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中島親 作品

Since: 2022.02.27
Last Update: 2024.03.31
略年譜 - 探偵小説 - 評論・随筆

      中島親(なかじましたし)略年譜

    19xx.  生年経歴など不明。
    1934.07.  ぷろふいる PROFILE OF PROFILEに掲載
    1935.01.  「探偵小説の新しき出発」を ぷろふいる に掲載
    1935.03.〜  探偵文学の同人、編輯兼発行人となる(当初の発行所は大慈宗一郎の弟宅の探偵文芸社)
    1946.〜1947.04.  大慈宗一郎と共に雑誌ロックの編集顧問となる(3号から)※辞任はクラブ会報1948.01.消息欄
    1947.01.  探偵小説研究同人誌「ミステリイ」編集、(ミステリークラブ発行、1号のみ)
         晩年は伊東に住み釣り三昧で過されたとのこと
    1991.or1992.頃(平成3or4年頃)  死去

    筆名は、中島親、中風老人



      探偵小説

  1. 「南瓜(コント)」
    ( ぷろふいる 1934.09. )
     大工の留さんが死のうとしていた女に出会う。持っていたのは働いて居た八百屋から盗んだ南瓜一つ。家に連れ帰り翌朝、八百屋の行商が来て……。
     コント。落語のような内容。
  2. 「俳旬綺諄(コント)」
    ( ぷろふいる 1934.10. )
     今は昔、かつて伊勢屋の大旦那で俳号を中風という男が死んだ。遺産は見つからない。蕪村の俳句の遺書。若武者が聞き庭を掘る。そしてまた……。
     一種の暗号というか、洒落というか。強引すぎる気もする。
  3. 「火の用心(コント)」
    ( ぷろふいる 1935.05. )
     私は金が必要で自宅の火災保険を得る計画をたてた。畳の上に蝋燭をたてて周囲にぼろ布を置いて石油をかけておく。私は予約して置いた伊香保の横手館へ。帰ってみると……。
     ユーモア味ある作品。用心していたのか不用心だったのか、二つ並べた標語を思い出すが当時から言われていたのだろうか。
  4. 「刺青(コント)」
    ( 探偵文学 1935.11. )
     享保巖年、おかめ湯で児雷也の刺青の男と友人が話している。吉松の真似ではないか。湯女のお袖。武士と貸元風の男……。
     探偵小説としてはありがちの話だが結末のつけ方は粋かも。
  5. 「明暗(コント)」
    ( 探偵文学 1935.12. )
     二十三号室の患者の容態が急に悪化し院長が見に行くが息を引き取った。院長が自室に戻るとチョッキから思い出の銀メタルが無くなっていた。落したとしても見つからない。その頃……。
     探偵小説としてはありがちの話だが設定の妙がある。
  6. 「タンゴ(コント)」
    ( 探偵文学 1936.06. )
     男と女は淡い恋をしていた。男は思い切って電話で女に喫茶店タンゴへ来るように誘う。女は来ない。酒に酔う男。女はその時……。
     小咄。ありがちといえばありがちの話。
  7. 「猪狩殺人事件(二)」 (連作:覆面作家(小栗虫太郎)/中島親/蘭郁二郎/大慈宗一郎/平塚白銀/村正朱鳥/伴白胤/伊志田和郎/荻一之介)
    ( 探偵文学 1936.08. )
    『「シュピオ」傑作選 幻の探偵雑誌3』ミステリー文学資料館編 光文社文庫(み-19-03) 2000.05.20
    『諏訪未亡人/猪狩殺人事件 合作探偵小説コレクション6』日下三蔵編 春陽堂書店 2024.03.26
     小栗虫太郎が冒頭部のみで未完の作品を提供。(室蘭北方七里の炭坑町猪狩、猪狩新報記者田母澤大五郎は楠川医学士の醜聞取材で病院へ行くが留守。最上検事の車を見かけて乗り込み蒲原牧師の娘笠尾が殺されたのを知る。軽便鉄道松猪線が上下線共に七分進んでいた。)樫本警部宅に探偵小説家大月蘭亭が来ていて事件のことを話す。「クス」と断末魔に書かれた便箋があった。容疑者は楠川医学士、軽便鉄道の機関手矢吹久壽夫、白系露人のクスターロフ。 (大月蘭亭は「谷間の灯」の唄声を聴きバー・オーロラに入る。青年が女に笠尾が殺されたと告げ定代に会うため奥へ入っていった。)(田母澤は蒲原家付近で拾い物をした後、バー・オーロラで大月蘭亭を見かける。)(「屋上の殺人」を褒めて大月蘭亭に話しかける田母澤。潮定代の叫び声で奥へ行くと青年が殺されていた。)(大月、樫本警部、田母澤の話し合い。)(病院で受付野崎青年や看護婦への聞き込み、樫本警部との話。)(大月の定代の聴取、三人の話し合い、自殺の報。犯人は誰か?)(樫本警部から大月への手紙で真相が明かされる。)
     第二回担当、無難に展開している。
  8. 「金色の悪魔」
    ( ロック 1946.08. )
  9. 「湖畔の廃屋」
    ロック 1947.02.
     雷雨がきそうな夜、須田は湖畔の廃屋に近い洋館を訪れた。石神と取引するためだ。石神は都ホテル十階で葉山が密室で殺された話をする。直前に訪れたスーツケースを持ったらん子と名乗る女性も消えていた。名探偵Aが偶然犯人と密室からの逃走経路を知ったという。須田は取引のためのバッグを開けて示すと……。
     密室は今では密室とはいえない。当時も考慮範囲内だと思う。最後少し前は意表をつかれた感もあるが、最後の結末は偶然でしかないので一気に萎えてしまう。
  10. 「首と女」
    ( 真珠 1948.06. )



