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渡辺文子 作品

Since: 2022.01.08
Last Update: 2022.06.05
略年譜 - 探偵小説 - 随筆・実話 - 一般小説 - 随筆・記事 - 著書

      渡辺文子(わたなべふみこ)略年譜

    1906.03.06(明治39年)  横浜市にて病院長の娘として生まれる
    192x.xx.  日本女子商業、日進英語、アテネ・フランセなどの通う
    1929.02.  ブラジルに渡り、リオのコレジオ・バチスタに三年間通う
    1931.04.  「第二の復讐」が新青年に掲載される
    1932.09.  「地獄に結ぶ恋」が新青年に掲載される
    1932.xx.  帰国、海外興業株式会社の雑誌『移民地事情』の編集に携わる。
    1932.〜1935.頃  キング、日の出、令女界、若草、婦人サロン、其他の雑誌に随筆、雑文、中南米の文学紹介を書く
    1935.10.  再度ブラジルに渡り結婚、北島姓に
    1946.〜  ブラジルの日本語雑誌や新聞(南米時事、新世紀、よみもの、パウリスタ新聞、等)に寄稿。時折日本の諸雑誌に寄稿
    1964.07.  『北島府未子作品集』刊行
    1964.xx.(昭和39年)  サンパウロにて死去
    注)『コロニア小説選集1』の略歴、『北島府未子作品集』の略歴による

    筆名は、渡辺文子、(渡邊文子)、北島文子、北島府未子

      (国DC※)は国立国会図書館デジタルコレクション個人送信(ログイン必要)で公開されています(今後非公開になる可能性もあります)
      (B移民)はブラジル移民文庫でインターネット公開されています



      探偵小説

  1. 「第二の復讐」
    ( 新青年 1931.04. )
  2. 「探偵小説 葉巻の殺人」
    ( 植民 1932.02. )(国DC※)
     サンパウロ、製菓会社社長兼支配人の私小牧貞三。趣味は葉巻。印度にいた時の部下高木が来た。私は高木を送るが気分が悪く風にあたるという事で車を降りた。帰宅するとすぐ、警察が来て毒殺のかどで逮捕されてしまう。面会に来たリオの法医学者志望の青年田邊文吉は私の話を聞いて……。
     癖と好物を利用したところ、後出しだが論理的であろうところ、名探偵趣味的なところは好感がもてる。
  3. 「復讐怪奇譚 夜開く花」
    ( 植民 1932.07.〜08. )(国DC※)
     新世界丸船長島田はブエノスアイレスからリオデジャネイロに向う船で女医高村ふみねに心を奪われる。サンパウロ郊外のサンタ・アマーロ湖でのひととき。彼女は研究が発表され学位が取れた時にというが……。
     復讐譚という事で筋自体は予測ができてしまうが、手法とひねりが効いていて良作。
  4. 「地獄に結ぶ恋」
    ( 新青年 1932.09. )
    『「新青年」傑作選 幻の探偵雑誌10』ミステリー文学資料館編 光文社文庫(み-19-09) 2002.02.20
     桂田宏より中津川秋子への手紙。税所四郎と尾山美恵子は心中とされているが、あなたにとって一石二鳥の殺人だった。塩酸ストリキニーネによる死と残された遺書。中津川秋子より桂田宏への手紙……。
     薬の件は面白い。処方箋というのも経歴を考えれば納得できる気もする。題名も含めて予想外の結末。
  5. 「黒子」
    ( 探偵クラブ 1932.10. )
  6. 「復讐の書」
    ( 新青年 1933.02. )
    『竹中英太郎(三)エロ・グロ・ナンセンス』末永昭二編 皓星社・挿絵叢書3 2016.11.01
     森越さん宛の手紙。女学校時代に出会い、次第に愛するように、同時に憎むようになりました。親の仇の娘。同性の恋。恋人の死……。
     淡々と出来事を積み重ねていくのは良い感じ。逆に感情面は弱くなっている。ラストはリドルストーリーのようでもある。勘ぐれば、下の名でなく結婚前の姓になっているのも意味があるのかもしれない。
  7. 「まむぜるの幻」
    ( 新青年 1934.03. )
  8. ほか
  9. 参考:「怪奇よみもの ドオナ・ルイザの手相」渡邊西湖(ブラジル 1936.08号)、「現代伯国捕物帖 アングラ・ドス・レイスの活劇」渡邊西湖(ブラジル 1936.10号)があるらしいが渡辺文子かどうかは不明



