六郷一(ろくごうはじめ)略年譜
1910.02.18(明治43年) 東京浅草にて生まれる、本名は小林隆一
1933〜1935頃 土師清二の紹介で大衆倶楽部に「ぬすっと」が掲載
1948.01. 平凡に「夜行列車」が掲載
1981.xx. 『失われた環』を乱歩賞に投じるが最終選考には残らず
1990.11.26(平成2年) 死去
筆名は、六郷一、覆面作家、小林隆一
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探偵小説など
- 「ぬすっと」小林隆一
( 大衆倶楽部 1934.02. )※2 |
仁太郎は和泉屋次郎吉が鼠小僧である事を知っていた。仁太郎の情婦お秋は妹として和泉屋に嫁ぐ。実直に生きようとする次郎吉。盗人の仁太郎は屋敷に押し入り……。 |
時代小説。題名とアイディア自体は悪くないが、状況が今ひとつ掴みにくい。二人の心情描写が入り乱れ中途半端な感じ。三人中二人の女性の心情はよくわからない。新人紹介としては期待が持てなくはないが。 |
- 「夜行列車」覆面作家
( 平凡 1948.01. )
( 『急行出雲』鮎川哲也編 光文社カッパノベルス 1975.11. )
『急行出雲 鉄道ミステリー傑作選』鮎川哲也編 光文社文庫(あ-02-04) 1986.07.20 (国DC※)
『密室遊戯 ミステリーの愉しみ2』鮎川哲也編、島田荘司編 立風書房 1992.02.20 |
第十五回土曜会の席上で羽鳥省吾は出席していたO博士に殺されそうになったと発言する。羽鳥は青森行きの汽車で向いの席の男に催眠術をかけて聞くと自殺するつもりだという。羽鳥は彼に、そしてO博士は……。 |
舞台設定と一部に面白味はある。鮎川哲也の解説にあるように伏線を入れてもう一段あれば単なる奇談から現実へ戻り良い(好みに近い)作品になったと想う。殘念。 |
- 「白鳥の歌」六郷一
( 大衆文芸 1958.10. )
幻影城 1976.04. |
日展に布施伸六の亜流が応募された。美術誌の青木は驚く。布施は巴里で名をあげ帰国、しばらく沈黙の後創作を再開していた。巴里や国内で栗原繁へのサイン書き換えや絵の棄損事件。栗原なる男と死。布施の死。青木はそれらのいきさつから……。 |
探偵小説的面白味は薄く、ただ気付くだけという話。同じような事の繰り返しが多く冗長で筋の展開があまりない。芸術に対する話としては良いのかもしれないが。 |
- ほか同人誌などに掲載もありそうだが不詳
参考:六郷一名義の読物(小説?)など ※内容未確認
- 「夜霧の第二国道」
- 「小説 フランク永井」
- 「母に捧げる花束 藤本二三代ストーリー」
- 「ファイトを燃やせ 久保明物語」
- 「チャンスは一度きりない 沢本忠雄物語」
- 「女難はまっぴら」
- 「東京タワー」
参考:随筆・評論など
- 記名入りの記事もありそうだが不詳
参考文献
- 「べらんめいの覆面騎士・六郷一」鮎川哲也
幻影城 1976.04.
『幻の探偵作家を求めて』鮎川哲也 晶文社 1985.10.10
『幻の探偵作家を求めて 完全版(上)』鮎川哲也、日下三蔵編 論創社 2019.06.20
- 黒田様に御教示頂きました。ありがとうございます。
- 戸田様に御教示頂きました。ありがとうございます。
- ほか