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渡辺温 作品

Since: 2024.01.28
Last Update: 2024.03.17
略年譜 - 小説・脚本 - 翻訳 - 随筆 - 著書 - おまけ

注)リスト的には『アンドロギュノスの裔 渡辺温全集』巻末初出リストを元に再録、インターネット閲覧可否、コメントを加えたものです。
 未記載の追加は以下の通り。
 「復讐」渡辺裕、『渡辺温 叢書新青年』年譜に「未見」として記載あり。
 『ポー傑作集 江戸川乱歩名義訳』収録の翻訳。
 「創作探偵小説選評」と座談会二篇。
 「薔薇の女」(青空文庫)、「牛込館  映画館めぐり(十)」(青空文庫)、「トーキーを見物して」(おまけ)。


      渡辺温(わたなべおん)略年譜

    1902.08.26(明治35年)  北海道上磯郡にて三男として生まれる、次男は渡辺啓助。本名の読みはゆたか
    1903.02.  東京深川へ転居、のち茨木県へ
    1920.04.  慶応義塾大学予科文科入学、翌々年慶応義塾大学後頭部入学
    1924.11.  「影」がプラトン社映画筋書懸賞募集一等入選、翌年苦楽に掲載される
    1926.03.  慶応義塾大学後頭部卒業
    1927.01.  博文館入社
    1927.01.  「兵隊の死」を探偵趣味に、10月「可哀想な姉」を新青年に掲載
    1930.02.09(昭和5年)  谷崎潤一郎宅からの帰途、自動車が列車に衝突し死去

    筆名は、渡辺温、(渡邊温)、オン・ワタナベ、オング・ワタナベ、渡辺生、奥村みさ子、霧島クララ、渡辺裕、(江戸川乱歩)

      (国DC)は国立国会図書館デジタルコレクションでインターネット公開されています
      (国DC※)は国立国会図書館デジタルコレクション個人送信(ログイン必要)で公開されています(今後非公開になる可能性もあります)
      (青空)は青空文庫でインターネット公開されています
      (夢現)は「おまけ」で公開しています



      小学・中学時代の作品

  1. 「春ノ夜ノ海辺」
    ( 東川尋常小学校三年生当時の作文 1915頃 )
    『アンドロギュノスの裔 渡辺温全集』 創元推理文庫(わ02-01) 2011.08.26
  2. 「夕の馬車」
    ( 知道月報 水戸中学校知道会 1918.10. )
    『渡辺温 叢書新青年』 博文館新社 1992.10.16
    『アンドロギュノスの裔 渡辺温全集』 創元推理文庫(わ02-01) 2011.08.26
  3. 「小さな聖人達に与う」
    ( 知道月報 水戸中学校知道会 1918.11. )
    『渡辺温 叢書新青年』 博文館新社 1992.10.16
    『アンドロギュノスの裔 渡辺温全集』 創元推理文庫(わ02-01) 2011.08.26
  4. 「淋しく生きて」
    ( 知道月報 水戸中学校知道会 1919.09. )
    『渡辺温 叢書新青年』 博文館新社 1992.10.16
    『アンドロギュノスの裔 渡辺温全集』 創元推理文庫(わ02-01) 2011.08.26
  5. 「若き兵士」
    ( 知道月報 水戸中学校知道会 1919.11. )
    『渡辺温 叢書新青年』 博文館新社 1992.10.16
    『アンドロギュノスの裔 渡辺温全集』 創元推理文庫(わ02-01) 2011.08.26
  6. 「森のニムラ」
    ( 知道月報 水戸中学校知道会 1920.01. )
    『渡辺温 叢書新青年』 博文館新社 1992.10.16
    『アンドロギュノスの裔 渡辺温全集』 創元推理文庫(わ02-01) 2011.08.26



