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荻一之介 作品

Since: 2022.02.05
Last Update: 2022.02.05
略年譜 - 探偵小説 - 翻訳 - 随筆

      荻一之介(おぎかずのすけ (おぎいちのすけ 記載文献もあり))略年譜

    1915.頃(明治20年頃)  生まれる。本名は田中謙。
    19xx.xx.  慶応大医科を卒業、軍医として応召の後、立川にて泌尿器科開業。
    1931.09.  「五月の殺人」が探偵趣味の懸賞に入選、掲載される
    1935.03.〜  探偵文学に同人として参加
    1936.07.  「振り出し」を探偵文学に発表
    1987.xx.(昭和62年)  死去

    筆名は、荻一之介、荻白雲、(荻玄雲※推測)、田中謙



      探偵小説

  1. 「五月の殺人」田中謙
    ( 探偵趣味 1931.09. )
    『「探偵クラブ」傑作選 幻の探偵雑誌8』ミステリー文学資料館編 光文社文庫(み-19-08) 2001.12.20
     権太爺さんが屋根から落ちて死んだ。最後の様を見ていた人はいなかっただろうか……。
     風が吹けば的な面白い話。啄木の句は発想元だろうか。
  2. 「最後の瞬間(ラスト・モーメント)」
    ( 探偵趣味 1931.12. )
    ( 真珠 1947.04. )
    『「探偵クラブ」傑作選 幻の探偵雑誌8』ミステリー文学資料館編 光文社文庫(み-19-08) 2001.12.20
     安見さん、お久しぶり。嬉しいわ。「ラスト・モーメント」って活動を見たのよ。死の瞬間にながあい想い出を……。
     一人語りで構成。ラストに向かっての文章が上手い。
  3. 「或死刑囚の手記の一節」
    ( 探偵趣味 1932.04. )
    『「探偵クラブ」傑作選 幻の探偵雑誌8』ミステリー文学資料館編 光文社文庫(み-19-08) 2001.12.20
     上京以来六年間の大罪を告白をした男は秋祭りの囃子を聞くと幼時の思い出をする。十三歳の時、校長の浩坊ちゃんがいなくなりました。私と悪漢ごっこをしていたのですが……。
     乱歩を意識した作品のようにも思える。文章が淡泊で迫力に欠ける。
  4. 「四つの聴取書」
    ( ぷろふいる 1934.04. )
  5. 「おみつ」
    ( 探偵文学 1935.06. )
  6. 「執念 くちづけ綺談」
    ( 探偵文学 1935.11. )
    『「シュピオ」傑作選 幻の探偵雑誌3』ミステリー文学資料館編 光文社文庫(み-19-03) 2000.05.20
     夏の温泉場の河原、将来は医者になるであろう学生の私に男が医者を辞めた話をする。田舎の病院勤務中に下宿の娘に惚れられたが恋人がいた。腕に接吻し赤味が失せない間は思っているというおまじないを残して東京へ戻った。一年後、彼女が東京の病院に訪ねてきて……。
     怪異談。聞いた話が実話か創作か。男の存在自体も謎に包まれている。ローレライの歌も関係しているのだろうか。
  7. 「トイレット・ペーパー(コント)」
    ( 探偵文学 1936.06. )
  8. 「振り出し」
    ( 探偵文学 1936.07. )
    『鮎川哲也と13の殺人列車 鉄道推理アンソロジー』鮎川哲也編 立風書房・立風ノベルス 1989.07.30
     T医学専門学校柏木鷹夫、実習一日目に診た女性は前に一度会った女性だった。講師の石井博士は梅毒の症状があるという。数ヶ月後、女は面会を求めてきて会うと妊娠しているという。脅迫に支払う金もなく、父の遺品の洋傘を持って会いに行き、駅で……。
     複雑な心境になる結末。偶然ではあるが起っても不思議はないと思わせるのは上手い。
  9. 「猪狩殺人事件(九)」 (連作:覆面作家(小栗虫太郎)/中島親/蘭郁二郎/大慈宗一郎/平塚白銀/村正朱鳥/伴白胤/伊志田和郎/荻一之介)
    ( 探偵文学 1936.08. )
    『「シュピオ」傑作選 幻の探偵雑誌3』ミステリー文学資料館編 光文社文庫(み-19-03) 2000.05.20
     小栗虫太郎が冒頭部のみで未完の作品を提供。(室蘭北方七里の炭坑町猪狩、猪狩新報記者田母澤大五郎は楠川医学士の醜聞取材で病院へ行くが留守。最上検事の車を見かけて乗り込み蒲原牧師の娘笠尾が殺されたのを知る。軽便鉄道松猪線が上下線共に七分進んでいた。)(樫本警部宅に探偵小説家大月蘭亭が来ていて事件のことを話す。「クス」と断末魔に書かれた便箋があった。容疑者は楠川医学士、軽便鉄道の機関手矢吹久壽夫、白系露人のクスターロフ。) (大月蘭亭は「谷間の灯」の唄声を聴きバー・オーロラに入る。青年が女に笠尾が殺されたと告げ定代に会うため奥へ入っていった。)(田母澤は蒲原家付近で拾い物をした後、バー・オーロラで大月蘭亭を見かける。)(「屋上の殺人」を褒めて大月蘭亭に話しかける田母澤。潮定代の叫び声で奥へ行くと青年が殺されていた。)(大月、樫本警部、田母澤の話し合い。)(病院で受付野崎青年や看護婦への聞き込み、樫本警部との話。)(大月の定代の聴取、三人の話し合い、自殺の報。犯人は誰か?)樫本警部から大月への手紙で真相が明かされる。
     最終話担当。後人物像も不安定で連携がとれていない中、よく結末をつけるだけつけたものだと感心。



