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松本泰 作品 |
Since: 1998.04.15 Last Update: 2024.09.01 |
略年譜
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探偵小説
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実話
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随筆
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一般小説
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随筆 - 翻訳 - 著書 - 訳書 - おまけ 作品小集1 - 2 - 3 - 4 - 5 - 6 - 7 - 8 - 9(別ページ) |
1887.02.22(明治20年) 東京で生まれる。本名は泰三
1911.10. 「樹陰」を三田文学に発表
1912.xx. 慶應義塾大学部文科卒業
1913.03. 短編集『天鵞絨』を籾山書店(三田文学刊行元)から刊行
1913.xx.〜 三年間イギリスに遊学、一時帰国後、再度イギリスへ
1918.06. イギリス遊学中に(伊藤)恵子と結婚
1918.09. 夫婦帰国
1921.10.〜 探偵小説「濃霧」(翻訳)を大阪毎日新聞に連載
1921.頃 (東中野に転居)
1922.10. 『紅繁縷』を恵美敦郎名義で翻訳刊行
1923.04. 「詐欺師」を新青年に掲載(乱歩の「二銭銅貨」と同時掲載)
1923.05. 奎運社を興して雑誌「秘密探偵雑誌」を発行、震災の為休刊
1925.03. 雑誌「探偵文藝」を発行
1925.頃 (谷戸に文化住宅を十数戸建設し文士仲間が住む)
1927.01. 「探偵文藝」休刊
1928.01.〜02. 在米日本人に現代大衆文学全集の予約を募る条件でカナダへ
1929.01. (伊藤一隆死去)
1930.09. 『探偵小説通』刊行、日本最初の入門書
1936.〜 松本恵子と共訳で『ディッケンズ物語集』刊行
1939.04.19(昭和14年) 腸癌により死去
筆名は、松本泰、松本泰三、恵美敦郎、(藤井巌(?))
(国DC)は国立国会図書館デジタルコレクションでインターネット公開されています
(国DC※)は国立国会図書館デジタルコレクション個人送信(ログイン必要)で公開されています(今後非公開になる可能性もあります)
(青空)は青空文庫でインターネット公開されています
(夢現)は「松本泰 作品小集」で公開しています
(夢現※)は「松本泰 作品小集」で部分公開しています
現物未見多数の為、探偵小説、探偵実話、記事、創作小説、私小説、随筆、翻訳、改題再録の混同があります
単行本収録の探偵実話(特に海外のもの)は作品、翻訳、随筆リストに入れていないものが多々あります
『彼の犯罪』東雲堂書店は未刊行と思われます。出典は『清風荘事件』「講説」の誤読
原作:『奸計(Wiles of The Wicked)』ル・キュー ( 大阪毎日新聞 1921.10.20〜12.08 ) ( 『悪の巷』(恵美敦郎訳名義) 金剛社・世界伝記叢書5 1922.05. ) 『松本泰探偵小説選3』 論創社 2017.08.30 |
盲目になった私、結城良彦はロンドンに戻った。ホテルの界隈を散歩していたが路を失いウロウロしていると自動車にはね飛ばされ意識を失ってしまった。気付くと貴婦人に助けられて立派な家の客間にいるらしい。深夜、隣室で婦人が殺され、また格闘の末の男が殺された。一人残された私はようやく家を出たが捕らわれてしまう。二つの条件を承知してエドナに助けられたが、いったい彼女は何者だろう。その後出会ったマアベル嬢ははたして事件に関与していたのだろうか。 |
当時としては出色の探偵冒険小説作品といえると思う。しかし、伏線かと思えば無関係な内容が多くて私小説か実話のように出来事を綴っただけという感が強い。前半の謎に満ちた展開、後半のロマンス、そして結末、それぞれ部分としては悪くはない。しかし一つの話になると未解明の謎が多すぎるし矛盾もある。ピアノを弾いていた人物と殺害方法は謎のまま。その後の顛末は、作者自身の夢を思わせる。 (2017.11.01) [追記]創作ではなく翻案と判明してみれば当時としても出色とはいえない。 |
( 『三つの指紋』 金剛社 1922.09. ) 『創作探偵小説選集 一九二五年版』探偵趣味の会編 春陽堂書店 1926.02.08/1994.04.10復刻版 (国DC※) |
絵画の研究でロンドンに来ていた岡本は同棲生活がもとで郷里からの送金も絶え困窮していた。長谷一座の世話人である武田は岡本を一座に加えて窮地を救った。土曜日、剣舞を終えて帰宅する途中に謎の女性から手紙を託された岡本。カムデンタウンの目的の家は空き家だった。隣家の長谷座長の死体、逃げ出した男。岡本は留置される。探偵カクストンは手紙に残された指紋を検出する。 |
WiKiによれば英国スコットランドヤードで指紋が採用されたのが1901年との事。創作探偵小説とあるが探偵部分は海外作品から想を得ているように思われる。偶然の多用など問題はあるが破綻はほとんどなく当時の海外の科学的探偵小説の移植としては存在価値が大きかったのではないだろうか。 (2017.11.11) |
( 『三つの指紋』 金剛社 1922.09. ) |
作品名「秘密の使者」は『探偵小説年鑑』と雑誌幻影城と『探偵小説通』、「秘密の使」は論創社版の解題による |
( 『呪の家』 金剛社 1922.11.12 )(国DC) 『松本泰集』 平凡社・現代大衆文学全集15 1928.07.01 |
藤田茂は妻と娘の不二子と姪の兼子と倫敦に住む事になった。倫敦は留学時にマレンコと別れてから商用での一度短期滞在をしただけで三度目。当初はケリー夫人宅にやっかいになっていたが借家が見つかり女中アグネスと料理人のヘリナを雇って住む事になった。数日後、子供二人が誘拐された。ケリー夫人の勧めで探偵ギルに依頼する。 屋根裏の梁から見つかった暗号で書かれた手帳。アーノルド・ムーアは友人のローレンスに誘われパレス座にバレエ「春の女神」を見に行きプリンセス・ハルの虜になってしまった。支配人のデンバアの舞踏会で紹介された二人。アーノルドが舞踏会で見かけた婦人は翌日路上の怪死体となって発見された。秘密を持つハルと侍女のビアトレス。ローレンスの従妹のメリーとの出会い。アーナルドはハルの秘密を探ろうとする。 |
前半の誘拐事件は伏線も含めて単純。病院からの使いが計画の一部かどうか、偶然と必然が混在して複雑に見える。aの形は気になる。後半は作者好みの恋愛と冒険談。人間が人間を裁くのが困難、という結末はやや意外だった。北枕がでてくるとは。暗号は無理やりに思える。 (2017.11.) |
( 面白倶楽部 1923.01.〜07. ) ( 『彼の犯罪』 東雲堂書店 1923.xx.? )未刊行と思われる 『松本泰探偵小説選3』 論創社 2017.08.30 |
G通り近くに輸入商を構える和泉勉三は夜、金策の為にN村の方へ向かう。A町の川向こうN村の上屋敷の長谷川謙吉が鈍器で殺されていたのを知恵遅れの下男の義武が発見した。目撃された橋を渡る車。一方、和泉はA町の従兄の八木を訪れる。そこで長谷川が殺されたとの連絡を受け、玉置伯父へ知らせに行くが留守。やがて玉置の死体が川から発見される。玉置と長谷川の関係とは。八木と玉置芳子、和泉を頼るタイピストの高田敏江、小野朝太郎と周栄、玉置の愛人の瀬川いく、花沢警部らがそれぞれの思惑で行動していく。 |
Gは銀座、Aは厚木、Nは海老名村長澤か。連載回毎に人物像が二転三転しているような印象を受け一貫性に欠ける。複雑な心の動きをしているというより刹那的なのが難。発端の謎と明かされる結末は悪くはない。途中が偶然を多用せず、余談を排すれば乱歩登場直前の代表的創作探偵小説になっていたかもしれない。 (2017.11.) |
( 新青年 1923.04. ) ( 『黄色い霧』 奎運社 1926.08.20 )(国DC) 『松本泰探偵小説選2』 論創社 2004.03.20 『外地探偵小説集 上海篇』藤田知浩編 せらび書房 2006.04.02 |
上海の横井質店に鄭とその友人の支那人が呉服の入った柳行李を持ち込んだが値段が折り合わず店を出て行った。再度訪れた二人は。 |
小品。店主のふるまいが謎といえるのかもしれない。 (2017.11.) |
( 秘密探偵雑誌 1923.05. ) 『松本泰集』 改造社・日本探偵小説全集7 1930.01.10 (国DC) ( 『大衆文学大系30 短篇(下)』 講談社 1973.10.20 )(国DC※) 『「探偵文藝」傑作選 幻の探偵雑誌5』ミステリー文学資料館編 光文社文庫(み-19-05) 2001.02.20 (青空) 『松本泰探偵小説選1』 論創社 2004.02.10 |
坂口順三郎は元船員の伯父の林と倫敦に住んでいた。コック家の未亡人エリスと愛娘のビアトレス。彼女の家の前でエドワーズ夫人を助けて帰ると伯父の置手紙があった。ビアトレスは偽の呼び出しで捕らえられてしまった。林はビアトレスを助けるがエリスは脅迫状によってお金を持って出かけたあとだった。坂口も追うがパラメントヒルで脅迫者のトーマス・コルトンが銃殺された。 |
脅迫内容の説明がないのは永遠の秘密か。鸚鵡の活躍は疑問だが拳銃の発射位置はそれなりに論理的。珍しく余分な描写が少なく緊迫感がある。代表作とみなされているようだ。 (2017.12.) |
( 少女倶楽部 1923.05.〜07. ) 『松本泰探偵小説選3』 論創社 2017.08.30 |
大和八洲子の父は東海美術商会倫敦副支店長で、某伯爵の依頼で日本の名匠に制作してもらう彫刻の黒猫の眼に嵌め込むダイヤモンドを持って日本へ行く事になっていた。夜、ダイヤが盗まれるところを目撃した八洲子は密かに隠してしまう。空箱を持って出発してしまった父。テリヤ犬のブチが咥えて抛り出す。拾って逃げる小僧。八洲子は支店長の息子の金井薫とともに取り戻すが。 |
知恵と勇気と貞淑な少女探偵冒険小説。手がかりが安易なのと二度目の隠し場所は無理ではないかという事はあるものの、まとまった作品。夜、『紅ハコベ』の続きを読むために本を取りに行って目撃するというのは、松本泰ならではかもしれない。 (2017.11.) |