      探偵小説・シナリオなど

  1. 「影 Ein Marchen」渡辺裕
    ( 苦楽 1925.01. )
    ( 女性 1925.01. )
    ( 『国枝史郎・渡辺温集』 改造社・日本探偵小説全集18 1929.11.03 )(国DC)
    ( 『アンドロギュノスの裔』 薔薇十字社 1970.09.01 )
    『渡辺温 叢書新青年』 博文館新社 1992.10.16
    『アンドロギュノスの裔 渡辺温全集』 創元推理文庫(わ02-01) 2011.08.26
    ( 『影 文豪ノ怪談ジュニア・セレクション』 汐文社 2018.07.31 )
     若き画工の青木柵作が萩原に言われ貴族の画工坊城に金を借りに行くが断られる。柵作と坊城は同じ春子をモデルにしていた。殺意を抱く柵作、そして影……。
     怪異譚。映像を想起させるような作品。
  2. 「復讐」渡辺裕
    ( 主婦倶楽部 1925.07. )※2
     ※『渡辺温 叢書新青年』年譜に「未見」として記載あり
  3. 「少女」渡辺裕
    ( 三田文藝陣 1925.07. )
    『渡辺温 叢書新青年』 博文館新社 1992.10.16
    《改稿》
    ( 新青年 1929.03. )
    ( 『国枝史郎・渡辺温集』 改造社・日本探偵小説全集18 1929.11.03 )(国DC)
    ( 『アンドロギュノスの裔』 薔薇十字社 1970.09.01 )(青空)
    『アンドロギュノスの裔 渡辺温全集』 創元推理文庫(わ02-01) 2011.08.26
     井深君は三十歳で恋をしていた。十人位の者が西洋料理店を覗いていた。恋人に似た水兵服の少女と女給の口論。金を払い恋人ちゑ子の兄園田男爵に電話して証をたてる。お腹がすいていた……。
     ロマンス小品。思い込みという事か。改稿前後の差異は表現や描写、言葉などで内容的にはほぼ同じようです。
  4. 「象牙の牌」渡辺裕
    ( 雄弁 1926.05. )
    ( 『アンドロギュノスの裔』 薔薇十字社 1970.09.01 )(青空)
    『アンドロギュノスの裔 渡辺温全集』 創元推理文庫(わ02-01) 2011.08.26
     弁護士西村敬吉は坊城の紹介で来た活動役者清水茂から遺言状の作成を依頼される。松島順子が実弾と思わずカメラマン中根を撃ったのは身代わりだったという。その前夜のスペードのジャックをひくという電話。昨日もまた。上海にいた頃、旅籠屋の女将マドレエヌの兄ショコラアに連れられていった秘密倶楽部。魔雀、胡から貰った象牙の牌。郁少年の身代わり……。
     ある意味ナンセンスな話。小説的約束というのはよくわからない。
  5. 「鏡」
    ( 映画時代 1927.01. )
    ( 『国枝史郎・渡辺温集』 改造社・日本探偵小説全集18 1929.11.03 )(国DC)
    ( 『アンドロギュノスの裔』 薔薇十字社 1970.09.01 )
    『渡辺温 叢書新青年』 博文館新社 1992.10.16
    『アンドロギュノスの裔 渡辺温全集』 創元推理文庫(わ02-01) 2011.08.26
     青年の部屋。鏡の中の青年は……。
     「足 素人製作者のための短篇喜劇」の一篇。映像描写次第で良くも悪くもなりそうな小品。
  6. 「不幸」
    ( 映画時代 1927.01. )
    ( 『国枝史郎・渡辺温集』 改造社・日本探偵小説全集18 1929.11.03 )(国DC)
    ( 『アンドロギュノスの裔』 薔薇十字社 1970.09.01 )
    『渡辺温 叢書新青年』 博文館新社 1992.10.16
    『アンドロギュノスの裔 渡辺温全集』 創元推理文庫(わ02-01) 2011.08.26
     帽子店で気の弱い若者が旗のたっている帽子を買う。女優、自動車……。
     「足 素人製作者のための短篇喜劇」の一篇。喜劇というより哀愁を感じる小品。
  7. 「風景」
    ( 映画時代 1927.01. )
    ( 『国枝史郎・渡辺温集』 改造社・日本探偵小説全集18 1929.11.03 )(国DC)
    ( 『アンドロギュノスの裔』 薔薇十字社 1970.09.01 )
    『渡辺温 叢書新青年』 博文館新社 1992.10.16
    『アンドロギュノスの裔 渡辺温全集』 創元推理文庫(わ02-01) 2011.08.26
     夕ぐれ。肥った大尽の帽子、肥った大尽、乞食、月……。
     「足 素人製作者のための短篇喜劇」の一篇。ナンセンス風な小品。
  8. 「足― A PARABLE」
    ( 映画時代 1927.01. )
    ( 『国枝史郎・渡辺温集』 改造社・日本探偵小説全集18 1929.11.03 )(国DC)
    ( 『アンドロギュノスの裔』 薔薇十字社 1970.09.01 )
    『渡辺温 叢書新青年』 博文館新社 1992.10.16
    『アンドロギュノスの裔 渡辺温全集』 創元推理文庫(わ02-01) 2011.08.26
     男の足につながれた女の子の足。王子の足。少女の足。膨らんだ白い足……。
     「足 素人製作者のための短篇喜劇」の一篇。不条理でよくわからない小品。影像的には良いかもしれないがもう少し繋がりが欲しいところ。
  9. 「兵隊の死」
    ( 新青年 1927.01. )
    ( 『国枝史郎・渡辺温集』 改造社・日本探偵小説全集18 1929.11.03 )(国DC)
    ( 別冊宝石 1961.07. )
    ( 『アンドロギュノスの裔』 薔薇十字社 1970.09.01 )(青空)
    ( 『日本のSF(短篇集)古典篇』 早川書房・世界SF全集34 1971.04.30 )
    『日本版ホームズ贋作展覧会(上)』 河出文庫(233-A) 1990.04.04
    『渡辺温 叢書新青年』 博文館新社 1992.10.16
    ( 『日本ミステリーの一世紀(上巻)』長谷部史親、縄田一男編 広済堂出版 1995.05.15 )
    『日本探偵小説全集11 名作集1』中島河太郎監修 創元推理文庫(400-11/Mん-01-11) 1996.06.21
    『シャーロック・ホームズに再び愛をこめて』ミステリー文学資料館編 光文社文庫(み-19-36) 2010.07.20
    『アンドロギュノスの裔 渡辺温全集』 創元推理文庫(わ02-01) 2011.08.26
    ( 『冒険の森へ 傑作小説大全9個人と国家』 集英社 2016.10.10 )
     春の日、兵隊は青空に……。
     ある意味抒情的な小品。ホームズが出てくることは出てくるが意図はよくわからない。
  10. 「嘘」
    ( 新青年 1927.03. )
    ( 『国枝史郎・渡辺温集』 改造社・日本探偵小説全集18 1929.11.03 )(国DC)
    ( 『アンドロギュノスの裔』 薔薇十字社 1970.09.01 )(青空)
    ( 『日本探偵小説ベスト集成 戦前篇』中島河太郎編 徳間書店トクマノベルス 1976.07.10 )
    『日本ミステリーベスト集成1 戦前編』中島河太郎編 徳間文庫(144-01) 1984.09.15
    ( 小説新潮増刊「昭和名作推理小説」 1989.05. )
    『昭和ミステリー大全集(上)』新潮社編 新潮文庫(し-22-01) 1991.01.25
    『渡辺温 叢書新青年』 博文館新社 1992.10.16
    『アンドロギュノスの裔 渡辺温全集』 創元推理文庫(わ02-01) 2011.08.26
     井深君たちは嘘つきの話をしていた。井深君の話。井深君は銀座で不良少女の後をつける気になった。カフェ・マンゲツで食事をし、五十円を渡そうとするが五円で良いと言う。井深君は理由としてタイピンにまつわる話をする。娘はタイピンが欲しいと言い……。
     嘘のつきあい、ドンデン返しが効いている。
