。小窪教授と木乃伊と肥後宛の手紙。住職と肥後と鹿島刑事と富子。中沢と殿山医師。殿山と富子と書生の話。中沢と富子。富子と夫人。鹿島刑事の聴取。自殺と真犯人。教授と肥後と殺人方程式。
     意外な犯人といえる作品。行方不明が多く、事件を複雑にしている。新青年、不木訳の孔雀の樹、探偵趣味、奇術師、探偵小説が好きな人間は実際の悪事はやらない、などマニア心をくすぐる部分も。偽死亡記事に乗じて還暦で模擬葬式をして生まれ変わるという発想は面白い。
  76. 「紅蜘蛛奇譚(探偵戯曲)」
    ( 名古屋新聞 1927.01.11〜16,18〜20 )
    『小酒井不木探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書109 2017.11.30
     大江戸の江戸橋の袂で女賊お辰を警戒して張番をする目明し箕島小十郎の手下房蔵と三治。小十郎は重苦しい世の中で目明しがいやになったという。三州岡崎から来た西川勇次郎は身投げをしようとしていた女を止める。宿屋蔦屋で女は、殿様から紅蜘蛛の刺青を入れられ名刀とお金を盗み、お金は落してしまったという。そして勇次郎に殺して欲しいという。勇次郎は逃げ出し、蔦屋の前に戻ると女の死体を運び出すところだった。勇次郎は……。
     戯曲形式ではなく小説形式。「紅蜘蛛の怪異」を骨子として時代小説化し結末を変えた作品。人情話。
  77. 「父のゆうれい」
    ( 幼年の友 1927.01.〜02.? )
  78. 「分身の秘法」
    ( 講談倶楽部 1927.02. )(蟹江)
    ( 『小酒井不木集』 春陽堂・探偵小説全集2 1929.10.08 )(国DC)
    『小酒井不木全集16探偵小説短篇集』 改造社 1930.09.15 (国DC※)
     青年は父の遺言で復讐を誓い、相手の行方も突き止めていた。だが魂は夢の中で大胆に殺人を決行しているが身体は臆病で行動出来ずにいる。運命判断の広告紙片を見て老婆を訪れると魂と身体を分離する分身の秘宝を授かる。魂が仕事をしてくれる……。
     魂と身体の分離は良いとしても、老婆の見立てや魂の現実界の影響や刃物を持っての帰宅とか家宅侵入とか、何より伏線なしの最後の一行に納得できない。
  79. 「犬の幻想」
    ( 令女界 1927.02. )(奈落)
    『叢書新青年 小酒井不木』 博文館新社 1994.04.25
     私の父が美濃で医者をしていた時、アメリカ帰りの佐吉の家の老婆が往診の依頼に来た。渡米前に犬猿の仲で殺された源助の犬の幻を見るという。隣室に泊ることになった父は……。
     怪談。密室のようだが説明はない。
  80. 「春潮(大団円)(連作)」
    ( 名古屋新聞 1927.02.xx )
  81. 「刹那の錯誤」
    ( 文藝春秋 1927.03. )(奈落)
    ( 『小酒井不木集』 改造社・日本探偵小説全集1 1930.03.20 )(国DC)
    『小酒井不木全集16探偵小説短篇集』 改造社 1930.09.15 (国DC※)
     岡村は細君の自殺によって一種の脅迫観念に襲われていた。不倫相手の篠田を殺す計画を立て見張るが、彼は夜間には家から出て来なかった。ところが篠田は彼の仇敵浅川と連れ立って外出するようになった。岡村はピストルで……。
     意表をつく結末。唐突でアンフェアな部分もあるが。なぜ連れ立っていたかは明かされない。
  82. 「眠り薬」
    ( 百華新聞 1927.03.xx〜 )(蟹江)
    『小酒井不木全集9探偵小説中篇集』 改造社 1930.01.28 (国DC※)
    ( 『小酒井不木集』 改造社・日本探偵小説全集1 1930.03.20 )(国DC)
    ( 『展望塔の死美人』 日本小説文庫(416) 1936.10.30 )
     私伊吹は藤園男爵邸の夜会に招かれ横尾仙右衛門の養女照子と出会い恋をした。照子は年の離れた細君とも言われていた。庭園で渡された紙片には翌日深夜に裏門まで来るようにという内容だった。逢瀬を重ねるうちに照子は伊吹に藤間男爵の夜会で仙右衛門を眠らせその間に逢おうと薬を渡した。伊吹は私立探偵雪野恒夫に分析を頼み、雪野は眠り薬だと告げる。夜会では仙右衛門と医者の村瀬と一緒になるが秘かに薬を飲ませるのに成功する。村瀬は毒殺されたと……。
     話としてはありがち。顔見知りだったというのは唐突で意外。予期していたのだろうか。
  83. 「龍門党異聞(探偵小説劇)(戯曲)」
    ( 大衆文芸 1927.04. )(奈落)
    『小酒井不木集』 平凡社・現代大衆文学全集7 1928.03.01
    『小酒井不木全集13探偵小説短篇集』 改造社 1930.06.15 (国DC※)
    『小酒井不木探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書109 2017.11.30
     幕末の江戸浅草観音境内、桜の頃、講釈師南龍の大名から公卿の姫を救う龍門党の講釈、井上壱岐守の雪枝の側室要求と家老水野と乳母お浅の話。稲荷町南龍宅、女房お玉、独楽を廻す男、歯を抜く男、蟇の油を売る男、易者、師匠南龍、そしてお玉に言い寄る東狸。待乳山龍門党会合、計画の伝達。井上壱岐守邸宅奥座敷、雪枝とお浅。井上壱岐守邸宅の一室、東狸とお玉と水野と南龍。佃沖、水野とお玉と南龍とお浅。海岸、水野と東狸。(作者附記※大衆文芸と論創社版のみ)
     義賊の活躍談。殺さないのはとにかく、盗みもしないというのまでは珍しいかも。夫婦の掛け合いは面白い。作者附記(※大衆文芸と論創社版のみ)では創作動機が書かれている。
  84. 「断食の幻想」
    ( 新青年 1927.05. )(奈落)
     僧侶である文学士環龍観は「ハムレツト」を読んだ夜、女が欲しいとの欲望が起きてきた。断食で苦境をぬけようとする。満願のときの幻想を見たい気もあった。菜の花の小径を行くオフィリア。追い叫ぶ。余だ、ハムレットだ。そのとき……。
     幻想ということもあってナンセンスな話。さすが文学士、昔の人の幻想ははたしてどのようなものだろうか。
  85. 「吉祥天女の像(完結篇)」
    ( 女性 1927.06.(1927.01.〜06.) )(国DC※)第一回欠
    不木部のみ『小酒井不木全集17探偵小説中篇集』 改造社 1930.10.10 (国DC※)
    ( カッパまがじん 1977.01. )
    『覆面の佳人/吉祥天女の像 合作探偵小説コレクション5』日下三蔵編 春陽堂書店 2024.01.10
     甲賀三郎は上野での探偵趣味の会からの帰途、娘のあとをつけ女性の死体を発見、娘が落した手提の中の吉祥天女の像を調べる。牧逸馬は甲賀から手紙を受取り、大阪Dホテルでの玉嶋すみ子未亡人の死と吉祥天女の像の消失に関係していると調査、横溝へ電話中気を失う。横溝正史は牧から赤い紐を受け取る、またカフェリリーで女から話を聞く、後をつけた玉突屋で意識を失う。 高田義一郎は横溝を助け、女性の死体を検死し、吉祥天女の像のことを知る。岡田三郎は高田から話を聞いて、男の自動車の後を追うなどしてカフェや玉突屋へ行く。小酒井不木は女性誌編輯主任古川から話を聞く、そして解決へと……。
     甲賀三郎、牧逸馬、溝正史、高田義一カ、岡田三カ、小酒井不木 によるリレー小説。自作部分では作者自身の経験として語られる。各自の得意の部分が出ていて興味深い。作品自体は甲賀三郎の導入部となにより一貫性が欠ける展開をまとめて強引に力業で結末をつけた小酒井不木に脱帽。
  86. 「体格検査」
    ( キング 1927.06. )
    『人工心臓』 国書刊行会・探偵クラブ 1994.09.20 (青空)
     小学同窓であった藤岡さんが訪ねて来て入学試験の事になった時、良い体格の彼が二度も陸軍士官学校の体格検査で不合格になった顛末を語ってくれた。一度目は二銭銅貨大の禿のため、二度目は……。
     日露戦争後の事だろうか。軍医は倍率が高くて落そうとする傾向にあったのだろうか。見抜けない軍医の質を揶揄しているわけではないと思うが時代的によくわからない。
  87. 「脅迫状」
    ( 文芸講談 1927.06. )
    ( 『小酒井不木集』 春陽堂・探偵小説全集2 1929.10.08 )(国DC)
    『小酒井不木全集16探偵小説短篇集』 改造社 1930.09.15 (国DC※)
     私大野が私立探偵となって初めて解決した事件。内科医で旧友小森が訪ねてきて、死んだ実業家友田夫人の新聞写真が病床の顏と違うという。友田邸の老婆は氏は留守、出所したピストル強盗吉田玉吉から夫人宛に脅迫状がきていたという。氏からの電話により会いに行くと……。
     偶然のきっかけためか安易なところが多い。大きな事件にる前段階だったとしても。
  88. 「ふしぎな顔」
    ( 幼年の友 1927.06.? )
  89. 「血友病」
    ( サンデー毎日 1927.07.17 )
    『小酒井不木全集16探偵小説短篇集』 改造社 1930.09.15 (国DC※)
    『怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 恋愛曲線』日下三蔵編 ちくま文庫(か-35-06) 2002.02.06 (青空)
     信念をもって精神を緊張させたなら生命を保つ。医師村尾は老婆と二人暮らしの下山老婦人が病気とのことで招かれた。老婦人は一度血が出たら止まらない血統があり、母と共に祈り、月のものもなく、百五十歳になったという。ところが突然、月のものが始まったという。村尾は血友病とのことで……。
     奇譚。さすがにあり得るとも思えない話。
  90. 「玉振時計の祕密」 (「時計の秘密」「玉振り時計の祕密」)[塚原俊夫]
    ( 少年倶楽部 1927.07. )
    『小酒井不木集』 平凡社・現代大衆文学全集7 1928.03.01
    ( 『小酒井不木集』 春陽堂・探偵小説全集2 1929.10.08 )(国DC)
    『小酒井不木全集13探偵小説短篇集』 改造社 1930.06.15 (国DC※)
    ( 『少年科学探偵』 春陽堂少年文庫(152) 1932.12.25 )
    ( 『少年探偵 紅色ダイヤ』 世界社 1948.06.10 )(国DC)
    ( 『少年探偵小説集』中島河太郎編 三一書房・少年小説大系7 1986.06.30 )
    『小酒井不木探偵小説選』 論創社・論創ミステリ叢書8 2004.07.25 (青空)
    『少年科学探偵』 真珠書院パール文庫 2013.08.10
     俊夫君の解決した事件、犯人はどこに手抜かりがあったのでしょうか。小野龍太郎は佐久間氏を訪ねてピストルで殺し、時計の時刻を細工しました。俊夫君は現場を調べ、龍太郎に問い、……。
     少年探偵の活躍。どのようにカマを掛けるかが正しい。時刻細工は見ただけでわかると思うが。
  91. 「現場の写真」 [塚原俊夫]
    ( 少年倶楽部 1927.08. )
    『小酒井不木探偵小説選』 論創社・論創ミステリ叢書8 2004.07.25 (青空)
     小田刑事が訪ねてきて浅草Y町の株屋殺しの証拠を見つけてほしいとのことです。被害者鈴木泰介は手代の甚吉を篠田さんのところへ使いに出し、湯屋から戻った後に顔見知りと思われる人物に刺殺されていました。篠田さんは留守でした。俊夫君は現場の写真を見て…。
     少年探偵の活躍。一点だけは条件の絞り込みに無理がある。条件を満たす容疑者という点ではある意味意表をつく作品。
  92. 「物言ふ林檎」 [常岡探偵]
    ( 日本少年 1927.08. )
    『小酒井不木全集15闘病余録及断片』 改造社 1930.08.18 (国DC※)
     露本家の一人娘さだ子嬢が絞殺され、常岡氏が探偵主任となって捜査しました。主人は夫人の見舞いで留守、女中お時と書生橋田はさだ子から暇を言われて外出し、お時が帰宅して発見しました。林檎の皿にはナイフと食べかけの歯のあとのついた林檎がありました。歯の特徴から結婚を反対されていた雁屋が呼ばれました。彼は電話で呼び出されて家に戻ったと言います。常岡探偵は皿の上の林檎から……。
     ニュートンの例から観察を促す話。または墓穴を掘る話。不自然なことまではわかるが特定は困難。
  93. 「機械人間」
    ( 講談倶楽部 1927.09. )
    『叢書新青年 小酒井不木』 博文館新社 1994.04.25
     私が他人の命ずるまま動くことによって殺人事件が解決された話。私は就職口もなく空腹で浅草寺のベンチに座っていると、隣に座った女性が化粧をし、話しかけてきた。模造ダイヤの指輪だからと渡された私は言われたままに質屋へ行く。主人と深野恒一刑事は広田男爵未亡人が殺害され盗まれた指輪だという。私は深野刑事に言われるまま器械のようにタイガア酒場へ行って……。
     SFではない。空腹でというわけではなくなるが機械のように言われるがまま行動したことによって事件が解決したというのは面白い。やはり金目当てだったのだろうか。
  94. 「ある自殺者の手記」
    ( サンデー毎日 1927.09.01 )
    『小酒井不木全集3探偵小説短篇集』 改造社 1929.05.25 (国DC※)
    『怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 恋愛曲線』日下三蔵編 ちくま文庫(か-35-06) 2002.02.06 (青空)
     加藤君宛の手記。加藤君が恒子さんと接吻したのを見て私加藤は失恋し自殺を決意した。毒の入手は医者の私たちには容易だ。しかし自殺の方法を考えているうちに生への執着に気付いた。スプリングボードが必要だ。死の道連れ、三人で死のう……。
     ネタ自体はありふれているが記述は上手く書かれている。動機がスプリングボードというのも意表をつかれる発想。
  95. 「姙術魔」
    ( 苦楽 1927.10. )(蟹江)
    ( 『小酒井不木集』 改造社・日本探偵小説全集1 1930.03.20 )(国DC)
    『小酒井不木全集16探偵小説短篇集』 改造社 1930.09.15 (国DC※)
     婦人科医黒瀬小太郎は子供ができないという土屋弘子にできるような手術をした。黒瀬は叔父を殺し財産を得ようと決心していたが彼女への関心で延びていた。もう一度会いたいと思ったが診療簿の名前も住所も出鱈目だった。黒瀬は自身にはワクチンを打ち、チブスを葛饅頭に仕込み叔父の家へ行くが……。
     皮肉な結末の話。偶然ではあるがあり得ると思われる範囲内。残りがありそうで気になる。
  96. 「死体蝋燭」
    ( 新青年 1927.10. )
    『創作探偵小説選集 一九二七年版』探偵趣味の会編 春陽堂書店 1928.01.01/復刻版 1994.04.10 (国DC※)
    『小酒井不木全集3探偵小説短篇集』 改造社 1929.05.25 (国DC※)
    ( 『小酒井不木傑作選集』 博文館・新青年叢書3 1929.06.18 )
    別冊いんなあとりっぷ『怪奇・幻想小説の世界』 1976.04.
