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中村美与子 作品 |
Since: 2016.06.11 Last Update: 2024.10.06 |
略年譜
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小説
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著書
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おまけ 作品小集(別ページ) |
1900.頃(明治33年頃) (九鬼氏推測)。函館市大森町に生れる[中村美与]
1927.03. 「獅子の爪」をキングに掲載[中村美代子]
1935.10. 「火祭」をぷろふいるに掲載[中村美与]
1936.頃 YDNペンサークルに参加[中村美与]
1939.07. 「火の女神」を新青年に掲載[中村美与子]
1956.12.28以前(昭和32年以前) 死去
筆名は、中村美与(中村美與)、中村美与子(中村美與子)
中村美代子も同一人物といえそうである
(論創)はかつて論創社のサイトでインターネット公開されていましたが現在は消滅しているようです
(夢現)は「中村美与子 作品小集」で公開しています
( キング 1927.04. ) 『中村美与子探偵小説選』 論創社・論創ミステリ叢書20 2006.10.08 |
サーカスの猛獣使い沢井は奇術女優の珊瑚を受取人として保険に入った。それが宣伝となって浅草の興行成績はあがった。七日目、沢井は事故で脚を痛め、最後の獅子使いだけを行うことになったが。 |
笑うライオンのバリエーションともいえず、トリックもありきたり。文章に緊迫感が無いのも難点。伏線(手がかり)をいれようとする健気さのみが良いところか。 (2016.05.06) |
( ぷろふいる 1935.10. ) 『中村美与子探偵小説選』 論創社・論創ミステリ叢書20 2006.10.08 |
函館大火から二十年。放火魔が出没していた。宇野刑事は昨夜の焼け跡へ行く放浪歌手の大空宏美を見かけた。大空は発火と同時に激しくなるような科学的手法をとっているという。五回目の放火の予告。現場で大空は漏電装置を指摘する。 |
実際の出来事に探偵小説的要素(トリック)を入れ込むという事と火事の描写は悪くない。が良くもない。心理的な描写が希薄なので説得力に欠ける。 (2016.05.06) |
( ぷろふいる 1936.04. ) 『中村美与子探偵小説選』 論創社・論創ミステリ叢書20 2006.10.08 |
「都市の風景」の一篇。青森の躍進の影には。 |
理解不能。牛? 人魂? 単純にオチを笑えば良い話なのか、裏読みが必要なのか。 (2016.05.06) |
( 新青年 1939.07. ) 『中村美与子探偵小説選』 論創社・論創ミステリ叢書20 2006.10.08 |
「セ・カカムイ」のルビ。考古学者の田無博士は助手の泉原恭治と火の女神の偶像を譲り受けるためアイヌ部落を訪れた。酋長のイシバル、長男のヌタクと娘トミ、次男のオノイ、妹のピリポと内地人の子ハル、行商人の茂山らとの酒宴中に病人が運び込まれてきた。霊媒になったトミは宣託する。巨怪と瘧の神に供え物をせよ、真夜中に、供え手はハル。 |
時代的には明治の話か。伏線的描写を入れながら結末でそれが意味をもってくる、不思議な現象に化学的説明を加えるという部分は好印象。アイヌ部落を舞台にした作品自体は珍しいが、落人部落の話や欧州で書かれたアフリカの話でも通じる。内容として独自性があるわけでもないのが難点か。 (2016.06.05) |
( 新青年 1939.11. ) 『中村美与子探偵小説選』 論創社・論創ミステリ叢書20 2006.10.08 |