( 秘密探偵雑誌 1923.06. ) ( 『死を繞る影』 奎運社 1926.09.20 )(国DC) 『松本泰集』 改造社・日本探偵小説全集7 1930.01.10 (国DC) 幻影城 1976.08. 『松本泰探偵小説選1』 論創社 2004.02.10 |
イギリスで禁制品の麻薬を扱い、自らも中毒になった「私」が逮捕される寸前に書いたA君宛の手紙。そうなるに到った一因にブライトン殺人事件があった。その真相を知っている私は・・。 |
イギリスでの描写はホームズと同時代の雰囲気があります。心理描写に重点をおいており、その移り変わりの描写はなかなか優れていて、作者の体験が生かされているのではないかと思われます。 (1998.05.03) 時系列がよくわからない。阿片を吸い始めたのがいつなのか。昨夜の出来事、下宿での出来事、ブライトンでの出来事。阿片中毒の状態で書かれた手紙だとすれば新聞の切り抜き以外は妄想という事もありうる。どこまで意図されたものかはわからないが受け取り方によっては傑作とも駄作とも見做し得る作品。 (2017.11.) |
( 秘密探偵雑誌 1923.07. ) ( 『黄色い霧』 奎運社 1926.08.20 )(国DC) 『松本泰集』 改造社・日本探偵小説全集7 1930.01.10 (国DC) 『昇降機殺人事件』 春陽堂日本小説文庫410 1936.10.15 『松本泰探偵小説選1』 論創社 2004.02.10 |
私の倫敦からの帰朝歓迎会に飛び入り参加した水野栄はH氏の絵を寄付したいという。家に寄り絵を見せてもらった帰途、再び水野見かけた。翌日、警部補である叔父が殺人事件のあった家の絵を鑑定して欲しいという。被害者は水野だった。 |
時間経過以外は偶然が多すぎ安易。落とし物がなければ、幽霊は眼鏡をつけたり外したりするかどうかが問題になったかもしれない。 (2017.12.) |
( 秘密探偵雑誌 1923.08. ) 『松本泰集』 改造社・日本探偵小説全集7 1930.01.10 (国DC) ( 『日本ミステリーの一世紀(上)』長谷部史親編 広済堂出版 1995.05.15 )(青空) 『松本泰探偵小説選1』 論創社 2004.02.10 |
泉原はY停車場で昔の恋人だったグヰンが三人連れでいるのを見かけ汽車に乗った。マーゲートで降りて一時間後、自動車で通り過ぎて行くのをみかけた。ギル探偵と翌日レジナホテルで緑衣のグヰンらき女の姿を見かけた。今朝亡くなったA老人の看護で一週間ほど前から滞在しているという。 |
車が来た横道や植木鉢の可能性が高そうという推理は面白い。グヰンに関しては謎が多く残る。 (2017.12.) |
( 秘密探偵雑誌 1923.09. ) 『松本泰集』 改造社・日本探偵小説全集7 1930.01.10 (国DC) 『松本泰探偵小説選1』 論創社 2004.02.10 |
湘南K町から横浜へ通う人々の倶楽部の例会が横浜の日進軒で行われ、佐伯昌二を連れていくから出席するようにと富田から私榎に連絡があった。例会に佐伯は来なかった。日華貿易会社社長の廣井宏造とは途中で別れたが廣井夫人からの問い合わせ電話があった。事務所が火事だが帰宅していないという。金山署長と知り合いの私は未亡人と共に焼け跡から発見れれた死体の確認に立ち会う。 |
珍しく伏線もあり最後に謎解きをする本格推理小説。手がかりも多く単純ではあるが。当時の公衆電話の仕組みを知らないので送話口の高さから身長を割り出せたのかどうかはわからない。駝鳥の卵の殻の灰皿が喜望峰の土産にあるのかもわからない。そして榎の職業自体がわからない。K町は大船で乗り換えなので多分鎌倉。 (2017.12.) |
( 雑誌童話 1923.09. )(夢現) |
久也は手紙を受け取ると郊外の家を出る母の後をつけていった。兄政一の家出と関係があるらしい。虎の門からの露天の並び、母は盲目の尺八吹きの帽子の中に紙包みを入れた。赤井警部に連絡し、その後母をつけていた男がいたカフェへ入るとはたして……。 |
脱力系。久也の年齢設定が幼いのかある程度の年齢なのかよくわからない。題名はフェイクか。 |
( サンデー毎日 1924.03.16〜30 ) ( 『死を繞る影』 奎運社 1926.09.20 )(国DC) 『松本泰集』 平凡社・現代大衆文学全集15 1928.07.01 『松本泰探偵小説選2』 論創社 2004.03.20 |
六年ぶりに倫敦を訪れた中泉がオードレー氏の晩餐に招待れれると氏の娘エバの侍女が昔の恋人ネリーだった。秘したまま別れた夜、ネリーは靴音と老主人の寝室あたりでの物音を聞く。料理人ヂムが確かめにいくとオードレーが金庫の前で首を絞められて死んでいた。カクストン探偵は現場を調べる。従者の関口は野口ダイのところにいたという。中泉は倫敦日本人の世話人の深川に会い清田梓を知る。 |
カクストンのホームズに代表される観察と日本人が犯人とする根拠が面白い。指紋検証もしてはいる。推測があたった話、偶然が解決したという域はでないが、ひねりの効いた佳作。 (2017.12.) |
( 婦人倶楽部 1924.07.〜09. )(夢現※) |
百万長者巽良三男爵の妻百合子は骨牌(はな)で借金があり娘に甘い母の房子に無心するが断られる。小間使いのお清にも恐喝する始末。村井夫人華子を脅し花房子爵邸での舞踏会で受け取る事にした。画家戸村早苗が催した仮面舞踏会。友人逸見が計画し閨秀画家真山真珠と先生格の鹿島みどりが準備に参加していた。同伴随意との事で知らない参加者も多い。喫茶室で林が見つけた死体は百合子だった。金石博士の見立ては殺人。駈け付けた黒泉捜査係長、春田探偵。行方不明の戸村、真山、下男の黄。春田探偵の捜査、友人西野に調査を頼む巽男爵。犯人は? |
犯人当て懸賞作品。ミスディレクションも多いが暗示的な描写も多い。決め手は無く、矛盾のない続編募集といったところか。 (2018.04.) |
( 主婦の友 1924.09.〜1925.04. ) ( 『黄色い霧』 奎運社 1926.08.20 )(国DC) 『松本泰集』 平凡社・現代大衆文学全集15 1928.07.01 『紫の謎』 真珠書院パール文庫 2014.06.10 |
金井家の娘静子と姪の田鶴子はロレンズ・スタルトを見送りに出た時に幽霊屋敷から警官が老爺を追っているのを見かけた。幽霊屋敷では倫敦から巴里へ出かけたという金井が殺されていた。倫敦の伊太利軒で金井をみたと話している緒方と中村。ソンと黄に監禁されたロレンゾ。田鶴子の従兄の門野は家の売却を勧めロックが見に来る。LL団の指輪。静子も黒手組に誘拐されてしまう。 |
乱歩の黒手組は1925年で全くの無関係。倫敦警視庁の四頭目の一人セージ探偵という人物が端役で登場するが、近所の無名の刑事が活躍する。田鶴子と刑事の通信手段やソンの動機など面白い点もあるが、誰が誰とどのような関係にあるかが謎の主眼か。 (2017.12.) |
( 家庭科学 1924.09. ) 『松本泰集』 改造社・日本探偵小説全集7 1930.01.10 (国DC) |
樺太から教師生活の後上京した田村鉄太郎。知り合いは去年の震災で丸ビルの会社が解散し行方がわからなくなっていた。あてもなく東京駅の待合室にいると迎えがきた。車が着いた先は盲目の堀江老人邸。人違いで目的の男は同じ待合室にいた男のようだった。ホテルに息子の堀江正一が訪ねてきた。面会謝絶で会ってくれないという。二人が会いにいくと八田医師と会った。急病かと思われた老人は鍵をかけた部屋からいなくなっていた。正一は部屋の様子から老人の行方を推量する。 |
田村と鉄太郎のコンビはキャラクター的に面白い。ありきたりで推測にしかならないが、盲目故の誤認や手がかりなども面白い。ちなみに密室ではなく抜け穴だが、道具が必要という意味では密室的といえなくもない。 (2018.01.) |
( 探偵文藝 1925.03. ) 『松本泰集』 改造社・日本探偵小説全集7 1930.01.10 (国DC) 『昇降機殺人事件』 春陽堂日本小説文庫410 1936.10.15 『松本泰探偵小説選1』 論創社 2004.02.10 |
伴信夫は渡英する前に未来を語る夢を見た。人を殺して追い詰められて吊り橋の塔から落ちる夢だった。英国では妻を惨殺して姿を消したノルマン・ベイリイに興味を持っていた。殺人鬼ジャックに劣らず殺人を犯し続けている。謎の女からの凶器がつまったトランクを運ぶ依頼。そして死体。 |
夢と現実が交錯する幻想的な話。ノルマン・ベイリイも殺人鬼かどうかわからない。全てがあいまい。 (2018.01.) |
( 探偵文藝 1925.04. ) ( 『死を繞る影』 奎運社 1926.09.20 )(国DC) 『松本泰集』 改造社・日本探偵小説全集7 1930.01.10 (国DC) 『松本泰探偵小説選1』 論創社 2004.02.10 |
九段坂上の雷屋、店主の小山、店員の早川文作と進藤賢蔵、給仕の私。進藤が出かけた後、男が店主に来た。早川はいつものバットではなくエアーシップを吸っている。私が使いから戻ると早川が拳銃で殺されていた。店主も男もいなかった。警部は小気味良く事件を解決していく。 |
警察があっさり解決する話。タバコ、指紋、利き手、コートなど手がかり多数。私が警視庁に入ったきっかけの話としては妥当な内容か。 (2018.01.) |
( 探偵文藝 1925.08.〜1926.01. ) 『松本泰集』 改造社・日本探偵小説全集7 1930.01.10 (国DC) 『松本泰探偵小説選1』 論創社 2004.02.10 |
羅府(ロス)の遊仙亭にてジョンス夫人がコカイン中毒で頓死した。指輪が無くなっていたのに気づいたのはボーイの鴻、北浦、コンマの三人で相前後して横浜にむかった。横浜。不良少年の亀田豊と原口が刑事に追われるが原口は逃れる。村上という男からの奇妙な依頼。お清。西洋人と中国人。指輪の行方は。 |
訳もわからず巻き込まれた亀田視点なので指輪の争奪戦という描写もほとんどない。村上の行動は意味不明。 (2018.01.) |
( 婦人倶楽部 1925.08.〜12. )(夢現※) |
神奈川県Y町近辺。土地の素封家大村義太郎の嗣子健一と土井修校長の嗣子ワは連れだって弁天池へ行き行方不明になった。性格が正反対で、ワは健一の妹康子の事を思っていた。健一は近々隣村の前田数江と結婚する事になっていた。義太郎の甥の小林が捜索に加わるなか、康子も行方不明になった。老巫女に助けられたワは康子を救出しようとする。 |
二組の男女がそれぞれを救い出そうという話と親子関係の話。探偵小説というより恋愛冒険小説で終わり良ければ全て良し。悪役は途中まで魅力的だったが腰砕け。 (2018.05.) |
( 中央公論 1926.01. ) ( 『炉辺と樹蔭』 岡倉書房 1935.12.16 )(国DC※) ( 『倫敦の薔薇』 青木書店 1940.07.15 )(国DC※) |