    ( 『怪奇探偵小説集』鮎川哲也編 双葉新書 1976.02.10 )
    『怪奇探偵小説集1』鮎川哲也編 双葉ポケット文庫(あ-02-01) 1983.12.25
    『怪奇探偵小説集1』鮎川哲也編 ハルキ文庫(あ-04-01) 1998.05.18 (青空)
    『怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 恋愛曲線』日下三蔵編 ちくま文庫(か-35-06) 2002.02.06
     暴風雨の夜、和尚は法信と手蜀の蝋燭に火をつけて本堂の見回りをする。和尚は阿弥陀様の前で懺悔話を始めた。人間が焼ける匂いが好きになって、とうとう以前いた良順を殺して脂肪を蝋燭に混ぜたという。最後の一本となり、法信に覚悟をせまる。出来なければ人を殺すのを手伝えといい……。
     舞台の雰囲気と若干唐突だが一転したオチは上手い。佳作。
  97. 「血染の日誌」 [常岡探偵]
    ( 日本少年 1927.10. )(奈落)
    『小酒井不木全集15闘病余録及断片』 改造社 1930.08.18 (国DC※)
     常岡探偵は血染の日誌から手懸りを見つけようとしていた。小説家牛山修宅で友人の北村幾三と八時から会い、帰ったあと日誌を書いている途中で射殺されていた。十一時半頃に銃声を聞いた者がいた。天王、松から桐。常岡探偵の出した新聞記事を見て現われた青年……。
     知る人のみ知っている暗号のようなもの。証拠は最後に簡単に。
  98. 「記憶抹殺術」
    ( 講談倶楽部増刊 1927.10. )
    『叢書新青年 小酒井不木』 博文館新社 1994.04.25
     記憶抹殺術を発見した医師に患者は幻影に悩まされる苦しみから救って欲しいという。友人の弓原総平は細君と富谷の仲を疑い富谷を殺して逮捕された。逮捕後に細君の世話をしていたが嫉妬で恨まれるようになった。細君はしばらくして病死した。死刑執行の晩に見た弓原の幻影。別荘へ行くときに見た幻影。医師は記憶抹殺の注射をするが……。
     あまりにも唐突な設定の結末。記憶違いというのは面白い着想ではあるが。
  99. 「自殺か他殺か」 [塚原俊夫]
    ( 少年倶楽部 1927.11. )
    『叢書新青年 小酒井不木』 博文館新社 1994.04.25
    『小酒井不木探偵小説選』 論創社・論創ミステリ叢書8 2004.07.25 (青空)
     小田刑事が訪ねてきて藤田又蔵老人の死が自殺なのかどうかを調べてほしいといいます。遺言書は行方がわからない甥の瀬木福松に譲るとあります。俊夫君は眼科医の診察料の領収書などを見つけて聞きにいきます。新聞は自殺の報道をして……。
     少年探偵の活躍。自殺でも他殺でも問題はないように思われるのになぜだろうか。決定的な物証はないまま。
  100. 「二重人格者」
    ( 新青年 1927.11. )(奈落)
    『小酒井不木全集3探偵小説短篇集』 改造社 1929.05.25 (国DC※)
    ( 『小酒井不木傑作選集』 博文館・新青年叢書3 1929.06.18 )
    『人工心臓』 国書刊行会・探偵クラブ 1994.09.20 (青空)
     河村八九郎は大星由良之助と高師直との二重人格になった。徐々に変わる感覚が短くなり、両親は同時になった時の我と我が身の破滅を怖れ医師に相談した。紹介された鬼頭博士は、虹になりたいという患者を治したり、腰から下が石になったという患者を治したり、笑えない患者を治したりしていた。交代時間を長くして欲しいという両親の願いに対して博士は……。
     ナンセンスな話。解決方法やその過程描写は面白い。笑えない男の対応方法はよくわからないし、最後のオチもどのようになのかはっきりしないが。
  101. 「赦罪」
    ( 新青年 1927.11. )(奈落)
    『小酒井不木全集3探偵小説短篇集』 改造社 1929.05.25 (国DC※)
     青野医学博士は片眼で嫉妬深かった。鶏卵大の蔵書印をページ毎に押したり、長男が生まれた時には血液検査をしたり。夫人が第三者の胤を宿した時、人工流産しても血液を調べられるという事で夫と同じ片眼である事を願った。妊娠中に絵像を見ていると似た子が生まれるということで夫の顔を見つめる夫人。生まれてきたのは……。
     ナンセンス話。あり得ない意外性に唖然。
  102. 「一つの欠点」
    ( 講談倶楽部 1928.01. )
    『小酒井不木全集15闘病余録及断片』 改造社 1930.08.18 (国DC※)
     名彫刻師木沼一慶には名作の等身大の弁天像があった。将軍義政の命で建立した八坂開運寺の伽藍に運ばれた。一慶には俊慶という優秀な弟子があったが素行が悪く勘当していた。一慶は俊慶の批評を聞きたくて開帳の日に堂内に隠れて様子をうかがっていた。俊慶はたった一つ欠点がある、と。一慶はその後病気になり俊慶を呼んで問うと……。
     意外といえば意外だが古代では確かに欠点かも。良い話。
  103. 「屍を(合作)」
    ( 探偵趣味 1928.01. )(奈落)
    『叢書新青年 小酒井不木』 博文館新社 1994.04.25
    『合作探偵小説 屍を 他6編』江戸川乱歩 春陽文庫(C01-39) 1994.05.10
    『江戸川乱歩に愛をこめて』ミステリー文学資料館編 光文社文庫(み-19-37) 2011.02.20
     彼は法医学教室死体解剖室に忍び込む。闇の中、地下室へ、カフェーのウエートレスの絞殺死体へと。懐中電灯のなか、照らされる女の皮膚。彼は満足げに家に戻ると……。
     猟奇趣味小説というべきか。前半を江戸川乱歩、後半を小酒井不木が書いたと思われる。前半の描写はさすが乱歩というべきか。
  104. 「深夜の電話」 [塚原俊夫]
    ( 子供の科学 1928.01.〜05. )
    『小酒井不木探偵小説選』 論創社・論創ミステリ叢書8 2004.07.25 (青空)
     夜、俊夫君に電話がかかってきました。有名人を殺したというのです。警察にもかかってきて女優川上糸子の死体を見つけました。小田刑事は俊夫君に進呈と書かれた紙片があったこともあり捜査を依頼します。死体の消失、伊豆山の相州屋の糸子……。
     少年探偵の活躍。犯人からの挑戦と思いきやまさかの理由。なぜあったのか不明な暗号など恨みにしても謎が多い。
  105. 「遂に鐘は鳴つた」
    ( サンデー毎日 1928.01.01 )(蟹江)
    ( 『小酒井不木集』 春陽堂・探偵小説全集2 1929.10.08 )(国DC)
    『小酒井不木全集16探偵小説短篇集』 改造社 1930.09.15 (国DC※)
     港町の寺院の大梵鐘を鶴吉亀吉兄弟が鋳造することになった。鋳物師鮫蔵父子は人格により町の反感をかっていて選にもれていた。兄弟は最初鋳型の不備で失敗、再鋳造に取りかかった。再鋳造前夜、亀吉が行方不明になった。鶴吉は完成させたが鐘を突いても響かなかった。私は毎日鐘を突く鶴吉のところに通った。百日目、今日こそは鐘が鳴ると鶴吉は言う。空も風も鳥も昆虫も……。
     超自然現象なのか、科学では明確になっていないだけなのか、偶然か。その時だけであれば不思議はないかもしれない。
  106. 「蛙の鳴き声」
    ( 少女倶楽部付録『日本イソップ』 1928.01. )
  107. 「輪投げ」
    ( 少年倶楽部付録『世界美談宝玉集』 1928.01. )
  108. 「見得ぬ顔」
    ( 新青年 1928.01. )(奈落)
    『創作探偵小説選集 一九二八年版』探偵趣味の会編 春陽堂書店 1929.02.13/復刻版 1994.04.10
    『小酒井不木全集3探偵小説短篇集』 改造社 1929.05.25 (国DC※)
    ( 『小酒井不木傑作選集』 博文館・新青年叢書3 1929.06.18 )
     庄司弁護士は富豪山岸を川村が殺したと自白した公判を傍聴していた。川村は煩わしいので成行きで自白したが死刑なれば真犯人が自首し司直の責任になるので翻したと公判で言う。庄司弁護士は先入観かもしれないが無罪だと感じていた。婦人が来訪し弁護を依頼する。真犯人を知っているが死刑台に送ることは出来ないという。庄司弁護士は業務上知り得た他人の秘密を黙秘する権利を利用し弁護する。証拠不十分となった夜、男が、婦人が来訪し……。
     先入観や自白偏重を扱った問題作。最後まで先入観が効いている。佳作。
  109. 「邂逅」
    ( 文芸倶楽部 1928.01. )(蟹江)
    ( 『小酒井不木集』 改造社・日本探偵小説全集1 1930.03.20 )(国DC)
    『小酒井不木全集17探偵小説中篇集』 改造社 1930.10.10 (国DC※)
     覆面の盗賊は老人だった。三十年前に別れた子供を探していて逢うまでは死にたくも刑務所に行きたくもないという。主人が警察へ電話するように言うが夫人は眼の下の痣から別れた父だと言う。罪を冒した者を父とは呼べず名乗れないが許してやって欲しいと。主人は許し、放免された老人を追う一人息子は……。
     機転の効いた話。意外といえば意外な結末。
  110. 「雪の夜の惨劇」
    ( 雄弁 1928.01.〜 )
    ( 『小酒井不木集』 春陽堂・探偵小説全集2 1929.10.08 )(国DC)
    『小酒井不木全集9探偵小説中篇集』 改造社 1930.01.28 (国DC※)
    ( 『大雷雨夜の殺人』 日本小説文庫(415) 1936.11.05 )
    『大雷雨夜の殺人 他8編』 春陽文庫(C98-01) 1995.02.25
     空知雪夫は水野露子との結婚の許しを得ようとしたが財産目当てだと叔父零蔵に断られる。弁護士雲井源治と叔父との密談。遺言状のありかと霧村一家のこと。こじ開けられた雨戸を見て女中お霜が、零蔵が座敷で殺されているのを発見する。雪夫は隠されていた遺書を盗んでいたが捕らえられる。露子は私立探偵西山電吉に依頼して……。
     西山電吉の活躍物語。隠し方など小ネタはあるが一番は変装か。
  111. 「大雷雨夜の殺人」
    ( 講談倶楽部 1928.01.〜 )
    『小酒井不木全集4探偵小説長篇集』 改造社 1929.08.23 (国DC※)
    ( 『大雷雨夜の殺人』 日本小説文庫(415) 1936.11.05 )
    『大雷雨夜の殺人 他8編』 春陽文庫(C98-01) 1995.02.25
     豪雨の後の名古屋、宇津保巡査は道化役者のような男をみかけ誰何するが逃げられてしまう。戻ると死体があった。近くのお素女婆さんに灯りを借り、久呂木医師に見てもらうと絞殺らしい。彼は稲光の時に男二人が争っているのを見たという。門前署刑事柏桂五郎はカフェ・アンナで茨木進といたが新聞を見て出て行ったという。茨木は列車で知り合い写真の女を探しにダバオから来たという……。
     事件を追っていく探偵物語。逮捕後の判明ではあるが、大雷雨が大きな役割を果たしていたというのはよく考えられているし面白いところもある。
  112. 「酩酊紳士」
    ( 百華新聞 1928.01.xx〜 )(蟹江)
    ( 『小酒井不木集』 春陽堂・探偵小説全集2 1929.10.08 )(国DC)
    『小酒井不木全集16探偵小説短篇集』 改造社 1930.09.15 (国DC※)
     鶴舞公園前駐在所の亀田巡査が公園を巡回していると、霧の中で酔った本田義郎と送ろうという山川の声がしていた。派出所へ戻ると本田の弟が家の前で兄が絞殺されていたと駆けつけてきた。金楽亭での向井の送別会の帰りで、山川と津山は兄に借金があり、兄は山川の弱点も知っていて殺されるかもしれないと言っていたという。鳥野刑事の聞き込みで数日前にも悲鳴があったという。山川は向井の送別で金楽亭女中の、津山は高熱で看護婦の証言もあった。鳥野刑事はその後も……。
     アリバイ崩し。偶然に頼って危険性大であるが考えられている。
  113. 「ラムール(合作)」江戸川乱歩、小酒井不木
    ( 騒人 1928.01. )(奈落)
    『悪人志願』江戸川乱歩 博文館・新青年叢書4 1929.06.21
    ( 『江戸川乱歩全集9』江戸川乱歩 平凡社 1932.03.10 )(国DC※)
    ( 新探偵小説 1948.02. )
    ( 『鬼の言葉』 講談社・江戸川乱歩全集16 1979.02.20 )
    『悪人志願』 講談社・江戸川乱歩推理文庫48 1988.11.08
    『叢書新青年 小酒井不木』 博文館新社 1994.04.25
    ( 『乱歩(下)』 講談社 1994.09.20 )
    ( 『江戸川乱歩全集24悪人志願』 光文社文庫(え-06-27) 2005.10.20 )
     私は右腕を切断された友人の天才ピアニストの治療をした。私は告げることができないでいた。彼は空手でパデレウスキーのラムールを弾く。私は思わず右の上腕の尺骨神経の幹を圧迫する……。
     怪奇現象ではあるがあっさりしていて怪談という感じはしない。江戸川乱歩の「指」の方が怪奇味が強い。
  114. 「うゐらう」 (「ういろう」)
    ( サンデー毎日 1928.03. )
    『覆面の佳人/吉祥天女の像 合作探偵小説コレクション5』日下三蔵編 春陽堂書店 2024.01.10
     名古屋を背景にした物語という事で解剖学者Tが訪ねてきたのを幸いに、待合で名古屋弁と名古屋情緒の話をと小染をよんでもらった。ういろうで一寸した話があるという。宴会で各自あみだくじにあたった食べ物を買ってくる。I先生のネクタイピンのダイヤがなくなり……。
     耽綺社メンバーによる「六大都市小説」の一つ。名古屋弁とつじつまの合わない展開が面白い。
  115. 「二十年後」
    ( 文藝春秋 1928.03. )
    ( 『小酒井不木集』 改造社・日本探偵小説全集1 1930.03.20 )(国DC)
    『小酒井不木全集14探偵小説集』 改造社 1930.07.15 (国DC※)
     右親指のない鋼鉄王松山氏は電鉄会社社長杉田氏に招かれたが十一時に用があるという事で辞した。二十年前、失恋で海岸の崖から飛び込み自殺をしようとして同じような境遇の男を助け、二十年後の再開を約していたのだ。自殺しようとしていた夫婦を助けようとしたが線路上に倒れたまま気絶し……。
     死んだ気になって働いた二十年後の良くもほろ苦くもある話。自殺の名所なのか、自殺しようとする人が多い。
  116. 「展望塔の死美人」
    ( 講談倶楽部増刊 1928.04. )(蟹江)
    ( 『小酒井不木集』 春陽堂・探偵小説全集2 1929.10.08 )(国DC)
    『小酒井不木全集9探偵小説中篇集』 改造社 1930.01.28 (国DC※)
    ( 『展望塔の死美人』 日本小説文庫(416) 1936.10.30 )
    『小酒井不木探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書109 2017.11.30
     Yデパート展望塔のベンチで映画女優花房八重子が眠るように死んでいた。指に青酸注射をされたらしい。良人西村安雄は神経痛で病臥中で主治医から睡眠剤を与えられていたので弟の西村隼人が出頭してきた。探偵主任の依田は目撃者を求める広告を出すと、ロイド眼鏡に顔中髭もじゃの男が二度現れたことが判明する。以前同棲していた福井耕三が変装していたらしい。依田探偵は福井に会い……。
     冒頭はショッキングなシーンだが殺害手段はすぐ明かされる。いろいろ疑わしく惑わす描写があるがあっさりした結末。
  117. 「二人の思想家」
    ( 新青年 1928.04. )
    『小酒井不木全集3探偵小説短篇集』 改造社 1929.05.25 (国DC※)
    ( 『小酒井不木傑作選集』 博文館・新青年叢書3 1929.06.18 )
     青年詩人Dは結社の籤で殺人の実行責任者になってしまった。公憤の為に殺しても良いと思っているが私情の為に殺せない状態だった。青年医学者Wに勇気を与えてもらいたいと相談する。Wは心を批評する。愛国心は愛己心が昇華したもので愛国心の前に愛己心が犠牲になるのは当然。断続的興奮と異常な興奮で実施する詩人タイプと連続的興奮で実施する科学者タイプ。相手がF大臣だと聞くとWは殺してはいけないと言う。翌日……。
     思想家は一人のような。いわゆる背中を押してくれる人、きっかけを与えてくれる人によるという事だろうか。
  118. 「懐疑狂時代」
    ( 東京日日新聞 1928.04.01〜05.17 )
    ( 『大衆文学集 昭和四年版』文芸家協会編 新潮社 1929.05.14(国05.17) )(国DC※)
    『小酒井不木全集9探偵小説中篇集』 改造社 1930.01.28 (国DC※)
    ( 『小酒井不木集』 改造社・日本探偵小説全集1 1930.03.20 )(国DC)
     鹿星弊助青年は懐疑狂的強迫観念で母を殺す衝動に襲われていた。勝浦博士の処方で生活環境を変え西東ホテルで生活していた。カフェー・ミニヨンで出会った片眼鏡の男。殺人衝動を抑えず人殺しに出かけようと誘う。死にたくても死ねない人間と殺人的衝動に悩む人間を集めた両善倶楽部。殺人衝動者は感泣し、死を待つ人は快活する。金槌での実施見学、そして弊助の相手は毒の注射を望む婦人……。
     冒頭の行動と会話までは飛んだ発想が面白い。中盤以降猟奇的になっていく。やり直しができないだけに結末は安易と感じる。
  119. 「黄色の街」(耽綺社作者当て)
    ( サンデー毎日 1928.04.15 )
    『叢書新青年 小酒井不木』 博文館新社 1994.04.25
     探偵作家は安槌富士弥は「黄色の街」という題で恋愛探偵小説の依頼があった。窮して「人獣換魂薬」「指紋の表情」のヒントを仰いだ篠田医学士に相談する。彼は恋愛は肝臓に関係するという。従妹多喜子との初恋、二人は異母兄弟だとわかり心中をしようとする。待ち合わせ場所で見たのはもう一人の富士弥。黄色の街の中を追っていくと……。
     幻想との事だがあまり感じられない。色覚異常はよくわからないが医学者らしい発想。
  120. 「恋魔怪曲」
    ( 講談雑誌 1928.05.〜10. )
    『小酒井不木全集4探偵小説長篇集』 改造社 1929.08.23 (国DC※)
    ( 『展望塔の死美人』 日本小説文庫(416) 1936.10.30 )
    『森下雨村 小酒井不木 ミステリー・レガシー』ミステリー文学資料館編 光文社文庫(み-19-53) 2019.05.20
     羽黒晋男爵は舞踏会で易者越野銀三郎に手相を見てもらう事になり、恋が遂げられるまで二人以上が死に殺人事件に巻き込まれると言われる。盲目の東雲伯爵の養女勢都子との仲はまだ知られていなかった。東雲家下男健三が届けてきた勢都子からの手紙では、越野の予言の通り五歳の時に誘拐された保が帰ってきて伯爵は二人の結婚を望んでいるが、一時実家に戻っている乳母お勝に保の鑑定させるという。 羽黒はお勝に会い、足の裏の痣の事と米山道参が勢都子の父である事を聞く。病床の伯爵は越野と舟木弁護士とで遺言の書き替えを行い亡くなる。お勝が東雲家へタクシーで着くと毒殺されていた。渋尾英一刑事の聴取、嫌疑がかかる羽黒男爵、遺言の内容、保の過去。越野開催の仮面無礼講に忍び入る羽黒と健三……。
     掲載誌に依るのであろう通俗探偵小説。筋や道具立ては悪くはないのだが、人物や背景などの描写や説明が浅く行動の必然性がわからない。個人的には主人公に少しも面白味や魅力を感じる部分がないのがつらい。
  121. 「二つの死体」
    ( キング 1928.06. )
    『叢書新青年 小酒井不木』 博文館新社 1994.04.25
     雑誌記者の私杉山が懇意にしている元法医学者雉野康彦を訪れるとその前の行動を言い当てられる。彼は種を割れば呆気ない奇抜な事件を話してくれた。大正八年夏、府下××村で同じ五分刈りで同じ着物を着た二人の裸足の男の死体が見つかった。一人は神社で首を吊って自殺、もう一人は橋から落ちて溺死したらしい。首を吊った男は豆腐屋で豆腐を買えず、溺死した男は豆腐の欠片と鎹を握っていた。二人の身許と理由はわからなかったが……。
     結末は意表をつくがあっけない。豆腐汁を出した宿屋の数とか身許判明に時間がかかった理由とか考えられている。ナンセンス気味で面白く良い感じの作品。
  122. 「好色破邪顕正」
    ( 現代 1928.06.〜08. )
    『小酒井不木探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書109 2017.11.30
    《以下は第一回分欠》
    ( 『小酒井不木集』 春陽堂・探偵小説全集2 1929.10.08 )(国DC)
    『小酒井不木全集14探偵小説集』 改造社 1930.07.15 (国DC※)
    ( 『闘争』 春秋社 1935.10.05 )
    ( 『大雷雨夜の殺人』 日本小説文庫(415) 1936.11.05 )
    別冊幻影城『小酒井不木』 1978.03.
