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宮野叢子(村子)作品


      宮野叢子(村子)(みやのむらこ)略年譜

    1917.02.09(大正6年) 新潟県で生まれる、本名は津野コウ(宝石、幻影城では林紅子)
    19xx.xx. 実践女専国文学部中退
    19xx.xx. 満州の大連に住む
    1938.05. 処女作「柿の木」(紅生姜子名義)を木々高太郎らの同人誌シュピオに発表
    1949.03. 「鯉沼家の悲劇」(宮野叢子名義)を宝石に一挙掲載、探偵作家クラブ賞(第3回)候補作となる
    1950.01. 『鯉沼家の悲劇』を宝石選書の一冊として刊行
    1950.04. 参加した「抜き打ち座談会」が新青年に掲載
    1951.05. 「愛憎の倫理」掲載、探偵作家クラブ賞(第5回)候補作となる
    1956.xx. 『夢を追う人々』(『流浪の瞳』として刊行)を書下ろし長編探偵小説全集(講談社)に応募、候補作となる
    1956.頃より 宮野村子に改名
    1958.06. 「恐ろしき弱さ」掲載、探偵作家クラブ賞(第12回)候補作となる
    1969.07. 現在判明している範囲では「あやかしの花」を最後に作品が途絶える
    1990.01.13(平成2年) 死去

    筆名は、林紅子、紅生姜子、宮野叢子、宮野村子


      小説(紅生姜子名義) (紅生薑子 くれおきょうこ:姜は薑の俗字)

  1. 「柿の木」
    《改稿前》
    ( シュピオ 1938.05. )
    『「シュピオ」傑作選 幻の探偵雑誌3』ミステリー文学資料館編 光文社文庫(み-19-03) 2000.05.20
    『宮野村子探偵小説選1』 論創社 2009.03.30
    《改稿後》
    宝石増刊 1949.05.
    『鯉沼家の悲劇』 岩谷書店 1950.01.10
    『日本推理小説大系9 昭和後期集』 東都書房 1961.03.20
    『宮野村子探偵小説選1』 論創社 2009.03.30
     小さい時に柿の木から落ちて頭を打ったサダ。どこか少しかわっている。弟妹からも蔑まれているサダ。弟妹らに虐められていたのを救った仔猫の眼。父母と別れ子守り奉公に行ったサダ。信頼されていたが、別れの一言がもたらす悲劇。
     サダの心理がもの悲しく、蔑まれた者への哀れさを誘う。現代にも通じる何気ない言葉がもたらす悲劇を描いた問題作といえるかも。 (2000.05.08)

  2. 「死後」
    ( 科学ペン 1938.07. )
     「興味を持つものではない、不幸がきます」といきなり美しい女性に私たち三人は声をかけられました。多美子が話した死にぎわの女の簪の話、友達の草子が亡くなる前に名も知れぬ小さな草になりたいと言っていた事、などをきっかけに死の知らせや死後の世界があるかという話になっていた時でした。その女性が語ったのは死の知らせや死後の世界が確かにあるという証拠を見せられた話でした。首に血の色をした手型が現れたら死んだと思って頂戴、といって亡くなった友達がいたのです。
     怪奇小説の一種。ありがちな話であるのは弱いが、血の色をした手型が現れた場面は迫力ある。また疑問を感じるラストではあるが、意外にまとまっていて良い感じ。ちなみに編集後記で「怪奇小説だがこれも科学小説の裾野」のように書かれていたとの事です。(※6:感謝) (2002.01.28)


      戦前の小説(宮野叢子名義)

  1. 「斑の消えた犬」
    ( 名作 1939.11. )
    『宮野村子探偵小説選1』 論創社 2009.03.30
     道子ときね子が朝鮮五目をしていた時、隣の家にママと兄と三人で住んでいる五つになる頼子が犬をつれてきた。兄の貞夫が拾ってきたという。今度は貞夫が尋ね犬としてふたつ出ていると新聞を持ってきた。白黒の斑の犬、白い犬、ともに間違いなさそうだ。洗って斑が消えたという。道子ときね子は先に新聞に出した家へ行くと、宝石泥棒があったその時にいなくなったという。そのからくりを見抜いた道子は犯人逮捕を警察にまかせるが、出てきた宝石は偽物だった。
     謎やそれを解くあたり自体はどちらかといえば単純。しかしそれだけでは終わらない。ユーモアある描写と切ない展開。戦前の少女を探偵役にした本格推理小説はこの作品だけではなかろうか。傑作。(※3,5:感謝) (2001.11.12)

  2. 「満州だより」
    ( 新青年 1940.03. )
    『外地探偵小説集 満州篇』藤田知浩編 せらび書房 2003.11.10
    『宮野村子探偵小説選1』 論創社 2009.03.30
     永見潔が出した妹の多加子と母へ大連での近況を知らせる手紙。酒場の女給ルミ子に呼び出されてお金を持って出かけた村井と村井に呼び出されて潔にお金を借りて出かけた島田。二人の同僚が行方不明になった。電話を受けたボーイの王は確かではないが似た声だったというが、ルミ子は知らないという。二人の死体が見つかった。二人合わせて六十円の命……。
     往復書簡形式の作品。からくりに気付くのは妹と母の側。きれいにまとまった作品。 (2004.07.19)


      戦中の読み物(林紅子名義)

  1. 「彼の場合」
    ( 満洲 1941.08. ) new
    ※11

  2. 「沙漠の神秘 橘瑞超の中亜探検に拠りて」
    ( 満蒙 1942.03.〜05. ) new

  3. 「世界の屋根を行く」
    ( 満蒙 1942.08.〜09. ) new
     大谷光瑞?の西蔵探検記?

  4. 「外蒙横断」
    ( 満蒙 1942.10.〜1943.03. ) new
     中村翠村のモンゴル探検記?


      戦後の小説・推理クイズ(宮野叢子名義)

  1. 「八人目の男」
    ( 文芸読物 1949.02. )
    『鯉沼家の悲劇』 岩谷書店 1950.01.10
    探偵倶楽部増刊 1952.06.
    『現代大推理小説大系8 短編名作集』 講談社 1973.07.08
    『宮野村子探偵小説選1』 論創社 2009.03.30
     妙子の四度の縁談は壊れ、その後の三度は相手が死亡。檜屋敷の呪いか。土蔵の中の位牌が動く時、不幸が起こる。そして八度目。兄妹の往復書簡で綴られる呪いの真相とは。
     古い因襲がよぶ悲劇。探偵小説的というよりロマンス。 (2000.05.08)

  2. 「鯉沼家の悲劇」 (中篇)
    宝石 1949.03.
    『鯉沼家の悲劇』 岩谷書店 1950.01.10
    『本格推理マガジン 鯉沼家の悲劇』鮎川哲也編 光文社文庫(あ-02-25) 1998.03.20
    『宮野村子探偵小説選1』 論創社 2009.03.30
     旧家の因襲に満ちた鯉沼家を舞台に起こる惨劇。祖父の謎の死。その長男の失踪や妾腹の娘の出奔。既に家を捨てていた語り手の母。後に残ったのは三姉妹の他数人の下男下女。出奔した娘が美少年をつれて戻って来るが、狂った予言を行うようになっていた。その予言の通りに一人、二人と死んでいく。
     この頃の作品で「旧家の因襲」といえば横溝正史を、また「ビードロ細工の美少年」といっても正史を思い起こさずにはいられない。本格(パズル)小説として弱い所があるのも否定できない。同じ様な題材でありながら、特に語り手の淡い恋や美少年の描写などで女性らしさが感じられ、動機といい明らかに異なる作品といえる。横溝正史がブームになった時に、同時に紹介されていてもおかしくないにもかかわらず、埋もれたままになっていたのは「埋もれた名作」(傑作とまではいきませんが)といえるかも。 (1998.04.12)

  3. 「若き正義」
    宝石 1949.06.
    『宮野村子探偵小説選1』 論創社 2009.03.30
     派出所に呼び出されたといって現れた商人。そのような事実はなく、野口巡査は呼び出した男の人相を聞いて帰した。が、すぐに「妻が殺されている」と戻ってきた。強盗か、それとも。ふとした事から気付いた巡査は正しいと思った行動をとる。
     なかなか(独創的ではないが)トリッキーな作品。短すぎる為か、タイトルから主眼が野口巡査の行動である為か、もう少し、と思うと惜しい。 (2000.05.08)

  4. 「狂ひ咲き」
    オール小説 1949.07.
     隣家に入り込んだ何処かの飼い猫。突然、凄まじい猫の鳴き声と美津江の笑い声が。美津江が庭の大事な薔薇をいたずらしたから殺したのだと言って猫の死体を投げ入れてきた。美津江は晩年の子で美しかった為か、わがままいっぱい。それを許す両親のせいもあって三度婿養子をむかえたにもかかわらず一年ともたなかった。三度目の吉井とは双方で未練があるようす。そして美津江の両親が……。
     冒頭に猫をもってきたのは「猫可愛いがり」という意味もあるのか。美津江のキャラクターは強烈であり、考えさせられるものもある。しかし、逆にそれだけともいえる。 (2003.09.20)

  5. 「黒い影」
    宝石増刊 1949.09.
    『探偵小説傑作選・1950年版』日本探偵作家クラブ編 岩谷書店 1950.11.20
    ( 『宝石推理小説傑作選1』 いんなあとりっぷ社 1974.06.15 )
    幻影城 1976.05.
    『宮野村子探偵小説選1』 論創社 2009.03.30
     幼い姉妹二人が坂道を歩いている時に姉一人だけが事故に遭う。そして病院へ行ったきりの母のほんの一言がその後の姉妹の運命を決定付けてしまう。二人の感情の行き着く先は……。
     幼い時の出来事が元で発した母の一言が、そのまま行く所まで行ってしまうというある種の恐ろしさ、不気味さを感じる。佳作。 (1998.04.12)

  6. 「花の死」
    宝石 1949.10.
     戦後、身寄りがなくなった娘が職業安定所を訪れた時、老婦人に呼び止められる。彼女の仕えている奥さんの話し相手としての仕事を世話される事になった。風変わりな要求。そして夜中のピアノの音。何の為に選ばれたのか。そして、終幕。
     残酷な殺人もなく、恐怖小説でもない。本格ものを意図してある程度成功していると思う。似た話もあると思うので一般的評価はともかく、なかなか私好みの一品。 (1998.04.13)

  7. 「桜屋形の秘密」
    ( 富士増刊 1949.10. )
    ※1

  8. 「姫君殺人事件」
    ( 実話講談の泉 1949.12. )
    ※1

  9. 「記憶」
    『鯉沼家の悲劇』 岩谷書店 1950.01.10
    『探偵くらぶ(下)』日本推理作家協会編 光文社カッパ・ノベルス 1997.11.25
    『宮野村子探偵小説選1』 論創社 2009.03.30
     怒りに燃え立った時に白い闇と音の渦に我をを忘れてしまう少女。最初の時に男の子と犬と知り合えたという良い事もあった。しかし、男の子から言われて祖父に高利貸しを止めるよう言った時、思わぬ怒りに会う。また白い闇と音の渦が・・。
     少々御都合主義的ですがまとまっています。「白い闇と音の渦」についての説明もあり、しっかり探偵小説の分類に入った作品。佳作かも。 (1998.04.25)