      評論・随筆など

  1. 「「モンブランの嵐」」※同姓同名別人の可能性あり
    ( 映画往来 1931.09. )
  2. 「探偵小説とユーモア(POP欄)」
    ( ぷろふいる 1934.07. )
  3. 「管見録(POP欄)」
    ( ぷろふいる 1934.08. )
    抜粋『西尾正探偵小説選1』解題 論創社・論創ミステリ叢書23 2007.02.20
  4. 「閣魔帳」
    ( ぷろふいる 1934.09. )
  5. 「俎上四魚図(POP欄)」
    ( ぷろふいる 1934.10. )
  6. 「阿呆の言葉(POP欄)」
    ( ぷろふいる 1934.11. )
     A批評の為に:批評は創作である。秀れた批評は秀れた批評技術、炯眼と文章力。芸術的表現。B饒舌追放令:簡潔の金剛石。C城昌幸氏を憶ふ:日本に再生したポウ。主題が貫通している。
  7. 「三田正氏へ(談話室)」
    ( ぷろふいる 1934.11. )
    『西尾正探偵小説選1』 論創社・論創ミステリ叢書23 2007.02.20
     三田正(西尾正)の談話室欄の内容に対する返信
  8. 「我もし探偵作家なりせば」
    ( ぷろふいる 1934.12. )
  9. 「暗中放言(POP欄)」
    ( ぷろふいる 1934.12. )
  10. 「探偵小説の新しき出発」
    ( ぷろふいる 1935.01. )
    幻影城 1975.06.
     探偵小説の行き詰まりは、新陳代謝の衰弱、狭義的探偵小説観、批評活動の不振。謎々小説は崩壊、変格物を芸術に昇華させ更に高度の発展段階に入るべき。ロマンチシズムや近代的神秘主義が現代リアリズムの反動期において華々しい展開をするであろう。
  11. 「蟹太郎君へ(POP欄)」
    ( ぷろふいる 1935.03. )
     「新年号批判」蟹太郎に対する反論
  12. 「風流文筆陣―探偵小説の流に沿ふて―」
    ( 探偵文学 1935.03. )
     子供っぽさ(稚気)への墜落。不可能を可能にする、AをBにする。描写技術によるカモフラージュ。雰囲気。
  13. 「江戸川乱歩論」
    ( 探偵文学 1935.04. )
    幻影城増刊 1975.07.
    ( 『江戸川乱歩 評論と研究』 講談社 1980.06.16 )
     「陰獣」「虫」など通俗物以外は芸術。美の創造・表現・探求。乱歩はリアリストでありロマンチスト。現実的不可能事を可能にしてしまう。平凡への叛旗、幻想の飛躍。ユーモアがないのが身上、執拗性がみられる。推理と解決の面白味のみに重点をおいていないので繰り返し読ませる大人の読む探偵小説。
  14. 「(編集後記)」
    ( 探偵文学 1935.04.〜11.,1936.03.〜05. )
  15. 「闇の中の声」
    ( 探偵文学 1935.05. )
  16. 「蟹酒抄(POP欄)」
    ( ぷろふいる 1935.05. )
     酔える上での戯言に揚げ足取りの強談義。名古屋なる福田照雄の本音とは。ままならぬ浮世かな。いずれ素面で談義するとして、ここは蟹を肴にお酒でも。止めよう、食い合わせらしい。
  17. 「黒白抄」
    ( 探偵文学 1935.06. )
  18. 「七月抄」
    ( 探偵文学 1935.07. )
  19. 「緑風随想記」
    ( 探偵文学 1935.09. )
  20. 「探偵作家くせ列伝」中風老人
    ( 探偵文学 1935.10.〜12 )
  21. 「虫太郎・随想」 (「虫太郎・断想」)
    ( 探偵文学 1935.10. )
    『二十世紀鉄仮面 昭和ミステリ秘宝』小栗虫太郎 扶桑社文庫(S04-02) 2001.02.28
     拾い残しの栗拾いとして。シンボリズム=偉大なる獏。過去の夢、追憶の世界。貴族趣味、気どり。「完全犯罪」の文章と殺人形式。室生犀星との相似形。「白蟻」の最後の数行の夢幻の余韻。新と古などのカクテルが独自の持ち味。
  22. 「多情仏心」
    ( 探偵文学 1935.11. )
  23. 「十月抄」
    ( 探偵文学 1935.11. )
  24. 「新刊グリンプス」
    ( 探偵文学 1936.01.〜02. )
  25. 「進め、探偵文学」
    ( 探偵文学 1936.01. )
  26. 「木々高太郎氏を囲み―三五年度探偵小説合評座談会」中島親、大慈宗一郎、荻一之介、伴白胤、平塚白銀、木々高太郎
    ( 探偵文学 1936.01.,02. )
  27. 「創作月評」「作品月評」