    『大雷雨夜の殺人 他8編』 春陽文庫(C98-01) 1995.02.25
    『怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 恋愛曲線』日下三蔵編 ちくま文庫(か-35-06) 2002.02.06 (青空)
    『人間心理の怪』志村有弘編 勉誠出版べんせいライブラリー・ミステリーセレクション 2003.03.15
     戸針康雄の趣味は珍本稀覯本の蒐集で、名古屋袋町の書肆古泉堂の紺野小太郎から『好色破邪顕正』を購入する。帰途、若い女に助けを求められ家へ連れていく。本を失くした。女は朝、書置きを残していなくなっていた。大平八蔵刺殺事件の新聞記事。刑事丑松滝太郎が来訪し、女の話を聞くことになった。現場で見つかった物。再度女から話を聞いて戸針は……。
     偶然や告白から明らかになっていく探偵物語。第一回の稀覯本入手心理はなかなか面白い。生前著書から第一回が欠けてるが、なぜか大きな支障はなく、違和感もない。
  123. 「墓地の殺人」 [塚原俊夫]
    ( 子供の科学 1928.07.〜12. )
    ( 『少年科学探偵』 春陽堂少年文庫(152) 1932.12.25 )
    『小酒井不木探偵小説選』 論創社・論創ミステリ叢書8 2004.07.25 (青空)
     俊夫君が一番骨を折った事件。浅草東泉寺の墓地で身許不明の男が殺されていました。左右も同じようなお寺です。男は西洋料理を二人で食べていたことがわかり、店には歯科医大村貞三の名刺が残っていました。震災で死んだと思われ妻子は名古屋へ戻っていました。俊夫君と私は名古屋へ行き、被害者が稲村勝之であること、代診をしていた石川五郎の骨相が犯罪者タイプということで……。
     少年探偵の推測による活躍。骨相学はさすがに無理がある。真相は別だとしても。当時として名古屋へ行くのがホネというのはそうかもしれない。
  124. 「得意な容疑者」
    ( 講談倶楽部 1929.01. )(蟹江)
    ( 『小酒井不木集』 改造社・日本探偵小説全集1 1930.03.20 )(国DC)
    『小酒井不木全集17探偵小説中篇集』 改造社 1930.10.10 (国DC※)
     藤原検事は犯人は得意な時に自己を裏切るという。現場を少し違えて読み聞かせ、容疑者にうっかり本当のことを言わせる心理探偵法を試していた。屋島は高利貸し七兵衛を証拠を残さず殺そうとした。検事に呼び出され心理検査を受けた屋島は紙片を読み間違いなく陳述したが……。
     得意な時というのを逆手にとった捻りのある作品。一般的にもありがちな話。
  125. 「被尾行者」
    ( サンデー毎日 1929.01. )
    『人工心臓』 国書刊行会・探偵クラブ 1994.09.20 (青空)
     貴金属宝石商店員の梅本清三は主人と密談していた男と同じ市内電車に乗っていた。尾行されている。彼は恋人妙子のために借金をして店の指輪を無断で質に入れていた。途中下車してカフェ・オーキッドに入って飲んでいて気付くとその男がいた。裏口から出させてもらい下宿に帰るとその男が来ていたという。国際生命保険会社の白木又三郎。飛び出した叔父のところでかくまってもらおうか。翌日、妙子と合いそこでも男が……。
     被尾行者の心理が書かれた作品。偶然が多く感じるが、寄り道したり早く家を出たり、それなりに考慮しているのはさすが。
  126. 「椎の実」
    ( 少女倶楽部 1929.01. )
  127. 「欺く者はなげく」
    ( 少年倶楽部 1929.02. )(奈落)
    『小酒井不木全集15闘病余録及断片』 改造社 1930.08.18 (国DC※)
     裕福な驢馬は子が無く、狐の子を貰うことにしました。生長した狐は都に行って暮したいと思いますが驢馬は反対します。湖のほとりで血の付いた衣服が見つかり、大金を持って家を出た狐が強盗に襲われ湖に沈められたと思った驢馬は後悔して両眼を泣きつぶしても回向を怠りませんでした。声がしました……。
     寓話。親不孝の顛末は自己投影の影響があるようにも思われる。
  128. 「兄弟」
    ( 少女倶楽部 1929.03. )
  129. 「網膜現像」
    ( キング 1929.04. )(蟹江)
    ( 『小酒井不木集』 春陽堂・探偵小説全集2 1929.10.08 )(国DC)
    『小酒井不木全集16探偵小説短篇集』 改造社 1930.09.15 (国DC※)
    ( 『闘争』 春秋社 1935.10.05 )
     小原検事は山本に女の死体を見せて自白を迫るが男は否定する。法医学者鳥井が発見した捜査方法とは、網膜に映る映像は新陳代謝をするが死の直前のは保存され、現像することだった。拡大投射鏡によって映し出されたものは……。
     SF風な作品。教養のある人間には科学的に、というのは逆のように思えるが。
  130. 「闘争」
    ( 新青年 1929.05. )
    『小酒井不木全集3探偵小説短篇集』 改造社 1929.05.25 (国DC※)
    ( 『小酒井不木傑作選集』 博文館・新青年叢書3 1929.06.18 )
    ( 『恋愛曲線』 日本小説文庫(219) 1932.12.15 )(国DC)
    ( 『闘争』 春秋社 1935.10.05 )
    ( 『江戸川乱歩愛誦探偵小説集(上)』 岩谷書店 1947.06.30 )
    『黄金の書 日本探偵小説傑作集1』江戸川乱歩編 まひる書房 1947.06.15
    宝石 1952.04.
    ( 『短篇集 城昌幸・小酒井不木篇 猟銃 他十九篇/恋愛曲線』 春陽堂・日本探偵小説全集13 1954.05.30 )
    『新青年傑作選2怪奇・幻想小説編』中島河太郎編 立風書房 1970.03.25/新装版 1974.12.30/新々装版 1991.07.01
    ( 『大衆文学大系30短篇(下)』 講談社 1973.10.20 )
    ( 『現代推理小説大系8 短編名作集』 講談社 1973.07.08 )
    別冊幻影城『小酒井不木』 1978.03.
    『日本探偵小説全集1 黒岩涙香・小酒井不木・甲賀三郎集』 創元推理文庫(400/Mん-01) 1984.12.21 (青空)
    『人工心臓』 国書刊行会・探偵クラブ 1994.09.20
    ( 『小酒井不木集』中島河太郎監修 リブリオ出版・くらしっくミステリーワールド6 1997.02.28 )
    『怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 恋愛曲線』日下三蔵編 ちくま文庫(か-35-06) 2002.02.06
    『森下雨村 小酒井不木 ミステリー・レガシー』ミステリー文学資料館編 光文社文庫(み-19-53) 2019.05.20
     K君への毛利先生の助手涌井からの手紙。毛利先生を失ったT大法医学教室、先に亡くなった狩尾博士。暗示による殺人はできないという脳質学派とできるという体液学派。不思議な広告文。福間警部からの北沢事件の再鑑定の依頼。北沢栄二のピストル自殺、自筆遺書、警察への投書、夫人と愛人緑川順。緑川の自白と実演。真相。投書の筆跡。遺書の再調査。広告文……。
     ライバル心による影響は納得できる。北沢事件の真相発見経緯は面白いがその背景の遺書や広告は飛躍し過ぎで超人的。上手い作品だが凡人は天才を理解できない。
  131. 「長生薬由来」
    ( 『帝国生命新築記念誌』帝国生命保健株式会社編 帝国生命保健 1929.05.05 )
    『小酒井不木全集17探偵小説中篇集』 改造社 1930.10.10 (国DC※)
     瀬河英吾は若返り薬を発見してフランスから帰朝した。高価で一定期間連続的に注射が必要ではあったが試験用に分譲されたものでも実証されていた。彼は製造と自身の過去を秘密にしていた。千万長者の娘勝子は瀬河との結婚の許しを父霜澤厳蔵から得ようとするが過去を秘していることと天にそむくことだと言って反対する。瀬河は勝子に過去と発見経緯を打ち明け、二人は厳蔵に薬を……。
     SF風ではあるがパラドックスを扱っているわけではなく、今日的観点から結末は物足らない。発表誌によるものだろうか。老人が子孫の邪魔をすることになるという風刺観はあるが。
  132. 「鼻に基く殺人」
    ( 文学時代 1929.05. )(奈落)
    『小酒井不木全集3探偵小説短篇集』 改造社 1929.05.25 (国DC※)
    ( 『小酒井不木傑作選集』 博文館・新青年叢書3 1929.06.18 )
    『怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 恋愛曲線』日下三蔵編 ちくま文庫(か-35-06) 2002.02.06 (青空)
    『モダニズム・ミステリ傑作選』長山靖生編 河出書房新社 2019.08.30
     由起子は愛犬ビリーの薬を取りに弟弘の部屋に入った。愛猟家近藤進が火薬爆発で死亡、事故と判明した記事と弘の筆跡で犯罪日誌と書かれた本があった。鼻が気に喰わなかったので殺害を決意、忍び込んで電球に火薬を仕込み……。
     動機が鼻というのは意表をついている。無差別殺人と変わらないが。薬袋と腕が白いというのも面白い発想。
  133. 「月代さばき」
    ( 少女倶楽部? 1929.05.? )
  134. 「絹をわかつ」
    ( 少年倶楽部 1929.06. )
  135. 「抱きつく瀕死者」
    ( 文芸倶楽部 1929.06. )(蟹江)
    『小酒井不木全集9探偵小説中篇集』 改造社 1930.01.28 (国DC※)
    ( 『小酒井不木集』 改造社・日本探偵小説全集1 1930.03.20 )(国DC)
    ( 『大雷雨夜の殺人』 日本小説文庫(415) 1936.11.05 )
    『大雷雨夜の殺人 他8編』 春陽文庫(C98-01) 1995.02.25
     H新聞社会部記者春木三郎がまゆみのいるカフェへと銀座を歩いていると男が抱きついてきて死んだ。毒死だった。カフェ明暗のマダムの昔の知人榛原鋭男で前夜に鬼頭三造とカフェに来ていたが、二人で一度出て深夜榛原だけ戻ったという。所持していた質札と玩具の包み。鬼頭は警察での聴取、榛原には……。
     二転三転しながら犯人と真相を追っていく探偵物語。伏線はほとんどなく、意外な犯人と結末。
  136. 「別人の血液」
    ( キング 1929.08. )
    『叢書新青年 小酒井不木』 博文館新社 1994.04.25
     家主奥田金兵衛は大工栄吉に家賃の催促をする。栄吉は不景気で仕事が思わしくなく、女房お花も胸の病。千葉の遠縁に頼みに行くことで夜まで猶予をもらう。その夜、金兵衛が森の中で殺されていた。現場には同じく催促されていた魚屋の甚七がいて血の付いた出刃包丁も見つかったが凶器ではなかった。甚七は丸井署長の訊問に殺意はあったが既に死んでいたという。栄吉は金の工面ができて帰っていたという。丸井署長は現場写真を見て血を調べると……。
     不快がらせず親切な応答をするという丸井署長が印象に残る。署長だから対応できるという気もしないではない。
  137. 「暗に躍る影」
    ( ? ? )
     ※島崎リストより



      翻訳、翻案(医学書を除く)

  1. 『スミルノ博士の日記』鳥井零水訳
    原作者:ドウーゼ
    ( 新青年、新青年増刊 1923.01.〜04. )
    ( 『スミルノ博士の日記』鳥井零水訳 博文館・探偵傑作叢書26 1924.10. )
    『小酒井不木全集3探偵小説短篇集』 改造社 1929.05.25 (国DC※)
    ( 『ドウーゼ集』 博文館・世界探偵小説全集13 1929.05.28 )
    ( 『小酒井不木探偵小説全集6翻訳集1』 本の友社 1992.06.25 )
  2. 『夜の冒険』鳥井零水訳
    原作者:ドウーゼ
    ( 新青年、新青年増刊 1923.04.〜10. )
    ( 『夜の冒険』鳥井零水訳 博文館・探偵傑作叢書21 1924.05.15 )
    ( 『ドウーゼ集』 博文館・世界探偵小説全集13 1929.05.28 )
    『小酒井不木全集9探偵小説中篇集』 改造社 1930.01.28 (国DC※)
    ( 『夜の冒険・孔雀の樹』 平凡社・世界探偵小説全集8 1931.01.10 )(国DC※)
    ( 『夜の冒険』 博文館・名作探偵10 1939.07.08 )(国DC※)
    ( 『夜の冒険』 日本出版共同・異色探偵小説選集7  1954.02.25 )(国DC※)
    ( 『小酒井不木探偵小説全集6翻訳集1』 本の友社 1992.06.25 )
  3. 「乾板上の三人」鳥井零水訳
    原作者:ローゼンハイン
    ( 新青年 1923.05. )
    『小酒井不木全集17探偵小説中篇集』 改造社 1930.10.10 (国DC※)
    ( 『小酒井不木探偵小説全集8翻訳集3』 本の友社 1992.06.25 )
  4. 「ルイ十五世の煙草匣」鳥井零水訳
    原作者:ローゼンハイン
    ( 新青年増刊 1923.08. )
  5. 「公爵の首」鳥井零水訳
    原作者:ルンケル
    ( 新青年増刊 1923.08. )
  6. 「白い蘭」鳥井零水訳
    原作者:ロォゼンハイン
    ( 新青年増刊 1924.01. )(奈落)
    ( 『世界短篇小説大系 探偵家庭小説篇』近代社編 近代社 1926.03.28 )(国DC※)
  7. 『生ける宝冠』
    原作者:ドウーゼ
    ( 国民新聞 1925.02.21〜06.19 )
    ( 『生ける宝冠』 博文館 1926.08. )
    ( 『生ける宝冠・孔雀の樹』 春陽堂・探偵小説全集11 1930.04.13 )
    『小酒井不木全集16探偵小説短篇集』 改造社 1930.09.15 (国DC※)
    ( 『生ける宝冠』 博文館・名作探偵18 1940.03.15(国04.15) )(国DC)
    ( 『小酒井不木探偵小説全集7翻訳集2』 本の友社 1992.06.25 )
  8. 『真夏の惨劇』 (『謎の短刀』)
    原作者:ウヰリアムス
    ( 新青年 1924.09.〜1925.04. )
    ( 『真夏の惨劇』 博文館 1925.07. )
    『小酒井不木全集14探偵小説集』 改造社 1930.07.15 (国DC※)
    ( 『謎の短刀』 博文館・名作探偵14 1939.10.25 )(国DC※)
    ( 『小酒井不木探偵小説全集8翻訳集3』 本の友社 1992.06.25 )
  9. 「孔雀の樹」
    原作者:チェスタトン
    ( 新青年増刊 1926.02. )
    ( 『死の接吻』 聚英閣・探偵名作叢書1 1926.05.25 )
    『小酒井不木全集4探偵小説長篇集』 改造社 1929.08.23 (国DC※)
    ( 『生ける宝冠・孔雀の樹』 春陽堂・探偵小説全集11 1930.04.13 )
    ( 『夜の冒険・孔雀の樹』 平凡社・世界探偵小説全集8 1931.01.10 )(国DC※)
    ( 『闘争』 春秋社 1935.10.05 )
    ( 『小酒井不木探偵小説全集8翻訳集3』 本の友社 1992.06.25 )
  10. 「復活」
    原作者:アンリ・ショウメ
    ( 女性 1926.10. )(国DC※)
  11. 「彼の死」
    原作者:クルビンスキー
    ( 大衆文芸 1926.11. )
  12. 「涙」
    原作者:アーメッド・ベイ
    ( 探偵趣味 1926.11. )
  13. 「他の女」
    原作者:クラウディオ・バスト
    ( 大衆文芸 1926.12. )
  14. 「死刑囚」
    原作者:ピエル・ミーユ
    ( 探偵趣味 1927.08. )(奈落)
  15. 「蜀江の錦(翻案)」
    原作者:ルブラン
    ( 富士 1928.06. )
    ( 『小酒井不木集』 春陽堂・探偵小説全集2 1929.10.08 )(国DC)
    『小酒井不木全集14探偵小説集』 改造社 1930.07.15 (国DC※)
    ( 『闘争』 春秋社 1935.10.05 )
    ( 『展望塔の死美人』 日本小説文庫(416) 1936.10.30 )
    ( 『小酒井不木探偵小説全集2短篇集2』 本の友社 1992.06.25 )
     ブラジル生まれの陸軍大佐諏訪宮が宗代の十枚揃いの蜀江の錦を購入したがマルセーユから巴里の間の貨車から一枚盗まれた。投書から取り戻すが龍蟠から改めて十枚頂戴するとの手紙が来た。大佐は警報装置を施し、保険をかけて保健会社の探偵三人が警備にあたった。披露会での警報のベル、停電、そして翌朝盗難の発覚。轢死体、インドから戻った蟹丸探偵の探査……。
     ルパン譚の翻案ダイジェスト?。人名と物は東洋風に改変。
  16. 「紅はこべ(ダイジェスト?)」 (「紅繁縷」)
    原作者:オルツィ
    ( 少年倶楽部 1928.07. )
  17. 『スペードのキング』
    原作者:ドウーゼ
    『スペードのキング・四枚のクラブ一』 改造社・世界大衆文学全集19 1929.06.03 (国DC)
    『小酒井不木全集17探偵小説中篇集』 改造社 1930.10.10 (国DC※)
    ( 『小酒井不木探偵小説全集7翻訳集2』 本の友社 1992.06.25 )
  18. 『四枚のクラブ一』
    原作者:ドウーゼ
    『スペードのキング・四枚のクラブ一』 改造社・世界大衆文学全集19 1929.06.03 (国DC)
  19. 「緑柱石の宝冠(講談式翻案)」
    原作者:ドイル
    ( 富士 1929.09. )
    ( 『小酒井不木集』 春陽堂・探偵小説全集2 1929.10.08 )(国DC)
    『小酒井不木全集14探偵小説集』 改造社 1930.07.15 (国DC※)
    ( 『展望塔の死美人』 日本小説文庫(416) 1936.10.30 )
    ( 『小酒井不木探偵小説全集2短篇集2』 本の友社 1992.06.25 )
     倫敦袂歌町の鳳君と私が話をしていると、豊田銀行頭取豊田有礼が来て自宅から担保として預かった緑柱石の宝冠の宝石が盗まれたという。当夜いたのは忰の朝麿、姪の百合子、お浜ほか女中三人。朝麿は萌木卿と付き合い有礼に金を無心していた。夜物音で目覚めると朝麿が宝冠を持っていたが宝石が三つ無くなっていた。朝麿は黙して語らない。鳳君と私は豊田宅へ行き調査する……。
     ホームズ譚の講談式翻訳。人名は日本風に改変。



      随筆・評論・犯罪実話・ほか探偵雑誌掲載作、収録作(抄)

  1. 「探偵小説(『学者気質』第五回)」
    ( 東京日日新聞 1921.09.10 )(奈落)
    ( 『学者気質』 洛陽堂 1921.12.08 )(国DC)
    ( 『学者気質』 春陽堂 1926.06.18 )
    『小酒井不木全集5闘病術及学者気質』 改造社 1929.07.25 (国DC※)
    『叢書新青年 小酒井不木』 博文館新社 1994.04.25
     学者気質の第五回。探偵小説は好奇心の満足意外に科学研究の為にもなる。見逃し易いことが手懸りに。ガボリオのルコック、ドイルのホームズ、ポーのヂュパンが初めての人には適当。事実の分析と合成。ポーの二論文も教えられることが多い。フリーマンのソーンダイクは目新しいところがあるが前三者より芸術的価値は劣る。
  2. 「科学的研究と探偵小説」
    ( 新青年増刊 1922.02. )
    ( 『小酒井不木全集12文学随筆及書簡』 改造社 1930.05.21 )(国DC※)
    幻影城 1975.02.
