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北洋 作品

Since: 2024.10.20
Last Update: 2024.10.20
略年譜 - 探偵小説 - 科学読物 - 著書

      北洋(きたひろし)略年譜

    1921.07.23(大正10年)  東京にて生まれる、本名は鈴木坦
    1943.xx.  武蔵高等学校卒業、京都帝国大学理学部卒、湯川秀樹に師事
    1946.10.  ロックに「写真解読者」が掲載
    1947.05.  ロックに「失楽園」が掲載
    1950.xx.  横浜国立大学助教授
    1951.09.15(昭和26年)  死去

    筆名は、北洋、鈴木坦

      (国DC※)は国立国会図書館デジタルコレクション個人送信(ログイン必要)で公開されています(今後非公開になる可能性もあります)



      探偵小説など

  1. 「写真解読者」 [光岡]
    ( ロック 1946.10. )
    幻影城 1976.11.
    『「ロック」傑作選 甦る推理雑誌1』ミステリー文学資料館編 光文社文庫(み-19-11) 2002.10.20
    『北洋探偵小説選』 論創社・論創ミステリ叢書66 2013.08.20
     東亜考古学会員井中哲郎が帰ってきていた。歓迎会に光岡と僕は出かけて井中の講演を聞く。張家口で写真技師となった白系ロシア人ショスタコウィッチは行方不明になった皆川らの車をワイエントライ南方での捜索航空写真に見つけた。救援隊の事故。失踪したショスタコウィッチ。妻に宛てた写真と小箱の盗難。光岡は写真を見て……。
     失踪の原因を解明していく話。専門的要素もあり興味深い点もある。解明はやや思い付きの感あり。
  2. 「ルシタニア号事件」 [光岡]
    ( ロック 1947.03. )
    『北洋探偵小説選』 論創社・論創ミステリ叢書66 2013.08.20
     光岡がパリでスペクトルの研究を行っていた頃の話。D教授の乗ったパリからジュネーブに向かう飛行機が墜落した。補助翼操作索の傷が原因らしい。墜落現場付近に宿泊していた人物。メルラン夫人の所へ入った強盗をマイエル探偵はフェロディーだと見做す。新聞の広告文、匿名文。光岡は……。
     意外な真相ともいえる作品。墜落原因に関する科学的検証とそこからの推測は面白い。
  3. 「失楽園」
    ( ロック 1947.05. )
    幻影城 1975.12.
    ( 『死体消失 戦慄ミステリー傑作選』山村正夫編 ビッグバードノベルス 1976.05. )
    『北洋探偵小説選』 論創社・論創ミステリ叢書66 2013.08.20
     私がローマで中性子放射の研究をしていた頃、喫茶店ファビアンで腐った臭いがした。下宿の娘ジュリエッタの行方不明。科学を信用している、亡き友人ヴィオレッタの腕を天然写真を焼き付けて再現した婚約者がいるという。私はトスカネリに会いに行く。かすかな臭い。私は下水検査の結果……。
     怪奇幻想味と科学的捜査を合わせた作品。確かに印象に残る作品であるのは間違いない。
  4. 「無意識殺人」
    ( ロック別冊探偵小説傑作集 1947.08. )
    『北洋探偵小説選』 論創社・論創ミステリ叢書66 2013.08.20
     私は友人のM・Tを嫌っていたが彼と彼の細君と親しくしていた。カフェー・リラでシャンデリアが落下し彼は死亡、残された彼女。リラのボーイの来訪、そして死。自転車屋の親爺。偶然によって表現された意図。無意識に悪意を持つことも出来ない。パリ留学中に手記を入手した私は噂と合わせてフロイド学説に対し……。
     奇妙な中途半端な話。やはり手記というので懐疑的になってしまう。
  5. 「天使との争い」 [光岡]
    ( 新探偵小説 1947.10. )
    『北洋探偵小説選』 論創社・論創ミステリ叢書66 2013.08.20
     光岡がパリからの帰国途中カルカッタ大学のサハ氏を訪問するが留守だった。助手コサムビも行方は知らない。光岡は奇妙な地震動の事を探り、カンジェンジュンガへ行く。戻って来た時にはアリシヤという女性をを連れていた。コムサビは彼女に恋するが彼女には出生の秘密があった……。
     空想科学小説。人間とは何かという話でもある。月に一度の振動が何を想定していたのかは不明。
  6. 「死の協和音」
    ( ロック 1947.12. )