倫敦の黄色い塵埃を被った街の黄ばんだ家に住んでいた私。毎晩九時に下宿を出るウイーン出身のイグナチョ君、後をつけると窓を見上げていた……。下宿の内儀さんにこの街で起ったピムリコ事件というアデレイトの夫がモルヒネ中毒死した話を聞く……。 |
犯罪に関した事ではあるのでこの項に移動。猟奇趣味といえないこともない。 |
( 面白倶楽部 1926.01.〜05. ) 『松本泰探偵小説選3』 論創社 2017.08.30 |
私、織田春夫は日光で父蛭田利之助と共に旅を続けている蛭田静子と出会った。静子は友達になると不幸になるという。織田が東京に戻ると親友の佐藤からという助けを求める電話があった。出向くと土井と金子という男の罠だった。佐藤の昏睡と行方不明。静子の秘密を知る沢井牧師。松井と名乗る男。召使の岩田。私立探偵の橋口。そして梅田署司法主任の西本顕。静子の秘密とは。 |
次々といろいろな出来事が起きるが説明不足か読解力不足か、場当たり的な感は免れない。全体的に関係者がそろって秘密にしているので秘密になっているだけという感じ。織田が囚われた時のトリックは不必要に大仰で笑ってしまった。それぞれの大きさと太さのイメージ次第ではあるが。 (2017.11.) |
( 大阪時事新報 1926.01.01〜07.23(200回) ) 『松本泰集』 平凡社・現代大衆文学全集15 1928.07.01 |
青年は乗合自動車から飛び降りトラックに轢かれそうになった。紳士は跡をつける。東京ステーションホテルでは関東キネマの女優左近薫と友田謙次が会っていた。友田義太郎は大阪からでてきて九州ビルディングの笠原宏一探偵に息子の清次郎の捜査を依頼する。安川猛刑事は関東キネマの桂葉子を尾行していた。翌朝、笠原は探偵事務所の鍵が違っていて開かなかった。事務所には加瀬の絞殺死体があった。 加瀬夫人須磨子と愛人である薫の叔父土田。友田義太郎の娘の嫁ぎ先で九州ビルディングの旭貿易の経営者青木行信。使用人の加藤と運転手の石上。中国人の楊孟齢。宝石盗難、誘拐、贋造紙幣、強盗、麻薬、監禁。鎌倉での加藤の絞殺死体。毒殺未遂事件。過去の殺人事件。吉薗子爵邸仮面舞踏会での刺殺事件。赤毛の男。清次郎の行方は? それぞれの行く末は? |
黒幕と人物関係やその背景の謎、ロマンス要素という大筋において読ませる作品。すぐに解明されるが鍵の謎や人間消失や錯誤などトリック要素もちりばめられている。伏線もある程度あり面白い部分も多い。主人公が定まらない、行動が定まらない、細かな謎の放置や矛盾と思える事柄など、内容が盛り沢山で散漫なのが難点か。車が人力車の事だったり、切符からの推測、中国情勢など、時代認識も必要かもしれない。 (2017.11.) |
( 探偵文藝 1926.01.〜04. ) 『松本泰集』 平凡社・現代大衆文学全集15 1928.07.01 『「探偵文藝」傑作選 幻の探偵雑誌5』ミステリー文学資料館編 光文社文庫(み-19-05) 2001.02.20 (青空) 『松本泰探偵小説選1』 論創社 2004.02.10 |
飯田保次は倫敦滞在の費用も底をつき、職業を探す前に残りを一晩で使い果たすために画家の柏とサボイホテルで晩餐をとっていた。令嬢と老婦人、二人の仏蘭西人。帰る途中で令嬢と出会いタクシーで送り出したが路地には仏蘭西人が死んでいた。飯田はガスケル家にヒギンスとして雇われる事になった。老婦人との再会と招待。絵画の展覧会からの盗難。調査で訪れるカクストン探偵。ルグナンシェ、モニカ嬢、乞食の老人は。 |
日本人はLの発音が旨くいかない、は昔からか。偶然の出会いから偶然の結末。小道具的な面白さはあるが、運命の籤の行く末が主の物語。 (2017.12.) |
( 趣味の家庭 1926.02.〜 )(夢現※) |
(第一回のみ)私千早はコロンボを出てシンガポールに向う諏訪丸に乗っていた。日本人丸塚が三等船室にいた。ボンペイの宝石商ともう一人の印度人、プノー大尉、フランス人商人、毒鳥といわれているムーア夫人ら。海へ飛込んで助けられた印度人。夜、丸塚が船室へ来てムーア夫人が殺されていたという……(続く) |
後の「毒鳥」では航路が逆だが似た事件と登場人物なので大幅改稿したのかもしれない。続きが気になる。 |
( 探偵文藝 1926.05. ) 『松本泰集』 改造社・日本探偵小説全集7 1930.01.10 (国DC) 『松本泰探偵小説選1』 論創社 2004.02.10 |
私、謙八は旦那の世話で学校に通わせてもらっていた。震災以来家業が思わしくなかったが芸者お千代を落籍せていたし、酒癖も悪くて病に倒れた時には若旦那やお内儀さんと喧嘩もしていた。私とお嬢さん光子はどうする事もできなかった。私は旦那に薬を飲ませたり庭掃除の手伝いをしていた。意地汚い旦那が猫いらずの入ったお萩を盗み食いして死んだと思われたが。 |
真相は明かされず私が見た物を基に信じているだけ。不審死として解剖されれば直にわかる。震災時の井戸に毒という流言にも影響されたかもしれないというのは想像。 (2018.01.) |
( 探偵文藝 1926.06. ) ( 『死を繞る影』 奎運社 1926.09.20 )(国DC) 『松本泰探偵小説選1』 論創社 2004.02.10 |
警視庁の寺田刑事は下谷浅草の不良少年の団長の隼の哲治が実業界で勢力をもっている川崎家へ入って行ったのを見た。百円紙幣を持っていたので連行したが、川崎は仕事の報酬だという。女給の蘭子を張り合っていた重山は最近金回りが良いと訴える。蘭子が修理に出していた指輪には「最愛なる房子へ」とあった。房子は長谷部哲司の妹で横浜で教員をしていた。 |
哲治の行動が今一つ理解できない。しいていえば刑事の執念が実を結んだ話。 (2018.02.) |
( 探偵文藝 1926.07. ) 『松本泰集』 改造社・日本探偵小説全集7 1930.01.10 (国DC) 『松本泰探偵小説選1』 論創社 2004.02.10 |
青物商村田屋には亭主、内儀、継子のお千香がいた。内儀の兄、中川銀行の小使の山川にはお秀という子がいた。亭主はチェリーをお千香に頼むが翌朝、奥澤機関手がお千香の絞殺死体発見した。バナナを盗んだ建具屋の金三郎が大入道を目撃。犯行時に山川は宿直だった。捜査課長、小林刑事が調査していくと。 |
蝙蝠傘から証拠が出る趣向。アリバイ物でもある。往復切符というのも面白い。捜査によって判明する後出しなので本格物とはいえないが。 (2018.01.) |
( 探偵文藝 1926.07. ) 『松本泰探偵小説選1』 論創社 2004.02.10 |
私は毎土曜に七十に近い老マーシャル探偵と会い、彼は自ら扱った事件を話してくれた。前代議士の金持ちワット氏から別居中の夫人と和解したいという。夫人は拒否。ワット氏はマーシャル探偵を買収しようとするのみならず。 |
半七捕物帳類似形式での創作か翻案かは不明。そこまでやるか、やる人がいるのか、という滑稽譚。 (2018.01.) |
( キング 1926.07.〜09. ) ( 『清風荘事件』 春陽堂日本小説文庫306 1933.06.25 ) 『清風荘事件』 春陽文庫探偵CLUB(C94-01) 1995.07.10 |
花園子爵が会長のテニス倶楽部で年一度花園カップが行われる。女流選手の塩川明子を得た川部、優勝した恋の敗者増田、友人新井、明子の姉良子と佐伯の夫妻。カップに入れたカクテルを六人で回し飲みし最後の増田が毒で死んだ。カクテルを作った田中は行方不明。クラブの給仕長佐藤。トンボ薬屋から盗まれた毒薬。指紋を消したお菊。鶴巻刑事らの活躍。しかし増田の直前に飲んだ川部以外に毒は入れられそうにない。佐伯らは栗原探偵に依頼する。 |
テニスを題材に本格的要素を盛り込んだ作品。ではあるが犯人ではない理由が弱く目撃に頼っているのとトリックとはいえないトリックは脱力感が大きい。何かある程度ではなく、もう少し伏線として描写していたら本格探偵小説として残った作品になったかもしれない。 (2018.03.) |
( 探偵文藝 1926.08. ) 『松本泰集』 改造社・日本探偵小説全集7 1930.01.10 (国DC) 『松本泰探偵小説選1』 論創社 2004.02.10 |
私立探偵の私のもとに細菌学者の澤井博士から姪の結婚祝いに二千円で買った宝石首飾りが無くなったので探して欲しいとの依頼があった。居間で少し目を離した間に無くなっていたという。動物を世話している少年。買ったという宝石商。博士は杉山博士が陥れようとしていると言うが。 |
学問上の競争者の正体には脱帽。少年の母も良い味を出している。ユーモアミステリー。 (2018.01.) |
( 探偵文藝 1926.08. ) 『松本泰探偵小説選1』 論創社 2004.02.10 |
モルヒネの愛用者である息子が寄宿舎へ向かう途中でいなくなった。未亡人の依頼でマーシャル探偵は見つけだそうとする。モルヒネ中毒になった息子のその後は。 |
一度失敗するところなど滑稽な部分もあるが、ありきたりで埋め草的な作品としか思えない。 (2018.01.) |
( 苦楽 1926.10. ) 『松本泰集』 改造社・日本探偵小説全集7 1930.01.10 (国DC) 『創作探偵小説選集 第二輯 一九二六年版』探偵趣味の会編 春陽堂書店 1927.02.10/1994.04.10復刻版 (国DC※) 『松本泰探偵小説選2』 論創社 2004.03.20 『探偵小説の風景 トラフィック・コレクション(上)』ミステリー文学資料館編 光文社文庫(み-19-33) 2009.05.20 |
浅田の隣家の老婆米本が殺された。発見者は下宿人の衣川。夜中に聞いたマンドリンの音。浅田は弟の事を思いながら墓参してから事務所へ行くと中野署刑事有吉俊太郎が来ていたという。金杉病院から妻の折江が交通事故で怪我との連絡が入る。折江は内緒で妻の従姉の山本京子に会いにいったのだろうか。 |
高円寺老婆殺し事件の秘められた話。前夜からの約束なのか、その後の約束なのか。最後は良い終わり方をしている。 (2017.11.) |
( 面白倶楽部 1926.10. )(夢現) |
俺、瀧本は自動車の機械工として働いていた。仕事が溜まっている事もあり、親方が押川という男をつれてきた。押川は夜遅くまで働き、能率増進法の本も読んでいた。親方の娘お花坊も手本にするように言う。俺と押川は競走のようになり、そこへ来たのは……。 |
風刺小説とあるがユーモア小説。瀧本と親方が良い感じ。 |
( 騒人 1926.10. ) ( 『炉辺と樹蔭』 岡倉書房 1935.12.16 )(国DC※) ( 『倫敦の薔薇』 青木書店 1940.07.15 )(国DC※) |