  10. 「伴天連物語」 [伴天連]
    『鯉沼家の悲劇』 岩谷書店 1950.01.10
    『宮野村子探偵小説選1』 論創社 2009.03.30
     関白秀次の血筋が根絶されて一年。キリシタンである伴天連(バテレ)、ルイシ・フロインの元に唯一残っていた秀次の血筋をもつ千代丸が連れてこられた。伴天連は淀君に呼び出されたが、俗世を絶ったとして引き渡すのを拒絶した。しかし……。
     擬古文?調の語り口が効果をあげている。内容は淀君の策略部分に関してのみ探偵小説とはいえなくはない。 (2000.05.08→2001.09.24訂正)

  11. 「木犀香る家」
    新青年 1950.01.
    探偵倶楽部増刊 1958.04.
    『宮野村子探偵小説選1』 論創社 2009.03.30
     兄は戦死、母も亡くなり、弟は病気、父は爆弾で記憶や思考能力がなくなっていた。じいやとその娘とで古い家を離れることが出来ない早苗。木犀香る中、音を聞くと怯え、妖刀村正を持つと落ち着く父。そんな時、淡い愛情をもっていた兄の友人、真崎が訪れた。
     やや単純ではあるが、伏線もあり謎解き要素も満たしている。雰囲気も出ていて結構良い作品。どこかに紛れ込んで再録されてもおかしくないかも。 (2000.05.08)

  12. 「切れた紐」
    宝石 1950.02.
     夫を亡くし、子供を道連れに心中しようとしたが死にきれず、さらに不幸な事に娘の知能は止まったままになってしまっていた。未亡人はなんとか菓子屋を営むまでになっていたが、娘の事を思うと不幸である事に変わりはなかった。娘が十八の時、鉄道工事の工夫達と知り合い、不幸も薄れてくる。工事も終了する頃、事件は起こる。
     テーマを考えると文芸作品を狙ったものに感じられるが、ミステリーとしても底が割れ、文芸作品的な味わいも薄い。どちらも中途半端な感じが・・。 (1998.04.14)

  13. 「運命の使者」
    富士 1950.04.
     澤井家に残っていたのは達也と妹の美奈子、そして昔から仕えている母と私君枝だけだった。兄弟の姉真紀子が川に身を投げて、その後旦那さまと奥さまも亡くなった侘びしい大晦日の雪の降る夜。年の変わり目にきたお客さまによってその年の運命が決まるともいう。幽霊か野良猫か。達也に不気味なお客が会いに来た。
     侘びしい大晦日のようすがうまく感じられる舞台設定と描写。運命の使者とは何者かという意味では興味深いが、結末は御都合主義的に感じられるが、大晦日という特別な日なので和らいでいる。 (2009.09.16)

  14. 「匂ひのある夢」
    新青年 1950.04.
    探偵倶楽部増刊 1957.11.
    『宮野村子探偵小説選1』 論創社 2009.03.30
     君子は病弱な妹の光子と父、そして猫のミミとの三人と一匹で暮らしていた。ある夜、狼の吉という強盗が押し入ったが、父や君子らを殺しそこねて逃げてしまった。高田警部補はたびたび見舞いに来て話していく。嫌う父。事件以来人が変わったみたい。らしからぬ狼の吉の自殺。そして二代目狼の吉の登場。
     大体は予想がついてしまうものの、まさかの原因。賛否両論あろうが、異色ミステリーとしてなかなかの佳作。 (2001.11.22)

  15. 「大蛇物語」
    宝石 1950.04.
    『怪奇・伝奇 時代小説選集(5)北斎と幽霊』志村有弘編 春陽文庫(A80-04) 2000.02.20
     三折峠に出るという大蛇(おろち)。退治しに行った人々は全滅。一方、村長の娘の元に夜な夜な現れる許嫁の若衆がいる。峠に通りかかった琵琶法師。さて・・。
     古典調の文体はいかにも説話から持ってきたかのよう。古代ロマンの気も多少ある。 (2000.05.08)

  16. 「かなしき狂人」
    ホープ 1950.05.
     戦地にいる息子正春に送るために縫い続ける夫人。ユキは夫人の世話をしていた。戦地とシベリア抑留の後、帰ってきた正春は人が違ったようだった。その理由を知ったユキは。そして夫人は再び縫い続ける。
     夫人も正春もわからないでもない。ユキの行動もわからないわけではないが、やはり理解できない。思いこみか浅はかなのか不明。 (2009.05.03)

  17. 「妖奇島の姉妹」
    実話講談の泉 1950.06.
     絶海の孤島に住むエミとルミは体が繋がっていた。ママはいない。パパは年に数回、数ヶ月間船に乗って出かけていく。二人は唖の老婆から船が着くと知らされ迎えに行くと、パパはルミに似た綺麗な女性を連れてきていた。その女性の事をパパといつも一緒にいる老船員に聞いても教えてくれない。
     角書きは復讐鬼譚。怪奇実話風の作品でアイデア自体は珍しくないが、話の展開や舞台設定などは巧い。 (2003.09.20)

  18. 「紫苑屋敷の謎」
    怪奇探偵クラブ 1950.06.
    『紫苑屋敷の謎』 穂高書房 1958.07.25
    『宮野村子探偵小説選2』 論創社 2009.04.30
     紫苑屋敷とよばれた旧家の屋敷も数十年に焼失し今はない。欠かさずお墓参りをする祖母イチが孫娘に語る。イチが奉公していた頃、当主英太郎の母が死亡し、その後、強盗殺人犯人を英太郎が撃ち殺してしまう事件が発生。時々栄一郎の母に会いに来ていた昔の奉公人ヨネ。彼女らと何か秘密を共有しているらしい。そして屋敷の焼失と共に英太郎夫婦の死。その秘められたいきさつとは。
     旧家のしきたりなどが生んだ惨劇。特に焼死の動機に女性ならではと思わせるところがあり、話の構成と相まって効果をあげている。 (2009.04.29)

  19. 「赤煉瓦の家」
    宝石 1950.07.
    『宮野村子探偵小説選1』 論創社 2009.03.30
     怪談特集の一編。終戦直後の大連が舞台。会社の監督官として来たソ連人は、その会社の女性を秘書役にして大連を歩き廻っていた。自分の家を探すにあたってロシア町の赤煉瓦の家を選ぶ。そこで白骨死体が発見される。その因縁とは・・。
     白骨死体とか、因縁話とかがストレート過ぎて恐怖はあまり感じられない。短く、ちょっとしたお話。 (1998.04.14)

  20. 「無邪気な殺人鬼」
    ( 富士 1950.09. )
     マリコはママちゃん好きよ、綺麗だから。母のアケミは夜の仕事をしている。城田さんを家に連れてきたとき、いつでも死ねると思うと逆に生きる気持ちになる、生きる為の薬だとと青酸カリを見せた。引っ越してきて優しい隣家の小母さん。かつてマリコの父を奪った百合江さん。生きるために。
     題名からわかる通りの展開をみせるが、そこまでやるのか! (2016.05.01)

  21. 「ダイヤにのびる手」
    女学生の友 1950.10.
     帝政ロシアの時代に貴族だった祖父らが逃れて来た大連。戦争が終わってソ連軍が支配する今、リーザは父と二人でまた逃げだそうとしていた。代々伝わってきたダイヤを手に。元日本人憲兵が撃たれて倒れていたのを助ける二人。ダイヤを見られた。その夜、父が殺されダイヤが無くなっていた。
     角書きは推理小説であり、少女が真相に気付くものではあるが弱い。むしろ少女の最後の思いを書きたかったのかもしれない。(※7:感謝) (2004.07.19)

  22. 「哀しき錯誤」
    スリーナイン 1950.11.
    ( 探偵雑誌 1951.12. )
     晴夫が死んで一年。私、芳枝は平静な気持ちを保ち続けていた。あの人のためなら命もいらない、だが人妻なんだ、といった晴夫はもういない。私だけのものになったのだ。その女性、小倉テル子を見かけたとき、思い出の中に生きている気がした。私だけのものになったと思い知らせてあげる。
     愛するということは苦しい、という心理的描写は純文学的狙いであろうか。葛藤やサスペンスが不十分で、錯誤の内容も推理小説的に弱い。どちらつかずの中途半端な作品という印象。(※5:感謝) (2001.11.22)

  23. 「いたづら小僧」 (「いたずら小僧」)
    探偵クラブ 1950.11.
    『紫苑屋敷の謎』 穂高書房 1958.07.25
    『宮野村子探偵小説選2』 論創社 2009.04.30
     引き揚げ者寮のの一室に昌一とその父、隣に義姉妹が住んでいた。昌一のいたずらは物を取り替えるということで、ついに赤ちゃんまで。父に怒られ、日頃かばってくれる隣の夫が目を撃たれて戦死したという未亡人の秋子と彼の妹文子にも窘められ、もうしない事を約束した。そんな折り、姉妹の隣に男女が越してきた。盲目のその男はその女性の燕だという。
     子供が主人公で大人のうわさ話を意味もわからず話す。犯人当てとしては手懸かりが不十分であるし動機もとってつけたような感じはある。しかし、戦後の大人と元気な子供の対比は面白い。 (2009.04.29)

  24. 「薔薇の処女」
    宝石 1950.12.
    『「宝石」傑作選 甦る探偵雑誌10』ミステリー文学資料館編 光文社文庫(み-19-20) 2004.01.20
    『宮野村子探偵小説選1』 論創社 2009.03.30
     姉を慕う病弱な明彦は見事な薔薇を咲かせた。娘時代最後のクリスマス兼誕生祝いとして姉聖子へのプレゼントに。家庭教師の鈴村も密かに聖子を思う一人。娘のままに留めたい二人。鈴村の暗喩に明彦は・・。
     静かななかで淡々と進む物語。結末の一ひねりが効果的。 (2000.05.08)

  25. 「考へる蛇」
    宝石 1951.02.
    『宮野村子探偵小説選2』 論創社 2009.04.30
     女流作家特集の一編。頼まれて遠縁の娘を預かった夫婦。妻は、その娘はとぐろを巻いて考え込んでいる蛇に似ていると言う。気を紛らわせようと娘を外へ連れ出す夫。夫婦仲が微妙になってきて娘を帰そうと決心した時、蛇は……。
     大人でも子供でもない娘の一途な気持ちが空恐ろしく感じられる。心理的な綾はさすがに女流作家を感じさせられ、意外と佳作かも。 (1998.04.12)

  26. 「罠」
    探偵クラブ 1951.02.
     石塚老人の財産を譲られることになった五郎。差し迫った金の必要はなく、信用されていて動機もない。いよいよ条件など弁護士をよんで正式に決めるらしい。五郎はアリバイを作り、事故にみせかけて殺害するが……。
     老人の秘密は少々無理がある。動機も殺すなら今が疑われにくい程度でよくわからない。伏線はあるものの発覚の意外性のみの作品。 (2003.07.12)

