山口海旋風(やまぐちかいせんぷう)略年譜
1885.xx.(明治18年) 本名山口源二
19xx.頃 台湾日日新聞記者???
1913.〜1917.頃 満州日日新聞編輯部に在籍
1916.頃 関東州野球大会を提唱したらしい
1918.頃 大谷氏秘書?、蘭領東インドに旅行、椰子栽培業を始めたらしい
192x.頃 帰国、のち週刊支那事情主幹?
1927.01. 「レシデントの時計」がサンデー毎日・大衆文芸甲種入選、掲載される
1927.05.〜 「ロバム島物語」を新青年に連載、翌々年頃まで断続的に作品掲載
1929.頃 満洲日報入社?
1931.xx. 満洲日報社会部部長(島田一男入社)
1935.08.頃 旅順支局長、のち奉天支社長?
193x.頃 大同報社編集局長(中国語新聞)
193x.頃 満洲弘報協会参与
1937.頃 満鮮日報主幹(ハングル新聞)
1938.06. 満鮮日報社取締役
1939.12. 『東亜風土猟綺物語』刊行
1943.08. 満鮮日報社常務理事
以降不明
筆名は、山口海旋風、山口源二
(国DC※)は国立国会図書館デジタルコレクション個人送信(ログイン必要)で公開されています(今後非公開になる可能性もあります)
小説/読物
- 「レシデントの時計」
( サンデー毎日 1927.01.23 )
( 『大衆文芸傑作集 サンデー毎日懸賞入選』(山口源二名義)大阪毎日新聞社編 1927.xx. )(国DC※)
( 『東亜風土猟綺物語』 月刊満洲社 1939.12. )
( 『探検小説名作集』大橋進一編 博文館 1940.10.12 )(国DC※)
幻影城 1975.04. |
西ボルネオのポンティアナ。私は北浦徹太に馬来語の通訳として雇われて日本旅館都ホテルに滞在していた。旅館主人の伊藤の話では、レシデント(理事官)の置時計は理事官交代時に競売にかけられ、必ず王梅六が落札し、理事官官邸に置かれ続けているという。北浦が高値で落札して理事との良好な関係を持つ事に成功し、売りに出ていたゴム園をスムーズに購入できた。北浦と梅六と私はランダーまで河を俎上するが船が座礁して……。 |
南洋進出の話ではあるが、時計のいわれやひねりの効いた結末はただの冒険譚ではない。 |
- 「南洋奇譚 ロバム島物語」
( 新青年 1927.05.〜08. )
( 『東亜風土猟綺物語』 月刊満洲社 1939.12. ) |
「破壊神の第三の眼」 ( 名作 1939.09. )
『外地探偵小説集 南方篇』藤田知浩編 せらび書房 2010.06.04 |
ビンタン島とレンバン島の間にあるロバム島。王亡きあと和蘭政庁から租借した島を私が引き継いだ。小浜一家が椰子既成園の管理人として、また牛山を新たに雇い入れている。現地人のオウマの娘の婿取りの儀式、九官鳥の謎の言葉、タンビオマルのケロン(簗)、華僑楊、道路建設、海賊の巌窟、謎の印度人。暗号、そしてシヴァ神の第三の眼とは……。 |
「ロバム島物語」の改稿作品との事。現地風俗や宗教觀を取り入れていて面白い。手懸りがあって後で解き明かすのは探偵小説的。少年向けに近いが。 |
- 「ロージカ」
( 新青年 1927.07. )
( 『東亜風土猟綺物語』 月刊満洲社 1939.12. ) |
露西亜帰りの快男子丹下正之からペトロ(レニングラード)での奇談を私は聞かせてもらう。十年ぶりの同窓で伯爵の子である不良少年のミーチャと会う。彼はソヴィエトになって教会の坊様になっていた。ナポレオンが使用したというロージカ(匙)を出して見せるが、譲って欲しいと言うと隠すように仕舞ってしまう。そこで丹下は……。 |
隠し方トリックともいえる。秀逸なコント。 |
- 「チカイの痩犬」
( 新青年 1928.01. )
( 協和 1934.01.01 ) |
- 「興安紅涙賦」
- 「九官鳥と話す女」
( 新青年 1928.03. )
( 『東亜風土猟綺物語』 月刊満洲社 1939.12. ) |
- 「月光夜話 巨峰と猛虎」
- 「西門豹と巫女」
「国境の太守り・西門豹」 (「国境の太守西門豹」)
( 月刊満洲 1939.06. )
( 『東亜風土猟綺物語』 月刊満洲社 1939.12. ) |
※「西門豹と巫女」の改題か? 未確認 |
- 「雪花殉情記」
( 猟奇 1929.03. )
『「猟奇」傑作選 幻の探偵雑誌6』ミステリー文学資料館編 光文社文庫(み-19-06) 2001.03.20 |
張作霖の奉天の留守を預かる呉俊陞は歓楽街小河沿で奉天駅前の政商天聚東の主人らと麻雀をしていて、向岸の雪花を見染める。許嫁馬一騰は反張作霖の一兵卒であったが呉俊陞に拾われ昇進していた。しかし雪花が呉俊陞に連れ去られたのを知ると馬賊になる。チチハルで呉の副官姜文生に捕らえられ……。 |