      翻訳

  1. 「焼鳥を食べるナイル」 荻玄雲 訳(※推測)
    原作者:エドン・アイス
    ( ぷろふいる 1933.12. )
  2. 「死の罠」 荻玄雲 訳(※推測)
    原作者:C・J・エヴァンス
    ( ぷろふいる 1934.11. )
  3. 「透視術」 荻玄雲 訳(※推測)
    原作者:カレル・チャペク
    ( ぷろふいる 1936.03. )
  4. 「出獄」 荻白雲 訳
    原作者:カレル・チャペク
    ( 探偵文学 1936.05. )
  5. 「或る管弦楽指揮者の話」 荻白雲 訳
    原作者:カレル・チャペク
    ( 探偵文学 1936.05. )
  6. 「農園の殺人」 荻白雲 訳
    原作者:カレル・チャペク
    ( 探偵文学 1936.06. )



      随筆など

  1. 「探偵小説と事実」
    ( 探偵文学 1935.03. )
  2. 「(編集後記)」K・O
    ( 探偵文学 1935.06. )
  3. 「初夢」
    ( 探偵文学 1936.01. )
  4. 「木々高太郎氏を囲み―三五年度探偵小説合評座談会」中島親、大慈宗一郎、荻一之介、伴白胤、平塚白銀、木々高太郎
    ( 探偵文学 1936.01.,02. )
  5. 「(同人随筆)」
    ( 探偵文学 1936.02. )
  6. 「(無題)」
    ( 探偵文学 1936.03. )
  7. 「Prof. Ohkoroshi」
    ( 探偵文学 1936.04. )
  8. 「近頃憂鬱」
    ( 探偵文学 1936.03. )
  9. 「カレル・チャペクにつきて」(無著名推測)
    ( 探偵文学 1936.05. )
  10. 「(お問合せ)」
    ( シュピオ 1937.06. )



      参考文献

  1. 「(解説)」鮎川哲也
    『鮎川哲也と13の殺人列車 鉄道推理アンソロジー』鮎川哲也編 立風書房・立風ノベルス 1989.07.30
    『幻の探偵作家を求めて 完全版(下)』鮎川哲也、日下三蔵編 論創社 2020.05.10
  2. 「「探偵文学」「シュピオ」総目次」山前譲編
    『「シュピオ」傑作選 幻の探偵雑誌3』ミステリー文学資料館編 光文社文庫(み-19-03) 2000.05.20
  3. ほか



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