    『犯罪文学研究』 国書刊行会・クライム・ブックス 1991.09.30
    『小酒井不木探偵小説選』 論創社・論創ミステリ叢書8 2004.07.25 (青空)
    『森下雨村 小酒井不木 ミステリー・レガシー』ミステリー文学資料館編 光文社文庫(み-19-53) 2019.05.20
     ニューヨーク、ロンドン、パリで探偵小説の舞台になった場所を訪れる楽しみ。観察力と想像力は科学者や医者に益となる。超科学的なのは好まない。法医学での鑑定に関して。小説として。探偵小説の科学的利用。探偵学に関して。考え問題の掲載。
  3. 「免疫の話」 (「免疫の意義」)
    ( 新青年 1922.04. )
    『小酒井不木全集1殺人論及毒と毒殺』 改造社 1929.06.20 (国DC※)
  4. 「文芸復興期の追慕」 (「文芸復興期の盛観」)
    ( 新青年 1922.06. )
    ( 『西洋医談 附・不木軒随筆』小酒井光次 克誠堂書店 1924.07.18 )(国DC)
    『小酒井不木全集7医談女談』 改造社 1929.09.23 (国DC※)
  5. 「読者の声」小酒井光次
    ( 新趣味 1922.08. )(奈落)
     七月号雑感。
  6. 「血液の秘密」
    ( 新青年増刊 1922.08. )
    ( 『科学より観たる犯罪と探偵』 博文館 1923.06.15 )(国DC)
    『小酒井不木全集1殺人論及毒と毒殺』 改造社 1929.06.20 (国DC※)
  7. 「推理観察力」 (「推理と観察」)
    ( 新青年 1922.08. )
    ( 『科学より観たる犯罪と探偵』 博文館 1923.06.15 )(国DC)
    『小酒井不木全集1殺人論及毒と毒殺』 改造社 1929.06.20 (国DC※)
  8. 「毒及毒殺の研究」 (「毒と毒殺」「毒及び毒殺の研究」)
    ( 新青年 1922.10.〜1923.01. )(奈落)※一部
    ( 『科学より観たる犯罪と探偵』 博文館 1923.06.15 )(国DC)
    『小酒井不木全集1殺人論及毒と毒殺』 改造社 1929.06.20 (国DC※)
    「毒と迷信」のみ( 『日本の名随筆 別巻78毒薬』 作品社 1997.08.25 )(青空)
    『殺人論』 国書刊行会・クライム・ブックス 1991.10.30
    「文学的考察」部分のみ 『『新青年』名作コレクション』新青年研究会編 ちくま文庫(し-53-01) 2021.04.10
  9. 「仮死と犯罪」
    ( 新青年増刊 1923.01. )(奈落)
    ( 『科学より観たる犯罪と探偵』 博文館 1923.06.15 )(国DC)
    『小酒井不木全集1殺人論及毒と毒殺』 改造社 1929.06.20 (国DC※)
  10. 「迷信と犯罪」
    ( 新青年 1923.02. )(奈落)
    ( 『科学より観たる犯罪と探偵』 博文館 1923.06.15 )(国DC)
    『小酒井不木全集1殺人論及毒と毒殺』 改造社 1929.06.20 (国DC※)
  11. 『殺人論』
    ( 新青年、新青年増刊 1923.03.〜11. )
    ( 『殺人論』 京文社 1924.09.10 (国DC)再版
    『小酒井不木全集1殺人論及毒と毒殺』 改造社 1929.06.20 (国DC※)
    抄録 『殺人論』 国書刊行会・クライム・ブックス 1991.10.30
  12. 「「二銭銅貨」を読む」
    ( 新青年 1923.04. )(奈落)
    ( 『江戸川乱歩全集1』 平凡社 1931.06.10 )(国DC※)
    ( 『江戸川乱歩全集9』探偵通信10 春陽堂 1955.06.10 )
    ( 『江戸川乱歩 評論と研究』中島河太郎編 講談社 1980.06.16 )
    『日本探偵小説全集2 江戸川乱歩集』 創元推理文庫(400-02/Mん-02) 1984.10.26 (青空)
    ( 『新文芸読本 江戸川乱歩』 河出書房新社 1992.04.30 )
    ( 『乱歩(上)』新保博久編、山前譲編 講談社 1994.09.20 )
    『人工心臓』 国書刊行会・探偵クラブ 1994.09.20
     「二銭銅貨」に驚いた。日本に外国の知名作家と同程度の作家がいることに。探偵小説は筋が優れたものが上乗。面白味は自然的に謎や秘密が解けていくことと意外な結末と材料。「二銭銅貨」は暗号と結末で近来の傑作。
  13. 「心理学的探偵法」
    ( 新青年増刊 1924.01. )(奈落)
    ( 『殺人論』 京文社 1924.09.10 (国DC)再版
    『小酒井不木全集1殺人論及毒と毒殺』 改造社 1929.06.20 (国DC※)
  14. 「外国語を学ぶ人に」
    ( 新青年 1924.02. )
    『小酒井不木全集12文学随筆及書簡』 改造社 1930.05.21 (国DC※)
  15. 「写真と探偵」
    ( 新青年 1924.03. )
    ( 『科学探偵』 春陽堂 1924.08.18 )(国DC)
    『小酒井不木全集2犯罪文学研究及西洋探偵譚』 改造社 1929.10.23 (国DC※)
    『殺人論』 国書刊行会・クライム・ブックス 1991.10.30
  16. 「青髭」 (「”青髭”残虐史」)
    ( 新青年 1924.04. )
    ( エロチック・ミステリー 1963.12. )
  17. 「モリアーチー教授」
    ( 新青年 1924.05. )
    ( 『近代犯罪研究』 春陽堂 1925.05.20 )(国DC)
    『小酒井不木全集10趣味の探偵談』 改造社 1930.02.25 (国DC※)
    『犯罪文学研究』 国書刊行会・クライム・ブックス 1991.09.30
  18. 「主権者殺しの話」 (「主権者殺し」)
    ( 新青年 1924.05. )
    ( 『近代犯罪研究』 春陽堂 1925.05.20 )(国DC)
    『小酒井不木全集2犯罪文学研究及西洋探偵譚』 改造社 1929.10.23 (国DC※)
  19. 「恐ろしき贈物」
    ( 新小説 1924.07. )
    ( 『趣味の探偵談』小酒井光次 黎明社 1925.11.21 )(国DC)
    『小酒井不木全集10趣味の探偵談』 改造社 1930.02.25 (国DC※)
    『人工心臓』 国書刊行会・探偵クラブ 1994.09.20 (青空)
     実話か。ニューヨーク、良家の子女を堕落させていたグレース・ウォーカーが小包の菓子箱をあけると爆発して死亡した。動機と特徴的なタイプライターの文字から捜査された。ロザルスキー判事が黒手組から脅迫を受けていた折、小包の菓子箱が爆発、命には別条がなかった。オファレル老人が入口にあった菓子箱を拾いヘララ夫人があけて爆死。ヘンリーが爆弾で重症。プライス探偵は……。
  20. 「硫酸投注」
    ( 新青年 1924.07. )
    ( 『近代犯罪研究』 春陽堂 1925.05.20 )(国DC)
    『小酒井不木全集2犯罪文学研究及西洋探偵譚』 改造社 1929.10.23 (国DC※)
    ( エロチック・ミステリー 1963.09. )
  21. 「不具と犯罪」 (「不具者の犯罪はなぜ残酷か」)
    ( 新青年 1924.08. )
    ( 『近代犯罪研究』 春陽堂 1925.05.20 )(国DC)
    『小酒井不木全集10趣味の探偵談』 改造社 1930.02.25 (国DC※)
    ( エロチック・ミステリー 1963.08. )
  22. 「性的犯罪と探偵」 (「性的犯罪」)
    ( 新青年増刊 1924.08. )
    ( 『近代犯罪研究』 春陽堂 1925.05.20 )(国DC)
    『小酒井不木全集10趣味の探偵談』 改造社 1930.02.25 (国DC※)
  23. 「犯罪者のジエーキール・ハイド性」 (「犯罪者のジェーキール・ハイド性」「二重人格者」?)
    ( 新青年 1924.09. )
    ( 『近代犯罪研究』 春陽堂 1925.05.20 )(国DC)
    『小酒井不木全集10趣味の探偵談』 改造社 1930.02.25 (国DC※)
    ?( エロチック・ミステリー 1964.01. )
    『犯罪文学研究』 国書刊行会・クライム・ブックス 1991.09.30
  24. 「誤った鑑定」
    ( 新小説 1924.10. )
    ( 『趣味の探偵談』小酒井光次 黎明社 1925.11.21 )(国DC)頁欠
    『小酒井不木全集10趣味の探偵談』 改造社 1930.02.25 (国DC※)
    『人工心臓』 国書刊行会・探偵クラブ 1994.09.20 (青空)
     実話か。私がブロンクスの法医学者ブライアン氏を訪れた。探偵小説家の突飛な血液鑑定、動物の毛を食事に混ぜる話、医者の窒息死の自他殺鑑定の話。ブライアン氏の関係した話で、ソムマース老人が牛乳を飲んで死んだ。牛乳罐に残った砒素含有のパリス・グリーン。医師の砒素中毒診断、警察医の砒素検出。箱の息子夫婦と看護婦の指紋。弁護士からの再鑑定依頼……。
  25. 「ペルとランドルー」
    ( 新青年 1924.10. )
    ( 『近代犯罪研究』 春陽堂 1925.05.20 )(国DC)
    『小酒井不木全集11三面座談及タナトプシス』 改造社 1930.03.31 (国DC※)
  26. 「自白の心理」
    ( 新青年 1924.11. )
    ( 『近代犯罪研究』 春陽堂 1925.05.20 )(国DC)
    『小酒井不木全集1殺人論及毒と毒殺』 改造社 1929.06.20 (国DC※)
  27. 「死刑雑話」
    ( 新青年 1924.12. )
  28. 「窃盗心理」
    ( 新青年 1925.01. )
    ( 『近代犯罪研究』 春陽堂 1925.05.20 )(国DC)
    『小酒井不木全集10趣味の探偵談』 改造社 1930.02.25 (国DC※)
  29. 「歴史的探偵小説の興味」
    ( 新青年増刊 1925.01. )(奈落)
    『人工心臓』 国書刊行会・探偵クラブ 1994.09.20 (青空)
     オルチー夫人を除けば書くことがない。「半七捕物帳」の江戸。科学の発達しなかった時代の目的達成に興味。大岡越前守、紅はこべ。
  30. 「世界裁判奇談」
    ( 新青年増刊 1925.01. )(奈落)
    ( 『趣味の探偵談』小酒井光次 黎明社 1925.11.21 )(国DC)
    『小酒井不木全集10趣味の探偵談』 改造社 1930.02.25 (国DC※)
  31. 「続犯罪史余談」
    ( 新青年 1925.02. )
  32. 「詐欺と婦人」
    ( 新青年 1925.03. )
  33. 「近頃読んだもの」
    ( 新青年 1925.03.,05.〜07.,09. )
  34. 「内分泌と犯罪」
    ( 新青年 1925.05. )
  35. 「壱百円懸賞暗号問題」
    ( 新青年 1925.06. )
  36. 『犯罪文学研究』
    ( 新青年 1925.06.〜1926.03. )
    ( 『犯罪文学研究』 春陽堂 1926.12.28(国1927.01.03) )(国DC)
    『小酒井不木全集2犯罪文学研究及西洋探偵譚』 改造社 1929.10.23 (国DC※)
    『犯罪文学研究』 国書刊行会・クライム・ブックス 1991.09.30
  37. 「犯罪者の詩歌」
    ( 探偵文芸 1925.07. )
    ( 『不木探偵談』 サンデーニュース社・探偵趣味叢書5 1927.08.05 )
  38. 「序(『心理試験』)」 (「「心理試験」序」)
    ( 『心理試験』江戸川乱歩 春陽堂 1925.07.18/復刻版1993.11. )(国DC)※8版
    ( 『江戸川乱歩全集14』探偵通信14 春陽堂 1955.09.10 )
    幻影城増刊 1975.07.
    ( 『江戸川乱歩 評論と研究』中島河太郎編 講談社 1980.06.16 )
    『人工心臓』 国書刊行会・探偵クラブ 1994.09.20 (青空)
     江戸川乱歩兄の創作第一集。「二銭銅貨」に驚き、続く作品に優れた作家が出たことを喜び「心理試験」に欧米に対して誇りを覚えた。解剖すれば多少の不自然でも読んで気付かれない筆力で知的満足を与える。面白いから面白い。犯罪への好奇心。翻案探偵小説から三十年、明星の出現。ポオが鼻祖のとおり江戸川乱歩は日本探偵小説の鼻祖。
  39. 「懸賞暗号問題解答提出者五氏」
    ( 新青年増刊 1925.08. )
  40. 「ポオとルヴェル」
    ( 新青年増刊 1925.08. )(奈落)
    『人工心臓』 国書刊行会・探偵クラブ 1994.09.20 (青空)
     一番好きな探偵小説はポオとルヴェル、次いでチェスタトン、ポースト、ビーストン。在英国時はドイル、フリーマン。凄みを帯びたユーモア作品が好き。長篇ではオルチー、ドウーゼ。
  41. 「ネイル・クリームの犯罪」
    ( 新青年増刊 1925.08. )
    ( 『不木探偵談』 サンデーニュース社・探偵趣味叢書5 1927.08.05 )
  42. 「女青鬚」 (「女青髭」?)