      探偵雑誌掲載の随筆、実話風読物と思われる作品

  1. 「私のすきな作家」
    ( 探偵クラブ 1932.12. )
  2. 「ガンモ先生の哲学研究」
    ( 新青年 1933.12. )
  3. 「聖ヨハネ祭」
    ( 新青年 1935.09. )
  4. 「姦通を聴く男」
    ( 新青年 1936.09. )
  5. 「ダヴィルソン事件」
    ( よみもの 不詳 )
  6. 「移民船怪異を乗せて」
    ( よみもの 不詳 )
  7. 「カインの末路」
    ( よみもの 不詳 )
  8. 「インスブルグの瓦斯地獄」
    ( よみもの 不詳 )
  9. 「ロスアンゼルスの家政婦」
    ( よみもの 不詳 )
  10. 「まにら丸異聞」
    ( よみもの 1949.02. )
    ( 『北島府未子作品集』 日系出版社(パウリスタ印刷) 1964.07.31 )(B移民)

     ブラジル移民船まにら丸に領事として赴任する山北清蔵とみね子夫人と子供が乗っていた。英領ダーバンでは上陸禁止だったが夫人と子供は上陸する。監視管ウイリアムスンが乗り込んできて山北氏に面談、そこに夫人が現れると監視管は態度を変える。夫人は夫人で、北山氏は北山氏で事態の収拾を図ろうとするが……。
  11. 「犯罪実話 人間腸詰事件」 北島文子
    ( 新青年 1949.07. )
  12. 「海外実話 妖艶鬼ロウイス」 北島文子
    実話講談の泉 1949.11.
     青ひげは女にも出た。一九二〇年ロスアンゼルス、ロウイス・ビイト夫人はデイトン氏の家政婦に雇われた。デンバーにいるロウイスの現在の夫は普通の勤め人で虚栄心を満たしてくれず彼女は家を出ていた。彼女はロウイスに結婚を迫ったが断られ殺害、旅行中だと繕っていた。苦役十八年、彼女はラーザン老婦人、さらにローガン夫妻の家政婦となり、さらに……。※題名から「ロスアンゼルスの家政婦」と同じかもしれない
  13. 「ダニューブの悲劇」 北島文子
    ( 探偵クラブ 1950.10. )
  14. ほか



      一般小説

  1. 「香港夜話」 渡辺文子
    ( 海 1935.04. )(国DC※)
     りおでじゃねいろ丸。香港でのO・Z氏とヨランダ嬢、五日間の航海の後の別れ。
  2. 「なすび」 北島文子
    ( よみもの 1950.12. )
    ( 『コロニア小説選集1』 コロニア文学会 1975.07.01 )(B移民)

     茄子の夢。夏江が買った訪日債権。みね子もまた。抽選の前日。そして……。
  3. 「ロテリアを買う女」 北島文子
    ( 南米時事新年号 1954.01. )
    ( 『コロニア小説選集1』 コロニア文学会 1975.07.01 )(B移民)

     婦人記者富代は夫に死なれ子供二人を育てていた。銀行で見た紙幣の山。男の哀願で富籤を買い……。
  4. 「佐久間旅館」
    ( (週刊日系誌) 1961.〜1963.の間 )
    ( 『北島府未子作品集』 日系出版社(パウリスタ印刷) 1964.07.31 )(B移民)

     サンパウロ東部、佐久間旅館の佐久間盛政と妻おまさ。昔なじみの客で絶えることはない。ある日、佐久間医学士が泊り……。
  5. 「ラドラ」
    ( (週刊日系誌) 1961.〜1963.の間 )
    ( 『北島府未子作品集』 日系出版社(パウリスタ印刷) 1964.07.31 )(B移民)

     アメリカ人夫妻の女中テレーザはリオへ行くといったアウロを思い出していた。お腹には子がいる。夫人が忘れたお金。借りるだけ、歌手になって……。
  6. 「えんだん」
    ( (週刊日系誌) 1961.〜1963.の間 )
    ( 『北島府未子作品集』 日系出版社(パウリスタ印刷) 1964.07.31 )(B移民)