  11. 「進軍(脚本)」
    ( 新青年 1927.04. )
    ( 『国枝史郎・渡辺温集』 改造社・日本探偵小説全集18 1929.11.03 )(国DC)
    ( 『アンドロギュノスの裔』 薔薇十字社 1970.09.01 )
    『渡辺温 叢書新青年』 博文館新社 1992.10.16
    『アンドロギュノスの裔 渡辺温全集』 創元推理文庫(わ02-01) 2011.08.26
     足並みそろえて兵隊は行進する。イヤダという兵士。行く先は……。
     「氷れる花嫁 他三篇」の内の一篇。寓話的小品でどこまで意味を込めているかは不明。
  12. 「老いたる父と母(脚本)」
    ( 新青年 1927.04. )
    ( 『国枝史郎・渡辺温集』 改造社・日本探偵小説全集18 1929.11.03 )(国DC)
    ( 『アンドロギュノスの裔』 薔薇十字社 1970.09.01 )
    『渡辺温 叢書新青年』 博文館新社 1992.10.16
    『アンドロギュノスの裔 渡辺温全集』 創元推理文庫(わ02-01) 2011.08.26
     ふさぎの虫にとりつかれた息子。老いたる父と母は曲馬団の見物に出かける。戻った老夫婦は……。
     「氷れる花嫁 他三篇」の内の一篇。本来とは逆転ということだろうか。
  13. 「子供と淫売婦(脚本)」
    ( 新青年 1927.04. )
    ( 『国枝史郎・渡辺温集』 改造社・日本探偵小説全集18 1929.11.03 )(国DC)
    ( 『アンドロギュノスの裔』 薔薇十字社 1970.09.01 )
    『アンドロギュノスの裔 渡辺温全集』 創元推理文庫(わ02-01) 2011.08.26
     公園で客を待つ淫売婦。お客さま! けれども子供だった。再び待った。また、そして……。
     「氷れる花嫁 他三篇」の内の一篇。木の葉と心臓の意味がよくわからない。
  14. 「氷れる花嫁(脚本)」
    ( 新青年 1927.04. )
    ( 『国枝史郎・渡辺温集』 改造社・日本探偵小説全集18 1929.11.03 )(国DC)
    ( 『アンドロギュノスの裔』 薔薇十字社 1970.09.01 )
    『渡辺温 叢書新青年』 博文館新社 1992.10.16
    『爬虫館事件 新青年傑作選』 角川ホラー文庫(H800-06) 1998.08.10 (青空)
    『アンドロギュノスの裔 渡辺温全集』 創元推理文庫(わ02-01) 2011.08.26
     新造船で新婚旅行でモンテ・カルロへ向かった青年と花嫁。印度洋の熱病。船員たち。青年が眼をさますと……。
     「氷れる花嫁 他三篇」の内の一篇。何かの暗示だろうか、絵にはなるだろうかよくわからない。
  15. 「薔薇の女」
    ( 時事新報 1927.04.17 )※4(青空)
     ヴェラクルスへ向かう馬車、客は私、商人パリロ氏、牧場主ラメツ氏、医師フェリラ氏、得体の知れぬ男女。街道筋は追剥の巣窟。山賊ザバタス……。
     翻案の可能性がありそうな噺。
  16. 「赤い煙突」奥村みさ子
    ( 新青年 1927.05. )
    ( 『国枝史郎・渡辺温集』 改造社・日本探偵小説全集18 1929.11.03 )(国DC)
    ( 『アンドロギュノスの裔』 薔薇十字社 1970.09.01 )(青空)
    『渡辺温 叢書新青年』 博文館新社 1992.10.16
    『アンドロギュノスの裔 渡辺温全集』 創元推理文庫(わ02-01) 2011.08.26
     病気がちの彼女は窓から見える三本の煙突の中央の小さな赤い煙突が煙を吐かないのを我が事のように悲しんだ。青年との出会い。うわ言で言う赤い煙突。煙。青年からの別れの手紙。十年後……。
     ロマンス小説。雰囲気はかなり良いが偶然すぎる関係と最後の心情は今一つわからない。
  17. 「父を失う話」
    ( 探偵趣味 1927.07. )
    ( 『国枝史郎・渡辺温集』 改造社・日本探偵小説全集18 1929.11.03 )(国DC)
    ( 『アンドロギュノスの裔』 薔薇十字社 1970.09.01 )(青空)
    『続・怪奇探偵小説集 幻の傑作ミステリー』鮎川/哲也編 双葉社 1976.07.
    『怪奇探偵小説集2』鮎川/哲也編 双葉文庫(あ-02-02) 1984.07.25
    ( 『日本幻想文学大全(上)幻想のラビリンス』幻想文学会編 青銅社 1985.09. )
    『渡辺温 叢書新青年』 博文館新社 1992.10.16
    『日本探偵小説全集11 名作集1』中島河太郎監修 創元推理文庫(400-11/Mん-01-11) 1996.06.21
    『怪奇探偵小説集2』鮎川/哲也編 ハルキ文庫(あ-04-02) 1998.06.18
    『探偵小説の風景 トラフィック・コレクション(上)』ミステリー文学資料館編 光文社文庫(み-19-33) 2009.05.20
    『アンドロギュノスの裔 渡辺温全集』 創元推理文庫(わ02-01) 2011.08.26
    ( 『幻視の系譜』東雅夫編 ちくま文庫(ひ-21-06) 2013.10. )
    『変格ミステリ傑作選 戦前篇』竹本健治選 行舟文庫(GSた1-1) 2021.08.28
     髭を剃り眼鏡をかけた父。私は港に船を見に連れられて行く。港で父は……。
     結びの文は教訓的になっている。十違いの父子といい、背景がよくわからない謎の作品。
  18. 「恋」
    ( サンデー毎日 1927.07.17 )
    ( 『国枝史郎・渡辺温集』 改造社・日本探偵小説全集18 1929.11.03 )(国DC)
    ( 『アンドロギュノスの裔』 薔薇十字社 1970.09.01 )(青空)
    『渡辺温 叢書新青年』 博文館新社 1992.10.16
    ( 『恋愛のススメ』フロンティア文庫編集部編 フロンティア文庫 2005.05. )
    『アンドロギュノスの裔 渡辺温全集』 創元推理文庫(わ02-01) 2011.08.26
     高名な女優はホテルのヴェランダで青年を見初めた。青年も恋しているようだった。青年は兄があったかと問う。彼女は幼い頃別れたきりだという。青年は兄が彼女に恋したと……。
     ロマンス物語。話の展開の仕方が巧み。
  19. 「どぶ鼠(脚本)」
    ( 新青年 1927.09. )
    ( 『国枝史郎・渡辺温集』 改造社・日本探偵小説全集18 1929.11.03 )(国DC)
    ( 『アンドロギュノスの裔』 薔薇十字社 1970.09.01 )
    『渡辺温 叢書新青年』 博文館新社 1992.10.16
    『アンドロギュノスの裔 渡辺温全集』 創元推理文庫(わ02-01) 2011.08.26
     消火栓の円い鉄の上げ蓋。出てくるどぶ鼠のような男。紳士。人殺し。追われる男。煙突……。
     ナンセンス話。映像的には面白いかもしれないが唐突感以外の意図はよくわからない。
  20. 「可哀想な姉」
    ( 新青年 1927.10. )
    ( 『国枝史郎・渡辺温集』 改造社・日本探偵小説全集18 1929.11.03 )(国DC)
    『創作探偵小説選集 一九二七年版』探偵趣味の会編 春陽堂書店 1928.01.01/復刻版 1994.04.10 (国DC※)
    ( 別冊宝石 1956.06. )
    ( 『昭和前期集』 東都書房・日本推理小説大系6 1961.05.20 )(国DC※)
    『新青年傑作選 第二巻 怪奇・幻想小説編』中島河太郎編 立風書房 1970.03.25/新装版 1974.12.30/新々装版 1991.07.01
    ( 『アンドロギュノスの裔』 薔薇十字社 1970.09.01 )(青空)
    ( 『現代推理小説大系8 短編名作集』 講談社 1973.07.08 )
    ( 『大衆文学大系30 短篇(下)』 講談社 1973.10.20 )