日本人の私マッケイは下宿の娘マリオンにホワイトと比較され喧嘩のようになって一人バックストンまで行く。三姉妹の家で飲み物を請うと……。 |
犯罪に関した事ではあるのでこの項に移動。 |
( 探偵文藝 1926.10.〜11. )(夢現) |
相沢家には若旦那の清賢、義弟の保男、老当主保太郎、女中のお高とお留が住んでいた。屋敷を伺う謎の男。浜田の小母さん。金を受取って姿を消していたが戻ってきているらしい留岡という男。当主に届いた脅迫状。保太郎が……。 |
長篇探偵小説とのことだが、ほぼ人物紹介と思わせぶりな雰囲気で中絶。 |
( 探偵文藝 1926.11. ) 『松本泰探偵小説選1』 論創社 2004.02.10 |
老婦人の秘書の元に脅迫状が届いていた。マーシャル探偵は綴り間違いの癖を見つけて調査する。 |
意外な犯人を狙ったものだろうか。明かされる動機は確かに意外性があるかもしれない。 (2018.01.) |
( キング 1926.11.〜12.,1927.02. ) 『松本泰探偵小説選3』 論創社 2017.08.30 |
東京魚籃坂で骨董品屋を出していた父が亡くなり相続する事になった佐藤。しきりに売却を勧める川田老人。父と同居していた柏木半三郎爺さん。京都から店へ行くと、半三郎が殺されていた。こじ開けられた窓の閂。格闘のあと。掻き回された引き出し。盗まれていた金庫。物音を聞かなかった二階の住人。田中忠輔という男は嫦娥の冠という宝石が店に隠されているという。川田老人はそのいきさつを語る。父と懇意だったいう神原澄子。田中は二人の部下を連れて店へのりこんできた。 |
意外とまとまった出来の良い作品。伏線に対する細かな説明はないが矛盾する事もなさそう。殺人事件、過去の事件、暗号通信、隠し場所、それぞれは簡単だがほぼ判明してから次の謎へ、という構成が読ませる作品になっているように思われる。 (2017.11.) |
( 週刊朝日 1927.01.09 ) 『松本泰集』 改造社・日本探偵小説全集7 1930.01.10 (国DC) |
藤園男爵は老女中と若い女中と友人の敷地内別邸に住んでいた。新たに採用された運転手から手紙を受け取るが声楽家伴露子からではなかった。露子は理由も告げず二日間不在になるという。藤園が紀尾井町の文化アパートへ訪れると男と女の声がしていた。部屋へ飛び込むと頭を殴られて気絶。藤園家では夜中に戻ったようだが朝にはいなくなっていたという。中島刑事が捜査すると老人と二人で引き払った後だった。その後、藤園の行方を知らせる連絡が。 |
銀座の孔雀とは想像外。骸骨団とは。運転手は。語られざる背景が多い。アルコール中毒の遺伝は謎だが、伊藤一隆の影響があったのかもしれない。 (2018.01.) |
( 郊外 1927.03. ) ( 『炉辺と樹蔭』 岡倉書房 1935.12.16 )(国DC※) |
倫敦郊外の下宿。老写真師は状況してきたばかりの若者に語る。リットモンドで街燈写真屋をしていて若い水兵の写真を撮る。喧嘩騒ぎがあり……。 |
犯罪に関した事ではあるのでこの項に移動。 |
( 文藝倶楽部増刊 1927.04. ) ( 『大衆文学集 昭和四年版』 新潮社 1929.05.14(国17) )(国DC※) 『松本泰集』 改造社・日本探偵小説全集7 1930.01.10 (国DC) 『松本泰探偵小説選2』 論創社 2004.03.20 |
A町青海ホテル。精養軒の舞踏会から早々に戻ってきた赤城夫人。指輪をなくした農学士森口由太郎。赤城夫人と艶聞のある舞台演奏家の三保譲次。三保の妻俊子は赤城夫人と口論をする。前科のある橋本滋。支配人の田久保。俊子が赤城夫人の死体を発見し、赤城久平もホテルへ戻ってくる。壊されたギター、飛び出してきた料理人の白猫、凶器の文鎮、無くなった指輪、久平の帽子。署長が調査するなか、森口、橋本、三保がホテルからいなくなった。 |
A町は熱海であろうか。警察の通常活動で得たいろいろな手がかりから署長が犯人を指摘する話で実話と探偵小説の融合に近いかもしれない。 (2018.01.) |
( 騒人 1927.05. )(夢現) ( 『炉辺と樹蔭』 岡倉書房 1935.12.16 )(国DC※) ( 『倫敦の薔薇』 青木書店 1940.07.15 )(国DC※) |
私が英国へ留学する途中の船、新嘉坡を過ぎ投身自殺を図った印度人。古倫母の前で再び。船に乗っていた毒鳥といわれているムーア夫人に関係していたという……。 |
夫人から話を聞くと実は、というだけであるが広い意味での探偵小説要素もある。「霧の中の謎」の前編ともいえる。 |
( キング 1927.06. )(夢現) |
倫敦の霧の中、私は影山と出会う。脱船してきたというので印度人の給仕人を世話する。やがて、彼はひどい目にあったと逃げてきた。女探偵が……。 |
思わぬ事件にに関与していたのが後でわかる話。実話混じりの話だろうか。 |
( 週刊朝日 1927.06.15 ) 『松本泰集』 改造社・日本探偵小説全集7 1930.01.10 (国DC) 『昇降機殺人事件』 春陽堂日本小説文庫410 1936.10.15 『松本泰探偵小説選2』 論創社 2004.03.20 |
四谷署の新坂刑事が二人連れを連行したのが金曜日事件の大詰。X新聞社会部堀田は桑間警部補と共に西荻窪の田久澤宅へ。女中から片目を抉られた動物の死骸が金曜日毎に投げ込まれるという訴えがあったからだ。一週間後、堀田が見張っていると現れたのは私立探偵だった。不二商会では田久澤賢が殺害され、知らせを聞いた泉巡査は会見予定だった金森歯科医院を訪ねると。 |
章の冒頭に人物紹介のような文を入れているのは珍しい趣向。目には目を、歯には歯を、ではない作品。フラマリオンの本は泰の訳書でもある。 (2017.12.) |
( 騒人 1927.10. )(夢現※) |
外国雑誌に載っていたたが紛失したという男から聞いた話。二人の男がカフェで話し合っている。一人の男がジュリイと若い女の二人連れのホテルの部屋から宝石を盗んだが女に誰何され逃げる。マルセーユで贓品買のジュス婆さんに千フラン、パリの男を紹介される。ホテルで、列車で、男のところで二人連れを見かける……。 |
実質内容は翻案コント。脱力的なオチと気の利いたオチの二段構成で三段目がないのは少し残念。あれば大幅引用の作品ともいえたのだが。(元がわかれば翻訳に移動するかも) |
( 日本少年 1927.10. )(夢現) |
和夫は兄鉄夫を駅まで迎えに行くが会えず、結局帰ってこなかった。翌朝、田の端の溝で顔を砕かれた死体が発見された。鉄夫は青葉倶楽部の投手で、紅倶楽部との試合が間近だった。いなくなっていた犬のジョンが見つかり……。 |
全てやりすぎの凡打というところか。疑惑を抱く理由以外は安易な作品。 |
( キング 1927.12. ) 『松本泰探偵小説選2』 論創社 2004.03.20 |
横浜、三水商会の地下室から顔を粉砕された裸体の死体が見つかった。義歯から岩本歯科医は社長三室龍造と言うが、支配人の水田鮮太郎は十日前に上海に発って荷物も届いているという。同行するはずだった店員佐伯。姪のちさとと夫瀬戸口。甥の河端実。手紙に不信を感じた加賀署の窪田刑事。火の番小舎の少年が見た鼻のない川獺のお化けとは。 |
顔のない死体でかつ本格味はあるが、結局は犯人が墓穴を掘った話。上海へは横浜からではなく神戸からという前提が抜けていて少し混乱する。 (2018.01.) |
( クラク 1928.02. ) 『松本泰集』 改造社・日本探偵小説全集7 1930.01.10 (国DC) 『松本泰探偵小説選2』 論創社 2004.03.20 |
倉持は生まれたばかりの子供芳彦に会いに妻菊野と妻の姉花野のいる鎌倉の別宅へ行った。帰途、五歳の太郎のいる妾の駒の妾宅へ。一年後、芳彦が誘拐された。倉持は反対を押し切って私立探偵の笠原に依頼する。 |
中野町文化村二四という住所は気になる。本妻と妾の子を巡る確執譚はありきたりだが、主人公の子を思う心情は和むものがある。 (2017.12.) |
( 初出不明 ) 『松本泰集』 平凡社・現代大衆文学全集15 1928.07.01 『昇降機殺人事件』 春陽堂日本小説文庫410 1936.10.15 『紫の謎』 真珠書院パール文庫 2014.06.10 |
女学校の卒業の日、吉野友子の父常行は迎えに来なかった。校長マザー・カメロンは病気だと言うが刑務所からの手紙であった。同級の柏木愛子の援助で梅田から東京へ夜行に乗る。親切な大村進によって父と面会できたが、姉という良子とは子犬の話をしていた。四谷見附の家での人殺しという叫び声。湯島の菊廼屋の紫夫人の変死。鳥山弁護士、澤木、具、前川、服部、敵か味方か。 |
梅田東京間が六円三十五銭ですか。東京での活動費や硫酸使用、白と斑と三毛の違いなど首をかしげる点は多々あるが、木澤やウクなど捻りも。パール文庫採用は意外。単独で単行本化されていない作品は松本泰だけではなかろうか。 (2017.12.) |
( 初出不明 ) 『松本泰集』 改造社・日本探偵小説全集7 1930.01.10 (国DC) |
美保子の父の腰本老人は、須磨にいる金森伯父の病気見舞いから慌ただしく帰宅した。窓ガラスへの投石。狙われているという。万一の事があった場合にと犯人の名前を記した紙を隠す老人。美保子の夫で婿養子の正道。金森の所へ寄ってから姿を現したアメリカ帰りの弟の寛。見ていた夫婦の子の勇。そして老人は失踪し、目黒署の若松刑事が解明する。 |
腰本老人の謎の言動が主。それぞれの人が何かのきっかけで平穏な日々を過ごせなくなる話で文学的主題をもっている。探偵小説と文芸小説との融合という意味では佳作かもしれない。題名と誰が主人公かという点において。 (2018.01.) |
( 講談倶楽部 1930.05. ) ( 『清風荘事件』 春陽堂日本小説文庫306 1933.06.25 ) 『清風荘事件』 春陽文庫探偵CLUB(C94-01) 1995.07.10 |
仮装舞踏会に若い妻が来ているというので黒猫の仮面をつけて乗り込んだ谷男爵。夫人が刺されたという事で帰宅したが富貴子は呼び出されて不在だった。富貴子は翌日も実家へ行くと出かけたが、昔の恋人の鯉渕と会っていた。そこで見たものは。本郷静子、花村、そして小原医学博士の処置とは。 |
三人の黒猫仮面も偶然、似ているのも偶然、似ていないのに偽者なのも出会うのもご都合主義。男性から見た良妻を描いているのと医学博士の処置でほのぼのとした話になっている。 (2018.03.) |
( コドモのテキスト 1930.12.(1月放送号) )(夢現) |
JOAK放送探偵物語1月14日甲賀三郎、15日大下宇陀児、16日松本泰。ある海浜の町で宝の甕が盗まれました。譲治少年とその友達の春子は悪漢の隠れ家を突止めて乗り込むが無人島に押しこめられます。頭の上に現われた飛行機も消去って了いました。 |
