村正朱鳥(むらまさしゅちょう)/常盤元六(ときわげんろく)略年譜
生年不明、探偵文学では年長だったという。本名は湯浅文春(湯淺文春)
1925.06. 「最初の検死」が新青年選外佳作となる(「窓」山本禾太郎、「あやかしの鼓」夢野久作 の次点)
19xx.xx. (大阪にて?)興信所所員だったという
1935.03.〜 探偵文学同人、作品を発表
19xx.xx. 詩歌同人と思われる
以後、不明
筆名は、村正朱鳥、常盤元六、湯浅文春(湯淺文春)、村一治、ほか
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探偵小説
- (「最初の検死」 湯浅文春)
( 新青年選外佳作※掲載されず。 (結果発表1925.06.) ) |
- 「第二の唇 デパート夜話一」 常盤元六
( 探偵文学 1935.03. ) |
嫌っていたのにどうしてかって? デパートの宿直の時の夜の巡回、僕はマネキン人形に……。 |
コント。ありがちの話を少しひねった話。 |
- 「窓に描かれる顏 デパート夜話二」 常盤元六
( 探偵文学 1935.04. ) |
カフェ三階屋根裏部屋から稀美子は向いのCデパートの大時計の2にあたる窓に姿を見せる佳夫と合図しあっていた。店に来た売り場主任の話では商品不足で責任をとらされそうだという。稀美子は深夜……。 |
妙にユーモラスな盗難の手段。そのままでも同じだと思うが印象には残る。 |
- 「引継がれた夫 デパート夜話三」 常盤元六
( 探偵文学 1935.06. ) |
後妻婦美子の遺品から出てきた親友であった先妻淑子へ宛てた手紙。婦美子は先夫との結婚を秘密にしてデパートに勤めていた。売場に来た時、襟を直されたことから万引きに間違えられる。結婚している事が知れて……。 |
デパートの決りを逆手にとった話。発信と宛先に混同がみられるが手紙も引き継がれたのだろうか。 |
- 「給仕の功労賞(戯曲)」 常盤元六
( 探偵文学 1935.09. ) |
地方の小都市の警察署内。司法主任頸部と刑事部長との会話。犯人が山熊のところに現れるということで包囲している。電報が届く。中田は東京で死んだという。給仕は電報を見て……。 |
末尾に旧作よりとある。上演されたのだろうか。寸劇として単純だが悪くはない。 |
- 「幸福(戯曲)」
( 探偵文学 1936.01. ) |
貿易商会主の小山隆の家に隆の異母弟寛が来る。寛に金を使い込まれ震災と病弱な子で苦労したが元以上になっていた。金を要求する寛、隆の妻小夜子は……。 |
単なる幸福かどうかという戯曲。旧稿修訂との事。 |
- 「テレヴィジョン(コント)」
( 探偵文学 1936.06. ) |
昭和十五年四月、村正朱鳥は探偵文学への中篇を脱稿。五周年記念号用短篇を考えていた。夜空に動くサーチライト。翌日の新聞……。 |
SF仕立て。現行のテレビとは異なり特にテレ・ボックスというのがイメージ出来ない。発想は悪くない。 |
- 「3B殺人事件」
( 探偵文学 1936.06. ) |
バーサクランボの佳都子の夫刈穂はバーバー山上理髪店で新吉に散髪してもらいバス榎湯に入って戻ると劇薬で死んだ。新吉は唇に塗ったといい、榎湯の金造が水飲用噴水孔仕込んだと警察へ投書があった。本野警部は一同を集めて…… |
直ぐわかるような事ではあるが、題名と設定は面白い。内容的にもユーモア味が感じられる。 |
- 「猪狩殺人事件(六)」 (連作:覆面作家(小栗虫太郎)/中島親/蘭郁二郎/大慈宗一郎/平塚白銀/村正朱鳥/伴白胤/伊志田和郎/荻一之介)
( 探偵文学 1936.08. )
『「シュピオ」傑作選 幻の探偵雑誌3』ミステリー文学資料館編 光文社文庫(み-19-03) 2000.05.20
『諏訪未亡人/猪狩殺人事件 合作探偵小説コレクション6』日下三蔵編 春陽堂書店 2024.03.26 |
小栗虫太郎が冒頭部のみで未完の作品を提供。(室蘭北方七里の炭坑町猪狩、猪狩新報記者田母澤大五郎は楠川医学士の醜聞取材で病院へ行くが留守。最上検事の車を見かけて乗り込み蒲原牧師の娘笠尾が殺されたのを知る。軽便鉄道松猪線が上下線共に七分進んでいた。)(樫本警部宅に探偵小説家大月蘭亭が来ていて事件のことを話す。「クス」と断末魔に書かれた便箋があった。容疑者は楠川医学士、軽便鉄道の機関手矢吹久壽夫、白系露人のクスターロフ。)
(大月蘭亭は「谷間の灯」の唄声を聴きバー・オーロラに入る。青年が女に笠尾が殺されたと告げ定代に会うため奥へ入っていった。)(田母澤は蒲原家付近で拾い物をした後、バー・オーロラで大月蘭亭を見かける。)(「屋上の殺人」を褒めて大月蘭亭に話しかける田母澤。潮定代の叫び声で奥へ行くと青年が殺されていた。)大月、樫本警部、田母澤の話し合い。(病院で受付野崎青年や看護婦への聞き込み、樫本警部との話。)(大月の定代の聴取、三人の話し合い、自殺の報。犯人は誰か?)(樫本警部から大月への手紙で真相が明かされる。) |