    『戦慄の十三楽章 音楽ミステリ傑作選』鮎川哲也編 講談社文庫(あ-19-06) 1986.08.15
    『北洋探偵小説選』 論創社・論創ミステリ叢書66 2013.08.20
     私と盲目のメリー・エリオットはエドワード・ホプソンの殺人現場にいた。小使が聞いた松林からの女性の声は反響か。無くなったGの音叉。ルイゼ・ゲーマン嬢、ウィリアム・マックマホン、エドワードの音響学研究から美声を得たクリフトン嬢。アリバイ。壊された発声器。声の波形……。
     トリッキイではあるが偶然的要素が強い。機械は進化し現代ではかなりなものになっている為かもしれないが。
  7. 「異形の妖精」 [光岡]
    ( ロック 1948.01. )
    『北洋探偵小説選』 論創社・論創ミステリ叢書66 2013.08.20
     私H・ミツオカがル・アーブルの海洋気象台にいた頃、気球を使って赤外線を測定していた。綱が切れ落ちる直前に反応があった。私は発信菅と受信用装置を見つけた別荘で男と女の影を見た。女の腕が奇妙に男を抱く。その後新聞にラトール伯爵が夫人を殺して自殺したとの記事が。血で残された記号、私は伯爵邸で……。
     ロマンス風作品。気持ちの変化が印象的。最後の一文はよくわからない。
  8. 「こがね虫の証人」 [光岡]
    ( 新探偵小説 1948.02. )
    『「X」傑作選 甦る推理雑誌3』ミステリー文学資料館編 光文社文庫(み-19-13) 2002.12.20
    『北洋探偵小説選』 論創社・論創ミステリ叢書66 2013.08.20
     光岡はクレール警部に会いデジョンヌの盗難事件の捜査に同行する。ジルベルトの旅館、貴重品を盗まれたというカルタン老人、銀行家ラマール、下男マチュー。光岡は事件当日と同じようにしておく。せんちこがねの違いからの発見。光岡は新聞広告で……。
     虫が鍵となる作品。最後は唐突だが意表をつかれる。
  9. 「清滝川の惨劇」 [光岡]
    ( ロック 1948.03.,05. )
    『北洋探偵小説選』 論創社・論創ミステリ叢書66 2013.08.20
     私光岡は清水警部と秋津村から帰る途中の清滝川で転落事故に遭遇した。M製作所専務三木とタクスー運転手が死亡。邸には夫人と同窓の新吉と江上、女中二人、小間使いが同居していた。三木は会社から谷川から由紀子が重体との知らせで出かけたらしい。日曜の会社には江上、庶務課長金井、技師並木がいた。スペクトル分析、金庫、使用された三木の車。光岡と清水警部は……。
     科学的捜査方法の紹介のような内容。事件自体は安易に思える。運転手が可哀想。
  10. 「展覧会の怪画」
    ( ロック別冊ミステリイ 1948.03. )
    『北洋探偵小説選』 論創社・論創ミステリ叢書66 2013.08.20
     私は私とS・H嬢との写真を受け取った。マドレーヌと婚約しようという日に。友人のシャーレマンからの一万フランの手紙。私はアリバイを作り彼を殺そうとする。展覧会の「復習」という写真。シャーレマから再度の指示。私は彼の要求に従い……。
     コント風作品。写真など着想は良いがアリバイなどは安易。青い鳥の故事を思わせる所がある。
  11. 「砂漠に咲く花――新世界物語」 [光岡]
    ( 小説 1948.05. )
    『北洋探偵小説選』 論創社・論創ミステリ叢書66 2013.08.20
     光岡はトルコ人のアリ・ベックからガシュン・ゴビでの話を聞く。楼蘭の女王の墓、骸骨。現れたヴェエラに連れ去られ、帰ってきた彼女の男を殺す。隊商とのやりとり、墓の洞窟に残されたカメラ、そして帰還。放射性物質、見失った小屋。パリの恋人ジュリエットの死。アリは光岡に調査を頼む。ヴェエラは……。
     新世界への手がかりとなる冒険風作品。「天使との争い」の姉妹編ともいえそう。
  12. 「盗まれた手」 [光岡]
    ( 影 1948.07. )
    『北洋探偵小説選』 論創社・論創ミステリ叢書66 2013.08.20
     人々を魅了するド・ラクノー伯爵夫人の握手。伯爵家執事フレヴィールの迎えで伯爵家へ行った光岡は賊が入りガラスのような物を掴まされたという事件の捜査を依頼される。二種類の指紋。小間使いや女中に該当者はいない。魅了されたパンヴィル、許嫁を亡くしたばかりのパピネ、夫人の指を治療した医師ダルブー。夫人の手が切られ盗まれ……。
     SF風作品。それぞれの主張に一理あるが他にも役立てたいところ。発見の端緒は面白い。