  27. 「猫と鏡」 (掌編)
    ( 探偵論想 1951.03. )
    『宮野村子探偵小説選2』 論創社 2009.04.30
     孤独な女主人と共に住む孤独な雌猫のピネ。女主人が窓際に鏡を据えたとき……。
     猫の行動を描いたショート・ショート。余韻の残る最後の文章となっている。(※9) (2009.04.29)

  28. 「愛憎の倫理」
    小説公園 1951.05.
    『探偵小説傑作選・1952年版』日本探偵作家クラブ編 岩谷書店 1953.02.25
    『宮野村子探偵小説選2』 論創社 2009.04.30
     既に夫を亡くして久しい美代は義弟の幸夫とともに山へ草刈りへ行った。純潔さがまぶしい幸夫。美代は陽が落ちた後もひとり残っていると屈強の男に襲われた。その後、妻に裏切られて銃殺し、刑期を終えて戻ってきた雄二の妻になったが……。
     愛憎のはざまで揺れ動く心理を描いた文芸的作品。ミステリー的要素はほとんどない。心理的に共感も驚きも感じなかった為にだから何?という感を否めない。年鑑に選ばれたのは時代的背景や傾向があったのだろうか。不思議。 (2003.09.27)

  29. 「おしの鳩時計」
    女学生の友 1951.06.
     ソ連軍の進駐してきた大連。愛子と孝子の父は連れていかれたまま帰ってこない。道の上で家財を売って生活していた。隣で売っているおじさんも手伝ってくれる。買ってくれるのは女将校のマリーナさん。しかし、はと時計はマリーナ家の料理人の張さんが買っていった。その晩……。
     冒頭でおしるこ十杯食べたら只というお店の話をしている二人。掲載誌が少女向けであるからではあろうが、戦後の大連が意外に明るい雰囲気に思われる。謎はあっさりしているが話の展開の仕方はうまい。(※7:感謝) (2004.07.19)

  30. 「安珍清姫殺人事件」
    探偵クラブ 1951.07.
    耽奇小説増刊 1958.11.
     大連の文化アパートの女主人の若旦那は帯に鈴をつけて女のようななりとしぐさ。隣の娘の京子に出した恋文が元で母親が京子のかわりになり、浮気するなら清姫となると宣言する。雨の夜、原っぱで彼が殺された。夜中に聞こえた鈴の音、ボーイの王が部屋までは送ったのは彼ではなかったのか。アパートの住人である私には犯人がわかった。
     人物の誇張といい、コメディタッチの作品。そして結末も。警察がわからないとは思えないが、作品としてはまとまっている。佳作。 (2003.07.12)

  31. 「ナフタリン」 (掌編)
    宝石 1951.08.
    探偵倶楽部 1954.01.
    『宮野村子探偵小説選2』 論創社 2009.04.30
     あたしが電車に乗ったら高貴そうな美少年が座っていて、降りる時にはその隣に座っていた女の子も同時。あたしは後でお金を摺られたのに気が付いて再び同じ時間の電車に乗ると、果たして……。
     しゃれた掌編。コントに近いですが、軽く……。 (1998.04.12)

  32. 「首なし人形事件 NHK犯人は誰だ?」 (クイズ脚本)
    宝石 1951.10.(07.01.放送)
     恋人とのデートから戻ると、彼から贈られた人形が倒されて首がとれていた。犯人は家族?猫?それとも・・。
     単なる底の浅いクイズ。たまたま判ったから? (2000.05.08)

  33. 「姿なき使者」
    少女サロン 1951.10.
    ※7

  34. 「神の裁き」
    探偵クラブ 1951.11.
    小説倶楽部増刊 1961.10.
    『宮野村子探偵小説選2』 論創社 2009.04.30
     アパートに尋ねてきた同じお店勤めの永島時子。隣人の南光枝と管理人らが合い鍵で入ると杉野母子が自殺していた。母子は偽名で本籍地まで偽っていた。死の数日後、そっくりそのままで借りたいという男が現れたという。
     法で裁けない裁きと女性の設定は良い。しかし論拠や動機も後出しで説得性が薄い。その一事だけでは神の裁きではなく人の裁きとしか思われない。 (2009.05.03)

  35. 「相剋の図絵」
    宝石 1952.01.
    『宮野村子探偵小説選2』 論創社 2009.04.30
     叔母のひさ枝に育てられた克己。恋人の陽子。仔猫とともにガスもれで死んだ克己の両親。肖像画の父とそっくりな克己。そして結婚。陽子とひさ枝、愛憎の相剋の図絵を描く。
     この終わり方は成功していると思う。不思議な味わいある、なかなか良い作品。 (2000.09.17)

  36. 「夢をまねく手」
    ( 女学生の友 1952.01.〜08. )
     玉岡ひろみは姉のように思う青木沙知子と捜査主任の俊治叔父さんのいる警察署へ遊びにいっていた。酔っ払いの騒ぎで逃げ出した取調べ中の少年。残された女神の絵と桃色真珠。ひろみと沙知子は帰りにその少年を助けるが記憶喪失になっていた。翌朝、南の島から復員してお金持ちになったミナ子の父が殺された。ミナ子は優しい犯人の象牙のパイプを拾ったといい、ひろみに渡す。病院からいなくなった少年。事件は女神の絵に書かれたとおり、呪いなのか。ひろみは兄の康夫と調べていく。
     初の連載のためか、毎回事件が起こって次号という形が多く、通して読むと詰め込み過ぎという感じがする。最初のトリックは面白いが、メインとなるべき謎が弱いのが難点。 (2016.05.01)

  37. 「悪魔の魂」
    探偵クラブ 1952.02.
    『宮野村子探偵小説選2』 論創社 2009.04.30
     義姉に子供ができたらしい。昌二は打ちのめされた。悪魔の魂に半ば憑かれたように偽名で恋文を書く。義姉は昔の友達からだ平然という。今にみてろ、と悪魔の魂がささやいた。
     女心の不思議さ、少年の思い、そして夫。それぞれ持っている悪魔の魂が表面にでた時という心理的な行動と結果に重点をおいた作品。 (2003.07.12)

  38. 「草の芽」
    小説公園 1952.03.
     お重は小間物店のあがりとと娘時子から小遣いを貰って慎ましく暮らしていた。息子を戦争を亡くし、部屋はそのままにして。お重は思い切って幼い孫の久男に二階を貸そうと打ち明け、決心する。借りる事になったのは亡くなった息子のような若者ではなく近藤という老人だった。
     ユーモア小説。お重、老人、孫らの勘違いが引き起こす事柄がとぼけていてとても面白い。間違いに推理的要素があれば日常の謎になったかもしれないが、やはり探偵小説とはいえないのが残念。 (2009.09.16)

  39. 「バラ盗み競争 NHK犯人は誰だ?」 (クイズ脚本)
    宝石 1952.10.(06.08.放送)
     バラを盗もうとすると鳴く犬。四人のうち見事に盗んだ人に贈呈するというゲームになって、見事一人が。誰?
     クイズ。少々アンフェアだと思ったのは負け惜しみかも。 (2000.05.08)

  40. 「夜の魚」
    探偵倶楽部 1952.10.
     街の小紳士健一は街の淑女の春美を映画に誘った。花売り娘のマチ子が見繕った花束を持ってアパートへ迎えに行くと春美の仲間のルミ子が追い出されたところだった。春美はこれから出かけるという。本気で透きになったらお終いなのに。
     戦前の海外作品原案とも思えるような貧しくとも小粋な話。ただ、心理的な展開は独自のようにも思える。 (2009.09.16)

  41. 「夢の中の顔」
    探偵倶楽部 1953.02.
    『紫苑屋敷の謎』 穂高書房 1958.07.25
    『「探偵倶楽部」傑作選 甦る探偵雑誌7』ミステリー文学資料館編 光文社文庫(み-19-17) 2003.07.20
    『宮野村子探偵小説選2』 論創社 2009.04.30
     新妻の道子と勧めた姉を残して山の温泉宿へ転地療養のために滞在する修一。姉の夫はその山で亡くなっていた。たまたま宿のおかみから当時の写真をみせられ、話を聞くと逢い引きの最中に崖から落ちたという。夢に怯えていた道子。姉弟の往復書簡で綴られる真相とは。
     今ひとつ姉の行動には納得できないものの、意外と現代でも通用する内容。手紙のみで構成されるという手法が効果をあげている。 (2003.07.12)

  42. 「冬の蠅」
    小説公園 1953.02.
     元男爵の高慢な娘冬美。幼なじみの準二は彼女に戸惑う様子を眺めようと場違いな庶民の酒場に連れ込んだ。しかし変わったのは酒場の雰囲気であった。準二の大連の会社の先輩だった今井が来ていて、引き上げ前の事件以来今井夫人のようすが時々おかしくなるという。興味をひかれた冬美は夫人を見舞いにいくが……。
     斜陽族ならぬますます盛んになる冬美を昇陽族という準二。冬の今にも死にそうな蠅との対比は冬美を際だたせる。高慢で特異な性格の女性を書かせるとうまい。佳作。(※8) (2009.05.03)

  43. 「毒ある妖花」
    讀物 1953.04.
     牧野丈吉が義姉初子からの電話でよばれたて行くと、兄裕太郎との噂がある舞踊団の新進舞姫の東夏江がお客として来ていた。新作舞踊「曲馬団の女」では名人菊太郎が短剣を投げて夏江の衣裳を縫いつける趣向だ。招待されて丈吉と初子とアパートの管理人の娘昌子は見に行った。楽屋での夏江の対応。殺意。そしてついに、短剣は夏江の胸に。
     事故?故意?それとも……。真相はあかされないまま。プロバビリティの犯罪ものといえるがその方法はありきたり。 (2001.12.30)

  44. 「ヘリオトロープ」
    探偵倶楽部 1953.06.
    『宮野村子探偵小説選2』 論創社 2009.04.30
     今も三千代が怖いの、と豊子。三千代は修介の病気の妻で三人は幼な馴染であった。十年前は譲った豊子だが再び出会った二人は逢瀬を重ねる。生霊となったかのような三千代。ヘリオトロープの匂いとともに聞こえる笑い声。憎んでやる。
     怪奇小説コンクールの一編。幽体離脱でありその事に関しての怪奇性はあまり感じないが、女の執念は恐ろしい。 (2003.09.27)

  45. 「轟音」
    探偵倶楽部 1953.08.
     財産目当てで結婚した龍二は新妻の美根子を殺害しようとして山の温泉へ連れ出す。途中の道は雨後に岩が落ちて来て自動車ごと転落した事もある。龍二は計画を実行したが。
     倒叙的な作品で皮肉な結末、といえるかもしれない。が、伏線があるとはいえ、御都合主義に感じられる。 (2000.09.17)

  46. 「美しき毒蛇」 (懸賞犯人探し)
    探偵倶楽部 1953.08.,(11.?)
     浮気しているらしい夫、別れを告げた浮気相手、浮気相手に捨てられた女性。ダンスホールで毒殺された妻。犯人は。
     推理クイズ。正解は不明ですが、多分わかったと思う。 (2000.09.17)