    ( 探偵趣味 1925.09. )(奈落)
    ( 『不木探偵談』 サンデーニュース社・探偵趣味叢書5 1927.08.05 )
  43. 「探偵問答(アンケート)」
    ( 探偵趣味 1925.09. )(奈落)
  44. 「第3輯につき御願ひ」
    ( 探偵趣味 1925.10. )
  45. 「烏滸国、間引国、堕胎国」
    ( 探偵趣味 1925.10. )
    『小酒井不木全集15闘病余録及断片』 改造社 1930.08.18 (国DC※)
  46. 「『探偵趣味』問答(アンケート)」
    ( 探偵趣味 1925.10. )
  47. 「犯罪研究に関する著述数種」
    ( 新青年 1925.11. )(奈落)
  48. 「探偵趣味」
    ( 探偵趣味 1925.11. )
  49. 「編輯後記」
    ( 探偵趣味 1925.11. )
  50. 「『探偵趣味』問答」
    ( 探偵趣味 1926.01. )(奈落)
  51. 「錬金詐欺」
    ( 探偵文芸 1926.01. )
    ( 『不木探偵談』 サンデーニュース社・探偵趣味叢書5 1927.08.05 )
    『「探偵文藝」傑作選 幻の探偵雑誌5』ミステリー文学資料館編 光文社文庫(み-19-05) 2001.02.20 (青空)
     卑金を黄金に。哲学者の石。ジョン・ディーとエドワード。サン・ゼルマン伯。昼夜用心記。万有還銀説。ジャーネガン。金粉のテッジーことエドワード・ジョーンスの金三倍法。
  52. 「小酒井不木は小酒井不木にして正木不如丘にあらず」
    ( 読売新聞 1926.01.25 )
    『小酒井不木全集12文学随筆及書簡』 改造社 1930.05.21 (国DC※)
    『正木不如丘探偵小説選1』 論創社・論創ミステリ叢書56 2012.10.10
     不如丘と不木は別人。最後に会ったのは五年前のパリ。東京と名古屋。不如丘は東大医学部を出て内科、小生は生理学教室。小生の病床中に不如丘は『診療簿余白』。創作を易々とやる筆力。最近不如丘は探偵小説も書き、間違えられる機会がいよいよ多くなった。
  53. 「雑感」
    ( 新青年 1926.02. )(奈落)
  54. 「偶感二題(文芸と早熟/「医師の心もち」)」
    ( 探偵趣味 1926.02. )(奈落)
    『小酒井不木全集12文学随筆及書簡』 改造社 1930.05.21 (国DC※)
    『小酒井不木探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書109 2017.11.30
     早熟は文学美術に多く若ければ前途も多く若い探偵小説家が出ることを祈る。春日野緑氏の「医師の心もち」での「恋愛曲線」の戦慄に関して、同じ行為でも初めての対象の時は恐怖と興奮があり戦慄する。
  55. 「ヂュパンとカリング」
    ( 新青年増刊 1926.02. )(奈落)
    『人工心臓』 国書刊行会・探偵クラブ 1994.09.20 (青空)
     ヂュパンはポーの三作品にあらわれる探偵の元祖。ガボリオーのルコックは変装、ホームズは推理観察力が巧みだが程度問題。素人探偵は警察を翻弄する。ヂュパンは機械的。ドウーゼのカリングは読者と一緒に仕事をしている気になる。思考機械ではなく思考人間で懐かし味を感じる。
  56. 「結婚詐欺」
    ( 探偵趣味 1926.03. )(奈落)
  57. 「性的生活の乱れ」
    ( 探偵趣味 1926.03. )(奈落)
  58. 「(マイクロフォン)」
    ( 新青年 1926.03. )(奈落)
  59. 「事実と小説」
    ( 探偵趣味 1926.04. )(奈落)
  60. 「課題」
    ( 探偵趣味 1926.05. )(奈落)
    ( 『闘病問答』 春陽堂 1927.08.18 )(国DC)
    『小酒井不木探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書109 2017.11.30
     テーマがあった方が書き易い。書きたいことは多いが選択に時間がかかる。自発的ではなく依頼がないと書けない。題が決まると自然に発展していく。
  61. 「毒シャツと金剛石末」
    ( 探偵文芸 1926.05. )
  62. 「国枝史郎氏の人物と作品」
    ( 名古屋新聞 1926.05.10 )
    『小酒井不木全集15闘病余録及断片』 改造社 1930.08.18 (国DC※)
    『人工心臓』 国書刊行会・探偵クラブ 1994.09.20 (青空)
     「大鵬のゆくえ」に魅せられた。名古屋ホテルで会い、イー・ドニ・ムニエ作品が創作と聞き驚く。交際し批評を楽しみとしている。文章が音楽的でたえず進化。語って愉快。信州人、木曽、連山。豊富な空想。連載予告。
  63. 「当選作所感」
    ( 新青年 1926.06. )
    ( 『夢野久作の世界』西原和海編 平河出版社 1975.12.15 )
    ( 『夢野久作の世界』西原和海編 沖積舎 1991.11.29 )
  64. 「テーマを盗む」
    ( 探偵趣味 1926.06. )(奈落)
    『小酒井不木全集12文学随筆及書簡』 改造社 1930.05.21 (国DC※)
  65. 「変な恋」
    ( 大衆文芸 1926.07. )
    『人工心臓』 国書刊行会・探偵クラブ 1994.09.20 (青空)
     実話か。変な人間が恋をすると変な結末に終り易い。ニューヨークの故買者グレージーが心臓を悪くし、宝石を売りに来た富豪の未亡人に恋をした。彼女は盗むようになった。彼は身辺が危うくなり駈け落ちを誘う。出発の門出に……。
  66. 「作家としての私」
    ( 探偵趣味 1926.07. )(奈落)
    ( 『闘病問答』 春陽堂 1927.08.18 )(国DC)
    『小酒井不木探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書109 2017.11.30
     探偵小説は人間の好奇心を満足させる軽快なものであれば良いと思っていた。作品にあらわれる冷たさ、感情と冷静さ。他人の作品では暖か味がないと満足しないが自分では書けない。
  67. 「不木軒主人の名古屋見物」
    ( 名古屋新聞 1926.07.01〜12 )
    『小酒井不木全集15闘病余録及断片』 改造社 1930.08.18 (国DC※)
  68. 「童話と犯罪心理」
    ( 探偵趣味 1926.08. )(奈落)
  69. 「「マリー・ロオジュ事件」の研究」 (「ポオの『マリー・ロオジェー事件』の研究」)
    ( 新青年増刊 1926.08. )
    ( 『犯罪文学研究』 春陽堂 1926.12.28(国1927.01.03) )(国DC)
    『小酒井不木全集2犯罪文学研究及西洋探偵譚』 改造社 1929.10.23 (国DC※)
    『人工心臓』 国書刊行会・探偵クラブ 1994.09.20 (青空)
     事件の記録はバーンスの著書とニューヨーク・トリビューン紙の記事以外めぼしいものは残っていない。ポオの空想からの事実、矛盾。個体鑑別、記事抜粋、明快な推理に移る手際は巧妙。本格探偵小説の原型。
  70. 「匿名の手紙」
    ( 不同調 1926.09. )
    『小酒井不木探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書109 2017.11.30
     誤っていないのを誤ったものとの匿名の手紙は弁解できず残念。「印象」について、匿名での法医学書の書き直しとの指摘だが題材、名乗っての指摘、匿名での遺伝に関する指摘だが省略。手紙の投函と配達時間に関して。匿名は卑怯、名乗れば正當でなくても愉快。
  71. 「胎盤を喰ふ話其他」
    ( 新青年 1926.10. )(奈落)
  72. 「奇獄」
    ( 探偵趣味 1926.10. )(奈落)
    『小酒井不木全集15闘病余録及断片』 改造社 1930.08.18 (国DC※)
  73. 「『五階の窓』雑感」
    ( 新青年 1926.11. )(奈落)
    『五階の窓/江川蘭子 合作探偵小説コレクション1』日下三蔵編 春陽堂書店 2022.10.12
     打合せなく探偵小説の合作を実施、第四回のおかげで結末をつけるのは難しくなかった。まだ書く予定があったが長すぎ削った。四階の室には困った。活躍させたい人物が活躍できていなかった。足音のこと。
  74. 「陪審制度宣伝劇」
    ( 新青年 1926.11. )(奈落)
    『小酒井不木探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書109 2017.11.30
     名古屋末広座で陪審制度宣伝劇「パレット・ナイフ」三幕六場が上演。知り合いの弁護士らから脚本の依頼。田中青年が芸者屋娘秀子に恋をしたが叔母お道が恋慕し情夫にし、秀子の意に反し婚約させ結納金が届き、田中と秀子は駈け落ちしようとするが強盗に入られお道がパレットナイフで殺され田中が裁判にかけられた。喜多村氏の演出。
  75. 「おことわり(「不思議の煙」)」
    ( 子供の科学 1926.11. )
    『小酒井不木探偵小説選』 論創社・論創ミステリ叢書8 2004.07.25 (青空)
     読者からの焼き直しではないかという注意を受けたので打ち切る。
  76. 「作者の言葉(『疑問の黒枠』)」
    ( 新青年 1926.12. )(奈落)
  77. 「少年時代の愛読書」
    ( 大衆文芸 1926.12. )
    『小酒井不木探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書109 2017.11.30
     家には和讃と御文章ぐらい。高等小学時にお伽話数冊。中学時に金色夜叉と押川春浪数冊。試験準備中に里見八犬伝と露伴叢書。探偵ものが好きになったのは高等学校以後。
  78. 「クローズ・アツプ」
    ( 探偵趣味 1926.12. )(奈落)
  79. 「序(『少年科学探偵』)」
    ( 『少年科学探偵』 文苑閣 1926.12.13 )(国DC)
    『小酒井不木探偵小説選』 論創社・論創ミステリ叢書8 2004.07.25 (青空)
     科学の面白さを知ってもらうため。探偵小説は読んで考える小説。
  80. 「クローズ・アツプ」
    ( 探偵趣味 1927.01. )
  81. 「探偵小説劇化の一経験」
    ( 探偵趣味 1927.03. )(奈落)
    『小酒井不木探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書109 2017.11.30
     名古屋新守座文芸部の加藤君から探偵小説劇の依頼。「紅蜘蛛奇譚」二幕四場で「紅蜘蛛の怪異」の髷物化。芝居では犯人に扮装する俳優の名がわかっているなど妙味を伝えるのは困難。恐怖などか人情を主とするか。夜の都会の魅力と貧弱な思想を織り込もうとした。粗筋紹介。現代語を入れた。脚本は現代語に統一する。芝居化は普及に必要。
  82. 「連載小説梗概と作者の言葉」
    ( 新青年 1927.04. )
  83. 「探偵文芸の将来」
    ( 新潮 1927.04. )(奈落)
    『小酒井不木全集15闘病余録及断片』 改造社 1930.08.18 (国DC※)
    『小酒井不木探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書109 2017.11.30
     日比谷図書館で探偵小説の読者が激増したという。何人にとっても面白い。探偵小説はプロットの奇に主眼を置き芸術性は二の次。プロットまたはトリックに新味がなければ勝れたものではない。怪奇小説、ナンセンス小説への発展は行き詰りを打破したが早晩行き詰る。長篇小説への発展。芸術的で科学的であることが理想。
  84. 「探偵小説の行くべき道」
    ( 讀賣新聞 1927.04.09 )(奈落)
    『小酒井不木全集12文学随筆及書簡』 改造社 1930.05.21 (国DC※)
    『小酒井不木探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書109 2017.11.30
     長篇探偵小説はこれから。優れた探偵ではなくすべての関係人物が謎を解決して行く鉄仮面のような形式が喜ばれると思われる。映画も。「疑問の黒枠」は作中人物がみんなで解決するようにし、映画化に便利なように構想したが出来は疑問。とはいえ、迷っている。
  85. 「クローズ・アツプ」
    ( 探偵趣味 1927.05. )
  86. 「マイクロフォン」
    ( 新青年 1927.05. )(奈落)
  87. 「見世物叢談」
    ( 新青年 1927.06. )
    『医談女談』小酒井光次 人文書院 1928.10.03 (国DC)
    『小酒井不木全集7医談女談』 改造社 1929.09.23 (国DC※)
  88. 「江戸川氏と私」
    ( 大衆文芸 1927.06. )
    ( 『江戸川乱歩全集7』 平凡社 1931.12.08 )(国DC※)
    『小酒井不木全集12文学随筆及書簡』 改造社 1930.05.21 (国DC※)
    ( 『江戸川乱歩全集4』探偵通信1 春陽堂 1954.12.23 )
    『犯罪文学研究』 国書刊行会・クライム・ブックス 1991.09.30
    『江戸川乱歩 日本探偵小説事典』新保博久編、山前譲編 河出書房新社 1996.10.25 (青空)
    『子不語の夢 江戸川乱歩小酒井不木往復書簡集』浜田雄介編、乱歩蔵びらき委員会 皓星社 2004.10.21
    『森下雨村 小酒井不木 ミステリー・レガシー』ミステリー文学資料館編 光文社文庫(み-19-53) 2019.05.20
     森下氏から「二銭銅貨」と「一枚の切符」を送られ「二銭銅貨」に感心し讃辞を送った。それが縁で江戸川氏と文通。氏から「心理試験」を送られまいってしまった。十四年に初対面。氏に勧められ処女作「呪われの家」を書く。その頃から日本の探偵小説創作壇が賑わい出してきた。行き詰った、書けないとか言っても心配しない。長篇探偵小説はこれから。
  89. 「大衆文芸ものの映画化」 (「大衆文芸ものゝ映画化」)
    ( キネマと文芸 1927.07. )
    『小酒井不木全集15闘病余録及断片』 改造社 1930.08.18 (国DC※)
    『小酒井不木探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書109 2017.11.30
     探偵物の映画化は多くは失敗。一人の探偵が証拠により解決していくのは映画では退屈。これからは作者が映画になる探偵小説を書くように苦心しなければならない。探偵小説劇「龍門党異聞」は小説にも映画にもできる。「疑問の黒枠」も映画化を念頭に入れた。従来の探偵小説の映画化は原作に従って別の作品を作り得る手腕がいる。
  90. 「諸家の回答(近頃の全集物予約出版流行に就いて)」
    ( 新青年 1927.08. )(奈落)