中央に結末と思われる絵と説明文、周囲に12コマのストーリーの絵を配している。台本として分担執筆されたのかどうか不明。 追記:「海辺の秘密」日本少年 1935.08.?〜10.? と同内容と思われます。甲賀三郎と大下宇陀児は出演者ということかも。 |
( 日曜報知 1930.11.16 ) ( 『清風荘事件』 春陽堂日本小説文庫306 1933.06.25 ) 『清風荘事件』 春陽文庫探偵CLUB(C94-01) 1995.07.10 |
滝野川の北村から隣人の越山家の様子が変だとの訴えで司法主任倉木らが邸内を調べると主人の越山愛次郎が殺されて妻はいなかった。風呂場にあった短刀についていた血は愛次郎のものではなかった。妻の先夫との子照子に接触してきた高田と近藤。妻はどこに。 |
駄作。題名は何でも良いし偶然すぎる。犯行も稚拙、照子が知っているのもほとんど残っているのも謎。 (2018.03.) |
犯罪科学 1931.01.(1931.01.〜07.) ( 『清風荘事件』 春陽堂日本小説文庫306 1933.06.25 ) 『清風荘事件』 春陽文庫探偵CLUB(C94-01) 1995.07.10 (青空) |
数寄屋橋ナイル・カフェの経営者海保には盲目の娘みのりがいた。哈爾浜から来た男に付け狙われている女給横山波瑠子は男の父が張から奪ったダイヤモンドをさらに奪い、船から投身死を装っていたのだ。波瑠子は男と十一時半に鎌田の水明館で会う約束をする。海保とも十一時半に鎌田の水明館で会う約束をし、みのりには点字を残していった。朋輩の信子には手紙を渡す。海保の以前の女性は花江と言った。海保に未練のある百合江は波瑠子と一緒にいたが十一時過ぎに別れた。 深夜みのりは階下の店で襲われる。翌朝、水明館裏で顔のない惨殺死体が発見された。波瑠子の死を信じないみのりは横浜のピアノの先生のところへ家出する。海保の内隠袋には。 |
点字の説明は同時掲載の次話にある。事件の詳細は第三話にある。場面としては完結しているが説明不足なのは否めない。 (2018.03.) |
・「光と闇の幻想」1931.01.今井達夫(1904.03.03-1978.05.06):横浜山手のピアノ教師八尋の家にいるみのり。そこには怪しいコック陳がいた。一方、海保は花江と隠れ家で会っていた。そこへ現れた木川国男と名乗る哈爾浜から来た男はみのりの安全と引き換えに波瑠子とダイヤモンドを要求したのだった。神宮球場に現れた波瑠子は青年会館屋上で一人の男がもう一人の男を突き落とすのを目撃する。 ・「光は薄る」1931.02.川田功(1885.03.or1982.-1931.05.28):結局海保は木川にダイヤを渡す。お金にするには支那人の金を通す事になるので取り返す算段をつけようとしたが金はコックの陳に化けていたらしく行方がわからなかった。水明館での真相を知る海保は点字で、木川は金からの偽手紙で波瑠子に青年会館へ呼び出される。瀕死の木川からダイヤを奪った波瑠子だがみのりから偽物だと告げられた。金と会った波瑠子は海保が警察にいると知らされる。 ・「黒鍵の秘密」1931.02.藤浦洸(1898.09.01-1979.03.13):八尋光吉のピアノ独奏会が青年会館で行われた。八尋の音楽観。波瑠子に近づく謎の男。ショパン、ドビッシー、ラヴェル。第三部の緞帳があがり最後のワルツ変ホ長調。謎の男はE嬰音の黒鍵に注意するように告げる。八尋の演奏の乱れとみのりの叫び。波瑠子は帰途、タクシーの運転手に謎の男を見た。 ・「霧の意匠」1931.03.大木篤夫(1895.04.18-1977.07.19):帰宅した八尋とみのりはダイヤを盗まれたのを知る。波瑠子はパラダイス・クラブの主人青塚貝三郎に捕らえられていた。青塚が盗んだダイヤは偽物だった。八尋を捕らえるが彼は知らない。信子は八尋と波瑠子を助けようとするが彼女の持っていたダイヤも偽物だった。(付記:感冒発熱の為に口述筆記。願わくは愚作については多く咎めたまわざらんことを) ・「太陽と青空を主題にした間奏曲」1931.03.松平澤太:兜町¬三の走り使い栃郎は下谷根岸の青塚の住居に追証の請求に行ったが不在で横浜に連れて行かれた。そこでパラダイス・クラブの秘密を見てしまう。栃郎は以前は花売りをしていて八尋とみのりとは知り合いだった。パラダイス・クラブで見た女はみのりに見せてもらった写真の中にあった。銀座裏の忠勝三郎探偵事務所に来たルイ・イワノフ。栃郎も来る。ダイヤの来歴とは。 ・「黒耀群像」1931.04.大島十九郎:上海、陳啓文が持ち込んだ宝石を龍伯が競売しようとする。カルトンキャフェの踊り子百合子、客のエドワード黄、そして正気付いた哈爾浜の男木川。百合子と木川、重傷を負わされた陳は宝石を奪い返そうとする。 ・「波瑠子と百合江」1931.05.浅野玄府(1893.05.-1970):栃郎は八尋とみのりと話すうちに波瑠子がいなくなった姉ではないかと確信する。探偵事務所からの帰りに出会った花島謹吾は百合江とも名乗るとく子の姉だった。新青年や犯罪科学を読む謹吾は探偵し海保を見つけ追い詰めるが見失ってしまう。その代わりに二人の男がぶつかるのを見た。 ・「密室の呪詛者」1931.06.青山龍三:ぶつかって倒れていた男の後をつけていく謹吾。洋館から聞こえる男と女の会話。男を殺して押し入る男。壁の中の秘密の密室では押し入った男と女の会話が聞こえる。上海から戻った張文令だった。 ・「運命の旋風」1931.07.吉田甲子太郎(1894.03.23-1957.01.08):完結か。宝石を手に入れた謹吾と波瑠子は隠れ住んでいたがいよいよ台湾へ向かうことにした。船中に現れた宝石を狙う海保に青塚。海に飛び込んだ二人を見る謹吾の肩をたたいた男、それは忠勝三郎だった。 |
今井達夫はつなぎ。川田功は説明不足のまとめ役として光る。藤浦洸は繋がりは悪いが単独では専門を生かして良い感じ。大木篤夫はくどく妖美感もなく駄作。松平澤太は株に関係した人だろうか。詳細不明。偶然の多用が難点。大島十九郎は場面が飛び飛びで繋がりが悪い。浅野玄府は大木と松平の補足とつなぎ。偶然は運命の必然として処理。青山龍三は代名詞が多くて誰が誰だかよくわからない。伏字でわかり難い部分もある。吉田甲子太郎は隠し方で探偵小説的要素もある。大団円こそないが完結させたようだ。 総じて大筋はあるが人物の背景性格は作者毎にまちまち。初話の殺人事件は第三話でほぼ確定、宝石は偽物が多く混乱する。各話は、探偵小説的、猟奇的、耽美的、実話的それぞれ専門と思える傾向があり狙いとしては悪くないが繋がりが悪い。単独で藤浦洸(狙いが意表をつかれた)、初回の松本泰、まとめで川田功と吉田甲子太郎、やや落ちるが浅野玄府がまともな部類。説明不足や矛盾を抱えたまま、編集者が変わった後の一話で打ち切りか、甲子太郎以降掲載されていないもよう(目次に連作名が無く見逃しているかもしれない)。 (2018.03.) |
( 朝日 1931.07. ) 『昇降機殺人事件』 春陽堂日本小説文庫410 1936.10.15 (夢現) |
私は古道具屋で直径二寸高さ三寸の蓋と身の合わさった品物を買った。苦労してあけると、幾種類もの髪の毛を束ねたものが入っていた。同窓会では高野君が傷を負っていた。写真の裏に髪を留めたのと場所も時刻も同じ。隣家の子守の写真で実験しても同様な結果だった。馬で儲けたが負傷して最寄りの医院へ行くと。 |
翻案とも思われる内容。不思議話からユーモア味ある結末へ。 (2018.04.) |
( 講談倶楽部 1931.08. )(夢現※) |
金持の叔母は姪のメイリーと瑞西へ。ルーシェン湖で同じ船に乗り込んだ恋人のトム。犬のペギー……。 |
コント。翻訳か翻案と思われるが不詳。 |
( 日曜報知 1931.09.27 ) ( 『清風荘事件』 春陽堂日本小説文庫306 1933.06.25 ) 『清風荘事件』 春陽文庫探偵CLUB(C94-01) 1995.07.10 |
息子正丸のために翠館旅館を建てたという鳥波老人。息子を騙そうとしている女給満津子に憤慨している。満津子と滞在客の金満家早川、ナプキン紙にメモを残す男。真夜中の三人別々の帰館。コックと女中が泥棒に入られたのを見つけ酒場係の門倉も酒を飲んでいったという。老人は手提げ金庫を盗まれたという。正丸は昏睡状態で縛られていた。司法主任の高木警部が犯人逮捕を告げる。 |
極一部だが手懸りとなる描写をしている。ありきたりではあるが好感度のある作品。 (2018.03.) |
( 中外商業新報 1932.05.25〜12.12(201回) )(夢現) |
荻窪の足利、妹美波子、午後四時になると鳥波伊佐子に会いにいく谷口正信、山邊正信、妹靖子。運転手川路力松、谷口の隣家から引っ越した大江麗子。谷口は親のもとを飛出すが伊佐子は谷口の前から姿を消す。麗子は徳永病院で看護婦見習いとなるがやめることとなり、女給となる。谷口と川路の出会い。谷口は西嶋の劇場へ就職するがやめることになる。そして就職活動。逗子での誘拐事件、復讐、殺人事件……。 |
ブルジョアの息子の青春物語、誘拐や殺人事件つき。事件は謎はあるものの偶然やあたりをつけて、という程度のもの。登場人物は私的にやな奴がばかりだが、僕っ娘が良い味を出している。 |
( 犯罪公論 1932.07. ) ( 『清風荘事件』 春陽堂日本小説文庫306 1933.06.25 ) 『清風荘事件』 春陽文庫探偵CLUB(C94-01) 1995.07.10 (青空) |
伊東は喜望峰でのイサベルとのことを思い出しながら勝浦へ通じる道を帰宅していた。途中で見かけた轢死人は及川武太郎だった。武太郎の妹で旧友宝沢法人の従妹でもある柳亭の女将お玉と料理番の佐吉爺さんが身元確認できていた。帰宅すると留守中に宝沢が来ていたがボートに乗って兜岩へと行ったという。海は嵐に荒れてきた。 |
題名は意味深で悪くない。日記に始まり日記に終わる、真偽不明の日記形式という趣向も面白い。後出し記述など探偵小説としての出来は良くない。動機もありきたりだが伏線が無いとまではいえない。良くはないが悪くもない微妙な作品。 (2018.03.) |
( 講談倶楽部 1932.12. ) ( 『清風荘事件』 春陽堂日本小説文庫306 1933.06.25 ) 『清風荘事件』 春陽文庫探偵CLUB(C94-01) 1995.07.10 『松本泰探偵小説選2』 論創社 2004.03.20 |