  47. 「銀杏屋敷の秘密」
    探偵倶楽部 1953.10.
    『紫苑屋敷の謎』 穂高書房 1958.07.25
    『宮野村子探偵小説選2』 論創社 2009.04.30
     銀杏屋敷に越してきたのは老婦人と若い未亡人と老爺と老女中。それに猛犬隼。千代の幼友達だった光江は病弱の若夫人の世話で住み込んでいたが駆け落ちしたという事で行方不明に。代わりに千代が勤めることになった。老婦人と若夫人が二人で入る鏡張りの湯殿。出た時には憔悴した感じになる若夫人。ここはまるで牢獄のよう。
     怪奇小説味が濃い。古井戸と烏、湯殿と鏡、猛犬と千切れた着物。雰囲気は申し分なく佳作といえる。聞いた言葉の意味も見事。ただ、どうして自ら結末を着けなかったのかという疑問は残る。 (2009.04.29)

  48. 「勝負」 (掌編)
    将棋世界 1953.10.
     ここ一年ばかり毎日のように将棋を指している二人の老人。孫の幸子は将棋に憑かれているみたいという。勝ったり負けたり勝負はつかない。
     見事にオチがきまっている。暗示半分の終わり方は良い。(※8) (2009.05.03)

  49. 「二冊のノート」
    探偵倶楽部 1953.12.
    『宮野村子探偵小説選2』 論創社 2009.04.30
     ノートを二冊貰った咲子は、隣家の光子にも一冊あげた。ふと取り違えた光子のノート。そこには夫とその浮気らしい女への憎悪と光子の自殺を思わせる事が書かれていた。そして光子の死……。
     行為を単純に考えれば浅はかすぎる。賭けの行為なのか別の理由があったのか。 (2009.05.03)

  50. 「ダイヤのなぞ」
    少年少女譚海 1954.03.
    ※8

  51. 「悪魔の瞳」
    探偵倶楽部 1954.04.
    『宮野村子探偵小説選2』 論創社 2009.04.30
     あたしがどうしてあの男を殺したかと仰言るの? あたしと妹は魅入られてしまう瞳を持った男と出会い、妻になった。両親の病気見舞いの間に、妹と夫が。妹の自殺と両親の病死。夫はもう次から次へとする浮気を隠そうともしなくなっていた。そして突然、若い女性が訪ねてきた。
     悪魔の瞳に魅入られた女性達の悲劇。殺意を実行に移すきっかけが謎といえばいえるのだろう。 (2009.05.03)

  52. 「廃園の扉」
    小説と読物 1954.07.
    別冊宝石 1958.10.
    『宮野村子探偵小説選2』 論創社 2009.04.30
     幼な友達で競争相手でもあった八重と夫の浮気を知った定子は実家へ帰っている。帰って欲しいと定子のもとを訪れる義弟の光二。夫も謝り心配しているという。光二に言われて夫の家へ行くと窓に女性の影が。裏切られた、と思いそのまま戻ると夫が殺されていて光二が自首したという。
     抑えた心理描写がうまい。余情ある佳作。 (2000.09.17)

  53. 「疑惑」
    主婦と生活付録 1956.08.
     巷では白昼強盗が頻発しており、気丈な奥さんが犯人の指を咬んで防いだという。ある日帰宅した夫は指に包帯を巻いていた。その後、子供が入院した折りに夫の会社へ電話をかけたが辞めていた。まさか・・。
     角書きは推理小説ではあるが、推理味は薄い。好感持てる結末。(※3:感謝


      小説・推理クイズ・童話(宮野村子名義)

  1. 「おかあさんのブローチ」
    読売新聞夕刊 1956.04.21
    『よみうりどうわ2』 盛光社 1967.03.10
     おつとめからかえるおかあさんをむかえにくる春夫くん。おとうさんはいません。かえる途中におかあさんはお店のかざり窓の前で立ち止まりまりました。おかあさんのブローチだ。
     ストレートな親を思う子の話だが、春夫くんが考えた贈り物には希望と同時に一抹の哀れさが隠しきれない。収録アンソロジーは昭和26年ごろから10年以上読売新聞に掲載された100人以上の童話を10巻にまとめたものということです。(※3/※8:感謝) (2003.08.10/2009.02.21)

  2. 「仲よし」
    朝の笛 1956.05.
     犬のビルケはあまりりこうではないなとおとうさんはいいます。洋子はいいところをあげます。隣のねこと仲がいいだけなんてとおかあさん。ある日、仲良しねこのピネがいなくなってしまいました。それから気のやさしかったビルケようすがすっかりかわってしまいました。
     角書きは少女小説ですが童話。探偵小説的な要素もある良い話。(※8) (2009.09.16)

  3. 「心の記録」
    小説公園 1956.10.
     運転手の内妻殺しの公判。原健一は森本さく子殺害を素直に認めていた。松原検事や高村弁護士や白瀬裁判長は二重の索溝痕など自供に何か不足を感じながらも裁判は進行していく。健一は自身の半生を振り返る。
     裁判の限界と動機に焦点をあてた実験的作品ともいえる。回想部分での共感や意外性もない展開は面白みに欠ける。 (2016.05.01)

  4. 「白いパイプ」
    探偵倶楽部 1956.12.
     英輔が撮った愛娘の真理子の写真が写真店の飾り窓にかけてある。それに見入る老人。英輔の留守中の来客は女学校時代の友人だと妻の冴子は言う。白いパイプの忘れ物。
     手がかりと疑心暗鬼。謎を解明していく過程は良い感じ。良作。 (2016.05.01)

  5. 「山の里」
    笑の泉 1956.12.
     密通した現場を見て前の奥さんを射殺した赤沼。プロポーズされ、その烈しさに惹かれた絹枝。しかし、山での暮らしや赤沼の態度、そして飼っている女狐のケンにすら絹枝にとって辱められたようなものだった。反撥し、下男の清吉と逃げようともちかけるが……。
     設定や背景は流用していて「愛憎の倫理」に似ているが、決定的に違うのは「笑の泉」らしい風流滑稽奇談となっている事だろうか。作者としては異色ではろうが、掲載誌でみた場合は良くも悪くも特長が薄い作品かも。 (2003.09.27)

  6. 「時計の中の人」
    小説公園 1957.05.
     花が咲く頃に母は帰ってくるとあきは孫の奈々子に言った。そのせいか奈々子は昆虫の死骸を埋める遊びを覚えた。甥の貞雄は春江という婚約者がいたが、戦争から戻ると心変わりしていて、その相手を殺して服役中。息子の達也は春江と結婚するという。そして貞雄が出所してくる。
     服役中の事を徒刑と言ったため、あきは時計の中をイメージする。時がモチーフであり、余韻が残る作品ではあるが、ミステリー的には単純。 (2000.09.17)

  7. 「黒眼鏡の貞女」
    探偵倶楽部 1957.06.
     浪江は夫がガスで死んでから目を患い黒眼鏡をかけるようになっていた。夫が持っていたみち子の写真。近所に越してきた田原の妻みち子。写真に似ている。
     前半の設定と描写は良いが、後半は駆け足気味で味気ない。 (2016.05.01)

  8. 「清風荘事件」 (掌編)
    内外タイムス 1957.06.20
     二号室の青木は珠子がくるからとカギを管理人の矢部に預けて出ていった。自殺した矢部の娘の清子のために花をもってきた三号室の早苗。清子のノートをみつけた矢部の妻のお辰。殺鼠用に薬を持ってきた四号室の河田。青木は帰ってきてすぐに死んだ。
     解答部分の□ぶぶんを応募する懸賞探偵クイズ。解答部分はいろいろ考えられるが□を埋めるのは簡単。(※8) (2009.09.16)

  9. 「花の肌」
    探偵倶楽部 1957.08.
     若い後妻、美奈子をもらった事業家の剛三。前妻の子供二人は面白くない。勝子は婚約者の戸川と美奈子が内緒話をしていたと聞く。剛三がそれをもれ聞いた時、計画が実行される。
     皮肉な結末ではあるが、行為の説得力には欠ける。プロバビリティの犯罪としての着想も面白いが十分に生かしきっていない。 (2000.09.17)

  10. 「ママの家出」 (掌編)
    内外タイムス 1957.09.12
     良夫と夫婦喧嘩をし、マリ子を連れて実家に帰ってきていた弓子。良夫が人を介して謝ってきても帰らない。帰るように勧める弓子の両親省造とシヅだったが。
     結末部分の□を埋める探偵クイズ。少々とぼけたところが良い味をだしている。(※8) (2009.09.16)

  11. 「運命の足音」
    探偵倶楽部 1957.11.
     美貌の女学校出の浅子と結婚した郁太郎。春山みどりという名前で浅子のもとに届く男文字の手紙。郁太郎が盗み読みすると、密会の約束だった。帰宅した浅子を問いつめるが、殺されても言えないという。殺しても言わせようとする郁太郎。運命の手が浅子の首にかかる。
     秘密を守ろうとする頑なさ。それほど言えない秘密なのか、実感はわかない。運命の足音が聞こえようが、どう変わるかわからないからこそ生きなければならない、というメッセージが残る。 (2001.02.13)

  12. 「手紙」
    宝石 1958.01.
    『江戸川乱歩と13の宝石』ミステリー文学資料館編 光文社文庫(み-19-27) 2007.05.20
    『宮野村子探偵小説選2』 論創社 2009.04.30
     夫の浩一郎が轢死してから二年半。幼なじみで兄のように思っていた潤さんから手紙が届いた。長男の静男は彼が浩一郎を殺した犯人だと疑っている。夫は二人で飲んで遅くなる、彼を怒らせるのは面白いかも、そうしたら殺されるかもしれない、と電話してきたのを聴いていたらしい。だが、西洋の墓場みたいな踏み切りで死んだ時は一人だった。
     手紙にまつわる因縁。心理的なあやが重なりあい物語になっている。潤さんの性格も良い味を出していて好みである。 (2001.02.13)

  13. 「蝋人形」
    耽奇小説 1958.02.
     地方新聞の文化部長をしている敬治は東京で蝋人形のようなルミを買った。惚れ込んだ彼は友人の勝也の家へルミを置いてもらうことにした。強引ともいえる方法で敬治の女房となったます江を勝也はいまだに愛している。そしてルミの願いを聞いた勝也は……。
     勝也とルミという変わり者の二人が出会った時に起こる物語で耽奇小説にふさわしくエロティシズムを感じる作品。乱歩にも通じるもので宮野村子としては珍しい。(※4:感謝) (2003.09.20)

  14. 「玩具の家」
    探偵倶楽部 1958.02.
     義姉の友枝の助けを呼ぶ声で寝室へ行った清美とばあや。友枝の首には兄亮介のネクタイが。殺されそうになった友枝は誰にもいわないで欲しいという。友枝の従兄の田崎六郎は色を塗り変える事ができる積木の家を明夫へのおもやげとして渡した。再び事件がおこり、そこには崩れた積木の家が。
     日本で、タッタ一人の探偵作家と云われることを作者は嫌っているが、やはりこれは女流作家でなければ書けない、傑作探偵小説だ。会心の力作! とのキャプションは誇張だが、女流作家ならではの手がかりを用いているのは事実。探偵役も良い感じ。 (2016.05.01)