  91. 「うらなひ夜話」
    ( 新青年 1927.08. )
    『小酒井不木全集12文学随筆及書簡』 改造社 1930.05.21 (国DC※)
  92. 「懸賞小説読後感」
    ( 新青年 1927.10. )(奈落)
  93. 「諸家の探偵趣味映画観」
    ( 探偵・映画 1927.10. )(奈落)
  94. 「馬琴のコント」
    ( 探偵趣味 1927.10. )
    『小酒井不木全集12文学随筆及書簡』 改造社 1930.05.21 (国DC※)
  95. 「怪異と凄味」
    ( 探偵・映画 1927.11. )(奈落)
    『小酒井不木全集15闘病余録及断片』 改造社 1930.08.18 (国DC※)
  96. 「本年度印象に残れる作品、来年度ある作家への希望(アンケート)」
    ( 探偵趣味 1927.12. )
  97. 「『龍門党異聞』について」
    ( 不明 1927.頃? )
    『小酒井不木全集15闘病余録及断片』 改造社 1930.08.18 (国DC※)
    『小酒井不木探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書109 2017.11.30
     「龍門党異聞」は河合氏の依頼で書き下ろした。「紅蜘蛛奇譚」の上演が不許可になる予想での依頼だったが許可された。その後に新守座で上演された。捕物式を離れた探偵劇を試みた。「紅蜘蛛奇譚」ではトリックより訳者の芸が目立った。雑誌に発表されたが解決を他人に話さないよう、見て頂きたい。探偵小説劇がどの程度感興を与えるか知りたい。
  98. 「合作長篇を中心とする探偵作家座談会」 江戸川乱歩、国枝史郎、山下利三郎、小酒井不木、長谷川伸、横溝正史
    ( 新青年 1928.02. )
    『叢書新青年 小酒井不木』 博文館新社 1994.04.25
     1927年11月17日名古屋寸楽園に於て。歌舞伎で合作はあるが小説ではない。知恵を出しあい最初に筋を立てる。オーケストラのようなものに。読者が望んでいるのはルパンのようなもの、ナンセンスもの。個人の想像力の限界、実際の事件に因果関係をつけ現実味を。長篇で。同じようなものを書くのは肩身が狭い。批評に関して。褒めること、同情と優越感。作者の陶酔について。翻案と独自性。神秘性。探偵劇。
  99. 「はしがき(小酒井不木集)」
    『小酒井不木集』 平凡社・現代大衆文学全集7 1928.03.01
    『小酒井不木探偵小説選』 論創社・論創ミステリ叢書8 2004.07.25 (青空)
     私の作品には研究室の匂いが濃厚。「少年科学探偵小説」は大人にも気に入ると信じる。
  100. 「小伝(小酒井不木集)」
    『小酒井不木集』 平凡社・現代大衆文学全集7 1928.03.01
     経歴、著書20余種。生物学研究は断念し(難)い。
  101. 「探偵読本(巻の一第三課)」
    ( 探偵趣味 1928.04. )
  102. 「名古屋スケツチ」
    ( 日本及日本人春季臨時号 1928.04. )(奈落)
    『小酒井不木探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書109 2017.11.30
     昭和三年の名古屋。広小路の栄町あたりの建物や夜のようす。大津界隈の大須あたりの娯楽機関やカフェー。中村遊郭のさびれ方。
  103. 「ジェンナー伝」 (「人類の恩人ジェンナー」)
    ( 少年倶楽部 1928.05. )
    ( 『修養全集1聖賢偉傑物語』 大日本雄弁会講談社 1928.10.01 )(国DC※)
    ( 『少年倶楽部名作選3少年詩・童謡ほか』 講談社 1966.12.17 )(国DC※)(青空)
     炎の内と周囲の温度を示しインド行きを断る英国人ジェンナー。天然痘の説明。ジェンナーの経歴、牛痘にかかった者は天然痘にかからないという話、ハンター博士、信念、我が子への実験、他人の子への実験、多くの実験、欧米での採用。
     伝記。例えなど小説的要素がないことはないが。
  104. 「新青年趣味講座(12)法医学」
    ( 新青年 1928.07. )(奈落)
  105. 「怪談綺談」
    ( 講談雑誌(講談倶楽部1928.03.は誤り?) 1928.08. )
    『人工心臓』 国書刊行会・探偵クラブ 1994.09.20 (青空)
     西洋怪談の紹介。恐ろしい額、広間の入口のシビルの絵の話。木乃伊の祟り、発掘後の関係者の不幸の話。空中の音楽、誕生日祝いの夜に聞えた音楽の話。夢と死、産婦が夢で父に示された日の話と真黒な犬の夢の話。耳を叩く、母が死に取り乱した娘の話。無形の蜂、ヒステリー女の腫れの話。予言の不思議、印度人の未来予言の話と手相による過去視の話。
  106. 「ペンから試験管へ」
    ( 猟奇 1928.08.(78合併号) )(奈落)
    『小酒井不木全集15闘病余録及断片』 改造社 1930.08.18 (国DC※)
    『小酒井不木探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書109 2017.11.30
     屋敷の一隅の小さな研究室が完成に近づいた。いつの間にか創作が本職らしくなっていた。生物学研究の希望と義務を感じた。創作に自信はないが学術研究には多少自身もありテーマも沢山ある。当分の間は余技で金を補うことになると思う。
  107. 「「夜鳥」礼讃」
    ( 新青年増刊 1928.08. )(奈落)
    『夜鳥』ルヴェル、田中早苗訳 創元推理文庫(Mル-04-01) 2003.02.14
     短篇集『夜鳥』田中早苗訳の刊行は歓喜。ルヴェルが新青年に訳載された時、医学的なことと簡素な書き振りが気に入った。英訳版の序文にアーヴィング。探偵的・怪奇的という印象より人情的。
  108. 「陰獣の印象」
    ( 新青年 1928.11. )(奈落)
    ( 『江戸川乱歩全集1』 平凡社 1931.06.10 )(国DC※)
  109. 「恋愛東西」
    ( 新青年 1929.01. )(奈落)
    ( 『近代恋愛術』新青年編輯部編 博文館・新青年叢書5 1929.07.21 )(国DC※)
    『小酒井不木全集12文学随筆及書簡』 改造社 1930.05.21 (国DC※)
  110. 「耽綺社座談会(1月8日寸楽園)」 土師清二、長谷川伸、国枝史郎、小酒井不木、江戸川乱歩、平山蘆江、小田富彌、編集部(大竹憲太郎、渡辺均)
    ( サンデー毎日 1929.02.03 )
    参考( 『江戸川乱歩 電子全集6 傑作推理小説集2』 小学館eBooks 2016.07. )
  111. 「餅二題」
    ( 『修養全集4寓話道話お伽噺』 大日本雄弁会講談社 1929.02.20 )(奈落)(国DC※)
     九つ目の半分の餅を食べて腹が膨れた男が八つは無駄だったという。物を言わない競争で勝った方が餅を食べることにした夫婦が盗人に着物を盗られたという。
     道話の部分に収録されている。教訓話とでもいうべきだろうか。
  112. 「新年号読後感」
    ( 新青年 1929.02. )(奈落)
    ( 『江戸川乱歩全集8』 平凡社 1931.05.10 )(国DC※)
    ( 『夢野久作の世界』西原和海編 平河出版社 1975.12.15 )
    ( 『夢野久作の世界』西原和海編 沖積舎 1991.11.29 )
  113. 「無名の脅迫状」
    ( 新青年 1929.03. )(奈落)
    『小酒井不木集』 改造社・日本探偵小説全集1 1930.03.20 (国DC)
    『小酒井不木全集15闘病余録及断片』 改造社 1930.08.18 (国DC※)
  114. 「麻酔薬の発見」
    ( 講談倶楽部 1929.04. )
    『小酒井不木全集15闘病余録及断片』 改造社 1930.08.18 (国DC※)
    ( 『小酒井不木探偵小説全集3短篇集3』 本の友社 1992.06.25 )
  115. 「国際射的大競技」
    ( 少年倶楽部 1929.04. )
    ( 『少年科学探偵集』 平凡社・ 少年冒険小説全集3 1930.06.12 )
    『小酒井不木全集15闘病余録及断片』 改造社 1930.08.18 (国DC※)
    ( 『少年倶楽部名作選3少年詩・童謡ほか』 講談社 1966.12.17 )(国DC※)(青空)
    ( 『小酒井不木探偵小説全集3短篇集3』 本の友社 1992.06.25 )
     五十余年前、フランス陸軍省主催の射撃大会があり、日本人で辛うじて予選を通過したのはM大尉のみ。銃の個性を研究して迎えた大会本選……。
     競技の読み物。実話かどうかは不明。
  116. 「国際数学大競技」
    ( キング 1929.05. )
    『小酒井不木全集15闘病余録及断片』 改造社 1930.08.18 (国DC※)
    ( 『小酒井不木探偵小説全集3短篇集3』 本の友社 1992.06.25 )
     ライプニッツとニュートンの微分積分学の発見論争に端を発して英国と独仏の数学上の問題と解答の出し合いが三十年に渡っていた。ライプニッツは他界していてベルメーイが中心となっていた。ニュートンが最後に出した問題は……。
     数学の読み物。現在では発見者は両者共になっている。ほぼ実話だが最後の部分まで本当かどうかは不明。
  117. 「不木軒漫筆」
    ( 猟奇 1929.05. )
    『小酒井不木全集12文学随筆及書簡』 改造社 1930.05.21 (国DC※)
  118. 「秘蔵の皿 閑田耕筆による」
    ( 『修養全集7経典名著感話集』 大日本雄弁会講談社 1929.05.10 )(奈落)(国DC※)
     上総国の大名の二十枚の南蛮絵皿、一枚割れば一命を奪うという掟があった。女中のお玉が割ってしまった。杵で米を突いていた作造は接ぎ薬があると言って……。
     リライト。原作は上野国のもよう。



      著書、合集、訳書

  1. 『生命神秘論』小酒井光次 洛陽堂 1915.06.25 (国DC※)
    △「序」永井潜/△「自序」不木生/△「はしがき」/△『生命神秘論』
  2. 『過敏性』Arther F.Coca、小酒井光次訳 南山堂書店 1921.02.18 (国DC※)
    △「訳者序」/△『過敏性』
  3. 『学者気質』 洛陽堂 1921.12.08(国12.14) (国DC)
    △「序」不木生/△『学者気質』(「観察力」/「想像力」/「探偵小説」/「実験」/「読書」/「先入見と誤謬」/「忍耐力」/「偶然と幸運」/「休養と娯楽」/「病苦」/「貧苦」/「迫害」/「魔法」/「予言」/「不可思議」/「名誉」/「金」/「道義」/「常識」/「科学と文芸」)
  4. 『科学より観たる犯罪と探偵』 博文館 1923.06.15
    △「序」/△「視覚錯誤に基く冤罪と犯罪」/△「推理と観察」/△「血液の秘密」/△「毒と毒殺」/△「仮死と犯罪」/△「無意識の行為と犯罪」/△「迷信と犯罪」/△「女性と犯罪」
  5. 『夜の冒険』ドウーゼ、鳥井零水訳 博文館・探偵傑作叢書21 1924.05.15
    『夜の冒険』
  6. 『西洋医談 附・不木軒随筆』小酒井光次 克誠堂書店 1924.07.18(国07.22) (国DC)
    △「序」永尾藻城/△「自序」不木軒主人/△『西洋医談』(「ギリシア古代の寺院参籠」/「ヒッポクラテスの誓詞」/「錬金術」/「学術上の詐欺と運」/「文芸復興期の盛観」/「「ペスト」小史」/「デ・フォーの「倫敦疫病日誌」」/「エーンズウォースの「旧セント・ポールス寺院」」/「サムエル・ピープスの日誌其他」/「外科手術の今昔」/「ジェームス・シムプソンの苦心」/「寂しいホレース・ウェルス」/「英国の医風」/「トーマス・シデナムの手紙」/「トーマス・アヂソンの性格」 /「ウィリアム・ストークス」/「エドワード・ジエンナーの詩」/「ジエンナーとインゲンハウス」/「短話三つ」/「英国の公衆衛生学及び医事統計学」/「King's Evil」/「妖婆の鍋」)/△『不木軒随筆』(「知識と誤謬」/「青葉の蔭から」/「音楽と治療」/「音楽を嫌ふ人」/「夏四題(天才論)」/「ロムブロソーの「天才論」を読む」/「「怒」」/「非常時に起る不思議な力」/「妊婦の精神感動と胎児」/「くさめ」/「血液の不思議」/「書籍の焼失」/「死の刹那の感じ」)
  7. 『科学探偵』 春陽堂 1924.08.18 (国DC)
    △『西洋探偵譚』(「はしがき」/「プランセス街の秘密」/「髑髏の身許鑑査」/「パークマン博士殺害事件」/「肉片の身許鑑定」/「グーフエ殺害事件」/「見証による犯人探偵」/「名探偵ブルツクスの功名」/「写真と探偵」/「指紋による犯人の鑑定」/「探偵スウイーニーの功名」/「足跡の鑑定」/「遺留品による探偵」/「ブリッグス殺害事件」/「血痕及毛髪の鑑定」/「マリー・パロー殺害事件」/「犯罪者の心理を応用した探偵方法」/「山中の殺人事件」/「名探偵バーンス」/「セント・ルイスの警官殺害事件」) /△『探偵雑話』(「古代の裁判探偵法」/「西洋中世の拷問」/「青鬚物語(宗教裁判の話)」/「探偵の元祖ヴイドツク」/「名探偵ピンカートン兄弟」/「犯罪者の人相」/「宝石をめぐる犯罪と探偵」/「血液による親子の鑑別」/「殺人探偵」)
  8. 『殺人論』 京文社 1924.09.10 (国DC)再版
    △「序」不木軒主人/△『殺人論』
  9. 『スミルノ博士の日記』ドウーゼ、鳥井零水訳 博文館・探偵傑作叢書26 1924.10.
    『スミルノ博士の日記』
  10. 『三面座談』 京文社 1925.03.05 (国DC)
    △「自序」不木軒主人/△『三面座談』/△『不木軒夜話』
  11. 『近代犯罪研究』 春陽堂 1925.05.20 (国DC)
    △「序」不木軒主人/△『近代犯罪研究』
  12. 『真夏の惨劇』ウヰリアムス、小酒井不木訳 博文館 1925.07.
    『真夏の惨劇』
  13. 『趣味の探偵談』 黎明社 1925.11.21 (国DC)
    △「序」不木軒主人/△「犯罪探偵の今昔」(「犯罪の進歩と探偵の進歩」/「棠陰比事解説」)/△「犯罪探偵茶話」(「犯罪探偵エピソード」/「世界裁判奇談」)/△「趣味の犯罪探偵談」/△「科学探偵談」
  14. 『死の接吻』 聚英閣・探偵名作叢書1 1926.05.25 (国DC)
    「死の接吻」/「直接証拠」/「三つの痣」/「人工心臓」/「孔雀の樹」ジ・ケ・チェスタトン
  15. 『学者気質』 春陽堂 1926.06.18 (国DC)
    △「自序」不木軒主人/△『学者気質』/△『病間随筆』(「喀血」/「モルヒネ」/「からす」/「梟と蝙蝠」/「体内音」/「読書」/「雨」/「検温器」/「強心剤」/「花」/「猫」)/△『牛涎漫語』(「物真似人真似」/「タランチユラ踊」/「言損ひ聞損ひ見損ひ」/「古今物忘れ」/「知つた振り」/「水中の屁こき学者」/「知識遊戯」/「探偵小説の味」/「怪奇と主観」/「心霊界の奇現象」/「伝説と科学」/「生体解剖」/「医業と道徳」/「奇病と迷信」/「不老不死霊薬ロマンス」)
  16. 『生ける宝冠』ドウーゼ、小酒井不木訳 博文館 1926.08.