    『ひとりで夜読むな 新青年傑作集4怪奇編』中島河太郎編 角川文庫(緑434-04) 1977.07.20
    『こんな探偵小説が読みたい』鮎川哲也 晶文社 1992.09.15
    『渡辺温 叢書新青年』 博文館新社 1992.10.16
    『日本探偵小説全集11 名作集1』中島河太郎監修 創元推理文庫(400-11/Mん-01-11) 1996.06.21
    ( 『ひとりで夜読むな 新青年傑作選怪奇編』中島河太郎編 角川ホラー文庫(H800-01) 2001.01.10 )
    ( 『短篇礼讃 忘れかけた名品』大川渉編 ちくま文庫(お-35-03) 2006.07.10 )
    『アンドロギュノスの裔 渡辺温全集』 創元推理文庫(わ02-01) 2011.08.26
     唖の姉は働いて私を育ってくれていた。姉は首を縦に振るのと横に振るのを逆の意味に教えられてしまっていた。私は大人になっていった。ダイナマイト、男を待つ女、髭。私は姉の後をつけて行き……。
     哀話というか歪んだ成長物語というか、主眼をどちらに置くかによって印象は異なる。微妙な作品。
  21. 「イワンとイワンの兄」
    ( 新青年 1928.01. )
    ( 『アンドロギュノスの裔』 薔薇十字社 1970.09.01 )(青空)
    『アンドロギュノスの裔 渡辺温全集』 創元推理文庫(わ02-01) 2011.08.26
     父親は賢いイワンの兄に馬鹿のイワンの面倒を見る条件で財産を譲った。イワンにはどうにもならない時に開けるよう小箱が与えられた。生涯食べるに困らないだけのものを見つけるだろう、と。イワンの兄は孤児の娘と出会い結婚することに。イワンは小箱を……。
     寓話をひねったような作品。確かに間違いとは言えないが考慮不足ではある。
  22. 「山 影絵映画のシナリオ(脚本)」
    ( 新青年 1928.04. )
    ( 『アンドロギュノスの裔』 薔薇十字社 1970.09.01 )
    『アンドロギュノスの裔 渡辺温全集』 創元推理文庫(わ02-01) 2011.08.26
     海辺の都。山の先の高原の野蛮人への宣戦布告。山頂の野蛮人。軍隊は山を……。
     馬鹿馬鹿しい皮肉な話。影絵よりカラーの大スペクタクル映画向けのような気がしないでもない。
  23. 「降誕祭(脚本)」
    ( 新青年 1928.04. )
    ( 『アンドロギュノスの裔』 薔薇十字社 1970.09.01 )
    『アンドロギュノスの裔 渡辺温全集』 創元推理文庫(わ02-01) 2011.08.26
    『『新青年』名作コレクション』新青年研究会編 ちくま文庫(し-53-01) 2021.04.10
     降誕祭の前夜、二つの広告塔の間を綱渡りする娘。それを見ている青年紳士。紙入れを奪いとる若者。綱渡りの娘と若者、夕暮の街へ。後に従う青年紳士……。
     徹底させた作品。あまり気分は良くない。
  24. 「シルクハット」
    ( 探偵趣味 1928.04. )
    ( 『国枝史郎・渡辺温集』 改造社・日本探偵小説全集18 1929.11.03 )(国DC)
    ( 『アンドロギュノスの裔』 薔薇十字社 1970.09.01 )(青空)
    『渡辺温 叢書新青年』 博文館新社 1992.10.16
    『アンドロギュノスの裔 渡辺温全集』 創元推理文庫(わ02-01) 2011.08.26
     私と中村は給料が上がり、私は山高帽を中村に譲りシルクハットを買った。二人は月に一度、女を楽しむ為にホテルへ。女は病気だと言い……。
     コントというか、風刺というか、洒落そこなった話というか。特に最後は今ひとつわからない。
  25. 「風船美人」霧島クララ
    ( 新青年 1928.06. )
    ( 『国枝史郎・渡辺温集』 改造社・日本探偵小説全集18 1929.11.03 )(国DC)
    ( 『アンドロギュノスの裔』 薔薇十字社 1970.09.01 )(青空)
    『アンドロギュノスの裔 渡辺温全集』 創元推理文庫(わ02-01) 2011.08.26
     上野の博覧会の風船、子供の頃に乗せてもらえず二十年、天気の日には必ず軽気球に乗った。異人さんも毎日来るという。彼は双眼鏡で探し物をしているようだた。それは……。
     哀愁あるコント。
  26. 「勝敗」
    ( 新青年 1928.10. )
    ( 『国枝史郎・渡辺温集』 改造社・日本探偵小説全集18 1929.11.03 )(国DC)
    ( 『アンドロギュノスの裔』 薔薇十字社 1970.09.01 )(青空)
    『新青年ミステリ倶楽部』中島河太郎編 青樹社BigBooks 1986.07.10
    『アンドロギュノスの裔 渡辺温全集』 創元推理文庫(わ02-01) 2011.08.26
     兄晃一、弟旻。晃一の妻幸子は晃一の許婚だったが旻と恋に落ちたが引き離されていた。旻は病気で別荘に逗留する事になり幸子は看病の為に逗留、晃一は毎週末訪れていた。崖下から幸子の死体が見つかる。旻は、晃一は、その死に……。
     兄弟の勝負の話。最後以外、どこまで嘘でどこまで真なのだろうか。
  27. 「縛られた夫(脚本)」
    ( 文藝倶楽部 1928.10. )
    『渡辺温 叢書新青年』 博文館新社 1992.10.16
    『アンドロギュノスの裔 渡辺温全集』 創元推理文庫(わ02-01) 2011.08.26
     郊外のアパート。夫婦者の部屋。ピストル強盗の話をしながら女は帰宅する。書物机の下に男の下半身が。見つかる男。女は男に夫のように接して……。
     機転の効いた話。当時のモダン夫婦という事だろうか。初出の角書きは十分間喜劇との事。
  28. 「子供を泣かしたお巡りさん」
    ( 文藝倶楽部 1928.11. )
    『渡辺温 叢書新青年』 博文館新社 1992.10.16
    『アンドロギュノスの裔 渡辺温全集』 創元推理文庫(わ02-01) 2011.08.26
     子供に蜻蛉を取ってあげたお巡りさん、逃がした子供にコツンと。イキモノヲアワレメ。子供を泣かせたお巡りさんはその場を離れようと走り出し……。
     意外なオチといえるかも。お巡りさんも泣きたくなったのだろうか。
  29. 「石あたま」
    ( 文藝倶楽部 1928.11. )
    『渡辺温 叢書新青年』 博文館新社 1992.10.16
    『アンドロギュノスの裔 渡辺温全集』 創元推理文庫(わ02-01) 2011.08.26
     金で頭を殴らせる見世物。一番小さな木槌で一銭、大きくなるほど値段はあがり金槌、そして百円の大金槌。紳士は……。
     「子供を泣かしたお巡りさん」の中の一編。結末は今ひとつはっきりしない。何かを隠しているようではあるが。
  30. 「一年生のお爺さん」
    ( 文藝倶楽部 1928.11. )
    『渡辺温 叢書新青年』 博文館新社 1992.10.16
    『アンドロギュノスの裔 渡辺温全集』 創元推理文庫(わ02-01) 2011.08.26
     退屈したお爺さんは小学校に入学させてもらいました。目や体操などで一年生の仲間になったのですが泣くことができませんでした。戦争に行った勇士だから、と戦争の話を……。
     「子供を泣かしたお巡りさん」の中の一編。ナンセンスな話というべきか。前段と後段の繋がりが悪いと感じてしまう。
  31. 「ああ華族様だよと私は嘘を吐くのであった」
    ( 講談雑誌 1929.04. )
    ( 『アンドロギュノスの裔』 薔薇十字社 1970.09.01 )(青空)
    『アンドロギュノスの裔 渡辺温全集』 創元推理文庫(わ02-01) 2011.08.26
     私はアレキサンダー君に案内されて横濱へ。山下町のインターナショナル酒場、元町のバンガロオ、大谷丸、本牧のホテルのエトワール。私は蒼い痩せた女を……。