  15. 「赤土の謎」
    主婦の友 1958.03.
     洋子に人形を買ってきた夫の隆一と同僚の田崎。隆一の指は怪我をしていたし、人形には赤土がついていた。二人連れの覆面強盗が昼間に押し入り若妻に噛みつかれて逃走したというニュースが。洋子が事故に遭い、澄子が夫の会社へ電話をかけると会社をやめていた。まさか。
     最後の伏線回収には気づかなかった。私的には好感度アップな作品。 (2016.05.01)

  16. 「紫夫人」
    探偵倶楽部 1958.04.
     姉の喫茶店の給仕の章ちゃんによく似た尋ね人の新聞広告。章ちゃんが紫づくめの女の人に頼まれて自動車の運転手へ伝言に行ったきり戻ってこない。新聞の尋ね人の広告を出して間もなく三人目が。あたし志津子は二人の家へ行き聞くと、似たような経緯で行方不明になったみたい。
     出だしと設定は良いが、無理と思える告白での結末。少なくともあと一段あればと、惜しい作品。 (2016.05.01)

  17. 『流浪の瞳』 (長篇)
    『流浪の瞳』 小壺天書房 1958.05.05
     御後室様とよばれている真奈の祖母のなつは新京の医大へ行っている兄の健に引き渡すつもりで閉鎖していた大連の鈴村病院を内地から遠縁の小島信也・加津子夫婦を呼び寄せて再開させた。病院にはなつ、真奈、信也、加津子、看護婦の田代ミツ、今井芳子、女中の矢口もと、車夫の張、っそしてスピッツの仔犬ロンが住んでいた。真奈は健からの手紙を満鉄の理事の娘で大連図書館勤務の幼なじみの大橋花枝に伝え、会うことにした。 ロシア料理店ヴォルガへ入る二人。花枝の電話に不審をもった同僚の真鍋達男が追う。一方、病院では三号室の入院患者で自殺未遂を繰り返す若い女性がいた。真鍋の死、白系ロシア人の死、そして自殺と発表された花枝。一時的に帰ってきた健と真奈は知らない方が良いというのを振り切って調べはじめる。
     謎自体は底が浅く、すぐに真相はわかる。しかし、満州を舞台とした戦争末期のようすや作品のモチーフとなるテーマはつぼにはまった。著者自身の真奈への投影がどの程度のものかわからないが、少なくとも戦時中を振り返った総決算的な内容ではなかろうか。 (2003.09.27)

  18. 「恐ろしき弱さ」
    宝石 1958.06.
     母子二人で隣に住んでいる伸夫の母が取り乱して来た。伸夫が強盗のまねごとをして警察に捕まったという。病気がちの体をおして警察へ行く三千代。やろうと思えば簡単に出来るからやってみた、人殺しもやろうと思えばできる、と言っていたらしい。夫婦仲の悪かった三千代は実家へ帰るかもしれないと伸夫の母に相談するが、その為に死んだ人があるという話を聞かされる。
     不安定な状態から起こす行動を描いたものだが、弱さなのであろうか。優しさだと思うが。心理的な謎は納得。 (2001.02.13)

  19. 「令嬢殺人事件」
    『紫苑屋敷の謎』 穂高書房 1958.07.25
    『宮野村子探偵小説選2』 論創社 2009.04.30
     旧家に三人の男の子と勝ち気なな九つの一人娘初紀。元奉公人が再び奉公する事になった時に一緒にきた奉公人の子供の七つの美少年信吉。娘が家来にと望み、それに従う少年。折檻で傷をつけてしまい家来ごっこは終わりを告げる。長じて縁談が起こり嫁ぐ娘。しかし二人の仲はうまくいっていないらしい。夫婦で里帰りの時に夫は先に帰ったが行方不明に。そして死体が。
     純愛物語。死体の謎と犯人の謎などトリックは用いられているが探偵小説としてはありきたり。どちらかといえば初紀の行動にまつわる心理が謎めいている。探偵小説にも心理小説にも怪奇小説にも恋愛小説にも中途半端感が残る典型的な作品。 (2009.04.29)

  20. 『血』 (長篇)
    『血(上)』 小壺天書房 1958.07.30
    『血(下)』 小壺天書房 1958.08.05
     十数年ぶりに故郷である緑ヶ島のお城へ帰ってきた水戸橋宮子。姉の秀子は死に、その夫の大鳥信弘は女性と共に失踪していた。残された子の纓子と朝彦、信弘の父である功光、家政婦の菊代と正枝、功光が山から連れてきた太郎と犬の次郎、纓子が戦争中に文通をしていて探し出した病床の高柳司郎、が城に住んでいた。 城山で崖すれすれに馬を跳ばせる纓子。伝説の姫沼近くで捕らえた小鳥を弟に手渡す纓子。この古い血を引いていないように思われるのが功光の妾腹の子、真一郎だけだ。彼が瀬川と久保川を連れて来た。二人は纓子に求婚していたのだ。太郎と次郎が月を呼ぶ声の中、高柳司郎は宮子に秘密を打ち明けて死んだ。そして姫沼での悲劇。命とは。
     「考えすぎる」という旧家の血を引く人々。命をもてあそぶ人々。謎ときミステリーではなく、これが命というものを扱った文学派の宮野流の解答であろう。題のみではあるが『虚無への供物』をイメージさせる。宮子と真一郎の関係をはじめ、それぞれの関係もまた純愛とも耽美とも芸術的ともいえ、文芸作品として優れたものがある。 (2004.07.19)

  21. 「男の世界」
    宝石 1958.11.
     夫の友人、須賀は考古学的なものに夢中で妻を寂しがらせてついには若い男と心中した。誇り高い須賀は二度とそういう事はさせないと夫に一言もらした。そして、誇り高い女性ゆり子が後妻になった。私は負けないと言って。そして旅行から戻ったばかりのようすの須賀が突然訪れてきた。頼みたい事があるといって夫と出かけた。血の痕。須賀の家に強盗が入ってゆり子と同居の並河が殺されたのだという。
     男には男の世界、女には弱い繋がりしかないというが。女性から見た男の世界の理想像なのかもしれない。特に最後は。 (2001.02.13)

  22. 「血みどろ芝居」
    探偵倶楽部 1958.12.
     殺人劇で有名な劇団あざみの牧優吉。小畑伸也は恋人のるい子を奪われたが劇団のネロ皇帝にはさからえない。捨てられ憎みながらも優吉を愛するるい子。人生そのものが芝居だ。
     芝居と現実。責める者と受ける者。立場の逆転劇で筋は読めてしまう。 (2016.05.01)

  23. 「吸血鬼」
    探偵倶楽部 1959.01.
     母親の再婚話で取り乱している貞夫。親友の光一はあまりの子供っぽさに吸血鬼が出るという逢魔が時の公園で別れる。ベールをつけた女性があらわれ、味方になるという。貞夫はその女性と一緒に行くことにした。
     ロマネスク・スリラーという角書き。怪奇小説というには怖さはなく、妖しさもなくて中途半端な印象。題名で損をしている気がする。ちなみに、目次では全く内容に合わない「復讐鬼」となっている。 (2003.07.12)

  24. 「消えた真珠」 (懸賞推理クイズ)[志賀三姉弟]
    中学時代二年生 1959.01.
     志賀探偵事務所をやっている京子は、弟で中三の哲夫と妹で中二の鮎子と共に謎を解くシリーズ。依頼は客間の机の上から停電中に真珠が消えた。犯人はお客だった三人のうち誰で盗んだ方法は?
     角書きは「懸賞つき探偵小説」 中学二年の推理クイズとしては妥当かな。ミスディレクションはなく、手掛かりはバレバレだが。(※4:感謝) (2001.09.24)

  25. 「ゲレンデの銃声」 (懸賞推理クイズ)[志賀三姉弟]
    中学時代二年生 1959.03.
     志賀京子、哲夫、鮎子はスキーを楽しんでいた。三人に恨まれていた男が銃で撃たれて殺された。犯人は誰でその理由は?
     角書きは「懸賞つき探偵小説」 これは犯人であるという理由を作るためにおかしな話になっている。普通そんな事はしません。(※4:感謝) (2001.09.24)

  26. 「護符」
    宝石 1959.04.
     久子は満鉄調査部勤務の石山浩一の妻で、夫の危険な調査旅行に成田山のお守りを忍ばせたりしていた。同僚の河瀬は匪賊の襲撃でロシア人のローザと二人だけ生き残った。二人は夫婦となったが、異人種であることに危惧を感じていた。誘われて後輩の和夫と三人で河瀬夫婦の家へご馳走になりに行き、聖母像のお陰で助かったという話を聞かされる。満州人が調査部の人を狙っているという話もある。浩一、和夫、そして河瀬も襲われる。
     ミステリーとも奇妙な話とも言い難い愛情物語か。当たり前ですが、満州人といえども良い人も悪い人もいる、日本人は支配的立場にあるために従順で見下している、という冷静な立場で振り返れる時代になったという事だろうか。 (2001.02.13)

  27. 「曇った硝子」
    小説倶楽部 1959.07.
     従姉妹の芳子が交通事故で死んで二年。三重子は叔母タツの手伝いや芳子と誠二の子さち子の世話をしていた。酔った誠二とまるで曇り硝子の中のような女性。さち子は誠二と女性が車に乗っているのを見た。血や家に執着をみせるタツ。夫から逃げる女性。そして。
     家や血や女性にこだわる作者らしい作品。主人公らの身に迫るサスペンスも感じられる。 (2016.05.01)

  28. 「死の舞踊」 (懸賞推理クイズ)[志賀三姉弟]
    中学時代二年生 1959.07.
     月子は歌劇ジプシーの女王の最後に青酸カリで死んだ。楽屋を訪れ贈り物をしたたのは三人。青酸カリは何についていたか?犯人は?
     角書きは「懸賞つき推理コント」 もう少し書き込めればミスディレクションも生きてくるかもしれないが、短すぎて単純。(※4) (2009.09.16)

  29. 「月夜の砂山」 (懸賞推理クイズ)[志賀三姉弟]
    中学時代二年生 1959.08.
     町子の父は金貸しで、三人から怨まれている。その父が殺された。三人の供述から、凶器は?犯人は?
     角書きは「懸賞つき推理コント」 題名がヒントそのもので単純すぎる。(※4) (2009.09.16)

  30. 「声なきことば」 (懸賞推理クイズ)[志賀三姉弟]
    中学時代二年生 1959.09.
     不良仲間から抜けるために三人の男と順番に会った時に殺された正春。犯人は?決め手となる目の前にある証拠とは?
     角書きは「懸賞つき推理コント」 証拠はいいとしても犯人の決め手にはならないのでは。(※4) (2009.09.16)

  31. 「奥殿の怪(伴天連覚え書)」 [伴天連]
    宝石 1959.10.
     殺生関白といわれた秀次の娘、春姫が怨霊に悩まされていた。秀次の依頼で伴天連(バテレ)、ルイシ・フロインは怨霊を退治し、原因となった無益な殺生をしないように約束させる。その裏には……。
     「伴天連物語」の数年前の出来事。擬古文?調の語り口や、ひとひねりが効いている。 (2001.09.24)