    『生ける宝冠』
  17. 『闘病術 普及版』小酒井光次 春陽堂 1926.08.28
    △「序」/△「闘病術提要」/△『闘病術』/△「私の病歴」
  18. 『恋愛曲線』 春陽堂・創作探偵小説集 1926.11.13/復刻版 1999.07.20
    「恋愛曲線」/「肉腫」/「難題」/「痴人の復讐」/「遺伝」/「按摩」/「虚実の証拠」/「心臓の呵責」/「手術」/「桐の花」/「初往診」/「印象」/「秘密の相似」/「卒倒」/「安死術」/「暴風雨の夜」/「猫と村正」/「メヂユーサの首」/「呪はれの家」/「謎の咬傷」/「愚人の毒」
  19. 『少年科学探偵 小酒井不木少年科学探偵集1』 文苑閣 1926.12.13 (国DC)
    △「序」/「紅色ダイヤ」/「暗夜の格闘」/「髭の謎」/「頭葢骨の秘密」/「白痴の智慧」/「紫外線」
  20. 『犯罪文学研究』 春陽堂 1926.12.28(国1927.01.03) (国DC)
    △「序」/△『犯罪文学研究』
  21. 『慢性病治療術』 日本心霊学会 1927.03.03 (国DC)
    △「序」/△『慢性病治療術』
  22. 『稀有の犯罪』 大日本雄弁会 1927.06.18 (国DC)再版
    「稀有の犯罪」/「犬神」/「三つの証拠」/「汽車の切符」/「胃の中の小刀」/「跳ね出す死人」/「紅蜘蛛の怪異」/「狂女と犬」/「血の盃」/「名探偵」/「新案探偵法」/「手紙の詭計」/「外務大臣の死」/「催眠術戦」/「新聞紙の包」
  23. 『疑問の黒枠』 波屋書房・世界探偵文芸叢書7 1927.07.25 (国DC)
    『疑問の黒枠』
  24. 『不木探偵談』 サンデーニュース社・探偵趣味叢書5 1927.08.05
    △「ネイル・クリームの犯罪」/△「女青髭」/△「交霊術による探偵」/△「錬金詐欺」/△「犯罪者の詩歌」/△「東西犯罪奇談」/△「紳士盗賊」/△「犯罪随筆」
  25. 『闘病問答』 春陽堂 1927.08.18 (国DC)
    △「序」/△『闘病問答』/△「私の生活」/△「寂しい顔」/△「漫文漫語」
  26. 『小酒井不木集』 平凡社・現代大衆文学全集7 1928.03.01
    △「はしがき」/『疑問の黒枠』/「恋愛曲線」/「肉腫」/「難題」/「痴人の復讐」/「遺伝」/「手術」/「卑怯な毒殺」/「印象」/「秘密の相似」/「安死術」/「暴風雨の夜」/「猫と村正」/「メヂュ-サの首」/「死の接吻」/「直接証拠」/「三つの痣」/「人工心臓」/「通夜の人々」/「ふたりの犯人」/「呪はれの家」/「謎の咬傷」/「愚人の毒」/「龍門党異聞(戯曲)」/「紅色ダイヤ」/「暗夜の格闘」/「髭の謎」/「頭蓋骨の秘密」/「白痴の智恵」/「紫外線」/「塵埃は語る」/「玉振時計の秘密」/△「小伝」
  27. 『慢性病治療術 普及版』小酒井光次 人文書院 1928.05.20 (国DC)
    △「序」/△『慢性病治療術』
  28. 『タナトプシス』 内観社 1928.06.01(国06.08) (国DC)
    △「序」/△『タナトプシス』
  29. 『メンデルの遺伝原理 附:実験遺伝学概論』ベーストン、小酒不木訳 春秋社・世界大思想全集38 1928.09.25 (国DC※)
    △「序」ベーストン/△「第三刷への一言」ベーストン/△『メンデルの遺伝原理』/△「はしがき」小酒井不木/△『実験遺伝学概論』
  30. 『医談女談』小酒井光次 人文書院 1928.10.03 (国DC)
    △「序」/△『趣味の医学』/△『女性の異常心理』/△『日常生活と変態心理』/△『彗星放語』
  31. 『不木句集』石田元季撰 私家版 1929.05.20以降(奥付なし) (早稲田)
    △「はしがき」国枝史郎/「春 附新年」/「夏」/「秋」/「冬」/「短句」/△「(編者の言葉)」石田元季
  32. 『生命神秘論』 富士書房 1929.06.03
    △「序」永井潜/△「自序」/△『生命神秘論』
  33. 『小酒井不木傑作選集』 博文館・新青年叢書3 1929.06.18
    「闘争」/「印象」/「痴人の復讐」/「卒倒」/「鼻に基く殺人」/「安死術」/「秘密の相似」/「見得ぬ顔」/「手術」/「肉腫」/「虚実の証拠」/「桐の花」/「二人の思想家」/「遺伝」/「按摩」/「二重人格者」/「死体蝋燭」/「恋愛曲線」
  34. 『ドウーゼ集』ドウーゼ、小酒井不木訳 博文館・世界探偵小説全集13 1929.05.28
    『夜の冒険』/『スミルノ博士の日記』
  35. 『スペードのキング・四枚のクラブ一』ドウーゼ、小酒井不木訳 改造社・世界大衆文学全集19 1929.06.03 (国DC)
    『スペードのキング』/『四枚のクラブ一』
  36. 『小酒井不木全集1殺人論及毒と毒殺』 改造社 1929.06.20 (国DC※)
    △『殺人論』/△『科学より観たる犯罪と探偵』/△「変態心理と犯罪」(『近代犯罪研究』収録)/△「自白の心理」(『近代犯罪研究』収録)
  37. 『小酒井不木全集2犯罪文学研究及西洋探偵譚』 改造社 1929.10.23 (国DC※)
    △『犯罪文学研究』/△『西洋探偵譚』(『科学探偵』より)/△「近代犯罪事実談」(『近代犯罪研究』収録)(「近代犯罪の特徴」/「日本最近の犯罪」/「硫酸投注」/「主権者殺し」)
  38. 『小酒井不木全集3探偵小説短篇集』 改造社 1929.05.25 (国DC※)
    「呪われの家」/「通夜の人々」/「按摩」/「虚実の証拠」/「手術」/「遺伝」/「痴人の復讐」/「暴風雨の夜」/「難題」/「恋愛曲線」/「肉腫」/「三つの痣」/「安死術」/「秘密の相似」/「直接証拠」/「桐の花」/「死の接吻」/「印象」/「卒倒」/「愚人の毒」/「メヂューサの首」/「ある自殺者の手記」/「二重人格者」/「赦罪」/「死体蝋燭」/「見得ぬ顔」/「二人の思想家」/「闘争」/「鼻に基く殺人」/「スミルノ博士の日記」ドウーゼ
  39. 『小酒井不木全集4探偵小説長篇集』 改造社 1929.08.23 (国DC※)
    『疑問の黒枠』/「大雷雨夜の殺人」/「恋魔怪曲」/「孔雀の樹」チェスタトン
  40. 『小酒井不木全集5闘病術及学者気質』 改造社 1929.07.25 (国DC※)
    △「闘病術提要」/△『闘病術』/△「私の病歴」/△『学者気質』/△『彗星放語』(『医談女談』と『牛涎漫語』より)
  41. 『小酒井不木全集6生命神秘論及不木軒随筆』 改造社 1929.11.25 (国DC※)
    △『生命神秘論』/△『不木軒随筆』(「「怒」」除く『不木軒随筆』と『牛涎漫語』の5巻収録以外)/△『探偵雑話』(一部)
  42. 『小酒井不木全集7医談女談』 改造社 1929.09.23 (国DC※)
    △『西洋医談』/△『趣味の医学』(「男子の童貞鑑別法」追加)/△『日常生活と変態心理』/△『女性の異常心理』(『近代犯罪研究』収録作、単行本未収録作含む(「女性犯罪の特徴」/「詐欺の心理と婦人」/「犯罪心理と婦人」/「迷信による婦人の犯罪」/「冤罪に苦しんだ東西の女性」/「泰西女賊伝」))
  43. 『小酒井不木全集8病間録及日記』 改造社 1929.12.30 (国DC※)
    △『病間随筆』/△『不木軒漫筆』/△『現代の医弊と病人の心理』/△『新道話』/△『不木句集』/△「自伝」/△「日記」
  44. 『小酒井不木全集9探偵小説中篇集』 改造社 1930.01.28 (国DC※)
    「雪の夜の惨劇」/「懐疑狂時代」/「眠り薬」/「展望塔の死美人」/「抱きつく瀕死者」/「紅色ダイヤ」/「暗夜の格闘」/「髭の謎」/「頭葢骨の秘密」/「夜の冒険」ドーゼ
  45. 『小酒井不木全集10趣味の探偵談』 改造社 1930.02.25 (国DC※)
    △『趣味の探偵談』(『趣味の探偵談』/(『科学探偵』より「犯罪者の人相」/「宝石をめぐる犯罪と探偵」/「血液による親子の鑑別」/「殺人探偵」))/△「近代犯罪研究」(「性的犯罪」/「不具と犯罪」/「犯罪者のジエーキール・ハイド性」/「モリアーチー教授」/「窃盗心理」/「死刑と死刑囚」)
  46. 『小酒井不木全集11三面座談及タナトプシス』 改造社 1930.03.31 (国DC※)
    △『三面座談』(一部割愛)/△『不木軒夜話』(一部割愛)/△『タナトプシス』(一部追加)/△「当世世間用心記」/△「説教強盗管見」/△「アメリカに於ける最近の犯罪」/△「ペルとランドルー」
  47. 『小酒井不木全集12文学随筆及書簡』 改造社 1930.05.21 (国DC※)
    △「探偵小説管見」/△「科学的研究と探偵小説」/△「探偵小説の将来」/△「探偵小説の行くべき道」/△「探偵小説の社会的影響」/△「探偵小説の味」/△「長篇探偵小説に就て」/△「探偵小説の題材」/△「文芸と早熟」/△「文芸と模倣」/△「私の見た純文壇」/△「テーマを盗む」/△「名人に乏し」/△「誤謬の値段」/△「書物蒐集狂」/△「比事物叢談」 /△「検閲官の心理」/△「馬琴のコント」/△「学位濫授とは?」/△「学界と拝金」/△「断片の価値」/△「外国語を学ぶ人に」/△「うらなひ夜話」/△「恋愛東西」/△「お正月漫談」/△「お伊勢さま(科学的に見た神宮の伝説と信仰)」/△「名古屋スケッチ」 /△「芥川氏の自殺」/△「沢田氏を悼む」/△「受験生の自殺心理」/△「小酒井不木は小酒井不木にして正木不如丘にあらず」/△「江戸川氏と私」/△「貧乏の真の味を知らず」/△「癪にさはつた事」/△「三昧境」/△「思ひ出」/△「チヤツプリンの思ひ出」/△「アルカシヨンの思ひ出」/△「妻及び母の科学」/☆「年譜」/☆「著書年表」/☆「執筆年表」
  48. 『小酒井不木全集13探偵小説短篇集』 改造社 1930.06.15 (国DC※)
    「稀有の犯罪」/「犬神」/「三つの証拠」/「汽車の切符」/「胃の中の小刀」/「跳ね出す死人」/「紅蜘蛛の怪異」/「狂女と犬」/「血の盃」/「名探偵」/「新案探偵法」/「手紙の詭計」/「外務大臣の死」/「催眠術戦」/「新聞紙の包」/「人工心臓」/「龍門党異聞(戯曲)」/「白痴の知恵」/「紫外線」/「塵埃は語る」/「玉振時計の祕密」
  49. 『小酒井不木全集14探偵小説集』 改造社 1930.07.15 (国DC※)
    「好色破邪顕正(第一回分欠)」/「緑柱石の宝冠」/「蜀江の錦」/「謎の咬傷」/「指紋研究家」/「二十年後」/「いたづら蟹」/「真夏の惨劇」ウヰリアムス
  50. 『小酒井不木全集15闘病余録及断片』 改造社 1930.08.18 (国DC※)
    △「私の体験を通じての肺病療養法」/△「肺病患者の夫婦生活」/△「老衰の生理」/△「女性と早老」/△「肉体の不安」/△「夏季の不快感」/△「偶感」/△「一時間健康法」/△「受難を喜ぶ覚悟」/△「ある結核菌との対話」/△「疾病創造と遺伝物質の変化」 /△「自殺の心理」/△「無名の脅迫状」/△「森の殺人」/△「奇獄」/△「天才的犯罪者」/△「悪人の恋」/△「ぎくりとする話」/△「夜行列車の恐怖」/△「笑話と殺人」/△「怪異と凄味」/△「赤いランプの光」/△「医学的怪談」/△「『龍門党異聞』について」/△「探偵文芸の将来」/△「大衆文芸ものゝ映画化」 /△「ヒポクラテスとその後継者」/△「毒四題」/△「薬物極量暗記法」/△「頭の畸形」/△「眼の畸形」/△「朴烈文子怪写真の医学的観察」/△「頭脳の体操」/△「烏滸国、間引国、堕胎国」/△「蛙は医学の先生」/△「鈴虫と優境学」/△「金魚いろゝゝ」/△「双生児はどうして産れるか」/△「とりとめのない話」/△「竹内芳衛氏の導摩療法」/△「本邦運動界の恩人世界のマラソン王」/△「ペンから試験管へ」/△「科学発明の驚異」/△「科学と宗教」 /△「『生物学と哲学との境』を読む」/△「尾池氏の『石田三成を中心に』を読む」/△「現代日本文学全集を読みて」/△「国枝史郎氏の人物と作品」/△「『名人地獄』礼讃」 /「物言ふ林檎」/「血染の日誌」/「肖像の怪」/「十円紙幣」/△「麻酔薬の発見」/「一つの欠点」/「欺く者はなげく」/△「国際数学大競技」/△「国際射的大競技」/△「不木軒主人の名古屋見物」
  51. 『小酒井不木全集16探偵小説短篇集』 改造社 1930.09.15 (国DC※)
    「劇場の事変」/「卑怯な毒殺」/「ふたりの犯人」/「分身の秘法」/「脅迫状」/「酩酊紳士」/「遂に鐘は鳴った」/「網膜現像」/「硬骨漢」/「猫と村正」/「妲己の殺人」/「刹那の錯誤」/「血友病」/「偶然の成功」/「姙術魔」/「生ける宝冠」ドウーゼ
  52. 『小酒井不木全集17探偵小説中篇集』 改造社 1930.10.10 (国DC※)
    「烏を飼ふ女」/「得意な容疑者」/「邂逅」/「長生薬由来」/「躓く探偵」/「初往診」/「ひすゐの簪」/「五階の窓(完結篇)」/「吉祥天女の像(完結篇)」/「スペードのキング」ドウーゼ/「乾板上の三人」ローゼンハイン
  53. 『実験遺伝学概説 附・優生学』小酒井光次 春秋文庫(1-29) 1929.12.05(国12.16) (国DC)
    △『実験遺伝学概説』/△『優生学』
  54. 『小酒井不木集』 春陽堂・探偵小説全集2 1929.10.08 (国DC)
    「展望塔の死美人」/「恋愛曲線」/「好色破邪顕正」/「ふたりの犯人」/「烏を飼ふ女」/「躓く探偵」/「初往診」/「ひすゐの簪」/「卑怯な毒殺」/「手術」/「偶然の成功」/「硬骨漢」/「愚人の毒」/「分身の秘法」/「脅迫状」/「酩酊紳士」/「遂に鐘は鳴つた」/「網膜現像」/「緑柱石の宝冠」/「蜀江の錦」/「雪の夜の惨劇」/「塵埃は語る」/「玉振時計の秘密」
  55. 『小酒井不木集』 改造社・日本探偵小説全集1 1930.03.20 (国DC)
    「抱きつく瀕死者」/「人工心臟」/「肉腫」/△「無名の脅迫状」/「謎の咬傷」/「劇場の事変」/「指紋研究家」/「いたづら蟹」/「印象」/「猫と村正」/「妲己の殺人」/「刹那の錯誤」/「眠り薬」/「痴人の復讐」/「姙術魔」/「邂逅」/「二十年後」/「得意な容疑者」/「懷疑狂時代」/「白痴の智惠」/「紫外線」
  56. 『生ける宝冠・孔雀の樹』ドウーゼ、チェスタトン、小酒井不木訳 春陽堂・探偵小説全集11 1930.04.13
    『生ける宝冠』/「孔雀の樹」
  57. 『少年科学探偵集』 平凡社・ 少年冒険小説全集3 1930.06.12
    「紅色ダイヤ」/「暗夜の格闘」/「髭の謎」/「頭葢骨の秘密」/「白痴の智慧」/「紫外線」/「塵埃は語る」/「玉振時計の秘密」/「血染の日誌」/「物言ふ林檎」/「肖像の怪」/△「国際射的大競技」/「十円紙幣」
  58. 『夜の冒険・孔雀の樹』ドウーゼ、チェスタトン、小酒井不木訳 平凡社・世界探偵小説全集8 1931.01.10 (国DC※)
    『夜の冒険』/「孔雀の樹」
  59. 『明治大正文学全集56 江戸川乱歩・大下宇陀児・甲賀三郎・小酒井不木篇』 春陽堂 1931.08.15 (国DC※)
    (江戸川乱歩篇「心理試験」/「二廃人」/「白昼夢」/「屋根裏の散歩者」/「人間椅子」/「押絵と旅する男」/「百面相役者」/「幽霊」/大下宇陀児篇「情獄」/「盲地獄」/「決闘街」/「爪」/「死の倒影」/「十四人目の乗客」/「毒」/「蛞蝓綺譚」/「リウ・キノウの不思議な夢」/「生きていた靴下の話」/「痛ましき庄作」/「蒲鉾」/「紅座の庖厨」/「真夏の殺人」/ 甲賀三郎篇「琥珀のパイプ」/「恋を拾った話」/「錬金術」/「亡霊の指紋」/「悪戯」/「或る夜の出来事」/「空家の怪」)/小酒井不木篇「恋愛曲線」/「肉腫」/「印象」/「暴風雨の夜」/「謎の咬傷」/「愚人の毒」/「呪はれの家」/「秘密の相似」
  60. 『恋愛曲線』 日本小説文庫(219) 1932.12.15 (国DC)
    「恋愛曲線」/「痴人の復讐」/「秘密の相似」/「呪はれの家」/「闘争」
  61. 『疑問の黒枠』 日本小説文庫(220) 1932.12.18
    『疑問の黒枠』
  62. 『少年科学探偵』 春陽堂少年文庫(152) 1932.12.25
    「紅色ダイヤ」/「暗夜の格闘」/「髭の謎」/「頭蓋骨の秘密」/「白痴の智慧」/「紫外線」/「塵埃は語る」/「玉振時計の秘密」/「墓地の殺人」
  63. 『闘争』(江戸川乱歩編) 春秋社 1935.10.05
    △「編者の言葉」江戸川乱歩/「闘争」/「手術」/「遺伝」/「痴人の復讐」/「恋愛曲線」/「肉腫」/「秘密の相似」/「印象」/「稀有の犯罪」/「犬神」/「胃の中の小刀」/「紅蜘蛛の怪異」/「網膜現像」/「好色破邪顕正」/「蜀江の錦」/「孔雀の樹」チェスタトン
  64. 『展望塔の死美人』 日本小説文庫(416) 1936.10.30
    「展望塔の死美人」/「呪はれの家」/「死の接吻」/「通夜の人々」/「三つの痣」/「指紋研究家」/「眠り薬」/「緑柱石の宝冠」/「蜀江の錦」/「恋魔怪曲」
  65. 『大雷雨夜の殺人』 日本小説文庫(415) 1936.11.05
    「大雷雨夜の殺人」/「愚人の毒」/「メヂユーサの首」/「人工心臓」/「謎の咬傷」/「烏を飼ふ女」/「抱きつく瀕死者」/「雪の夜の惨劇」/「好色破邪顕正」
  66. 『夜の冒険』ドウーゼ、小酒井不木訳 博文館・名作探偵10 1939.07.08 )(国DC※)
    『夜の冒険』