    ( 探偵文学 1936.01.〜09. )
    1936.07.抜粋『酒井嘉七探偵小説選』解題 論創社・論創ミステリ叢書34 2008.04.30
  28. 「薬草園」中風老人
    ( 探偵文学 1936.02.〜03.,05. )
  29. 「皮肉(同人随筆)」
    ( 探偵文学 1936.02. )
     好きな言葉で洗練された皮肉は芸術。モーパッサン、ショウ、白鳥、龍之介、水谷隼。
  30. 「迷歌集(短歌)」中風老人
    ( 探偵文学 1936.02. )
  31. 「仙龍(川柳)」中風老人
    ( 探偵文学 1936.03. )
  32. 「魚と遊ぶ私(同人随筆)」
    ( 探偵文学 1936.03. )
     釣りの魅力。釣り友達で文学の友青海水平君の替え唄。
  33. 「なつかしき明智よ!」
    ( 探偵文学 1936.04. )
  34. 「せんりゅう(川柳)」中風老人
    ( 探偵文学 1936.04. )
     準、十三、虫太郎、久作、正史。
  35. 「夢野久作氏の死を悼みて(短歌)」
    ( 探偵文学 1936.05. )
  36. 「新人論」
    ( 探偵文学 1936.05. )
  37. 「その死を悼む」
    ( 探偵文学 1936.05. )
    ( 『夢野久作の世界』西原和海編 平河出版社 1975.12.15 )
    ( 『夢野久作の世界』西原和海編 沖積舎 1991.11.29 )
  38. 「木々高太郎論」
    ( 新評論 1936.08. )
    ( シュピオ 1937.05. )
  39. 「探偵春秋」
    ( 探偵春秋 1936.11.〜1937.06. )
  40. 「昭和十一年の探偵文壇を回顧して」
    ( 探偵文学 1936.12. )
  41. 「探偵小説は何故最高の文学ではないか」
    ( 探偵春秋 1937.01. )
  42. 「諸家の感想(アンケート)」
    ( 探偵春秋 1937.01. )
  43. 「作品月評」
    ( シュピオ 1937.01. )
    参考: 抜粋 Web Site「小林文庫 大阪圭吉 同時代の評価」
    抜粋『酒井嘉七探偵小説選』解題 論創社・論創ミステリ叢書34 2008.04.30
  44. 「虫太郎と啓助の作品について」
    ( シュピオ 1937.02. )
  45. 「作品月評」
    ( シュピオ 1937.03. )
  46. 「お問合せ(直木賞記念号の読後感と最近読んだ小説の感想)」
    ( シュピオ 1937.06. )
     年鑑的意味とシュピオたる真価で価値。翻訳では「スターベル事件」。
  47. 「おお探偵小説よ!」
    ( シュピオ 1937.06. )
  48. 「リベラリズムの上にたちて」
    ( シュピオ 1937.07. )
    抜粋『酒井嘉七探偵小説選』解題 論創社・論創ミステリ叢書34 2008.04.30
  49. 「作品月評」
    ( シュピオ 1937.09. )
  50. 「AとBの話」
    ( シュピオ 1937.10. )
  51. 「商品性の氾濫」
    ( シュピオ 1937.11. )
  52. 「作品月評」
    ( シュピオ 1937.12. )
  53. 「ハガキ回答(昭和十二年度の気に入った探偵小説)」
    ( シュピオ 1938.01. )
     「鉄の舌」大下宇陀児、「封建制」「親友」木々高太郎、「決闘記」渡辺啓助、「湖畔」久生十蘭
  54. 「続AとBの話」
    ( シュピオ 1938.01. )
  55. 「さよなら月評」
    ( シュピオ 1938.02. )
  56. 「日本探偵小説史」
    ( 科学ペン 1938.04. )
  57. 「探偵小説における時間」
    ( 科学ペン 1938.07. )
  58. 「(編集後記)」
    ( ロック 1946.05. )
  59. 「(※不明)」
    ( ミステリイ(同人誌) 1947.01. )
  60. 「豆論壇」
    ( ロック 1947.03. )
  61. 「虹よ、いつの日に」
    ( ぷろふいる 1947.04. )
  62. 「自画像」
    ( 真珠 1947.04. )
  63. 「淫魔ラスプーチン」
    ( 探偵小説傑作集(ロック別冊) 1947.08. )
  64. 「(無題・通信欄)」
    ( 探偵作家クラブ会報 1953.06. )
     雑用に追われ探偵小説はほとんど読んでいない。関心はあるが美を探し出す努力ができない。