桜商会のタイピスト森波津子。三階建て洋館の清風荘の経営をしている久子。倉林との交際がもとで横浜の寄宿舎に入れられた娘の珠子。波津子の世話で女中をしている俊子。三階の住人は波津子と同じ会社の倉林と同室の志津田。隣室は豊島中学の漢文の先生の浦辺老人。二階の住人は洋服仕立て職の橋口と画家の野原。隣の高利貸し玉城と番頭の加藤。女たらしの倉林が刺殺された。犯人は部屋の配置から志津田以外に考えられない。浦辺老人の不在、珠子の帰宅。神楽坂署新藤刑事は調査するが。 |
謎の提示と展開が良いだけに、最後の脱力感は大きい。短編の割に登場人物が多すぎるが、それを伏線としているとも思われる。倉林の遺品か横浜繋がりの伏線があれば、脱力系の傑作になっていたかもしれない。 (2018.01.) |
( 犯罪公論 1933.02. ) ( 『清風荘事件』 春陽堂日本小説文庫306 1933.06.25 ) 『清風荘事件』 春陽文庫探偵CLUB(C94-01) 1995.07.10 |
目黒競馬場裏で若い女の絞死体を受験生の漆原が発見した。思い出酒場の女将ときみによって及川千賀子と判明した。前日まで横浜のグリーン・パーラーで女給をしていたが、主人青木偕太郎は突然辞めたという。運転手の赤池とは喧嘩別れしたという。偕太郎の子理一は一緒に横浜渋谷電車に乗ったらしい。引っ越し荷物の発送を受けた草刈麦人は探偵となり調査報告を手紙で旧友の探偵作家杜道夫に送る。 |
偶然の多用。容疑者が移り替わるとともに場面と関係者も一新される手法は失敗している。全て手紙形式なら良かったかもしれない。出会いのきっかけではなくそれが動機なら意外な動機の作品になっていたかもしれない。 (2018.03.) |
( 日曜報知 1933.04.16 ) 『昇降機殺人事件』 春陽堂日本小説文庫410 1936.10.15 (夢現) |
郊外に不似合いな萱葺屋根の家がそこだけ買われずに残っている。明治初年、鍬吉老人は師走の金策で馬を売ったが居酒屋で盗まれてしまった。神社で一夜を過ごすと夜中に盗賊が尾張屋質店から盗んだ品物を隠すのを見た。その後、千里眼の鍬さんは地主の依頼や長者の当て物によびだされる。 |
落語ネタにありそうなユーモラスな話。なぜ桃なのかは謎。 (2018.04.) |
( 国民新聞 1933.04.30,05.07,14,21 )※9(夢現) |
本家で貧乏の正樹と分家で裕福な行夫の家では仲違いをしていた。原因は祖父の頃に千両箱が無くなったことによるらしい。二人は千両箱を探しに兜岩へ探検に行くことに……。 |
日曜の少年少女版に掲載、新時代小説との事。安易で御都合主義の冒険小説。 |
( 初出不明 ) ( 『清風荘事件』 春陽堂日本小説文庫306 1933.06.25 ) 『清風荘事件』 春陽文庫探偵CLUB(C94-01) 1995.07.10 (青空) |
サンフランシスコの公園で川瀬は男に助けを求められたが夜のホテルでの再会を約して別れた。その後並山副領事と会うがざらにある事だと言われる。来なかった男は翌朝ホテルの近くで殺されていた。帰国後、送別時の贈り物の中に謎の物が紛れていた。 |
渡米後の作品だろうか。謎は謎のままでサンフランシスコは謎の街という事なのだろうか。 (2018.03.) |
( 国民新聞 1933.09.10,17,23 )※9(夢現) |
績少年はブラジル視察中で留守の伯父の洋館に行く。鎧戸の開閉、盗まれたナイフ。父と入るがおかしなところはない。窓の数も気になり夕方に再び行くと……。 |
日曜の少年少女版に掲載、新時代怪奇小説との事。唖然とする唐突な結末。幽霊の正体見たり、という意味では怪談かもしれないが。 |
( 講談倶楽部 1933.12. ) 『昇降機殺人事件』 春陽堂日本小説文庫410 1936.10.15 『松本泰探偵小説選2』 論創社 2004.03.20 |
葛城陸雄と夏目千鶴子は伯父葛城惣平に金か恋かを迫られる。千鶴子が惣平の愛人と知った陸雄は彼女のアパートから飛び出して行った。その夜、X新聞記者隼田と百瀬が公園のベンチで惣平の死体を発見した。陸雄との婚約を解消した隼田の従妹の杉浦漾子、漾子の父の洋三と未亡人の洋三の姉節。高利貸し牧久太郎から借りていた陸雄。毒物研究科の栗原医学士のところにあった服毒後数時間で反応する毒。陸雄が逮捕され、漾子と隼田と百瀬は牧の事務所のタイピスト三好則子から手がかりを得るなど素人探偵が活躍する。 |
タイムテーブルを入れるなど本格的要素があると思わせて、意外な犯人や動機のみの脱力系作品。誰が犯人でもおかしくはなく、動機によって除外していっているようにも思えるが、結局は後出しの告白待ち。放浪詩人は不明。慈善事業だったのだろうか。 (2018.01.) |
( 国民新聞 1933.12.17,24,1934.01.07,14,21 )※9(夢現) |
球子はサーカスに案内されて見るが入場料を請求される。姉由子の真珠の首飾りを持ち出し渡すが高価な物だった。近所の民雄に相談し金を払って取り戻そうと黒光館へ行くがそんな男は知らないという。飛行機工場に勤める父、民雄の愛犬五郎、家庭教師の金谷、火事、飛行機に関する重要書類……。 |
日曜の少年少女版に掲載、新時代小説との事。主人公は幼く空回りし過ぎ。筋は悪くはないが安易でご都合主義。国策に直接言及するのは珍しいかも。 |
( 少年倶楽部 1934.04. )(夢現) |
英国貨物船とらファルガル号に乗って十七歳で三等運転士になったウイリヤム少年。オルソンは彼に意地悪をする。熱病が船内に持ちこまれ船長、一等運転士、二等運転士と亡くなる。少年は船長の代行をするが水夫らは従わない。そんな時……。 |
奮闘出世の角書き。創作か実話かは不明。単純な話で突っ込み所は満載。 |
( 話 1934.05. )(夢現※) |
英国某村にモリイという美人がいた。ネッドに接吻を請うが彼はオリバーのように地主に馘首されるのを恐れて断わる。地主が殺され……。 |
コント風作品。翻訳か翻案か実話かは不明。 |
( サンデー毎日 1934.06.17 ) 『昇降機殺人事件』 春陽堂日本小説文庫410 1936.10.15 (夢現) |
屋敷が斜めに途切れている由来。旗本青木藤左衛門の孫には亨太と祐子がいた。亨太には半分頂戴という口癖があった。藤左衛門はかつて家老の息子を殺害した妻の兄の子為成を匿うが責められ松平の家臣に首を渡してしまう。為成は呪いながら死んでいった。藤左衛門の長男は非業の死をとげ次男も行方知れず。そして小間使いお千代を想う亨太もまた。 |
末代まで祟ったのだろうか。男系の直系が対象なのかはよくわからない。斜めなのは池も半分にする為なのだろうか。一見単純な因縁話だが考えれば考えるほどわからなくなる。 (2018.04.) |
( 雄辯 1934.07. ) 『昇降機殺人事件』 春陽堂日本小説文庫410 1936.10.15 『松本泰探偵小説選2』 論創社 2004.03.20 |
夜更けの大昭ビルの五階、夜警の塚本延造老人は細川に訪問客が昇降機に向かったという。許嫁瀬戸口志磨子、大学時代の同窓相原陽一と妹相原咲子、立山、倉田らは舞踏会の最中だった。十一時、細川が帰る時に昇降機で死体を発見するが電話を受ける間に消えてしまった。翌朝見つかった死体は林高三で細川は小田原で林瑶子夫人と会う予定だった。謎の易者鎌倉夢子の勧めで身を隠す細川。塚本と関係する西亀吉の死体。矢走警部、鳥山刑事らが調査する。 |
冒頭部分はそれなりに面白い。しかし後出しの告白による人間関係の謎は意外性があるものの犯人は付け足し感が強い。時局の影響が出始めているのかもしれないが。 (2018.01.) |
( 少年倶楽部 1934.11. )(夢現) |
夏休みを祖父の農園で過ごすため、大連から奉天で乗換え旧站へ着いた滋少年。利助爺の迎えで屋敷に着いたが、いつもと違う西側の部屋を与えられた。近所の小宮理化学研究所で殺人光線を研究しているという。動物の死骸。土地を売るように訪れる不二土地会社の社員。滋少年は探偵を始める。 |
比較的単純健全な少年の活躍話。偶然も多いが多少の気付きは探偵小説的。1932年満州国建国、1933年国連脱退という時期で新兵器にも愛国精神にもまだ緩い。 (2018.04.) |
( 日本少年 1935.01. )(夢現※) |
米国、羊飼いとして働いていた茂夫少年。羊が盗まれている。茂夫とトムと牧羊犬富士丸は犯人と思われる人物を見つける。富士丸は……。 |
(冒頭欠)翻案だろうか。安易すぎるが裁判での証人としての資格の有無という点では悪くない。 |
( 日本少年 1935.04. )(夢現) |
泰夫は伯父の快速船白鴎丸で植物学者の伯父と老僕清水と弟敏夫それに愛犬五郎と房総沖に来ていた。砂浜で見つけた六角箱。開ける道具を取りに船に戻ると伯父はいなくなっていた。植原博士のところだろうか。浜に戻ると箱は無くなっていた。足跡を追って……。 |
脱力する結末。少年物でここまでやるとは、皮肉かもしれないが清々しさすら感じる。(欠部分あり) |
( 講談雑誌 1935.04. ) 『昇降機殺人事件』 春陽堂日本小説文庫410 1936.10.15 (夢現) |
省線駅前鳩ケ丘銀座の赤澤洋品店。その先にある金原女史が校長を務める麗洋裁学園で創立三周年の慈善市が開催された。後援者の赤澤夫人と夫の春次、生徒絹子の母親青柳夫人。琴の演奏の前に絹子は行方不明になり、翌朝裏手の鎮守の森で惨殺死体で発見された。姿を消した青柳夫人の甥横川仲太郎が見つかった。彼の陳述を否定する春次。幡谷刑事が聞き込んだ倉庫とは。 |
少女物、手懸りからの刑事物、陳述からの猟奇物、そして愛。変転激しい物語。なぜ煎餅なのかは謎。 (2018.04.) 追記:初出では「探偵怪奇実話」となっているが、実話集でない著書に収録されていること、他の実話と異なり年号表記がないこと、「事実」という語がないことより純粋な実話ではないと思われます。 |
( キング 1935.09. ) 『昇降機殺人事件』 春陽堂日本小説文庫410 1936.10.15 (夢現) |
丘の一軒家を写生していた私だがあと少しで完成というところで取り壊しが始まってしまった。持ち主の老人は取り壊しを待ってくれて完成させる事ができた。老人、紀伊幸麿はそこで首を吊った事があるという。先代善右衛門は一人息子幸麿をパリへ留学させたが番頭春川の監督の眼を盗んで遊蕩三昧。帰国後、父が死んで身代を潰してしまった。残ったのが丘の赤屋敷だった。 |
親ほどありがたいものはない、という因縁話。女中が謎。 (2018.04.) |
( 日本少年 1935.08.?〜09.〜10? )(夢現※) |
(譲治の叔父熊造が来た。置いてあった黒鞄は熊造のものだという。浜辺で印度人が殺されていた。熊造がいなくなり、隣の春子の家では盗難があった。)譲治と春子は宝の甕が盗まれている事を知る。熊造が盗んだようだ。二人は手掛りを追っていくが捕えられてしまう。そして舟に乗せられ……。 |