張作霖列車爆殺事件秘話か。情報統制があった当時はとにかく、現代では無理矢理すぎるような。 |
- 「道光綺譚」
「道光遺聞」
( 『東亜風土猟綺物語』 月刊満洲社 1939.12. ) |
※「道光綺譚」の改題か? 未確認 |
- 「ボルネヲ奇譚」
( 協和 1929.06.15〜09.01 ) |
※「レシデントの時計」の改題か? 未確認 |
- 「密告者」
( 協和 1929.09.15 )
( 『東亜風土猟綺物語』 月刊満洲社 1939.12. ) |
- 「海賊綺譚」
( 協和 1929.10.01 )
( 『東亜風土猟綺物語』 月刊満洲社 1939.12. ) |
- 「中華毛断くらべ」
「支那毛断考」
( 『東亜風土猟綺物語』 月刊満洲社 1939.12. ) |
※「中華毛断くらべ」の改題か? 未確認 |
- 「ラインの女」
( 協和 1930.10.01 )
( 『東亜風土猟綺物語』 月刊満洲社 1939.12. ) |
- 「猟色綺譚」
「蒙古猟綺談」
( 『東亜風土猟綺物語』 月刊満洲社 1939.12. ) |
※「猟色綺譚」の改題か? 未確認 |
- 「実話 寒月下の遊行者」
「月凍る夜の遊行者」
( 『東亜風土猟綺物語』 月刊満洲社 1939.12. ) |
※「寒月下の遊行者」の改題か? 未確認 |
- 「緋牡丹吹雪」
( 『東亜風土猟綺物語』 月刊満洲社 1939.12. ) |
- 「乗馬石」
( 『東亜風土猟綺物語』 月刊満洲社 1939.12. ) |
- 「大地を診察した男の話」
( 『東亜風土猟綺物語』 月刊満洲社 1939.12. ) |
- 「ポンテアナの女王」
( 『東亜風土猟綺物語』 月刊満洲社 1939.12. ) |
- 「ボルネオ探険 ジャングルを征く」
- 「治蕃悲録 トロック社の髑髏」
- 「名竹白雲の曲」
- 「メルシンの女豹」
- 「(不明)」
( 観光東亜 ) |
※「山口海旋風について」浅井健 による |
随筆など
- 「秘密結社 胡蝶党」
- 「YMCA 野球部の回顧」
( 『恩寵廿年』大連基督教青年会編 大連基督教青年会 1930.xx. ) |
- 「高紀毅を語る」
- 「満蒙を何うする? ゴマメのはぎしり」
- 「満洲一の弁 女を釣る」
- 「雑談支那を読んで」
- 「ダッチ・ワイフ」
- 「花柳花嫁学校」
- 「随筆 河童」
- 「(まえがき)「「蒙古義軍秘翠事室蹄」天鬼・薄益三遺稿」」
( 月刊満洲 1940.04. )
( 「「蒙古義軍秘挙事筆蹄」および解題」広川佐保 中国・アジア研究論文データベース 2012.xx. ) |
- 「極楽島と女仙」
- 「西部ボルネオを語る」
著書
- 『新聞広告を語る』山口源二編 満州日報社 1931.xx.
- 『満洲草分物語』米野豊実編 満洲日日新聞社 1937.04.
※執筆不詳(未調査)
- 『東亜風土猟綺物語』 月刊満洲社 1939.12.
△「はしがき」/南洋の巻(「ロバム島物語」/「レシデントの時計」/「大地を診察した男の話」/「ポンテアナの女王」/「九官鳥と話す女」)/支那の巻(「海賊綺譚」/「密告者」/「支那毛断考」/「道光遺聞」/「国境の太守西門豹」)/満洲の巻(「月凍る夜の遊行者」/「蒙古猟綺談」/「乗馬石」/「緋牡丹吹雪」)/白露の巻(「ロージカ」/「ラインの女」)
参考文献
- 「山口海旋風について」浅井健(島崎博)
幻影城 1975.04.
- 「まむし島発見始末」ほか 島田一男
『中国大陸横断』島田一男 徳間文庫(116-25) 1985.08.15
- 「探偵作家対談 新聞・テンポ・殺人(島田一男)」渡辺剣次
宝石 1953.11.
- 「座談会 島田一男を語る」島田一男、中島河太郎、黒部竜二、「島田氏略歴」久保友江
「島田一男読本」別冊宝石69号 1957.08.
- 「解説」藤田知浩
『外地探偵小説集 南方篇』藤田知浩編 せらび書房 2010.06.04
- 「戦前期中国東北部刊行日本語資料の書誌的研究」岡村敬三
Web Site 「おおすみ書屋」収蔵庫 2009.03.
- 「租借地大連における日本語新聞の事業活動」栄元
Web Site 総合研究大学院大学学術情報リポジトリ 2016.xx.
- 「満洲スポーツ秘話」高嶋航
Web Site 京都大学学術情報リポジトリ 2021.03.
- 「「蒙古義軍秘挙事筆蹄」および解題」広川佐保
Web Site 中国・アジア研究論文データベース 2012.xx.
- ほか