      参考文献

  1. 「「ぷろふいる」所載主要作品総目録」中島河太郎
    『日本推理小説史(3)』 東京創元社 1996.12.20
  2. 「探偵小説隆盛期の掉尾を飾った「シュピオ」」山前譲、「「探偵文学」「シュピオ」総目次」山前譲編
    『「シュピオ」傑作選 幻の探偵雑誌3』ミステリー文学資料館編 光文社文庫(み-19-03) 2000.05.20
  3. 「初の乱歩特集を編んだ・大慈宗一郎」鮎川哲也
    EQ 1990.03.
    『こんな探偵小説が読みたい』鮎川哲也 晶文社 1992.09.15
    『幻の探偵作家を求めて 完全版(下)』鮎川哲也、日下三蔵編 論創社 2020.05.10
  4. 「『黒死館』を抱いて戦地へ・水上幻一郎」鮎川哲也
    EQ 1994.05.
    『幻の探偵作家を求めて 完全版(下)』鮎川哲也、日下三蔵編 論創社 2020.05.10
  5. 「「ロック」五年史」中島河太郎
    幻影城 1975.12.
  6. 「59 中島親」若狭邦男
    『探偵作家発見100』若狭邦男 日本古書通信社 2013.02.20
  7. 「探偵の世界 「ロック」」若狭邦男
    『探偵作家発掘雑誌』若狭邦男 日本古書通信社 2016.10.15
  8. ほか



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