長篇新小説豫告「斯くべからず」松本泰作/高木善郎畫
「大阪時事新報」 1925.12.19, 20, 21(同内容) (大正14年12月) より
新小説「欺くべからず」は探偵小説家として夙にその名を知られてゐる松本泰氏が本紙の爲めに特に執筆された氏近來の超力作品でございます。波瀾曲折の妙を極めた構想は魅力に滿ちた氏の麗筆によって宛然(さながら)活動寫眞のフヰルムを看るが如く刻々に轉展、讀者をして息もつがせざるの佳境に導くと同時に、
挿畫界の新人高木畫伯苦心の彩筆によって描かれる人物はまたよく作者のイキと合して水も漏らさぬ妙味を添へますので必ずや愛讀者諸彦(しょげん)に十二分の御滿足を與へ得る近來絶好の讀者と確信いたします。どうぞお讀み落しなきやう今からお願ひ申して置きます。
明春一月元旦の紙上より日日本紙に連載致します