9月号のみ:JOAKの「宝の甕」と同内容と思われる。合作ではなかったのか、掲載経緯などは不明。 |
( 日本少年 1936.01. )(夢現) |
白鯨丸が難破した。給仕の友夫は船長の命で殺人の容疑者四人を監禁していた場所の鍵を開ける。生き残った友夫と容疑者の三造、兵太、鱶吉、甚公。斧と剃刀、骨牌、殺された一等運転士の日記帳。絞殺、発狂死、病死。友夫と残った一人の男……。 |
孤島の殺人ではあるが、トリックがあるわけではない。サスペンス小説。 |
( 初出不明 ) 『昇降機殺人事件』 春陽堂日本小説文庫410 1936.10.15 (夢現) |
川津にいる旧友樺正太郎を訪れた水泳選手の龍田であったが、祖母と妹の五哩さんこと嵯峨子は百日ほど前に小樽で死んだという。海辺で拾った二朱金。案内してもらった官軍塚と津慶寺。龍田の祖父甚左衛門は明治二年に遭難し死亡していた。龍田と嵯峨子の後をつける無外さんや同じ汽車にいた男。突然会うことを禁じた祖母。殺人事件。地下室の位牌は。 |
勝浦川津沖での官軍船沈没事件を題材にした話。夫妻で勝浦に逗留していた事があるのでその頃の作品か。裏に記載はなかったのか、とは思うものの盲点といえなくもない。 (2018.04.) |
( ホーム・ライン増刊 1938.03. )※12 |
( 探偵文藝 1925.10. )(夢現) |
一八九〇年十月、英国クロスフィールド街で婦人の死体が見つかった。馭者の証言。フィビイと判明、良人フランク、パーシー夫人との関係。死体があった場所は寄寓していたところの近所。※『情痴殺人篇 世界犯罪叢書4』収録の「路傍の死体 パーシー夫人事件」の原型作品ともいえる |
( 探偵文藝 1925.12. )(夢現) |
一八九三年夏、米国で起ったボウデン事件は奇怪なものだ。ボウデン老夫婦が階下と二階で殺されていた。継子リヂーが疑われたが結局は釈放された。外部の犯人も不可能と思われる。 |
( 日本警察新聞 1927.01.01 )(国DC※) ( 『探偵実話 逮捕する迄』 日本警察新聞社 1927.06.25 )(国DC) |
横川町(墨田?)、贋五十銭貨幣の犯人を想定し、欠けた茶碗を見つけて特定に至る刑事の話。警視庁警部の手記より。 |
( 日本警察新聞 1927.03.20 )(国DC※) ( 『探偵実話 逮捕する迄』 日本警察新聞社 1927.06.25 )(国DC) |
台湾、刑事と偽り賭博場で金を没収した男が一度は逃亡するが拳銃強盗犯として突き止められる話。台湾南署の人の手記より。 |
( 日本警察新聞 1927.04.01 )(国DC※) ( 『探偵実話 逮捕する迄』 日本警察新聞社 1927.06.25 )(国DC) |
石川県南郷村、金持ちの老婆が留守の間に置いてあった六宝焼を食べると猫イラズが入っていたと届け出があった事件の話。石川県広阪警察署の人の話。 |
( 日本警察新聞 1927.04.10 )(国DC※) ( 『探偵実話 逮捕する迄』 日本警察新聞社 1927.06.25 )(国DC) |
札幌、銀行に忍び入って机の多数の引出を荒した男らしい人物を見つけ格闘し逃したがバンドの遺留品と別の銀行の犯行などから捕える話。北海道名寄警察署長の手記より。 |
( 日本警察新聞 1927.04.20 )(国DC※) ( 『探偵実話 逮捕する迄』 日本警察新聞社 1927.06.25 )(国DC) |
阿蘇、米国出稼ぎ中の妻一人の家が放火されたが彼女は貞淑、目の前に落ちた鳥に犯人逮捕の前兆を思い方針転換、犯人を突き止める話。熊本県警察部の人の手記より。 |
( 初出不明(書き下ろし?) ) ( 『探偵実話 逮捕する迄』 日本警察新聞社 1927.06.25 )(国DC) |
朝鮮、駅から赤行嚢を盗んだと逮捕された男の冤罪を晴らす話。京畿道刑事課員の手記より。 |
( 初出不明(書き下ろし?) ) ( 『探偵実話 逮捕する迄』 日本警察新聞社 1927.06.25 )(国DC) |
東京神奈川の郡部、五十日間に二十件以上の連続強盗事件犯を見つけた話。警視庁の警部手記より。 |
( 初出不明(書き下ろし?) ) ( 『探偵実話 逮捕する迄』 日本警察新聞社 1927.06.25 )(国DC) |
板橋、巡査が挙動不審の盲人按摩を連れてきたら殺人事件に関係していた話。警視庁の人の手記より。 |
( 初出不明(書き下ろし?) ) ( 『探偵実話 逮捕する迄』 日本警察新聞社 1927.06.25 )(国DC) |
小日向台町、貸家に絹ショールで絞殺された男の死体があり、身許と犯人を追っていく話。警視庁の人の手記より。 |
( 講談倶楽部 1930.03. )(夢現) |
一九二七年十二月、ニューヨークの銀行家パーカー氏の娘マリオンがフォックスと名乗る男に誘拐惨殺された事件。 |
( 文学風景 1930.09. ) 『情痴殺人篇 世界犯罪叢書4』 天人社 1930.10.05 (国DC※) |
一八八二年一月、ベルギーにて弁護士バアネイスを彼の妻と結婚する為にアーマンドと弟レオンが殺害した事件。※『情痴殺人篇』では末尾追加あり |
『情痴殺人篇 世界犯罪叢書4』 天人社 1930.10.05 (国DC※) |
( 東京朝日新聞 1930.12.09〜13 )(夢現) |
わら床の貴婦人/フルウレン嬢とは?/美しきセオドシア夫人/アレキサンドリアの女/被告席に立つ覆面婦人 |
犯罪科学 1931.03. (夢現) |
5ポンド紙幣の偽造印刷は容易だが紙の漉き方が特別。ジェームス・グリフィスは紙を手に入れようとし成功する。 |
グリフヰスの周到さと熱意に脱帽。 (2018.03.) |
( 文藝倶楽部増刊 1931.04. )(夢現) |
ランドルーの犯行の概略。 |
( 『女五人の謎』 四六書院新でかめろん叢書 1931.05.02 )(国DC※) |
「映画監督の死」映画監督デスモンド・テイラーがロスの自宅で殺害された事件(1922年) 「殺人を見てゐた女」グラスゴーでフレミング家の女中ジェシイが殺害された事件(1862年) 「街の蝶々」紐育のアパートでドット・キングが殺された事件(1923年) 「張温殺し」紐育の支那料理屋張が殺された事件(1885年) 「女五人の謎」藁床の貴婦人、美しすぎるセオドシア夫人、アレキサンドリアの女、被告席に立つ覆面婦人、喪はれた長女、の全五篇 「海の秘密」マリイ・セレステ号、キャプテンキッドの宝庫、消えた嗣子(「世界大イカモノ列伝」の「偽男爵」と同事件)、大公の行方の全四篇 「薬種屋殺し」巴里のオルダーの犯罪 「人間の缶詰」ブタペストのダニューブのベラ・キッス 「女結婚魔」米国ベル・ガンネスの事件 「兎を産むだ女」英国の兎を産んだメイリー・トット(「世界大イカモノ列伝」の「兎女」と同事件) 「金庫の謎」巴里のテレザの詐欺事件(「世界大イカモノ列伝」の「四千万円金庫事件」と同事件) 「美容術師」倫敦の美容術師ラケル夫人の成金法(「世界大イカモノ列伝」の「美容院成金」と同事件) 「死者帰る」英国のキャムデンの家令ハリソンの失踪(1660年) 「木足の男」仏蘭西のマルタンなりすまし事件(1557年) |
犯罪科学 1931.06. (夢現) |
一九二二年三月、米国イリノイ州の小麦王アーサー・カットン一家が九人組の強盗に襲われた。執拗な追及に耐えられず八年後、最後の男が自首してきた。 |
地下室に監禁されたからという理由で懸賞金とは。手懸りから逮捕へ、警察の活躍譚。 (2018.03.) |
( 国民新聞 1931.07.06,08,13,15,17 )※9(夢現) |
パリ、時計狂のルメートルの殺人。ボストン、まぼろし団ポメロイの殺人。英国、コンスタンの異母弟殺し。シカゴの発覚しない殺人を試みたレオポルドとロエブ、ロスの強窃盗ヒックマン。ドイツ、虐げられた少年期の復讐としてのクウルテンの殺人。 |
( 文学時代 1931.08. )(夢現) |
アル・カポネが犯罪王となるまで。 |
( 文学時代 1931.09. )(夢現) |
印度王女/兎女(『女五人の謎』の「兎を産むだ女」と同事件)/四千万円金庫事件(『女五人の謎』の「金庫の謎」と同事件)/美容院成金(『女五人の謎』の「美容術師」と同事件)/偽男爵(『女五人の謎』の「消えた嗣子」と同事件) |
( 犯罪科学 1931.09. )(夢現) |
誰も身近な人が殺人鬼と考える者はいない。英国、医師パーマーの生立ちから酒場の亭主の変死、アンニイとの結婚、私生児の死、実子の死、競馬狂、他人の馬の毒殺の噂、妻の母の死と遺産相続、友人からの借金と死、生命保険をかけた者の死、借金でいよいよ友人クックも。 |
疑いはあっても、というところか。昔の状況下でのみ成立する読物。 |
( 改造 1931.10. )(夢現) |
一八九六年ボストンから南米ロザリオへの途上の帆船フラー号で乗組員十二人のうり船長夫妻と二等運転士の三名が惨殺された事件。 |
( 犯罪公論 1931.10. )(夢現) |
一九三〇年十二月、米国桑港社交界の花形未亡人ベーカー夫人が台所で殴打絞殺されていた。発見者は通い下男の劉福。前夜の小宴には青年俳優ミドルトン、ピアノ弾きビイル、グレーブス夫人。マクギン探偵は情痴犯罪だと。チャールズ探偵長ら警察は現場の遺留品などから劉福を逮捕。行方不明の金品。管財人グラントと書きかえられた遺言状。弁護士グロリアの活躍。 |
実話か。手がかりらしい描写が多くあるが杜撰な捜査で迷宮入り。まるで懸賞の問題編。 (2018.03.) |
( 犯罪公論 1931.11. )(夢現) |
一九三〇年十一月、英国で自動車が燃えて男の焼死体が見つかった。車の持主はルーズという男で死体の身許は不明だった。ルーズは逮捕され裁判にかけられる。彼には……。 |
( 探偵 1931.11. )(夢現) |
男を使嗾して殺させた女達。一八八一年仏国、クランゲル。一九二二年頃英国ブライトン、エデス。一七三六年頃英国、カサリン・ヘイス。一九一九年米国、ケイバー夫人。一九二七年米国、シンダー夫人。 |
( 犯罪公論 1932.02. )(夢現) |
一九三一年六月、米国ロングビーチでスタアという娘の溺死体が発見された。他殺か自殺か過失死か、16項(以上)の可能性がある。 |
( ギャング 1932.05. )(夢現) |
スクワルト博士はオークランド外れの会社の化学研究所で人造絹糸の研究をしていて、桑港の妻子には完成間近との電話があった、研究所の爆発火災、黒焦死体。火災に作為があり、殺害後に焼かれたようだった。小使ウオルター、ロドリグスの飼犬、行方不明者、ヘイウード、写真……。 |
今ではとても実話とは思えないような話。犬の行動の理由が今ひとつわからない。 |
( ギャング 1932.06. )(夢現) |