蟹工船の北星丸に救われた学生は監督の海象に痛めつけられ海に落ちてしまった。学生の幽霊が出るという噂のなか、無線が壊され技士の峰岸も殺された。船内では勘察加(カムチャッカ)の人鬼ともいわれた海象派と船長派で対立していた。船長派の事務長梁田はモルヒネ中毒で海に消え、海象も会社へ連絡をとる為に乗員の為公らと共に本船を去る。 |
蟹工船、学生、殺人、幽霊譚、為公の復讐、そして黄金郷伝説。少し盛り込みすぎで、全てが薄っぺらい印象を受けてしまう。 (2016.06.05) |
( 名作 1939.11. ) 『中村美与子探偵小説選』 論創社・論創ミステリ叢書20 2006.10.08 |
中国南部の貴陽。南方庁のカンセキキュウと貴陽都督の鄭蔡普と共産軍の黄章英が入り乱れている中、英国を含めカンの弱みとなる血書を手にいれようととしていた。カンがで至誠廟に閉じこもり危篤との知らせが入った。英国医師アーノルド・スミス、オリヴァ中尉、ジム・ウィルスン記者が、息子の冀生や瑶夫人が、鄭蔡普がかけつけたが死亡した後だった。生き血を吸う怪物飛頭ヨウか、風土病の白蛉か。鄭も第七夫人と共に殺されカンの秘書趙司龍も行方不明。至誠廟から渓谷の先にある媽姐廟に飼われていた河をも渡る旅行蜘蛛。そして血書の行方は。 |
怪談、風土病、道教、化学的トリック、暗号、宝探し、そして何より中国内部勢力争いと英国と日本が入り乱れる情勢で登場人物も多い。ごちゃごちゃし過ぎでシナリオみたい、といえるかも。内容自体は悪くないのだが。 (2016.06.05) |
( 新青年 1940.05. ) 『中村美与子探偵小説選』 論創社・論創ミステリ叢書20 2006.10.08 |
牧原一郎探偵を訪ねてきた孔家三男の孔令ガイ。長男、次男が相次いで山峡の谷あいで死んでいたという。さらに妹姚キンの家庭教師芝薫も。毒ガスなのか。二日後に行くという朱光こと牧原。助手格の西崎利雄は先行して調査にあたる。第二夫人と第三夫人の確執、易者の張天師、彭秘書長と第二秘書の陶文佳。リュウの鳴き声とは。青い光を放つ屍体とは。 |
舞台や設定は良いが、この作品も難解な単語の羅列の描写で厚みがなく損をしている。科学/化学的説明などは放棄された化学兵器とからめてもっと面白くできたのではないかと思われる。中村美与子の探偵小説的代表作となりそうだったが、惜しい。 (2016.06.05) |
( 新青年 1940.09. ) 宝石 1957.02. 幻影城 1975.03. 『中村美与子探偵小説選』 論創社・論創ミステリ叢書20 2006.10.08 『『新青年』名作コレクション』新青年研究会編 ちくま文庫(し-53-01) 2021.04.10 |
甥の香坂淳一から久しぶりに届いた手紙に書かれていた物語。香坂は包頭への帰途、トラックに乗り合わせた龍克子から聖汗山へ競馬かたがた仏像と手紙を届けてくれないかと頼まれた。聖汗山の喇嘛の大本山が復活し、KGB主催の競馬が開催されるという。引き受けた香坂は西寧でソ連のスパイと思われるザハルウィッチを見かける。香坂と籠に乗り合わせた日本の子守唄に涙する芬莫。聖汗山へ着いた香坂は事件に巻き込まれる事になった。 |
小説としてはロマンスあり意外性もそこそこあり、代表作ではある。しかし、誰がどの立場で動いているかという謎以外の探偵小説的趣向はあまりない。グラニル(グアニル)のみ、名残りといえるかも。 (2016.06.05) |
( 新青年 1943.11. ) 『中村美与子探偵小説選』 論創社・論創ミステリ叢書20 2006.10.08 |
蒋介石軍生き残りの部隊を率いる侃将軍は山峡に移駐していた。隣接する米軍航空基地。武器商人カトラーは米軍アラン大尉らに最新型高速爆撃機を提供しようとしていた。侃の部隊から米軍に派遣された洪潔明は日本人の母をもち、航空機の操縦も片山教官に習っていた。アランの秘書紅椿、洪の同期の班超子、敵か味方か。そして、カトラーの乗ってきた彗星号が離陸する。 |
指紋の件など小細工をしたり、詭計を用いているのは探偵小説的。時局思想的要素がなければ騙し合いのコンゲーム的要素も感じられなくはない。多くの男性作家の書いた勇猛果敢猪突猛進型でない冒険小説というところに面白みがあるように思える。 (2016.06.05) |