     沼田さと子は未だ独身、チチハルからマンチュリアまで許さなかった。そんな時、浜口雄幸との縁談が出現し付きあうことになった。結婚目前で彼は裸を見たいと……。
  7. 「沖縄飛行隊長」
    ( よみもの 1951.01. )
    ( 『北島府未子作品集』 日系出版社(パウリスタ印刷) 1964.07.31 )(B移民)

     女画家であった私が宗武之と出会ったのは三度目だった。彼が八歳の時の移民船で。十二歳の時に彼の母が亡くなり沖縄に帰る時に。そして二十一歳、高雄の基地に赴任する時の内台航路さんとす丸で。私と早川岩雄との結婚は失敗だった。家庭婦人になりきれず姑や小姑には気に入らなかった。一時両親と会いに帰国、兄に会いに台湾へ行く時だった。みな姉さんと慕う武ちゃん。妻としてやり直す気持ちでブラジルへ戻る私だが開戦での生活、終戦。そして兄からの手紙……。
  8. 「ほうたい」
    ( (週刊日系誌) 1961.〜1963.の間 )
    ( 『北島府未子作品集』 日系出版社(パウリスタ印刷) 1964.07.31 )(B移民)

     はるはサンパウロ支店長榊原夫妻のお手伝いだった。なぜか繃帯が好きなおかしな子だった。ある日、夫人とはるだけがいる夜に強盗が入り……。
  9. 「カステラ」
    ( (週刊日系誌) 1961.〜1963.の間 )
    ( 『北島府未子作品集』 日系出版社(パウリスタ印刷) 1964.07.31 )(B移民)

     山田英吉一家が移住して五年、母のおみよは日本に帰りたがっていた。アマゾンで失敗、今は養鶏農家の日雇いをしている。英吉と八千代夫婦は堅実に頑張っている。英吉は母親の為にカステラを……。
  10. 「ネブリーナ」
    ( (週刊日系誌) 1961.〜1963.の間 )
    ( 『北島府未子作品集』 日系出版社(パウリスタ印刷) 1964.07.31 )(B移民)

     かつ子の不幸な幸福は朝もやで始まり朝もやで終わった。独り身の彼女は独立し、上流階級相手の洋裁店をもつようになった。パーティーのあと声をかけてきた大学生、しかしのそ後……。
  11. 「金髪に気をつけろ」
    ( (週刊日系誌) 1961.〜1963.の間 )
    ( 『北島府未子作品集』 日系出版社(パウリスタ印刷) 1964.07.31 )(B移民)

     サンパウロのダービーで馬主から祝儀をもらった機種フリオ・フランシスコ・イリゴーエンは金髪美女の枕探しの被害にあった。新聞記事を読んだ男は長男から……。
  12. 「人生のあや模様」
    ( (週刊日系誌) 1961.〜1963.の間 )
    ( 『北島府未子作品集』 日系出版社(パウリスタ印刷) 1964.07.31 )(B移民)

     松山みどりから片思いをあきらめる薬の相談を受けた私北山。相手は東京からきた真名子明氏で妻がいる。一方、真名子明氏はキャバレエ・カルロッサに通い戦争中の……。
  13. 「銭(ぜに)」
    ( (週刊日系誌) 1961.〜1963.の間 )
    ( 『北島府未子作品集』 日系出版社(パウリスタ印刷) 1964.07.31 )(B移民)

     サンパウロの朝市に野菜を運び売る良治と千代夫妻。大地主になる事を夢みてまにら丸で移民。土地を購入したものの係争、裁判で敗訴。一人息子良明は戦争にとられ死亡。頼るのは銭だけとなった。商売はもうかったが……。
  14. 「おいちよゆるせ」
    ( (週刊日系誌) 1961.〜1963.の間 )
    ( 『北島府未子作品集』 日系出版社(パウリスタ印刷) 1964.07.31 )(B移民)

     サンパウロ近郊農業で成功した男は町で遊び帰らなくなっていた。働き続けた妻おいちが病死し読経のうちに駆けつけ……。
  15. 「運命のダグラス機」
    ( 新世紀→琉球新報→北島府未子作品集 1947.xx.→?→1964.07.31 )
    ( 『北島府未子作品集』 日系出版社(パウリスタ印刷) 1964.07.31 )(B移民)