     よくわからない作品。遊び指南だろうか。
  32. 「遺書に就て」
    ( 新青年 1929.05. )
    ( 『アンドロギュノスの裔』 薔薇十字社 1970.09.01 )(青空)
    『アンドロギュノスの裔 渡辺温全集』 創元推理文庫(わ02-01) 2011.08.26
     洋画家葛飾龍造の画室で同居人の洋画家小野潤平が死んでいた。こめかみに銃痕、頤にあざ。龍造の妻美代子が朝発見した。美代子と喧嘩して外出中だった龍造。原因は潤平と美代子の関係。美代子は二人の愛を確かめる為に遺書を書いたという。拳銃の指紋、偽りの証言。そして龍造は……。
     嘘と真が混在して真相がよくわからない話。動機も含めて。
  33. 「アンドロギュノスの裔」
    ( 新青年 1929.08. )
    ( 『アンドロギュノスの裔』 薔薇十字社 1970.09.01 )(青空)
    『渡辺温 叢書新青年』 博文館新社 1992.10.16
    ( 『死−怨念[14]=妖気 幻想・怪奇名作選』ポチ編 ペンギンカンパニー 1993.11. )
    『アンドロギュノスの裔 渡辺温全集』 創元推理文庫(わ02-01) 2011.08.26
     男と女、ままならぬもの。下士官のY君が映画女優に恋をした。女優の家は公園の池のほとりにあり、休日毎に公園を散歩する。運命的な日、女中が現れお嬢さまからひたむきで純情な愛に報いない女だと解雇されたという。Y君は……。
     身分不相応の恋の顛末。結末的にはありがちかもしれない。
  34. 「花嫁の訂正 夫婦哲学」
    ( 新青年 1929.09. )
    ( 『国枝史郎・渡辺温集』 改造社・日本探偵小説全集18 1929.11.03 )(国DC)
    ( 『アンドロギュノスの裔』 薔薇十字社 1970.09.01 )(青空)
    『アンドロギュノスの裔 渡辺温全集』 創元推理文庫(わ02-01) 2011.08.26
     夫同士は知己で隣合って新居をもったA夫妻とB夫妻。Aは細君が不在で代わりにBの細君と帝劇のダンスを見に行く。加速度的に接近していく二人。接吻。Aは細君に打ち明け、B夫婦に告げず夫婦で海へ出かける。A夫人の手紙。海でAは……。
     回りくどい策を弄する話。順を追う必要があるのかもしれないが、と思うのは時代の違いかもしれないが。
  35. 「或る母の話」
    ( 朝日 1929.10. )
    ( 『アンドロギュノスの裔』 薔薇十字社 1970.09.01 )(青空)
    『アンドロギュノスの裔 渡辺温全集』 創元推理文庫(わ02-01) 2011.08.26
     母一人娘一人の暮し。智子は勤めている事務所のビルの地下食堂で青年浅原礼介と出会う。若い頃の父の写真に似ている。退社時の夕立。秋、智子は母に礼介を紹介する。母は……。
     純愛物語または哀話。結末と真相はギリギリあり得るというところか。
  36. 「男爵令嬢ストリートガール」
    ( 文藝倶楽部 1929.10. )
    ( 『アンドロギュノスの裔』 薔薇十字社 1970.09.01 )
    『渡辺温 叢書新青年』 博文館新社 1992.10.16
    『アンドロギュノスの裔 渡辺温全集』 創元推理文庫(わ02-01) 2011.08.26
     松原君が銀座の喫茶店にいると洋服屋の番頭が若い女を連れて向いの席に座る。高野男爵の妹で百合子さん。松原君が映画館へ行くと彼女と一緒になる。その後……。
     男女の駆け引きの話。知っていて、とは思うがどこまでかはよくわからない。
  37. 「浪漫趣味者として Ibi omnis effusus labor!」
    ( 新青年 1929.11. )
    ( 『アンドロギュノスの裔』 薔薇十字社 1970.09.01 )(青空)
    『渡辺温 叢書新青年』 博文館新社 1992.10.16
    『アンドロギュノスの裔 渡辺温全集』 創元推理文庫(わ02-01) 2011.08.26
     私はロマンティストH氏と懇意になった。参考書を教えてもらう。服装を真似る。パンフィリヤ酒場の星の花という女給に指輪を望まれる。H氏に相談したところ……。
     ロマンティスト指南の話。H氏がなぜロマンティストとして評判なのかは不明。
  38. 「巷説「街の天使」」
    ( 講談雑誌 1929.11. )
    『アンドロギュノスの裔 渡辺温全集』 創元推理文庫(わ02-01) 2011.08.26
     私は洋装の女に声をかけられた。散歩して私の部屋へ。彼女は善良な主婦として振舞った。朝食を作彼女……。
     天使が降臨したような体験風な話。分け与えるようなところが良いかも。
  39. 「悲しきピストル」
    ( 少年世界 1929.12. )
    『渡辺温 叢書新青年』 博文館新社 1992.10.16
    『アンドロギュノスの裔 渡辺温全集』 創元推理文庫(わ02-01) 2011.08.26
     山内君は兄にピストルをねだったが望遠鏡を買ってきた。ピストル強盗ごっこ。従兄の不二夫が買ってくれたピストル。近藤君が池へ。山内君の家にピストル強盗が……。
     ある種、因縁話。少し違っていれば、というような。
  40. 「指輪」奥村みさ子
    ( 文藝倶楽部 1930.01. )
    『渡辺温 叢書新青年』 博文館新社 1992.10.16
    『アンドロギュノスの裔 渡辺温全集』 創元推理文庫(わ02-01) 2011.08.26
     海岸の別荘で由起子は若者と出会う。由起子の絵を描いていたという。東京へ帰る前日、若者は由起子を見ながら砂浜で砂をほじっていた時に出たという指輪を贈る。数年後の縁談。由起子は父が亡くなり父の友人の息子と結婚。夫は失業し、由起子は……。
     初恋ロマンスとその後の話。病身から逞しくなっていくさまが妙にリアルにも感じられる。
  41. 「モダン夫婦抄」
    ( 講談雑誌 1930.02. )
    『渡辺温 叢書新青年』 博文館新社 1992.10.16
    『アンドロギュノスの裔 渡辺温全集』 創元推理文庫(わ02-01) 2011.08.26
     結婚一月、村山君は酔っぱらうのを取戻した。恋が欲しいという細君。友田君を家に行くように言う。家へ帰ると……。
     コント。当時のモダン夫婦の出来事なのだろうか。
  42. 「モダン夫婦抄 赤いレイン・コートの巻」
    ( 講談雑誌 1930.03. )
    『渡辺温 叢書新青年』 博文館新社 1992.10.16
    『アンドロギュノスの裔 渡辺温全集』 創元推理文庫(わ02-01) 2011.08.26
     順吉は妻鮎子と妹お仙ちゃんと映画館へ行く約束をして會社へ。ワイ子からの紙片。帰ると鮎子は順吉と女性が自動車に乗っているのを見たという。赤いレインコートの贈り物、お仙ちゃん、迎え、青年……。
     ユーモア小説。それなりに面白い展開。
  43. 「四月馬鹿」
    ( 講談雑誌 1930.05. )
    ( 『アンドロギュノスの裔』 薔薇十字社 1970.09.01 )(青空)
    『アンドロギュノスの裔 渡辺温全集』 創元推理文庫(わ02-01) 2011.08.26
     文太郎君と妻エミ子のエイプリル・フール。いたずら、会社の休みの連絡と出勤、南京鼠、従兄の雄吉、江の島、赤ちゃん……。
     ドタバタ喜劇のような作品。
  44. 「夏の夜語」
    ( オアシス 1934.02. )
    『渡辺温 叢書新青年』 博文館新社 1992.10.16
    『アンドロギュノスの裔 渡辺温全集』 創元推理文庫(わ02-01) 2011.08.26
     探偵は「暗の怖れ」が出没するとのことで裏町を歩いていた。活動写真の看板に暗の怖れとあり入る。裏口からでる、不思議な町、星、海岸、叫び声、馬車……。
     大学ノート風紙片に鉛筆で記されもので不明部分ありとのこと。幻想的作品といえそうだ。