( 新青年 1944.03. ) 『中村美与子探偵小説選』 論創社・論創ミステリ叢書20 1944.04. |
カルカッタの豪商ラフラが青色ダイヤと共に消えた。ラフラの助けでその子である血盟団闘士ビルラの隠匿物資を吐かせようとしていたウォレス中尉の計画は水泡に帰した。警備隊のジョンソンも血盟団を一網打尽にしようと狙っていた。蛇使いのトンガが示す菩提樹の上部には輝く死体が。日本の密偵の通称ニザム・ハン、リカ第二夫人、コック、拝火教のセロイコス、ナラダ比丘尼、そして午後八時に。 |
五十フィートの高さまでどのようにして持ち上げたかは結局「印度人なら一本のロープがあれば」の冗談口(?)以後何も説明がないような。理由は書かれているが。特に探偵小説要素の濃い作品では名前だけの人物が多くゴチャゴチャしてしまう。隠し方や後光がさしているような死体など、悪くはないが、効果的描写に欠けるのが残念。 (2016.06.05) |
( 新青年 1944.04. ) 『中村美与子探偵小説選』 論創社・論創ミステリ叢書20 2006.10.08 |
拉薩に潜入した八洲直。彼の父八洲直人は故十三世達頼喇嘛の最高軍位にいたが、英支と四人の執政の暗躍で失脚し日本に帰還していた。英国の飛行兵は成層圏飛行の為の高地訓練中だが機体はまだ完成していない。莫喀爾と妹の咏芬、代わりに捕まった武昌亜子。一月二日の神縄の儀式、五百呎の城楼から降下する儀式の生贄となった八洲は。 |
今ひとつ八洲直の役割がわからない。西蔵の独立(?)と航空機のヒマラヤ越えの関連性も無理矢理結び付けているだけと思える。小さなトリックもあるにはあるが。 (2016.06.05) |
講談倶楽部 1944.12. 『中村美与子探偵小説選』 論創社・論創ミステリ叢書20 2006.10.08 |
千島列島最北端の阿頼度島。鰊の不漁続きで落魄した松前福山の漁場主宋馬家の長男雄吉も豊漁な阿頼度に出稼ぎ漁夫として来ていた。当時の事で逆恨みをしている猪上、そして到着した出稼ぎの娘子らの中に幼馴染のお佐代がいた。夏が終わり引き上げる段になった時、ソ連の漂流魚雷が。 |
お国の為にも一致団結して、にロマンスを添えた話。翌年、玉音放送後に戦闘になった占守島の隣にあたり、出稼ぎカニ缶詰工場の女工もいたらしい。一年後の占守島の事を思えば、期せずして皮肉な話にもなっている。また、「馬鹿為の復讐」の舞台も阿頼度島を想定しているような気がする。 (2016.06.05) |
『百万弗の微笑』 此声社 1946.10.25 (夢現) |
おれ、デブ公のミッキーことトム・ミックスはルーズベルトの用心棒さ。お人よしで鈍重で健啖家で血の巡りが緩慢。そこに大統領の用心棒の価値があると親友の新聞記者スミスもいっていたっけ。一九四一年三月二十日(十七日の誤りか?)、おれはニューヨークでプリンスオブウェールズ号に乗り込んだ。大統領にいるところにおれがいる、という事で記者の質問責めだ。デッキで踊る大統領。三月十八日、白堊館入り口でスミスに合った。大統領はメーン州のロックランド、ヴァージニア号でチャーチルと会っていたらしい。してやられたわけだ。 一九四一年三月二十日、大統領はフロリダにいた。宰相格の民主党のホープの娘カザリンがスミスと婚約したが、スミスは労働党だ。参戦か反戦か、武器商人アプネルもやってくるし、デモも起きる。 六月十九日、スミスはニューヨークへ移動になった。おれは、ニューヨークへスミスに会う為に行くんだ。スミスを探している記者のウォルターにつきまとわれるが少年からメッセージを受け取る。さあ行こうか、ウォルター。仮面舞踏会、少年はスリの疑いをかけられ北印度の王子クリシューナと名乗る。オレはポケットに入っていたカードでサタンの秘密結社へ紛れ込む。ブロードウェイの地下にあろうとは。 突然、空襲警報のサイレンだ。ブロードウェイが闇と化した。氾濫する人の波は海嘯そのもの。爆音、炸裂、閃光。引かれる手に助けられた。 七月八日、大統領一行はデュポン家のデラウェア荘を訪れた。武器を売り込みにくる人々、買収工作。そして危機一髪。 八月三十日、スミスは言う、ルーズベルトの決断力を欠けば敗北戦争を強いられるだろう。労働党だが、彼を支持する。 |