  32. 「愛憎の果て」
    宝石 1960.04.
    『宮野村子探偵小説選2』 論創社 2009.04.30
     恋人である女性が家庭教師をしている南城家。南城家は主人と亡き妻そっくりの娘がいる。画家は恋人からの手紙で書かれていた娘が馬で飛ぶ情景に刺激されて訪れる決心をした。その近くには崖があり、以前そこで女性が一人静という花を持って死んでいたという。はたしてその死の真相は。再び・・。
     犯人当てではないが、女性の死の謎といい、愛情にまつわる心理的な描写といい、意外とまとまった作品。なかなかの佳作。 (1998.04.14)

  33. 「狂った罠」
    読切特撰集 1960.04.
     信子はからまれているところを五郎に助けられて愛するようになった。五郎は飽きてきたが秘密をにぎられている。預かっている犬を訓練し、酒場のマダム順子と信子を同じ時間に呼び出すが・・。
     スカーフと香水と時間で仕組んだ恐るべき罠! 筋と道具立てはありきたり。どのような結末を用意しているのか、という点のみか。 (2016.05.01)

  34. 「野菜売りの少年」
    宝石 1961.04.
     大連に引っ越して間もない子供連れのきみ子。夫は吉林で時々しか帰ってこない。そこへ孫少年が野菜を売りにきた。子供のあつ子がすっかり友達扱い。子供がさらわれる事件が起きていたので巡査から注意を受けたが、その直後に事件は起こった。
     少年の心情が良く出でまとまった作品。題材はありふれているが、大連という場所でより効果をあげているかも。 (2000.09.17)

  35. 「少女とトラ」 (懸賞推理クイズ)[志賀三姉弟]
    中学時代二年生 1961.06.
     志賀京子、哲夫、鮎子はトラの前で踊るサーカスの花形、百合子の楽屋を訪れた。トラの花子は香水の匂いが嫌い。本番中にそのトラに噛まれそうになった百合子。犯人は?方法は?
     角書きは「懸賞推理コント」 中学二年相当か、やや難しいか。一般向けでも通用しそう。(※4:感謝) (2001.11.24)

  36. 「天狗の木」 (懸賞推理クイズ)[志賀三姉弟]
    中学時代二年生 1961.08.
     栄子と引き替えにダイヤを要求する脅迫状が母のもとに届いた。ダイヤは惜しくない。志賀京子、哲夫、鮎子らに相談して受け渡し場所にいく。天狗と名のる脅迫状の犯人は?なぜ?
     角書きは「懸賞推理コント」 別の可能性もあって消去されていない。特定条件は不十分。(※4:感謝) (2001.11.24)

  37. 「ベルの死」 (懸賞推理クイズ)[志賀三姉弟]
    中学時代二年生 1961.10.
     正田マサの愛犬ベルは何度も泥棒を撃退している。食べ物で手なづけようとしてもマサの許しがなければ食べない。少年らが野原で散歩中のマサの許しを得て、カステラを投げて食べさせていたら毒殺されてしまった。誰が?方法は?
     角書きは「懸賞推理コント」 それしかない、とはいうものの特定条件は不十分。動機も問題。(※4:感謝) (2001.11.24)

  38. 「のどじまん大会の乱闘」 (懸賞推理クイズ)[志賀三姉弟]
    中学時代二年生 1961.12.
     秋祭りののど自慢大会。前日、みこし行列をじゃましようとして貞一にやられた隣町の愚連隊三人がしかえしにきた。舞台の上で殺された貞一。犯人は?その決め手は?
     角書きは「懸賞推理コント」 無理がありすぎる。これはわからなくて当然。(※4:感謝) (2001.11.24)

  39. 「雨の夜」
    宝石 1961.12.
     房枝は夫の浮気で出来た愛子を育てている。愛子がまだ幼い頃のある雨の夜に夫が殺されて以来、房枝は愛子を仕方なく育てている。足音を聞いて誰が来たかを当てられるようになった愛子は、殺された時に聞いた足音をついに耳にする。
     床に耳をあてて足音を聞くのはインディアンの特技とか。血の繋がりのない子を育てる心情がよく出ている。ミステリー的にもひねりがあって意外と。(※1では「雨の庭」と記載) (2000.09.17)

  40. 「猛犬ネロ」 (掌編)
    中日新聞 1961.12.10
     井原剛造の後妻の高子とその甥の敬治は剛造を亡き者にしたが、遺産のほとんどは先妻の子の朝子のもとへ。朝子はネロという犬を訓練している。
     スリラーコントの角書き。それを加えて、結果そうなったのなら納得できない事はない。短すぎてほかにも矛盾とまではいかないが説明不足があるのが少し残念。(※8) (2009.09.16)

  41. 「雪の上の足跡」 (懸賞推理クイズ)[志賀三姉弟]
    中学時代二年生 1962.02.
     鮎子と同級生の子が持っていたルビーの指輪が盗まれた。雪の上には大きな足跡が。持っているのを知っていたのは小柄な三吉だけ。捨ててあった靴の発見。そして三吉が轢き逃げされて重傷を負った。犯人は?その決め手は?
     角書きは「懸賞推理コント」 より複雑にしたら意外と面白いかも。手掛かりは対象年齢相当ではあるが。(※4:感謝) (2001.11.24)

  42. 「神の悪戯」
    推理ストーリー 1962.05.
     行雄と一緒だった私、峰子は友達の千枝子と偶然出会った。千枝子は今では金持ちの未亡人。私は一人強引に黒薔薇という酒場へつれていかれた。そこは悪魔のような美少年が相手をするところだった。しばらくして千枝子から行雄を返す、退廃にも憂いて一人静かにではない死に方をしたいという手紙が。そして黒薔薇で……。
     倒叙的作品。猟奇趣味な未亡人と女同士で倒錯的な酒場へいくというのは珍しい設定。神の悪戯とは偶然出会ったことなのか倒錯を意味するのか美少年の行動を意味するのか。偶然も多いがこの題名では意図してなのかもしれない。 (2009.09.16)

  43. 「花の影」 [広岡巡査]
    別冊週刊漫画TIMES 1962.04.19
     吉川課長のもとにかかってきた電話は以前経理にいた関からの脅迫だった。女房が浮気しているらしく脅して白状させようとしたら逆に小刀で斬りつけられたという関。吉川は関を殺害し、妻の犯行と思わせるよう計画実行した。が、現場を調べた広岡巡査は沈丁花の根元へ飛び降りたあとを見つけた。
     それほど緻密な犯行でもなく、詭計というほどではない。発覚となる物的証拠もありえないと思う。しかしその根拠は伏線も含めてオーソドックスにまとまっており好感がもてる作品。(※4:感謝) (2003.09.20)

  44. 「雨の日」 [広岡巡査]
    別冊週刊漫画TIMES 1963.03.05
     煙草屋の強盗殺人犯として指名手配されている吉田英二の女房ふじ子のようすをそれとなく確かめる広岡巡査。その時、相川という女性から筋向かいの菓子屋へ取り次ぎの電話がかっかってきた。雨傘とハンドバックを持ってバスに乗り込む彼女。広岡巡査は乾物屋の主婦につかまり見失ってしまった。英二があらわれるのではと従兄の相川五郎の家へ急行した刑事からの報告では逃げられたらしい。
     ちょっとした手がかりから真相をつかむ広岡巡査。強盗殺人事件の方は安易だが、ふじ子逃亡の方は鍵となる伏線もはっきりしていて小粒ながらまとまっている作品。(※4:感謝) (2003.09.20)

  45. 『伝説の里』 (長篇)
    『伝説の里(上)』 青樹社 1963.07.10
    『伝説の里(下)』 青樹社 1963.07.15
    ※1

  46. 「善意の殺人」
    推理ストーリー 1963.10.
     友子が義兄の三島幸雄の浮気に気づいたらしい。おとなしい姉の浅子は黙っている。幸雄は相談があるという事で浮気相手である出張中の課長夫人矢以子に呼び出される。友子の友人でもある克子は伯母の家へ、ばあやも実家へ行って留守。幸雄が行くと、矢以子は殺されていた。来た証拠を残さないように裏木戸からでると、岡部刑事に声をかけられた。
     はたして善意だろうか。確かに一部の人には良いかもしれないが、悪意と感じる立場の人もいる。推理小説的にはややひねりのある作品で悪くない。 (2009.05.06)

  47. 「モンコちゃん」
    宝石 1963.10.
     ミステリー童話。小学二年生のふじ子ちゃんに飼われている猿のモンコちゃんはいたづら好き。しげ子姉さんの部屋の窓から外に出て隣町まで行って迷惑をかけた事もありました。外出中に人形がこわされていた姉は・・。
     愛嬌のある猿で、なんだか憎めません。童話なので話は単純ですが、やはりミステリー。 (2000.09.17)

  48. 「毒虫」
    別冊宝石 1964.02.
     世界女流作家傑作集の一編。戦後に開業した割烹旅館の主人は戦災孤児の女の子(お嬢さん)と女性(女中頭)の二人の世話をしていた。主人の留守中に、時々お金を無心に来る不良の男が現れた。その男の知り合いであるバーのバーテンも金蔓を得ようとする。そして・・。
     犯人を指摘する所は若干の推理小説的要素があるものの、使い古されたものであろう。特に新味もなければ、心理的に迫ってくるものも感じられなかった。 (1998.04.15)

  49. 「マスコット」 [広岡巡査]
    漫画文芸 1964.04.
     少女の愛子はN警察署へ入っていった。幼児殺しを自白する為に。広岡巡査と捜査主任は話を聞く。過去の事件が原因で、近所で幼い子が殺されると必ず自白しにくる愛子は今ではマスコットのような存在だった。愛子が帰され、殺害現場付近を通りかかったときに新たな事件を目撃した。追われる愛子。広岡さん―。
     狼少年の話が元にあるのだろうが、哀れな話である。探偵小説としてはそれほどみるべきものはないが、余情あふれる良い作品。(※4:感謝) (2009.09.16)

  50. 「二つの遺書」 [広岡巡査]
    推理ストーリー 1967.07.
     母親にミエ子を少しの間預かってほしいと言われた派出所の広岡巡査。遅い。一緒に置いていったキャラメルの箱には遺書らしきものが入っていた。本署に戻って父親を尋ねたところ、指したのは指名手配写真だった。富田哲三は強盗犯として誰かに密告されて恨んでいるという。そして遺書を持った二人の轢死体が見つかった。
     話としてはまとまっていて、後半がやや駆け足であるものの流れも描写も丁寧で良い。伏線ははっきりしているが一発だけで単純なのが推理小説的には弱い。 (2003.08.10)

  51. 「傷痕」
    推理ストーリー 1968.03.
     美人で利発な妹の秋江夫妻が無理心中で亡くなり、志乃夫婦がその遺児の百合子を引き取った。百合子はその事件で背中に傷を負っていた。志乃の息子の久也と百合子の幼い頃の出来事を目撃した志乃は妹へのこだわりもあって二人を一緒にする気がなかった。久也の最初の妻は病死し、二度目の妻にと百合子の友人を選んだが、男の影が感じられた。そしてついに事件が起こった。
     嫁、姑、遺児とからんだサスペンスフルな主婦向けメロドラマのような作品。トリックや発覚への伏線などもしっかりしてはいるがやはり単純。久也の遺児真知子の言動がやや面白い。 (2003.08.10)