      翻訳・翻案

  1. 「新薬加速素」
    原作者:H・G・ウェルズ
    ( 新青年 1928.10. )
    『アンドロギュノスの裔 渡辺温全集』 創元推理文庫(わ02-01) 2011.08.26
  2. 「絵姿」 (翻案)
    原作者:オスカー・ワイルド
    ( 新青年 1928.11.,12. )
    ( 『アンドロギュノスの裔』 薔薇十字社 1970.09.01 )(青空)
    『アンドロギュノスの裔 渡辺温全集』 創元推理文庫(わ02-01) 2011.08.26
  3. 「外科医の傑作」
    原作者:エヴァ・ピタロ
    ( 新青年増刊 1929.02. )
    『アンドロギュノスの裔 渡辺温全集』 創元推理文庫(わ02-01) 2011.08.26
  4. 「黄金虫」「モルグ街の殺人」「マリイ・ロオジェ事件の謎」「壜の中に見出された手記」「長方形の箱」「赤き死の仮面」「物言ふ心臓」「ウィリアム・ウィルスン」
    原作者:ポー
    ( 『ポー・ホフマン集』 改造社・世界大衆文学全集30 1929.04.03 )(国DC)
    ( 参考:乱歩改稿?『ポー』 東都書房・世界推理小説大系1 1964.04.28 )(国DC※)
    ( 『ポー傑作集 江戸川乱歩名義訳』 中公文庫(ホ03-03) 2019.09.25 )
  5. 「王様の耳は馬の耳」
    原作者:寓話
    ( 文藝倶楽部 1929.08. )
    『アンドロギュノスの裔 渡辺温全集』 創元推理文庫(わ02-01) 2011.08.26
  6. 「島の娘」
    原作者:ウォルター・ベサント、黒岩涙香翻案
    ( 文藝倶楽部 1929.08.〜1930.03. )
    『アンドロギュノスの裔 渡辺温全集』 創元推理文庫(わ02-01) 2011.08.26
  7. 「矮人の指環」
    原作者:ドイツ叙事詩
    ( 文藝倶楽部 1929.11. )
    『アンドロギュノスの裔 渡辺温全集』 創元推理文庫(わ02-01) 2011.08.26



      随筆など

  1. 「当選者の言葉」渡辺裕
    ( 苦楽 1925.01. )
    ( 女性 1925.01. )
    『アンドロギュノスの裔 渡辺温全集』 創元推理文庫(わ02-01) 2011.08.26
     略歴、映画に関して。
  2. 「想出すイルジオン」渡辺裕
    ( 劇と映画 1926.06. )
    『アンドロギュノスの裔 渡辺温全集』 創元推理文庫(わ02-01) 2011.08.26
     明治四十年頃。その後。感嘆したもの。
  3. 「或る風景映画の話」オン・ワタナベ
    ( 映画時代 1926.11. )
    『渡辺温 叢書新青年』 博文館新社 1992.10.16
    『アンドロギュノスの裔 渡辺温全集』 創元推理文庫(わ02-01) 2011.08.26
     上海での活動好きのための鑑賞会で見た「Erewbon市画報」という映画。
  4. 「オング君の説」オン・ワタナベ
    ( 映画時代 1926.12. )
    『渡辺温 叢書新青年』 博文館新社 1992.10.16
    『アンドロギュノスの裔 渡辺温全集』 創元推理文庫(わ02-01) 2011.08.26
     オング君が編輯の私に言う。活動写真手にでなくなった、形式の自由なシナリオ、デタラメになるべき。
  5. 「創作探偵小説選評」横溝正史、渡辺温
    ( 新青年 1927.08. )
  6. 「なんせんす・ぶっく」オング・ワタナベ
    ( 映画時代 1927.09. )
    『渡辺温 叢書新青年』 博文館新社 1992.10.16
    『アンドロギュノスの裔 渡辺温全集』 創元推理文庫(わ02-01) 2011.08.26
     バッコス氏の『ナンセンス読本』からの引用として「初恋」「死」「流れる大将」の内容。シャア。ゼアマン監督の撮影。
  7. 「『疑問の黒枠』撮影を見る」渡辺生
    ( 新青年 1927.09. )
    『アンドロギュノスの裔 渡辺温全集』 創元推理文庫(わ02-01) 2011.08.26
     よき監督と俳優だがカメラとライトとセットが残念。
  8. 「古都にて」オン・ワタナベ
    ( 映画時代 1927.12. )
    『渡辺温 叢書新青年』 博文館新社 1992.10.16
    『アンドロギュノスの裔 渡辺温全集』 創元推理文庫(わ02-01) 2011.08.26
     W君宛手紙。信ずるままの映画。撮影所。活動屋。
  9. 「本年度印象に残れる作品/来年度ある作家への希望(アンケート)」
    ( 探偵趣味 1927.12. )
    『アンドロギュノスの裔 渡辺温全集』 創元推理文庫(わ02-01) 2011.08.26
     「股から覗く」葛山。水谷。「偽救世主」アポリネル。
  10. 「関西撮影所訪問記」
    ( 新青年 1927.12. )
    『アンドロギュノスの裔 渡辺温全集』 創元推理文庫(わ02-01) 2011.08.26
     日活の撮影所などへの訪問。
  11. 「精神分析映画『心の不思議』を中心とする新青年座談会」甲賀三郎、江戸川乱歩、辻潤、水谷準、村山知義、渡辺温、飯島正、武田忠哉、横溝正史、飯田心実
    ( 新青年 1928.03. )
  12. 「私の好きな一隅(アンケート)」
    ( 猟奇 1928.06. )
    『アンドロギュノスの裔 渡辺温全集』 創元推理文庫(わ02-01) 2011.08.26
     横浜のカフェ。
  13. 「アルペン嬢の話」
    ( 新青年 1928.06. )
    『アンドロギュノスの裔 渡辺温全集』 創元推理文庫(わ02-01) 2011.08.26
     Pさんの画室での弟子の女学生を交えて、パリでアルペン嬢がヤニングスとチャップリンを撃破した話。
  14. 「続アルペエヌ嬢の話」
    ( 新青年 1928.07. )
    『アンドロギュノスの裔 渡辺温全集』 創元推理文庫(わ02-01) 2011.08.26
     アルペン嬢の話、日本映画の話など。
  15. 「兵士と女優」オン・ワタナベ
    ( 探偵趣味 1928.07. )
    『「探偵趣味」傑作選 幻の探偵雑誌2』ミステリー文学資料館編 光文社文庫(み-19-02) 2000.04.20 (青空)
    『アンドロギュノスの裔 渡辺温全集』 創元推理文庫(わ02-01) 2011.08.26
     戦争から帰ったオング君が活動女優になったハルと話す。戦争のようすと戰争映画。
  16. 「牛込館  映画館めぐり(十)」
    ( 時事新報 1928.10.14 )※4(青空)
     神楽坂通りの牛込館。活動ファンの会話。
  17. 「十年後の映画界」
    ( 新青年 1929.01. )
    ( 『アンドロギュノスの裔』 薔薇十字社 1970.09.01 )(青空)
    『渡辺温 叢書新青年』 博文館新社 1992.10.16
    『アンドロギュノスの裔 渡辺温全集』 創元推理文庫(わ02-01) 2011.08.26
     オング君の話。技術の進歩と大資本。対するオング君の非金儲主義映画製作。
  18. 「十年後の十字街」霧島クララ
    ( 新青年 1929.01. )
    『渡辺温 叢書新青年』 博文館新社 1992.10.16
    『アンドロギュノスの裔 渡辺温全集』 創元推理文庫(わ02-01) 2011.08.26
     大晦日、銀座で劇作家タカアシと会う。若者の天国。十五才以上の。
  19. 「トーキーを見物して」
    ( 時事新報 1929.05.17 )※4(夢現)
     トーキーを見ての印象と利用法。
  20. 「玩具匣――創世記(アンケート)」
    ( 猟奇 1929.11. )
    『アンドロギュノスの裔 渡辺温全集』 創元推理文庫(わ02-01) 2011.08.26
     (自らの出生についてのアンケート)ナポレオン99世将軍の。
  21. 「ABC漫談」ゲスト(岡田時彦、××撮影所新俳優某君、中野英治、及川道子)、横溝正史、渡辺温
    ( 新青年 1930.01.〜04. )
    第三・四回『渡辺温 叢書新青年』 博文館新社 1992.10.16
     (とりとめのない映画や俳優の話題)
  22. 「一九三〇年女性座談会」掛札功、松井翠声、佐藤八郎、メイ牛山、山内光、渡辺温、横溝正史、水谷準
    ( 新青年 1930.04. )