      科学読物など(鈴木坦名義)
  1. 『アトム君の冒険』
    ( 『アトム君の冒険』鈴木坦 朝日新聞社 1949.03.20 )(国DC※)
    『北洋探偵小説選』 論創社・論創ミステリ叢書66 2013.08.20
     クスコ町セーヤ中学二年のアトム君。ラジウム紛失事件とコスミおじさんの機械。自動で開く扉、宇宙線。ミスター・キリングの要求。アンペル君とニルス君。磁力、放射線、計数管。古城の探検のこと。ニルス君の家への脅迫状。原子爆弾。群衆に取り囲まれた生物物理学研究所。招待に応じる少年達。目印、キリング邸の火事。秘密工場。
  2. 「首をふる鳥」
    ( 別冊少年朝日 1949.07. )
    『北洋探偵小説選』 論創社・論創ミステリ叢書66 2013.08.20
     私はアサちゃんとマリちゃんを誘って散歩しました。首をふりながら歩くおじいさん。泳ぐカイツブリの首振り。ニワトリでの実験。他の鳥や動物。
  3. 「平和の愛好者 アインシュタイン」
    ( 少年朝日 1950.04. )
  4. 「あいつぐ新元素の発見」
    ( 科学朝日 1950.05. )
  5. 「原子エネルギー」
    ( 科学の実験 1950.05.,06.,08. )
  6. 「自然は力学を行なう」
    ( 科学の実験 1951.07. )
    『北洋探偵小説選』 論創社・論創ミステリ叢書66 2013.08.20
     ガリレイの死後。ギルバートの地磁気、ハーヴェイの血液循環、ボイルの気体研究。
  7. 「私は仮説を創らない」
    ( 科学の実験 1950.09. )
  8. 「原子力・その後の発展」
    ( 科学の実験 1950.10.,11. )
  9. ほか?



      参考:論文など
  1. 『不確定性原理 現代物理学の言葉 京大理学普及講座4』
    ( 『不確定性原理 現代物理学の言葉 京大理学普及講座4』 富書店 1948.06.20 )(国DC※)
  2. 「多電子問題の近似解法」
    ( 『原子論 近代物理学全書3』荒木源太郎編 共立出版 1948.02.25 )(国DC※)
  3. 「原子核と核外電子」
    ( 『原子核論 近代物理学全書9』湯川秀樹編、小林稔編 共立出版 1949.09.20 )(国DC※)
  4. 『続理論物理学講話』湯川秀樹、鈴木坦
    ( 『続理論物理学講話』湯川秀樹、鈴木坦 朝日新聞社 1949.11.30 )(国DC※)
  5. ほか



      著書

  1. 『アトム君の冒険』鈴木坦 朝日新聞社 1949.03.20 (国DC※)
    △「はしがき」/『アトム君の冒険』/△「あとがき 父兄の方々へ」
  2. 『北洋探偵小説選』 論創社・論創ミステリ叢書66 2013.08.20
    「写真解読者」/「ルシタニア号事件」/「失楽園」/「無意識殺人」/「天使との争い」/「死の協和音」/「異形の妖精」/「こがね虫の証人」/「清滝川の惨劇」/「展覧会の怪画」/「砂漠に咲く花――新世界物語」/「盗まれた手」/『アトム君の冒険』(△「はしがき」/『アトム君の冒険』/△「あとがき 父兄の方々へ」)/「首をふる鳥」/△「自然は力学を行なう」/△「解題」横井司



      参考:論文など
  1. 『不確定性原理 現代物理学の言葉 京大理学普及講座4』
    ( 『不確定性原理 現代物理学の言葉 京大理学普及講座4』 富書店 1948.06.20 )(国DC※)
  2. 「多電子問題の近似解法」
    ( 『原子論 近代物理学全書3』荒木源太郎編 共立出版 1948.02.25 )(国DC※)
  3. 「原子核と核外電子」
    ( 『原子核論 近代物理学全書9』湯川秀樹編、小林稔編 共立出版 1949.09.20 )(国DC※)
  4. 『続理論物理学講話』湯川秀樹、鈴木坦
    ( 『続理論物理学講話』湯川秀樹、鈴木坦 朝日新聞社 1949.11.30 )(国DC※)
  5. ほか



      参考文献

  1. 「<不肖>の原子力物理学者・北洋」鮎川哲也
    幻影城 1976.11.
    『幻の探偵作家を求めて』鮎川哲也 晶文社 1985.10.10
    『幻の探偵作家を求めて 完全版(上)』鮎川哲也、日下三蔵編 論創社 2019.06.20
  2. 「解題」横井司
    『北洋探偵小説選』 論創社・論創ミステリ叢書66 2013.08.20
  3. ほか



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