  52. 「あやかしの花」
    推理ストーリー 1969.07.
     友子の夫石川が留守の日、病気見舞いに孔雀草を持って訪れた雪子。彼女は子供の頃に事故で両親を失い父の親友であった友子の父親に引き取られて姉妹のように育った仲だった。悲鳴が聞こえて駆けつけたお手伝いの清美が見たのは、血にまみれた友子と雪子だった。三上という友子が結婚する前の知り合いだった男に襲われたという。
     ワンアイデアで浅いトリックの小品ではあるが、用意周到な状況設定や構成はうまい。特に雪子であるが作者自身の投影があるのではないかと思ってしまう。実際にはすぐにわかってしまうのではと思った事が最後で説明されていたのには予想外。作品の終わり方も効果的。 (2003.09.27)

  53. 「いなかのお月さま」 不詳
    ( 毎日小学生新聞 )

  54. 『童女裸像』 new
    未発表


      著書

  1. 『鯉沼家の悲劇』 岩谷書店・岩谷選書18 1950.01.10
    『鯉沼家の悲劇』/「八人目の男」/「柿の木」/「記憶」/「伴天連物語」/△「あとがき」

  2. 『流浪の瞳』 小壺天書房 1958.05.05
    『流浪の瞳』

  3. 『紫苑屋敷の謎』 穂高書房 1958.07.25
    「令嬢殺人事件」/「いたずら小僧」/「紫苑屋敷の謎」/「夢の中の顔」/「銀杏屋敷の秘密」

  4. 『血(上)』 小壺天書房 1958.07.30
    『血(上)』

  5. 『血(下)』 小壺天書房 1958.08.05
    『血(下)』

  6. 『伝説の里(上)』 青樹社 1963.07.10
    『伝説の里(上)』/?△「(推薦文)」(帯)木々高太郎、黒部龍二、江戸川乱歩

  7. 『伝説の里(下)』 青樹社 1963.07.15
    『伝説の里(下)』

  8. 『宮野村子探偵小説選1』 論創社・論創ミステリ叢書38 2009.03.30
    『鯉沼家の悲劇』/「八人目の男」/「柿の木」/「記憶」/「伴天連物語」/△「岩谷選書版「あとがき」」/「柿の木(シュピオ版)」/「斑の消えた犬」/「満州だより」/「若き正義」/「黒い影」/「木犀香る家」/「匂ひのある家」/「赤煉瓦の家」/「薔薇の処女」/△「ハガキ回答」/△「宿命―わが小型自叙伝」/△「生きた人間を」/△「奇妙な恋文―大坪砂男様に」/△「解題」日下三蔵

  9. 『宮野村子探偵小説選2』 論創社・論創ミステリ叢書39 2009.04.30
    「令嬢殺人事件」/「いたずら小僧」/「紫苑屋敷の謎」/「夢の中の顔」/「銀杏屋敷の秘密」/「考へる蛇」/「猫と鏡」/「愛憎の倫理」/「ナフタリン」/「神の裁き」/「相剋の図絵」/「悪魔の魂」/「ヘリオトロープ」/「二冊のノート」/「悪魔の瞳」/「廃園の扉」/「手紙」/「愛憎の果て」/△「アンケート」/△「孫の言葉」/△「姉女房」/△「ひとりごと」/△「私より長生きを」/△「某月某日」/△「解題」日下三蔵


      随筆・評論・ほか

  1. 「ハガキ回答」 林紅子
    ( シュピオ 1938.01. )
    『宮野村子探偵小説選1』 論創社 2009.03.30

  2. 「木々高太郎先生」 紅生姜子
    ( 満鉄大連図書館報 1938.07. )

  3. 「宿命 わが小型自叙伝」
    別冊宝石 1949.08.
    『宮野村子探偵小説選1』 論創社 2009.03.30

  4. 「生きた人間を 今年の抱負」
    宝石 1950.01.
    『宮野村子探偵小説選1』 論創社 2009.03.30

  5. 「あとがき」
    『鯉沼家の悲劇』 岩谷書店 1950.01.10
    『宮野村子探偵小説選1』 論創社 2009.03.30

  6. 「奇妙な恋文 大坪砂男様に」
    宝石 1950.03.
    『宮野村子探偵小説選1』 論創社 2009.03.30
    『大坪砂男全集4 零人』 創元推理文庫(Mお-08-04) 2013.07.

  7. 「抜き打ち座談会」 木々高太郎、大坪砂男、永瀬三吾、宮野叢子、岡田鯱彦、氷川瓏、本間田麻誉
    新青年 1950.04.

  8. 「(近況)」
    探偵クラブ 1950.08.

  9. 「映画「幻の女」合評会」 江戸川乱歩、木々高太郎、水谷準、宮野叢子、津川溶々
    ( 日刊スポーツ 1951.04.17 )※10

  10. 「映画「レベッカ」合評会」 江戸川乱歩、木々高太郎、水谷準、宮野叢子、津川溶々
    ( 時事新報 1951.04.20 )※10

  11. 「幻影城」
    ( 図書新聞 1951.06.04 )※10

  12. 「ラジオ放送探偵劇について/愛読する海外探偵小説(アンケート)」
    宝石増刊 1951.10.

  13. 「或る感覚」
    日本探偵作家クラブ会報 1951.10. )※10

  14. 「今年の御計画は(アンケート)」
    宝石 1952.01.
    『宮野村子探偵小説選2』 論創社 2009.04.30

  15. 「検事さんのアメリカ見物(対談)」 橋本乾三、宮野叢子
    探偵クラブ 1952.01.

  16. 「若き女の貞操について(対談)」 橋本乾三、宮野叢子
    ( 探偵クラブ 1952.02. )

  17. 「囚人島アルカトラツ島(対談)」 橋本乾三、宮野叢子
    ( 探偵クラブ 1952.03. )

  18. 「自己批判座談会」 水谷準、永瀬三吾、岡田鯱彦、椿八郎、宮野叢子
    宝石 1952.06.

  19. 「何が彼女をそうさせたか?(座談会)」 村岡花子、景山二郎、宮野叢子
    ( 主婦と生活 1952.08. )

  20. 「『反逆』をみる(座談会)」 香山滋、朝山蜻一、宮野叢子、桑原俊、城昭子
    ( 探偵倶楽部 1952.12. )

  21. 「魅せられた女 映画批評座談会(座談会)」 朝山蜻一、宮野叢子、大坪沙男(大坪砂男)、香山滋、楠田匡介、鷲尾三郎、山村正夫
    ( 探偵倶楽部 1953.07. )

  22. 「”封鎖作戦”について(座談会)」 朝島雨之助、朝山蜻一、楠田匡介、宮野叢子、鷲尾三郎、梅谷うた子
    ( 探偵倶楽部 1953.11. )

  23. 「人生衰弱」
    ( 日本探偵作家クラブ会報 1954.06. )

  24. 「病女自責」
    ( 日本探偵作家クラブ会報 1954.08. )

  25. 「孫の言葉」
    黄色の部屋 1954.10.
    『宮野村子探偵小説選2』 論創社 2009.04.30

  26. 「夢の殿堂」
    ( 『江戸川乱歩全集 第十一巻』月報 春陽堂 1955.06. )※10


      随筆・評論・ほか(宮野村子名義)

  1. 「?」
    ( 日本探偵作家クラブ会報 1956.08. )

  2. 「血に飢えた人間」
    ( 笑の泉増刊 1957.04. )

  3. 「ひとりごと」
    ( 日本探偵作家クラブ会報 1957.05. )
    『宮野村子探偵小説選2』 論創社 2009.04.30

  4. 「姉女房」
    宝石増刊 1957.11. ※3
    『宮野村子探偵小説選2』 論創社 2009.04.30

  5. 「私より長生きを」
    ( 推理小説論叢 1957.12. )
    『宮野村子探偵小説選2』 論創社 2009.04.30

  6. 「流行というもの」
    ( 日本探偵作家クラブ会報 1958.12. )

  7. 「某月某日」
    宝石 1959.08.
    『宮野村子探偵小説選2』 論創社 2009.04.30

  8. 「感銘をうけた推理小説は?(アンケート)」
    推理小説への招待』荒正人、中島河太郎編 南北社 1959.09.20

  9. 「無題(椿八郎氏還暦記念号)」
    日本探偵作家クラブ会報 1960.05.

  10. 「心の宝石」
    ( 婦人生活 1960.10. )

  11. 「花(はがき随筆特集)」
    日本探偵作家クラブ会報 1960.10.

  12. 「幽霊さまざま」
    日本探偵作家クラブ会報 1960.12.

  13. 「「失敗」(はがき随筆)」
    日本探偵作家クラブ会報 1961.01.

  14. 「猫・馬・犬(はがき随筆特集)」
    日本探偵作家クラブ会報 1961.05.

  15. 「無題(はがき随想・冬の愉しみ・特集)」
    日本探偵作家クラブ会報 1962.02.

  16. 「はがき随想・”マイペット”・特集」
    日本探偵作家クラブ会報 1962.09.

  17. 「全学連の三態」
    ( 政界往来 1965.07. )

  18. 「江戸川乱歩の作品中、最も優れた作品五点」
    ( 大衆文学研究 1965.12. )※10

  19. 「魔の街道」
    ( 政界往来 1966.11. )

  20. 「公約という不思議なもの」
    ( 政界往来 1967.07. )

  21. 「選挙さまざま」
    ( 政界往来 1968.04. )

  22. 「精神的な拒否反応」
    ( 政界往来 1969.06. )


      主要関連評など

  1. 「「鯉沼家の悲劇」を推す」 江戸川乱歩
    宝石 1949.03.
    『日本探偵小説事典』江戸川乱歩(新保博久、山前譲編) 河出書房新社 1996.10.25
  2. 「宮野叢子を推す」 木々高太郎
    宝石 1949.03.
  3. 「宮野叢子に寄する抒情」 大坪砂男
    宝石 1950.03.
  4. 「「抜打座談会」を評す」 江戸川乱歩
    宝石 1950.05.
    『幻影城』江戸川乱歩 講談社江戸川乱歩推理文庫51 1987.11.06
  5. 「運命の悲劇(ルーブリック)」 江戸川乱歩
    宝石 1958.01.
    『日本探偵小説事典』江戸川乱歩(新保博久、山前譲編) 河出書房新社 1996.10.25
  6. 「恐ろしき弱さ(ルーブリック)」 江戸川乱歩
    宝石 1958.06.
    『日本探偵小説事典』江戸川乱歩(新保博久、山前譲編) 河出書房新社 1996.10.25
  7. 「男の世界(ルーブリック)」 江戸川乱歩
    宝石 1958.11.
    『日本探偵小説事典』江戸川乱歩(新保博久、山前譲編) 河出書房新社 1996.10.25
  8. 「護符(ルーブリック)」 江戸川乱歩
    宝石 1959.04.
    『日本探偵小説事典』江戸川乱歩(新保博久、山前譲編) 河出書房新社 1996.10.25
  9. 「奥殿の怪(ルーブリック)」 江戸川乱歩
    宝石 1959.10.
    『日本探偵小説事典』江戸川乱歩(新保博久、山前譲編) 河出書房新社 1996.10.25
  10. 「愛憎の果て(ルーブリック)」 江戸川乱歩
    宝石 1960.04.
    『日本探偵小説事典』江戸川乱歩(新保博久、山前譲編) 河出書房新社 1996.10.25
  11. 「『伝説の里(上)』帯/『伝説の里(下)』帯」 江戸川乱歩
    ( 『伝説の里』 青樹社 1963.07. )
    『日本探偵小説事典』江戸川乱歩(新保博久、山前譲編) 河出書房新社 1996.10.25
  12. 「女流作家への手紙 宮野村子さんへ」 間羊太郎
    別冊宝石 1964.02.
  13. 「「鯉沼家の悲劇」序」 鮎川哲也
    『本格推理マガジン 鯉沼家の悲劇』 光文社文庫(あ-02-25) 1998.03.20
  14. 「「鯉沼家の悲劇」外題」 二階堂黎人
    『本格推理マガジン 鯉沼家の悲劇』 光文社文庫(あ-02-25) 1998.03.20
  15. 「解題」 日下三蔵
    『宮野村子探偵小説選1』『2』 論創社 2009.03.30,2009.04.30

      参考文献

    ※1: 『戦後推理小説総目録 推理小説研究12号』中島河太郎編
    日本推理作家協会 1950.11.