      著書

  1. 『国枝史郎・渡辺温集』 改造社・日本探偵小説全集18 1929.11.03 (国DC)
    (国枝史郎集「沙漠の古都」/「奧さんの家出」)/「嘘」/「少女」/「恋」/「赤い煙突」/「風船美人」/「勝敗」/「可哀相な姉」/「父を失ふ話」/「シルクハット」/「花嫁の訂正」/「兵隊の死」/「影」/映畫シナリオ(九篇)(「鏡」/「不幸」/「風景」/「足」/「進軍」/「老いたる父と母」/「子供と淫売婦」/「氷れる花嫁」/「どぶ鼠」)
  2. 『アンドロギュノスの裔』 薔薇十字社 1970.09.01
    小説「少女」/「象牙の牌」/「兵隊の死」/「嘘」/「父を失う話」/「恋」/「可哀想な姉」/「イワンとイワンの兄」/「シルクハット」/「勝敗」/「絵姿」オスカー・ワイルド/「ああ華族様だよと私は嘘を吐くのであった」/「遺書に就て」/「アンドロギュノスの裔」/「花嫁の訂正―夫婦哲学」/「或る母の話」/「赤い煙突」/「風船美人」/「四月馬鹿」/ シナリオ・エッセイ「影」/「鏡」/「不幸」/「風景」/「足」/「氷れる花嫁」/「どぶ鼠」/「山」/「降誕祭」/「進軍」/「老いたる父と母」/「子供と淫売婦」/△「十年後の映画界」/「浪漫趣味者として」/△「春寒 渡辺温君のこと」谷崎潤一郎/△「惜春賦 渡辺温君の思い出」横溝正史/△「記憶の断層」水谷準」/△「温という弟」渡辺啓助/☆「年譜」島崎博編
  3. 『渡辺温 叢書新青年』 博文館新社 1992.10.16
    ラ・メデタ―創作「少女」/「兵隊の死」/「嘘」/「父を失う話」/「恋」/「可哀想な姉」/「シルクハット」/「縛られた夫」/「子供を泣かしたお巡りさん」/「アンドロギュノスの裔」/「男爵令嬢ストリートガール」/「浪漫趣味者として」/「悲しきピストル」/「モダン夫婦抄」「モダン夫婦抄 赤いレイン・コートの巻」/影を慕ひて―シナリオ「影」/「足」(「鏡」/「不幸」/「風景」/「足」)/「進軍」/「老いたる父と母」/「氷れる花嫁」/「どぶ鼠」/ オング・セオリー―映画随想△「或る風景映画の話」/△「オング君の説」/△「なんせんす・ぶっく」/△「古都にて」/△「十年後の映画界」/シネ・シック―座談▲「ABC漫談」(中野英治、横溝正史、渡辺温/及川道子、横溝正史、渡辺温)/まなことづれば―習作「夕の馬車」/「小さな聖人達に与う」/「淋しく生きて」/「若き兵士」/「森のニムラ」/「夏の夜語」/ クララ&みさ子―筆名遊戯「赤い煙突」/△「十年後の十字街」/「指輪」/花束にかえて―解説/△「彗星の軌跡―「人と文学」風に」浜田雄介/△「光輝する「影」の記憶―渡辺温と映画」谷口基/☆「年譜」浜田雄介
  4. 『アンドロギュノスの裔 渡辺温全集』 創元推理文庫(わ02-01) 2011.08.26
    小説「影 Ein Marchen」/△「当選者の言葉」/「少女」/「象牙の牌」/「嘘」/「赤い煙突」/「父を失う話」/「恋」/「可哀想な姉」/「イワンとイワンの兄」/「シルクハット」/「風船美人」/「勝敗」/「ああ華族様だよと私は嘘を吐くのであった」/「遺書に就て」/「アンドロギュノスの裔」/「花嫁の訂正 夫婦哲学」/ 「或る母の話」/「男爵令嬢ストリートガール」/「浪漫趣味者として Ibi omnis effusus labor!」/「巷説「街の天使」」/「悲しきピストル」/「指輪」/「モダン夫婦抄」/「モダン夫婦抄 赤いレイン・コートの巻」/「四月馬鹿」/「夏の夜語」/ 掌編「春ノ夜ノ海辺」/「夕の馬車」/「小さな聖人達に与う」/「淋しく生きて」/「若き兵士」/「森のニムラ」/「足 素人製作者のための短篇喜劇」(「鏡」/「不幸」/「風景」/「足 A PARABLE」)/「兵隊の死」/「子供を泣かしたお巡りさん」(「子供を泣かしたお巡りさん」//)/ 脚本「氷れる花嫁 他三篇」(「進軍」/「老いたる父と母」/「子供と淫売婦」/「氷れる花嫁」)/「どぶ鼠」/「山」(「山 影絵映画のシナリオ」/「降誕祭」)/「縛られた夫」/翻訳・翻案「新薬加速素」/「絵姿」/「外科医の傑作」/「王様の耳は馬の耳」/「島の娘」/「矮人の指環」/ 映画関係の随筆ほか△「想出すイルジオン」/△「或る風景映画の話」/△「オング君の説」/△「なんせんす・ぶっく」/△「『疑問の黒枠』撮影を見る」/△「古都にて」/△「関西撮影所訪問記」/△「アルペン嬢の話」/△「続アルペエヌ嬢の話」/△「兵士と女優」/△「十年後の映画界」/△「十年後の十字街」/各種アンケート△「本年度印象に残れる作品/来年度ある作家への希望」/△「私の好きな一隅」/△「玩具匣――創世記」/△「解説」浜田雄介/☆「渡辺温年譜」/☆「初出一覧(執筆年譜)」