     一九四六年九月二十七日、ベロ・オリゾンテ市外から飛び立った飛行機。一人の黒衣尼僧を乗せるのはタブー、切符売場のトーマス・グルドンは胸騒ぎがしていた。黒雲の中、飛行機は爆発墜落する。乗客二十二人のうち数人には奇しき運命であった。尼僧アルデリア・ポッチーニ、エドワード・エル・キンメル博士、モウラ夫人の別居中の夫と愛人、事務所と家庭と愛人と三つの顔と生活をもつヴィルセンと愛人アイダ、マチルド夫人と友人ソウザ博士を追い同乗した弁護士ネルソン・フェルナンデス・カムポス、初飛行機のドナ・ローザ婆さん。
  16. ほか



      随筆、紹介記事など

  1. 「見えざる力」
    ( 植民 1928.10. )(国DC※)
  2. 「読者としての私の希望 婦人の頁」
    ( 植民 1928.12. )(国DC※)
  3. 「寄港地の印象 婦人ホーム」
    ( 植民 1929.04. )(国DC※)
  4. 「サンパウロを凝視して」
    ( 植民 1929.11. )(国DC※)
  5. 「洋上を往く(短歌)」
    ( 植民 1929.12. )(国DC※)
  6. 「異クに咲く佳話 海外通信」
    ( 植民 1930.04. )(国DC※)
  7. 「ブラジル女学生の横顔」
    ( 植民 1931.01. )(国DC※)
  8. 「栄冠目指すパイオニヤ」
    ( 植民 1931.02. )(国DC※)
  9. 「伯国サンパウロ風景」
    ( 植民 1931.07. )(国DC※)
  10. 「 」
    ( 力行世界 1931.08.,09. )
  11. 「伯国女学生の明朗さ」
    ( 植民 1931.12. )(国DC※)
  12. 「伯国学生の学費調べ」
    ( 植民 1932.01. )(国DC※)
  13. 「羅典亜米利加文学の素描」
    ( 『世界現状大観11 墨西哥・中米・南米篇』新潮社編 新潮社 1932.02.05 )(国DC※)
  14. 「在伯婦人就職線」
    ( 植民 1932.03. )(国DC※)
  15. 「 」
    ( 力行世界 1932.06. )
  16. 「近頃暑くないお話―モノ云ふオットセイ―」
    ( 植民 1932.08. )(国DC※)
     ブエノスアイレス、リオデジャネイロの海水浴場を面白おかしく紹介。
  17. 「南米船歌をのせて(短歌)」
    ( 海 1933.10. )(国DC※)
     短歌。神戸出航からサントス港到着まで。
  18. 「思ひ出のリオの月 世界各地の名月」
    ( 科学画報 1934.09. )(国DC※)
  19. 「(綴方)」
    ( 子供のテキスト 1938.06. )
  20. 「(愛読者放送室)」
    ( 子供のテキスト 1939.01. )
  21. 「現代と結婚問題」
    ( 文化 (サンパウロ遠藤書店) 1939.06. )
  22. 「(短歌)」北島文子
    ( 椰子樹7号 1940.04. )
    ( 『コロニア万葉集』 コロニア万葉集刊行委員会 1981.03. )(B移民)

  23. キング、日の出、令女界、若草、夫人サロン、などに随筆、雑文、南米文学紹介があるらしいが不詳



      著書

  1. 『北島府未子作品集』 日系出版社(パウリスタ印刷) 1964.07.31 (B移民)
    「佐久間旅館」/「ラドラ」/「えんだん」/「沖縄飛行隊長」/「ほうたい」/「カステラ」/「ネブリーナ」/「金髪に気をつけろ」/「人生のあや模様」/「銭(ぜに)」/「おいちよゆるせ」/「まにら丸異聞」/「運命のダグラス機」/△「あとがき」/△「著者 略歴及筆歴」



      参考文献

  1. Web Site togetter 「1931年に『新青年』で探偵作家デビューし、戦後はブラジルの日本語雑誌で探偵小説を発表していた渡辺文子」
  2. Web Site 「ブラジル移民文庫」
  3. ほか



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