    ※2: 『新青年傑作選 第五巻 読物・復刻・資料編』(新々装版)中島河太郎編
    立風書房 1991.10.01

    ※3: もぐらもち様(「奈落の井戸」オーナー)に御教示・テキスト提供頂きました。ありがとうございました。

    ※4: おげまる様@A LOCKED ROOM CASTAWAY(成田様のホームページ)より。凄い調査報告の数々。
    月うさぎさまよりテキスト入手させて頂きました。ありがとうございました。

    ※5: 小林文庫オーナー様より御教示・テキスト提供して頂きました。ありがとうございました。
    再録情報も御教示頂きました。ありがとうございました。

    ※6: アイナット様のHP内「混沌の世界・科學ペン」による情報です。戦前雑誌の調査は凄いです。
    もぐらもち様よりテキスト入手させて頂きました。ありがとうございました。

    ※7: 密室系掲示板(成田様のホームページ)のしおん様の書き込みより。ありがとうございました。
    同関連より、おげまる様より教えて頂きました。ありがとうございました。

    ※8: 戸田さまより御教示頂きました。ありがとうございました。

    ※9: 黒田さまより御教示頂きました。ありがとうございました。

    ※10: 名張人外境「乱歩文献データブック」より

    その他

    雑誌「幻影城」 1976.05.
    『本格推理マガジン 鯉沼家の悲劇』鮎川哲也編
    光文社文庫(あ-02-25) 1998.03.20
    『探偵くらぶ(下)』日本推理作家協会編
    光文社カッパ・ノベルス 1997.11.25
    『日本探偵小説事典』江戸川乱歩(新保博久・山前譲編)
    河出書房新社 1996.10.25
    『「シュピオ」傑作選 幻の探偵雑誌3』ミステリー文学資料館編
    光文社文庫(み-19-03) 2000.05.20
    『「探偵倶楽部」傑作選 甦る探偵雑誌7』ミステリー文学資料館編
    光文社文庫(み-19-17) 2003.07.20

    など多数


      おまけ

    ・「木々高太郎先生」 満鉄大連図書館報 1938.07.より
     探偵作家の木々高太郎氏が満鉄の夏季大学の講師として来連されるさうです。  (略)  お書きになるものを通じて、そして私が書いたものを見て頂くやうになってから数度頂いた御手紙を通じて多分かうゆう方でいらっしゃるだらうと御想像申し上げてゐるに過ぎないのです。 勿論まだ一度も御目にかゝった事はありません。
     (略)
    「文学少女」は、先生の御作品の中でも最も優れたものゝ一つです。 これは言ふところの探偵小説ではありません。 一人の文学少女の一生を、峻厳極まりない、そして又情感のあふれた筆で描いた芸術的香気の高い文学です。 私はこの御作が、先生が探偵作家でゐらっしゃるといふことの為に、限られた探偵小説愛好家の他には、あまり知られてゐない事を惜いと思ひます。
     (略)
    ともあれ、探偵小説非芸術論に対する探偵小説芸術論、定型探偵小説論に対する自由型探偵小説論を掲げて立たれ、来るべき探偵小説芸術論の礎を築くために、その土台石一つとなって埋れて悔いぬとされる先生の御態度は、探偵小説を愛好するほどの者にとっては、忘れてはならぬことであらうと思ひます。
     (以下略) 昭和十三年七月四日

    ・「宿命」 別冊宝石 1949.08. より
     (略)  女学校の上の学校へ暫く籍を置いたのも、学ぶためではなく、うるさい家を離れたいためで毎日馬に乗って遊び暮らしていた。 満州へ行ったのもその家を逃れるためであった。 ふいとした気まぐれで、短歌の道にも入ってみたが、やはり何の望みも持たなかった。
     (略)
     探偵小説は(略)、戦争中、反軍思想として特高にひっぱられ原稿は審査は一席で通りながら、検閲にひっかかり発行禁止の浮目に遭うなど、(以下略)

    ・「抜き打ち座談会」新青年 1950.04より 部分追加
     (前略)
    [宮野] 私はトリックなどはちっとも重要に考えていません。
     (大坪/岡田/木々/大坪/岡田 発言略)
    [宮野] だから何も前代未聞のトリックばかり考えなくてもいいんでしょう。前代未聞ということになるとだんだん馬鹿らしくなりますよ。
    [岡田] そういう馬鹿らしさに持って行くのではないのです。例えば宮野さんの「鯉沼家の悲劇」。あれは僕に言わせれば前代未聞です。「柿の木」も前代未聞。
     (大幅に略)
    [木々] 江戸川乱歩、白石潔両氏は探偵小説芸術論は名誉心だと言っている。(略) 純文学崩れなんだ……という意味を言外にこめている。
     (大幅に略)
    [宮野] 私、懸賞などで、編集者の方に心していただきたいのは、トリックなんかが珍しければ、小学生の書いたようなものでもパスさせるようですが、やはり文章はちゃんと読めるものでなければ駄目だと思うのです。
     (木々/宮野/大坪 発言略) 
    [宮野] 人殺しの方法が珍らしければいいというんでしょう。そんな人殺しの珍らしい方法なんか、馬鹿馬鹿しくて、そういつも考えていられますか。それが世の中に歓迎されたといって、何もそれに一概に迎合する必要はないと思います。
     (木々 発言略)
    [宮野] それは書く方ばかりでなくて、編集部の責任もありますよ。人一人殺すのに、原稿用紙五枚か十枚あれば沢山だという。私は一人殺すのに千枚書いてもかまわないと思う。
     (以下略)

    ・「自己批判座談会」宝石 1952.06 宮野叢子の発言より 追加
     (前略)
    「文学少女」(引用者注:木々高太郎)読んだ時に、探偵小説にもこういうものがあるなら書いてみたいと思ったのです。それで最初に書いたものをいきなり無鉄砲にお送りしましたのよ。
     (略)
    最初のは「チエコ」という題の、可愛いのよう。女の子の名前を題にしたんです。そのつぎに「柿の木」をお送りしたら、前のよりもっといいからどんどん書くように、そして文壇には林という名前が多いから名前を変えるようにとおっしゃって頂きましたの。
     (略)
    林紅子というのです。
     (略)
    一番最初に紅生薑子(引用者注:クレオキョウコのルビ有)
     (略)
    「新青年」に書いたら、水谷先生から文句が出てこんなおかしな名前は困るというので宮野叢子に変えたんです。
     (略)
    お友達がみんなで頭をひねって考えてくれたのよ。はじめクレオパトラを何とか日本語に出来ないかと思ったのよ。
     (略)
    ジョルジュ・サンドの日本語訳はないかと思って、フランス語を勉強しているお友達に聞いたり……(引用者注:紅=ルージュ?)。
     (略)
    その頃お送りした原稿はほとんど全部なくなっていました。今度帰ってきましたら……。返して頂いたのもありますけどもほんの五つ六つです。
     (以下略)

    ・「運命の悲劇」江戸川乱歩(「手紙」のルーブリック 宝石 1958.01より)全文 追加
     宮野さんはもとの名の叢子を村子と改めた。姓名判断で叢の字がいけないと云われたので、同音の字をいろいろ考え、わたしにも相談があったが、わたしは「村」が単純でいいじゃないかといった。なんだか古くさい感じがいやだと、ためらっていたが、結局、「村子にきめました。きめて見るとそんなに悪くない」というハガキが来た。
     宮野さんは純粋で自尊心が強いので(それが宮野さんの作品の気品になっているのだが)世俗の交わりにおいていつも損をしている。雑誌の編集者なども怒らせてしまうことがよくある。「宝石」も、幾分そういう関係になっていたが、わたしが編集するようになったので久々で書いて下さった。しかもこれはなかなか見事な作品である。
     一本の手紙が三人の運命を大きく動かした物語である。恋するものの、ちょっとした悪意、恋するものの邪推と独り合点、それらの些細な事柄が、恋人たちの生涯の運命を左右し、死ともつながるのである。恋人の心の秘密と、そこから生ずるいろいろなもつれが、女らしいこまやかさで、心理的に巧みに描かれている。
     ……
     こういう物語は古風といえば古風である。わたしは、ウイルキー・コリンズの「ハートのクイーン」という優れた短篇集の中にある作を思い出した。運命物語の味わいに共通なものが感じられるからであろう。しかし、わたしはかかる古風をも大いに愛するものである。(R)

    ・『推理文壇戦後史1』山村正夫より
    大の猫好きだそう (略) 私は一度だけ池上にあった住まいのアパートを訪ねたことがあるが、四畳半の部屋の真中に中学生の勉強机が一つあるほかは、何ひとつ家具らしいものがなく、猫が糞をするための砂を敷いた木箱が部屋の隅にポツンと置いてあるのを見て、これが女流作家の部屋かと驚いた覚えがある。

    ・「女流作家への手紙 宮野村子さんへ」間羊太郎 別冊宝石126 1964.02より
     たとえるならば、蒼くつめたく澄んだ水のような情緒が、どの作品にもいつも流れている、 (略) ミステリーと呼ぶには余りにも謎解きの要素が少なすぎます。推理小説というより心理小説と呼んだ方がよいのではないかとさえ思えます。(以下略)

    ・「書記長の思いで」高木彬光 推理小説研究15 1980.06より
     昭和40年、 (略) 宮野さんは六畳一間に間借りし、近くの図書館へ通い詰めて、一篇二千枚、三千枚という長編をいくつか、こつこつ書き続けているといって私にうず高い原稿の山を見せてくれた。こういっては悪いが、この作品はおそらく活字になることはないだろう。それなのに、病身に鞭うち、消えなんとする視力を凝らして、金にもならない仕事を続けて行くこの人の一念には、私は鬼気迫る思いがした。


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