      参考文献

  1. 「年譜」「初出一覧(執筆年譜)」
    『アンドロギュノスの裔 渡辺温全集』 創元推理文庫(わ02-01) 2011.08.26
  2. 「渡辺温年譜」
    『渡辺温 叢書新青年』 博文館新社 1992.10.16
  3. 「「別冊宝石」総目次」「「別冊宝石」作者別作品リスト」
    『「別冊宝石」傑作選 甦る推理雑誌9』ミステリー文学資料館編 光文社文庫(み-19-19) 2003.11.20
  4. 「各種新聞掲載文芸関連記事目録抄」加藤仁
  5. ほか



      おまけ
「トーキーを見物して」
時事新報 1929.05.17 (昭和4年5月17日) より

 先日、トーキーを觀に行ったが少しも面白くなかった。
 現在のトーキーは三十年前の活動寫眞のやうに、未だほんの揺籃時代にあって、もう三十年經つ中に長足の進歩を遂げて申分のない完成の極致に達するのかもしれないが、とにかくトーキーの發生は活動寫眞の發生に比べて、我々の心を惹くに足るものをあまりもってゐない。映畫は、すでに幻燈の最初に於てすら、視覺的の美が多分にあった。併し、ラヂオやトーキーの音響と來ては、先づ如何なる場合でも現實の音聲より醜惡で何かそれらしい音が聞こえるといふ驚くべき物理的の現象以外に、何等それ自身の優れた存在がないのだから、甚だ心もとないわけである。
『進軍』などは、トーキーの中でも最も粗末な小手調べなのだらうが、この映畫を見てゐるとどうも阿呆の一つおぼえと云ふやうな氣がしてならない。百パーセントで、のべたらに(※ばの誤植?)、強制的に、いろんな物音をつぎつぎと聞かせて、御機嫌を伺ふ。如何にも、扉のしまる程なり、台詞なり、一々畫面とマッチする。だが、それ等のどんな音も、我々の概念に在る活動寫眞と、絶對的に協和しないのである。
 トーキーに末の見込みが眞實あるならば、私は完成する迄觀ずにゐたいと思ふ。今年のアメリカ映畫のスケジュールの殆ど全部がトーキーだなんて、洵(まこと)に困ったことである。
 レイモンド・グリフィスやドロレス・デルリオが、あの調子外れな擴聲器(らうどすぴーかー)から嗄れ聲で喋ったりするのは、どんなにか幻滅的であらう。みんな、英語を使ふ高慢ちきな動物的な毛唐人になってしまふのである。尤も、その代りこれからは日本の學生も、ひどく英語の會話が達者に垢抜けがすることが出來て、その點では非常にとくであるかも知れない。
 ところで、最近伊太利から歸ったばかりのテノール歌手のB君が、せんだって私を訪ねてくれて、其折こんな話をした。――R君が、ミラノにゐた當時、と云っても去年の秋頃のことだが、同じ下宿にゐた活動寫眞の撮影技師の伊太利人が、或る日R君に面白い映畫を見せてやるから默ってついて來いと云って、何處かの小いさな倶樂部みたいなところに連れて行ってくれた。R君の他に未だ十人位の青年が見に來てゐたが、どうも何かの秘密倶樂部のやうに、R君には感じられたのである。 その映畫と云ふのは、R君の友人であるそのカメラマンが撮したものでファシストのために殺された有名な共産黨の大立者であるジャコモ某の葬式の寫眞であった。勿論宣傳用に秘密に撮影したのだから、極めて露骨な悲壮な場面ばかりを選んであった。
 雨の中で警官と黒襯衣(しゃつ)組に蹴散らされながら葬列が青くぼけて消えると――さて、だしぬけにジャコモ某の死面(でっどますく)が映った。それがまるで生けるが如く正面きって、だんだんオーヴァラップで、畫面全體の大寫(あっぷ)になったが、不意にその凸凹の石膏細工が、筋肉を動かしたと思ふと、突如、暗中にジジィッと異様な音がして、 「諸君、僕を殺した奴は決して正當防衛なぞではない。先づ、いきなり物をも云はずに、一發僕の頸に射ち込んだ――」と死面が叫び出したのではないか。そこで、R君は、おどろきの極、その場に氣を失ってしまった。
「あれは、今アメリカで流行ってゐるトーキーを使ったんだ。」と歸の自動車の中で、カメラマンは、まだ眞青な顏をしてゐるR君に説明した。「アメリカの奴は珍しい物好きなだけで馬鹿だから、トーキーの使ひ途を知らないんだよ、無音映畫の一つのテクニックとして用ひることが、最も効果的なのだ。僕は、今度探偵映畫を作るがね、その映寫會の時には擴聲器ではなく、電話式のレシイヴァーを客席の椅子の背に一つ一つ判らないやうに取り付けるつもりだ。 そのレシイヴァーは時々、こんな風に囁いてお客をおどろかすだらうぜ。「――もしもし、隣の部屋で誰か殺されたやうですよ」とか「ああ、苦しい。ああ!」とか「ふ、ふ、ふ、ふ、……」とか「おやおや、何てくだらない映畫なんでせう……でも、もう少しお待ちなさい、きっと面白くなるでせうから。」と云った工合にね。」

注)一部判読し難く推測による漢字もあります。Shift-JISにない漢字は新字にしています。
注)ルビは外来語であっても平仮名表記されています。
注)会話は『』でその中の会話は「」ですが、他との統一もあり共に「」にしています。



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夢現半球