  67. 『謎の短刀』ウイリアムス、小酒井不木訳 博文館・名作探偵14 1939.10.25 )(国DC※)
    『謎の短刀』
  68. 『生ける宝冠』ドウーゼ、小酒井不木訳 博文館・名作探偵18 1940.03.15(国04.15) (国DC)
    『生ける宝冠』
  69. 『紅色ダイヤ』 平凡社 (1928.03.01発行)1946.04.20再版
    「紅色ダイヤ」/「暗夜の格闘」/「髭の謎」/「頭葢骨の秘密」/「白痴の智慧」/「紫外線」/「塵埃は語る」
  70. 『疑問の黒枠』 三佯社・探偵小説傑作集3 1946.12.20
    『疑問の黒枠』
  71. 『死の接吻』 三佯社・探偵小説傑作集5 1947.04.30
    「死の接吻」/「呪はれの家」/「謎の咬傷」/「通夜の人々」
  72. 『少年探偵 紅色ダイヤ』 世界社 1948.06.10 (国DC)
    「紅色ダイヤ」/「暗夜の格闘」/「髭の謎」/「紫外線」/「時計の秘密」/「頭葢骨の秘密」/「白痴の智慧」/「塵埃は語る」
  73. 『夜の冒険』ドゥーゼ、小酒井不木訳 日本出版共同・異色探偵小説選集7  1954.02.25 (国DC※)
    『夜の冒険』/△「ドゥーゼについて」江戸川乱歩
  74. 『短篇集 城昌幸・小酒井不木篇 猟銃 他十九篇/恋愛曲線』 春陽堂・日本探偵小説全集13 1954.05.30
    (城昌幸「猟銃」/「その夜」/「怪談京土産」/「スタイリスト」/「幻想唐艸」(「第一 劫」/「第二 曠野」/「第三 思ひ出」)/「その家」/「ある恋文」/「まぼろし」/「ハムレット」/「絶壁」/「良心」/「影の路」/「道化役」/「花結び」/「ラビリンス」/「宿命」/「憂愁の人」/「もう一つの裏」/「秘密島」/「スフィンクスの女」/「艶隠者」)/小酒井不木「闘争」/「恋愛曲線」/「人工心臓」/「呪はれの家」/△「解説」中島河太郎/ 探偵通信10:△「城先生への寸翰」香山滋/△「小酒井博士のこと」江戸川乱歩/△「日本探偵小説史(10)」中島河太郎/△「探偵作家酒徒列伝」城昌幸
  75. 『小酒井不木・甲賀三郎集』 河出書房・探偵小説名作全集2 1956.09.30 (国DC※)
    『疑問の黒枠』/(『姿なき怪盗』甲賀三郎)/△「解説」中島河太郎/☆「略歴」「代表作」/月報8(△「探偵小説リアリズム説」安部公房/△「探偵小説の周辺」大久保康雄/△「探偵小説についての回想」浅見潤/☆「小酒井・甲賀主要文献目録」中島河太郎)
  76. 『少年少女世界の名作文学48 日本編4』川端康成監修、中野好夫監修、浜田広介監修、浜田広介編 小学館 1967.01.20 (国DC※)
    (△「はじめに」浜田広介/夏目漱石/巌谷小波/島崎藤村/森鴎外/小川未明/吉田絃二郎/宇野浩二)/「紅色ダイヤ」/「暗夜の格闘」/「白痴の知恵」/「ほこりは語る」/(小泉八雲/二葉亭四迷/芥川龍之介/宮沢賢治/佐々木邦/秋田雨雀/菊池寛/槇本楠郎/新美南吉/押川春浪/△「解説」滑川道夫/△「表紙絵解説」伊藤廉/△「読書のてびき」森久保仙太郎)
  77. 『別冊幻影城16 小酒井不木』 幻影城 1978.03.01
    ◇「探偵作家のアルバム16 探偵文壇の重鎮=小酒井不木」/『疑問の黒枠』/「呪われの家」/「三つの痣」/「人工心臓」/「直接証拠」/「稀有の犯罪」/「恋愛曲線」/「新案探偵法」/「汽車の切符」/「三つの証拠」/「好色破邪顕正(第一回分欠)」/「闘争」/「愚人の毒」/ △「父不木の思い出」小酒井望/△「耽綺社の指導者」長谷川伸/△「徹底個人主義」土師清二/△「思い出の断片」横溝正史/△「梅田ホテルでの話」渡辺均/△「小酒井不木氏の思い出」国枝史郎/△「小酒井氏の思い出」森下雨村/△「肱掛椅子の凭り心地」江戸川乱歩/△「作家としての小酒井博士」平林初之輔/△「小酒井氏と江戸文化」尾崎久彌/△「先生の余技」岡戸武平/△「吾等の一大損失」甲賀三郎/△「科学とメスとブラック・ユーモア」津井手郁輝/☆「小酒井不木書誌」島崎博/△「編集後記」T
  78. 『日本探偵小説全集1 黒岩涙香・小酒井不木・甲賀三郎集』 創元推理文庫(400/Mん-01) 1984.12.21
    (△「無惨序」黒岩涙香/「無惨」黒岩涙香/△「前置(著者の)」黒岩涙香/「血の文字」黒岩涙香)/「痴人の復讐」小酒井不木/「恋愛曲線」小酒井不木/「愚人の毒」小酒井不木/「闘争」小酒井不木/(「琥珀のパイプ」甲賀三郎/「支倉事件」甲賀三郎/「蜘蛛」甲賀三郎/「黄鳥の嘆き―二川家殺人事件」甲賀三郎/「青服の男」甲賀三郎)/ △「解説」中島河太郎/☆「黒岩涙香年譜」中島河太郎編/☆「小酒井不木年譜」中島河太郎編/☆「甲賀三郎年譜」中島河太郎編/△「編集後記」戸川安宣/△「探偵物語の処女作」黒岩涙香/△「父不木の思い出」小酒井望/△「ドイルを宗とす」甲賀三郎/△「父、甲賀三郎を憶う」春田俊郎/△「横溝さんと「陰獣」」竹中英太郎
  79. 『少年探偵小説集』中島河太郎編 三一書房・少年小説大系7 1986.06.30
    (江戸川乱歩)/「紅色ダイヤ」/「暗夜の格闘」/「髭の謎」/「頭葢骨の秘密」/「白痴の智慧」/「紫外線」/「塵埃は語る」/「玉振時計の祕密」/(佐川春風/森下雨村/甲賀三郎/大下宇陀児/横溝正史/△「解説」中島河太郎/☆「年譜」中島河太郎/月報(△権田萬治/△二上洋一/△根本正義/△紀田順一郎))
  80. 『犯罪文学研究』 国書刊行会・クライム・ブックス 1991.09.30
    △『犯罪文学研究』(併録の「ポオの『マリー・ロオジェー事件』の研究」は未収録)/△「犯罪者のジェーキール・ハイド性」/△「モリアーチー教授」/△「探偵の元祖ヴィドック」/△「科学的研究と探偵小説」/△「探偵小説管見」/△「探偵小説の将来」/△「江戸川氏と私」/△「妖婆の鍋」/△「怪物の出産」/△「「ペスト」小史」/△「デ・フォーの「倫敦疫病日誌」」/△「エーンズウォースの「旧セント・ポールス寺院」」/△「サムエル・ピープスの日誌その他」/△「小酒井不木―横断する知性」長山靖生」/△「収録作品解題」長山靖生
  81. 『殺人論』 国書刊行会・クライム・ブックス 1991.10.30
    △『殺人論(抄)』/△『西洋探偵譚(抄)』/△『毒及び毒殺の研究』/△「錬金術」/△「古代の裁判探偵法」/△「西洋中世の拷問」/△「動物裁判」/△「屍体刑罰」/△「万有博士の二○年代」長山靖生/△「収録作品解題」長山靖生
  82. 『小酒井不木探偵小説全集1短篇集1』 本の友社 1992.06.25
    「呪はれの家」/「通夜の人々」/「按摩」/「虚実の証拠」/「手術」/「遺伝」/「痴人の復讐」/「暴風雨の夜」/「難題」/「恋愛曲線」/「肉腫」/「三つの痣」/「安死術」/「秘密の相似」/「直接証拠」/「桐の花」/「死の接吻」/「印象」/「卒倒」/「愚人の毒」/「メヂユーサの首」/「ある自殺者の手記」/「二重人格者」/「赦罪」/「死体蝋燭」/「見得ぬ顔」/「二人の思想家」/「闘争」/「鼻に基く殺人」/・「小酒井不木写真帖」
  83. 『小酒井不木探偵小説全集2短篇集2』 本の友社 1992.06.25
    「稀有の犯罪」/「犬神」/「三つの証拠」/「汽車の切符」/「胃の中の小刀」/「跳ね出す死人」/「紅蜘蛛の怪異」/「狂女と犬」/「血の盃」/「名探偵」/「新案探偵法」/「手紙の詭計」/「外務大臣の死」/「催眠術戦」/「新聞紙の包」/「人工心臓」/「竜門党異聞(探偵劇)」/「好色破邪顕正(第一回分欠)」/「緑柱石の宝冠」/「蜀江の錦」/「謎の咬傷」/「指紋研究家」/「二十年後」/「いたづら蟹」
  84. 『小酒井不木探偵小説全集3短篇集3』 本の友社 1992.06.25
    「劇場の事変」/「卑怯な毒殺」/「ふたりの犯人」/「分身の秘法」/「脅迫状」/「酩酊紳士」/「遂に鐘は鳴つた」/「網膜現象」/「硬骨漢」/「猫と村正」/「妲己の殺人」/「刹那の錯誤」/「血友病」/「偶然の成功」/「姙術魔」/ 少年科学探偵小説(「紅色ダイヤ」/「暗夜の格闘」/「髭の謎」/「頭蓋骨の秘密」/「白痴の智慧」/「紫外線」/「塵埃は語る」/「玉振時計の秘密」/「物言ふ林檎」/「血染の日誌」/「肖像の怪」/「十円紙幣」/△「麻酔薬の発見」/「一つの欠点」/「欺く者はなげく」/△「国際数学大競技」/△「国際射的大競技」)
  85. 『小酒井不木探偵小説全集4中篇集』 本の友社 1992.06.25
    「雪の夜の惨劇」/「懐疑狂時代」/「眠り薬」/「展望塔の死美人」/「抱きつく瀕死者」/「烏を飼ふ女」/「得意な容疑者」/「邂逅」/「長生薬由来」/「躓く探偵」/「初往診」/「ひすゐの簪」/「五階の窓(完結篇)」/「吉祥天女の像(完結篇)」
  86. 『小酒井不木探偵小説全集5長篇集』 本の友社 1992.06.25
    「疑問の黒枠」/「大雷雨夜の殺人」/「恋魔怪曲」
  87. 『小酒井不木探偵小説全集6翻訳集1』 本の友社 1992.06.25
    「スミルノ博士の日記」ドウーゼ/「夜の冒険」ドウーゼ
  88. 『小酒井不木探偵小説全集7翻訳集2』 本の友社 1992.06.25
    「生ける宝冠」ドウーゼ/「スペードのキング」ドウーゼ
  89. 『小酒井不木探偵小説全集8翻訳集3』 本の友社 1992.06.25
    「孔雀の樹」チェスタトン/「真夏の惨劇」ウヰリアムス/「乾板上の三人」ローゼンハイン/・「索引」/・「リスト」
  90. 『叢書新青年 小酒井不木 幻想有理の探偵劇』 博文館新社 1994.04.25
    △「探偵小説」/「画家の罪?」/「一匹の蚤」/「犬の幻想」/「跳ね出す死人」/「紅蜘蛛の怪異」/「機械人間」/「自殺か他殺か」/「記憶抹殺術」/「屍を」/「「ラムール」」/▲「合作長篇を中心とする探偵作家座談会」江戸川乱歩、国枝史郎、山下利三郎、小酒井不木、長谷川伸、横溝正史/「黄色の街」/「二つの死体」/「別人の血液」/△「小酒井不木論―血に啼く両価性の世界」天瀬裕康/△「小酒井不木研究史」長山靖生/☆「小酒井不木年譜」天瀬裕康
  91. 『人工心臓』 国書刊行会・探偵クラブ 1994.09.20
    「犬神」/「恋愛曲線」/「人工心臓」/「外務大臣の死」/「安死術」/「死の接吻」/「メヂューサの首」/「新案探偵法」/「稀有の犯罪」/「二重人格者」/「闘争」/△「「二銭銅貨」を読む」/△「「心理試験」序」/△「国枝史郎氏の人物と作品」/△「歴史的探偵小説の興味」/△「ポオとルヴェル」/△「ヂュパンとカリング」/△「「マリー・ロオジェ事件」の研究」/△「恐ろしき贈物」/△「誤った鑑定」/ △「怪談綺談」/△「変な恋」/「体格検査」/「被尾行者」/△「真紅の原稿用紙」長山靖生/☆「小酒井不木著書目録」長山靖生編
  92. 『大雷雨夜の殺人 他8編』 春陽文庫(C98-01) 1995.02.25
    △「黎明期の水先案内人・小酒井不木」山前譲/「大雷雨夜の殺人」/「愚人の毒」/「メデューサの首」/「人工心臓」/「謎の咬傷」/「烏を飼う女」/「抱きつく瀕死者」/「雪の夜の惨劇」/「好色破邪顕正(第一回分欠)」/△「講説」山前譲
  93. 『小酒井不木集』中島河太郎監修 リブリオ出版・くらしっくミステリーワールド6 1997.02.28
    「闘争」/「恋愛曲線」/「愚人の毒」/「安死術」/「人工心臓」/△「解説」中島河太郎
  94. 『怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 恋愛曲線』日下三蔵編 ちくま文庫(か-35-06) 2002.02.06
    「恋愛曲線」/「人工心臓」/「按摩」/「犬神」/「遺伝」/「手術」/「肉腫」/「安死術」/「秘密の相似」/「印象」/「初往診」/「血友病」/「死の接吻」/「痴人の復讐」/「血の盃」/「猫と村正」/「狂女と犬」/「鼻に基く殺人」/「卑怯な毒殺」/「死体蝋燭」/「ある自殺者の手記」/「暴風雨の夜」/「呪はれの家」/「謎の咬傷」/「新案探偵法」/「愚人の毒」/「メヂューサの首」/「三つの痣」/「好色破邪顕正(第一回分欠)」/「闘争」/△「解説」日下三蔵
  95. 『小酒井不木探偵小説選』 論創社・論創ミステリ叢書8 2004.07.25
    「紅色ダイヤ」/「暗夜の格闘」/「髭の謎」/「頭葢骨の秘密」/「白痴の知恵」/「紫外線」/「塵埃は語る」/「玉振時計の祕密」/「現場の写真」/「自殺か他殺か」/「深夜の電話」/「墓地の殺人」/「不思議の煙(中絶)」/△「おことわり」/「空中殺人団」パウル・ローゼンハイン、鶴毛寧夫 訳/△「科学的研究と探偵小説」/△「『少年科学探偵』序」/△「『小酒井不木集』はしがき」/△「解題」横井司
  96. 『子不語の夢 江戸川乱歩小酒井不木往復書簡集』浜田雄介編、乱歩蔵びらき委員会 皓星社 2004.10.21
    △「序 江戸川乱歩と「新しい時代の公」野呂昭彦/△「江戸川乱歩小酒井不木往復書簡(大正十二年〜昭和四年)」(小松史生子翻刻、阿部崇翻刻、村上裕徳脚注)/△「江戸川氏と私」小酒井不木/△「肘掛椅子の凭り心地」江戸川乱歩/△「乱歩、〈通俗大作〉へ賭けた夢」小松史生子/△「不木が乱歩に夢みたもの」阿部崇/△「小酒井不木に学ぶ「ひとそだて・まちそだて」」伊藤和孝/△「解説 子不語の夢 七年の軌跡」浜田雄介/・「関連年表」/・「索引」/CD ROM
  97. 『小酒井不木随筆評論選集1』 本の友社 2004.10.
    ※詳細未確認(△「犯罪と探偵」/△「毒と毒殺」/△「仮死と犯罪」/△「無意識の行為と犯罪」/△「迷信と犯罪」/△「女性と犯罪」/△「三面座談」/△「犯罪随筆」)
  98. 『小酒井不木随筆評論選集2』 本の友社 2004.10.
    ※詳細未確認(△「西洋探偵譚」/△「探偵雑話」/△「殺人論」)
  99. 『小酒井不木随筆評論選集3』 本の友社 2004.10.
    ※詳細未確認(△「近代犯罪研究」/△「近代犯罪事実談」/△「変態心理と犯罪」/△「自白の心理」/△「女性の異常心理」/△「怪奇談叢」)
  100. 『小酒井不木随筆評論選集4』 本の友社 2004.10.
    ※詳細未確認(△「犯罪探偵の今昔」/△「犯罪探偵茶話」/△「世界裁判奇談」/△「趣味の犯罪探偵談」)
  101. 『小酒井不木随筆評論選集5』 本の友社 2004.10.
    ※詳細未確認(△「犯罪文学研究」/△「タナトプシス」)
  102. 『小酒井不木随筆評論選集6』 本の友社 2004.10.
    ※詳細未確認(△「西洋医談」/△「医談」/△「趣味の医学」)
  103. 『小酒井不木随筆評論選集7』 本の友社 2004.10.
    ※詳細未確認(△「不木軒随筆」/△「不木軒夜話」/△「文学随筆」)
  104. 『小酒井不木随筆評論選集8』 本の友社 2004.10.
    ※詳細未確認(△「学者気質」/△「彗星放語」/△「日常生活と変態心理」/△「不木軒漫筆」/△「身辺雑記」/△「書簡」)
  105. 『少年科学探偵』 真珠書院パール文庫 2013.08.10
    「紅色ダイヤ」/「暗夜の格闘」/「髭の謎」/「頭葢骨の秘密」/「白痴の智慧」/「紫外線」/「塵埃は語る」/「玉振時計の祕密」
  106. 『疑問の黒枠』 河出文庫(こ-22-01) 2017.09.20
    『疑問の黒枠』/△「解説―謎とスリルに満ちたファン必読の長編探偵小説」山前譲
  107. 『小酒井不木探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書109 2017.11.30
    「画家の罪?」/「呪はれの家」/「謎の咬傷」/「通夜の人々」/「ふたりの犯人」/「直接証拠」/「愚人の毒」/「紅蜘蛛の怪異」/「稀有の犯罪」/「展望塔の死美人」/「『好色破邪顕正』」/「紅蜘蛛綺譚」/「龍門党異聞(戯曲)」/「手紙の詭計」/「外務大臣の死」/「催眠術戦」/「新聞紙の包」/「偶然の成功」/「妲己の殺人」/ △「偶感二題」/△「課題」/△「作家としての私」/△「匿名の手紙」/△「陪審制度宣伝劇」/△「少年時代の愛読書」/△「探偵小説劇化の一経験」/△「探偵文芸の将来」/△「探偵小説の行くべき道」/△「大衆文芸ものの映画化」/△「名古屋スケツチ」/△「ペンから試験管へ」/△「『龍門党異聞』について」/△「編者解題」阿部崇
  108. 『森下雨村 小酒井不木 ミステリー・レガシー』ミステリー文学資料館編 光文社文庫(み-19-53) 2019.05.20
    △「まえがき」/森下雨村(「丹那殺人事件」/△「小酒井氏の思い出」)/小酒井不木(「按摩」/「虚実の証拠」/「恋愛曲線」/「恋魔怪曲」/「闘争」/△「科学的研究と探偵小説」/△「江戸川氏と私」)/△「解説」山前譲


      参考文献

  1. Web Site 「奈落の井戸」
  2. 「小酒井不木書誌」島崎博編
    『別冊幻影城16 小酒井不木』 幻影城 1978.03.01
  3. 「小酒井不木著書目録」長山靖生編
    『人工心臓』 国書刊行会・探偵クラブ 1994.09.20
  4. 「年譜」「著書年表」「執筆年表」「「年譜」の一部訂正」
    『小酒井不木全集12文学随筆及書簡』、ほか(訂正) 改造社 1930.05.21 (国DC※)
  5. ほか、多数



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