一九四一年三月より同八月に亘る約半歳の「大統領の用心棒ミッキー」の記録。舞台や時代背景以外は創作とみられる。これは戦前の国策スパイ冒険譚をアメリカに移したものではなかろうか。空襲など日本の体験が反映されていたり情報不足を露呈しているのは否めない。「おれ」の一人称と友人を救う為に行動するのは、冒険小説からハードボイルドへの移行の可能性もあったと思われなくもない。 (2016.06.11) |
( ぷろふいる 1947.12. ) 『中村美与子探偵小説選』 論創社・論創ミステリ叢書20 2006.10.08 |
死活問題だ。赤沢は邪魔ばかりする貨物審査係長の片山を殺す決意をした。そして計画は実行されたが。 |
殺さなくとも、などいろいろあるがコメディ的内容。もう少し突き抜けていれば。惜しい、というべきか。 (2016.05.06) |
( 仮面 1948.03. ) 『中村美与子探偵小説選』 論創社・論創ミステリ叢書20 2006.10.08 |
スリの地下鉄サブ。サブにぞっこん惚れた姉御がいるという。仕事で得たプラチナ時計を故買へ持っていくと贋物だという。それだけではなく、いつの間にか。 |
健気に似せようと努力しているのが透けてみえる。本編が別にあっての一挿話的な内容にしかなっていない。 (2016.05.06) |
( 仮面 1948.06. ) 『中村美与子探偵小説選』 論創社・論創ミステリ叢書20 2006.10.08 |
スリの地下鉄サブ。地下鉄サム。倉徳(クラドック?)刑事。煙山猛朗映画監督。喜劇役者の泥洲出来助。女優春野夢江。 |
地下鉄サブ。八丁荒らしのハリケン。地下鉄サム。倉徳(クラドック?)刑事。煙山猛朗映画監督。喜劇役者の泥洲出来助(ドロシー?)。俳優朝霧映水。女優春野夢江。音呑博士。原典と亜流に詳しくないのでどこまでが借用なのかよくわからない(複数作混合?)。虚実入り乱れたドタバタ劇は少し面白い。 (2016.05.06) |
( 犯罪雑誌 1948.07. )(論創)(夢現) |
河岸の塵芥捨場で惨殺美人の屍体が発見された。鶏の脚みたいな痕とは? |
兵六(シャーロック?)の八角眼鏡など、やや突き抜けたアイディアの面白味も感じられるが、今ひとつ生かしきれていない。 (2016.05.06) |
( 読物の泉 1948.10. )(論創)(夢現) |
大正館という下宿の女将サワ子は止宿人を決めるのにも容姿をもってしていた。夫となった野島と止宿人赤池と女中お琴らの中、サワ子は。 |
大幅に刈り込まれた作品に思える。伏線も何もない、話の筋だけ。 (2016.05.06) |
( 講談と小説 1948.10.15 )(論創)(夢現) |
女探しの依頼。ストリップの大行進。 |
世相を反映した一コマ以外、何もないような。 (2016.05.06) |
( 新自由 1949.05. )(論創)(夢現) |
小奇麗だった養育園にいた八十五歳の老婆だが、騙され捨てられ鬼按摩に拾われたが。 |
埋め草の好色読み物というだけの内容。 (2016.05.06) |
( 好奇読物 1949.06. )(論創)(夢現) |
お寺へ行くには遊郭を通らなければならない。坊さんも通う。小雛に見込まれ乗り込まれた山本覚禅は。 |
地獄の門と極楽の門の対比や描写にやや面白いところもある。艶の欠ける艶笑小咄。 (2016.05.06) |
( 雄と雌 1949.08. )※3より |
( ぷろふいる 1935.10. )(夢現) 『中村美与子探偵小説選』 論創社・論創ミステリ叢書20 2006.10.08 「解題」に引用 |
( 『百万弗の微笑』 此声社 1946.10.25 )(夢現) |
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