第六回担当、ほぼ会話でまとめのような回。会話で他者は平仮名だがカタカナのネが多いのは何かあるのだろうか。 |
- 「ダウトフルコント」
( 探偵文学 1936.11. ) |
ショートコント四篇。[正面衝突!死傷なし]フルスピードでのリンカーンとダットサンの衝突の結果……。[蚊の殺人]血まみれで死んだ男は……。[涙を飲んだ復讐]飲まず食わずで倉庫に監禁された時に……。[或る双生児]尊属殺人で弁護士は十二月三十一日と一月一日生まれの双生児に対して兄と弟とは……。 |
くだらなくも面白いコント集。 |
- 「あうむの家(児童劇)」湯浅文春
- その他、1926.07.京都にて公演の堺大浜少女歌劇団の「歌喜劇 アラビア裁判(一幕)」の作者として湯浅文春の名前がある
随筆など
- 「(編集後記)」 元生
( 探偵文学 1935.03.,04.,06.,09. ) |
- 「云はでもの事を」 常盤元六
- 「(同人類語抄)」
- 「終ってゐた一生(同人随筆)」 朱鳥生
( 探偵文学 1936.02. ) |
女児が生まれ一生ついてまわる名の出生届を出し戻ると一生が終っていた。 |
- 「人間味に富んだ探偵を」 朱鳥
- 「夢野久作氏の死を悼みて(短歌)」
- 「愚痴になる追憶」
( 探偵文学 1936.05. )
( 『夢野久作の世界』西原和海編 平河出版社 1975.12.15 )
( 『夢野久作の世界』西原和海編 沖積舎 1991.11.29 ) |
- 「お問合せ(直木賞記念号の読後感と最近読んだ小説の感想)」
( シュピオ 1937.06. ) |
木々氏の頭の良さ、インデックスとして重宝。「科学は裁く」佐野甚七 |
- 「ハガキ回答(昭和十二年度の気に入った探偵小説)」
( シュピオ 1938.01. ) |
「鉄の舌」ほか、実話雑誌十一月号「焼死偽装事件」。 |
- 「東京探偵局」
- 「肯かしめる国民文学を」
- 「岩下俊作論(現代作家研究(1)」
- 「喪中迎春」
- 「白髪(短歌)」
詩歌関係など(湯浅文春名義)
- 「当選児童劇『おうむの家』に就て」湯浅文春
- 「書架の本(十八首)」湯浅文春
( 『吾妹新選集 昭和2年版』生田蝶介編 猟人荘 1927.09.25 )(国DC※) |
- 「新人集寸評」湯浅文春
- 「会報」湯浅文春
- 「雜誌合評(アララギ)」湯浅文春
- 「「雪と野菜」に就いて」湯浅文春
- 「樹木と感情を読む」湯浅文春
- 「(同人作品)」湯浅文春
- 「(同人作品)」湯浅文春
- 「前月新人作品評」湯浅文春
- 「何を表現したか−3」湯浅文春
- 「前号批評」湯浅文春
- 「雑誌「多磨」」湯浅文春
- 「今年度詩歌概觀−1」湯浅文春
- 「「沼のある風景」批判」湯浅文春
- 「六区江東」湯浅文春
- 「経済記者の歌(興信所)」湯浅文春
- 「歌集「霊鳥」を読む」湯浅文春
- 「愧ぢよ!凸面鏡」湯浅文春
- 「「詩歌」十二年度業蹟統計」湯浅文春
- 「音楽的要素から視覚的要素へ」湯浅文春
- 「「樗風集」を読んで」湯浅文春
- 「前田透君入営歓送会の記」湯浅文春
- 「(同人作品)」湯浅文春
- 「狹山信及作品撰抄を読む」湯浅文春
- 「歌壇時評(推薦作品評)」湯浅文春
- 「檜本兼夫遺歌集の事変作品」湯浅文春
- 「歌壇の青年性に就て(ハガキ回答)」湯浅文春
- 「(同人作品)」湯浅文春
- 「鑑賞秀作十首選(2)その三」湯浅文春
- 「作品批評−2」湯浅文春
- 「い蛙寸評」湯浅文春
- 「(九月作品集)」湯浅文春
- 「詩歌作品第一輯を評す−1」湯浅文春
- 「著者の處女性」湯浅文春
- 「新短歌評」湯浅文春
- 「S家二年史」湯浅文春
- 「静かなその日」湯浅文春
- 「戦争の蔭に」湯浅文春
- 「三月號特輯作品合評」湯浅文春
- 「軍神、落下傘部隊」湯浅文春
- 「白い手と鍬」湯浅文春
- 「(湯淺文春(詩歌))」湯浅文春
( 『大東亜戦争歌集 愛国篇』柳田新太郎 天理時報社(丹波) 1943.02. ) |
- 「彼岸前後」湯浅文春
- 「(無題)」湯浅文春
- ほか
参考文献
- 「初の乱歩特集を編んだ・大慈宗一郎」鮎川哲也
EQ 1990.03.
『こんな探偵小説が読みたい』鮎川哲也 晶文社 1992.09.15
『幻の探偵作家を求めて 完全版(下)』鮎川哲也、日下三蔵編 論創社 2020.05.10
- 「探偵小説隆盛期の掉尾を飾った「シュピオ」」山前譲、「「探偵文学」「シュピオ」総目次」山前譲編
『「シュピオ」傑作選 幻の探偵雑誌3』ミステリー文学資料館編 光文社文庫(み-19-03) 2000.05.20
- 「「文学建設」誌総目次」
『「文学建設」誌総目次』海音寺潮五郎記念館編 海音寺潮五郎記念館 1980.10.10
- 黒田氏に御教示頂きました。ありがとうございます。
- ほか