Japanese Page
Since 15th Apr. 1998
Last Update 13th Jun. 2016

矢野龍渓作品


      矢野龍渓(やのりゅうけい)略年譜

    1851.01.02(嘉永3年12月1日) 現大分県佐伯市に生まれる。本名は矢野文雄
    1871.xx. 慶應義塾へ入塾
    1881.12. 郵便報知新聞社長に就任
    1883.03. 「経国美談」前篇発表
    1890.01. 「浮城物語」を郵便報知新聞に連載
    1931.06.18(昭和6年) 死去

    筆名は、矢野文雄、矢野龍渓、天峯居士、ほか

      (国DC)は国立国会図書館デジタルコレクションでインターネット公開されています


      小説

  1. 「報知異聞 浮城物語」
    ( 郵便報知新聞 1890.01.16〜03.19 )
    ( 『報知異聞 浮城物語』 報知社 1890.04.16 )(国DC)
    ( 『浮城物語』 近事画報社 1906.01.28 )(国DC)
    ( 『浮城物語』 岡崎屋書店 1906.01. )
    ( 『訂正 浮城物語』 岡崎屋書店 1907.04.(3版?) )
    ( 『浮城物語』 大阪屋号出版部、金尾文淵堂 1916.04.30(訂正増補20版) )(国DC)
    『浮城物語』 岩波文庫 1940.11.29
    ( 『矢野龍溪集』 筑摩書房明治文学全集15 1970.xx. )
    ( 『大分県先哲叢書 矢野龍渓 資料集第2巻(文芸篇2)』 大分県先哲資料館 1996.03.31 )
     大分県日向泊の井戸守の孤児、上井清太郎は十六七の時(明治五年頃)に伯父の元を出奔した。十余年後に、彼から日記風の手紙が伯父の元にきた。龍渓はそれを小説として発表す事にする。
     大阪から東京へ行く途中の横浜で、上井は所持金を盗まれる。コートを売却し、列車に乗り込み東京へ行くが、鞄が入れ替わっており、今度は大金が見つかる。列車で隣に乗り合わせた持ち主に返そうとして出向き、作良義文と立花勝武の両名に出会う。洋行する作良は謝礼として全額を渡すという。結局、上井は謝礼の代わりに通訳として同行する事を希望し許される。
     香港へ向かう途中の無人島で、作良は真の目的を明かす。マダガスカルを占領し、まだどこの植民地になっていないアフリカ中部を占領すると。乗組員全員賛同して、百二十九名の独立国家ができる。海王丸と改称した船は無人島で作成した新兵器等の試験を行う。軽気球、無煙火薬、無声火薬、六千メートルという遠距離に達して効果あるクルップ砲、圧搾空気で発射する大風砲、感電させる電気梯子及び電気棒、魚形水雷、照遠電燈の試験を終え、香港へと向かう。
     補給等を終えた後、ボルネオで沿岸の原住民と交易し、襲われれば撃退する。そうこうしているうちに、最新鋭艦の海賊に襲われる。遂にその艦を奪取し「浮城丸」とする。
     オランダの東印度諸島の首府バタビアへ行くが、艦を奪った海賊として、笹野が一人捕らえられてしまう。こうして、戦端が開かれる。
     気球の実験、原住民の奴隷、オランダ艦隊との海戦、ジャワでの陸戦と話は進む。
     マダガスカルまで話はあるが、とりあえず、ここまで。(続編は書かれず)
     とても明治20年代に書かれたとは思えない。戦中に再発行されているのも十分納得できる。大東亜共栄圏の元、亜細亜の欧州列強支配からの奪回を目指すのが明瞭になっている。また、欧州列強と同様にアフリカ支配まで視野に入れているのはやはり、追いつけ追い越せの気運が感じられる。勿論、今日の考えであれば、とんでもない事であろうが。しかし、逆に艦内では特権的ではあるが、民主主義が導入されている。議会導入の頃の作品であり、それに関与した作者だけあって期待するもの大だっとと思われる。
     政治的事情はともかく、SF的にも異境冒険譚としても十分おもしろい。事に、ジャワでの一時敗戦には、将校の一人動植物学者が新種発見として指揮を放棄していた事など、もう笑うしかありません。大らかだ事。
     ストーリー的、思想的には問題ある内容ではあるが、エンターテイメント、絵空事としては十分おもしろい。 (1998.04.15)


      文庫

  1. 『浮城物語』 岩波文庫 1940.11.29
    △「自序」(明治23年3月17日)/△「訂正 浮城物語」(明治39年1月)/『浮城物語』/△「『浮城物語』について」柳田泉(昭和15年10月18日)

  2. 『経国美談(上)』 岩波文庫(緑356) 1969.05.16
    △「解題」小林知賀平/△「序」栗本匏庵(明治16年2月)/△「斉武名士経国美談自序」(明治16年2月)/『斉武名士経国美談前篇』/△「あとがき」小林知賀平(1969年5月)

  3. 『経国美談(下)』 岩波文庫(緑357) 1969.07.16
    △「まえがき」小林知賀平(1969年7月)/△「序」藤田鳴鶴(明治17年2月)/△「自序」/『斉武名士経国美談後篇』/△「跋」森田思軒(明治17年2月)/△「校訂覚書」小林知賀平/△「龍渓の言語」小林知賀平/△「龍渓の英語」小林知賀平/△「あとがき」小林知賀平(1969年7月)/△「またがき」小林知賀平(1969年7月)

  4. 『安田善次郎伝』 中公文庫(M103-01/や-06-01)
    ※未確認


HOMEへ戻る  ←  著者別リストへ戻る  ←