一九三一年八月米国、遊覧航海を終えたベルゲンランド号が紐育の港へ時、日本紳士藤村壽がいなくなっていた事件。 |
( 犯罪公論 1933.04.〜06. )(夢現) |
一九二二年九月、米国ニューブランスウィックの廃農園で牧師ホールとエリナーが射殺されていた。ホール夫人、兄ヘンリーとウイリアム、エリナーの夫ジェームス、発見者シュナイダー青年と少女パール、ヘイネスとカフマン青年、証言による事件の推移……。 |
証言の矛盾などトリックめいたところもあるが、歪められた事件としての紹介だろうか。事件自体は単純で面白味はない。 |
( オール讀物 1933.11. )(夢現) |
一九二七年六月、ニューファウンドランドの鱈漁師のチャールスとジョージが親船からはぐれて洋上を漂う。堅パン、煙草、そして淡水……。 |
( 話 1934.02. )(夢現) |
英国陸軍レイリイ大尉はロシアに潜入、工作活動をしていた。発覚、脱出。その後結婚し行方不明に。 |
( 現代 1934.03. )(夢現) |
一九三三年十一月、米国加州で父の経営する百貨店に勤めるハート青年が惨殺され橋から投げ込まれた。身代金要求、ホルムスとサーモンドの逮捕。群衆の刑務所への襲撃、二人の私刑。 |
( オール讀物 1934.04. )(夢現※) |
私とボイル大佐はルーマニアからブカレスト陥落時にソビエトが預かった宝石などを返還し運び出すよう依頼を受けた。モスクワから四五一列車でキエフ、ジェシイ市へ……。 |
冒険小説。英国間諜ビル大尉の手記よりとの事。実話なのかどうかは不明。 |
( 東京日日新聞 1934.04.30 )※9 ( 『炉辺と樹蔭』 岡倉書房 1935.12.16 )(国DC※) |
市俄古(シカゴ)の泥棒学校の老校長の話。 |
( 東京朝日新聞 1934.07.13 )(夢現) |
一九〇四年(?)ボストン郊外、ペーヂ老人と長男と次女と女中の家で次女メイベルのみ在宅中に殺害されていたのが見つかった。タッカー青年が逮捕されたが解明されていない謎は多い。 |
( サンデー毎日 1934.07.28 )(夢現) |
「消えた訪問者」ビアンカ号で怪しい男が記した通り北西へ舵をとると。「四本指の女」アメリア号が座礁しカナダ守護隊トレンス大尉は島で四本指の女に出会い指輪を探し出すが。「奇怪な告白」黄金を積んだマダガスカル号が海賊団に襲われ女も連れ去られたが次々と。「岩上の幽鬼」海賊デュバルは生け捕った美女と財宝を断崖絶壁のバース岩の上に残したまま死亡したがその後は。 |
4篇の実話読物か。幽霊譚や海賊譚。海外雑誌の読物が元ネタと思われる。 |
( 文藝春秋 1935.02. )(夢現) |
一七八七年英国を出帆したバウンティ号は二年後タチヒ沖で暴動を起し船長を追放したクリスチャンらは無人のピトケアン島(現表記?)に上陸した。白人とポリネシア人、楽園生活ではあたが、やがて対立していき、ついには殺し合いに。 |
実話。「バウンティ号の反乱」の反乱者たちのその後の話。原始共産制と内部抗争、人種対立であるが白人の妻がタヒチ人でもある。ちなみに白人名がカタカナ、ポリネシア人の男名がひらがな、女名が漢字表記になっている。年月が解決ともいえる。 |
( オール讀物 1935.08. )(夢現) |
一八九五年、桑港を出帆したマリイ号が喜望峰沖で消息を絶ち、発見された時には乗組員はいなくて鼠の死骸だけあった。一九〇四年、アリゾナに現われた記憶を無くしていたらしい男が語るところによると……。 |
マリイ・セレスト号事件とは年と出発地など異なる点も多い。実際にあった事件の可能性もあるが、材をとった創作の可能性が高いと思われる。 |
( 雄弁 1935.12. )(夢現) |
一九三三年四月、シカゴ郊外での青年四人組による銀行強盗事件。 |
( サンデー毎日 1939.01.01 )(夢現) |
正月の払暁、草むらで頭蓋骨を粉砕されているユダヤ人のベロンが発見された。前夜ロシア料理店から一緒に出たユダヤ人のモリソンが逮捕されたが証拠が薄弱であった。陪審員法廷でモリソンは死刑を宣告されるが、その後断食自殺。一部識者の推測では……。 |
実話か。疑念点を記すなど法廷推理的な内容でもある。戦前日本の制度では無理だが膨らませれば法廷推理小説にもなり得る話。 |
( 新大衆 1939.10.頃? ) |
※『出版警察資料』1939.10.(国DC※)よりだが没後約半年の為真偽不明、仮記載 |
( 『情火』ヨシフ・コーソル 聚英閣 1921.11.10 )(国DC) |
( 『不可思議の世界』フラマリオン 新光社・心霊問題叢書4 1921.12.28 )(夢現) |
フラマリオンのこと、本書のこと。 |
( 『三つの指紋』 金剛社 1922.09. ) 『松本泰探偵小説選2』 論創社 2004.03.20 |
探偵小説、秘密小説として6巻を予定。十三歳の私の秘密の森。五年住んだ倫敦での未だ解けぬ謎。解決されない怪事件の扉を開こうと苦心するのは私の道楽。 |
『或る年の記念』 奎運社 1924.10.15 (国DC) |
いたるところにデク人形。デク人形は悲しい。ある年を記念とする心の反映。 |
( 探偵文藝 1925.04. ) ( 『炉辺と樹蔭』 岡倉書房 1935.12.16 )(国DC※) |
手にまつわる小咄四つ。手の表情の類型。閨秀画家の右手。手首から先を失った知人。夭折した義兄ジョワニの手。 |
( 探偵文藝 1925.05. )(夢現) |
前号予告の「白昼夢」延期。 |
( 探偵文藝 1925.06.〜10.,1926.07.〜12. )(夢現) |
身辺雑記など。 |
( 探偵文藝 1925.08. )(夢現) |
指紋が鑑識に用いられる理由と反対説と反駁。 |
( 探偵趣味 1925.09. ) 『松本泰探偵小説選2』 論創社 2004.03.20 |
テーマによらず芸術は芸術。気のきいたすっきりしたものが残る。好奇心を失わない以上永続。好きな作家なし。 |
( 探偵趣味 1925.09. )(夢現) |
簡易創作リスト、翻案。 |
( 讀賣新聞 1925.10.17 ) 『松本泰探偵小説選2』 論創社 2004.03.20 |
創作となると優れたものはない。しいていえば綺堂、乱歩。日本はテーマに乏しい。刑事制度、障子一重の日本と厚い壁に鍵の西洋。 |
( 探偵趣味 1925.11. )(夢現) |
外国雑誌にあった詐欺の手口。K君から聞いた古本を売る時の方法。 |
( 探偵文藝 1925.11. )(夢現) |
友達の羽根澤は私に物をくれたりする。ある夜、泥棒に入られたがそれは羽根澤だった。残されていた蕎麦のかけ。 |
( 探偵文藝 1926.03. ) 『松本泰探偵小説選1』解題 2004.02.10 |
倫敦西南区V停車場裏手からテームズ川堤防の一帯。休載。 |
( 新青年 1926.04. )(夢現) |
文壇から出るのは喜ばしいが調子を落とすのは迷惑。芸術的作品に知識と理論を加えたもの。 |
( 探偵趣味 1926.05. )(夢現) |
身の回りの事に対しても迂闊。身に着けているボタンの数。英国でアランが時計を盗まれた時の話。 |
( 探偵文藝 1926.07. ) ( 『炉辺と樹蔭』 岡倉書房 1935.12.16 )(国DC※) |
校内V教授旧宅二階「三田文学会」。日吉町、鍋町、銀座、京橋。いろいろな仲間。五時男、不意に姿を消す井川君。今はもういない。 |
( 探偵文藝 1926.08. ) ( 『炉辺と樹蔭』 岡倉書房 1935.12.16 )(国DC※) |
上京した石田と野尻抱影の三人で学生時代に行っていた日比谷の秋田料理店照葉へ。 |
( 探偵趣味 1926.12. ) 『松本泰探偵小説選2』 論創社 2004.03.20 |
自作で部分を除いて気に入った作品なし。詩的な作品を書きたい。探偵劇か書こうと思っている。 |
( 探偵文藝 1926.12. )(夢現) |
掲載投稿作品に対するコメントなど。 |
( 探偵文藝 1927.01. )(夢現) |
新年(新元号)の辞、郊外から。 |
( 新青年 1927.01. )(夢現) |
中流以上の家庭や旅館は私浴室の設備がある。浴室の犯罪、保険魔スミス。公衆浴場とその浴室の様子、表口と裏口。 |
( 東京日日新聞 1927.03.30ほか )※9(夢現) |
散歩を愛す。大きな公園が殖えた。 |
( 『探偵実話 逮捕する迄』 日本警察新聞社 1927.06.25 )(国DC) |
警察官の努力の結晶。真実溢れた手記を小説体にした。 |
『松本泰集』 平凡社・現代大衆文学全集15 1928.07.01 『松本泰探偵小説選2』 論創社 2004.03.20 |
探偵小説を書けと某書肆が注文。いつの間にか探偵小説家にされてしまった。のっそりした作品に違いない。 |
『松本泰集』 平凡社・現代大衆文学全集15 1928.07.01 『松本泰探偵小説選2』 論創社 2004.03.20 |
戸籍では明治二十年二月二十二日生まれ。明治二十二年二月二十二日生まれの記録もある。東京生まれ、桜田小学校、慶應義塾普通部、停学、海軍予備校、慶應予科、大学部文科。三田文学に「樹陰」稿料三十五円は料理屋いけすで使用。テニス。英国三年、半年後再び。大正八年結婚、帰国。「秘密探偵雑誌」「探偵雑誌」発行、家屋十数戸。借財山のごとく。怠け遊ぶことを第一義としているごとくみられている。 |
( 騒人 1928.08.,09. )(夢現) |
昭和3年2月4日晩香坡(バンクーバー)の一日、沙都(シアトル)へ。沙都にて6日。(大衆文学全集の宣伝で渡米した時の日記より?)※続きの有無は未確認 |
『世界大衆文学全集23 紅繁縷』オルツイ 改造社 1929.05.03 (国DC) |
倫敦の宿の娘たちが夢中になって読んでいた。典型的英国紳士を描いている。奪い合いになっていたのも無理はない。 |
『世界大衆文学全集36 世界怪奇探偵事実物語集』 改造社 1929.09.03 (国DC※)(夢現) |
事実譚は大地に足を即していてひきつけられる。英米から特に面白いと思つた三十幾種を訳出編集録した。ソマビル、ゴーバン。未解決の事件を考えるのも興味を唆られる。 |
( 猟奇 1929.10. )(夢現) |
庭球、水泳、銃猟。恩師のことば。倫敦でのテニス。恵の探偵小説の発端。巾飛。 |
( ゲーム 1930.01. )(夢現※) |
探偵小説に縁の深い西洋骨牌。「クラプの一」「公園殺人事件」「難航海」「カナリヤ殺人事件」 |
( 『アベ・ムウレの罪』ゾラ 改造社・ゾラ叢書2 1930.01.26 )(国DC※) |
( 『世界大衆文学全集54 ノートルダムの傴僂男』ユーゴー 改造社 1930.02.03 )(国DC) |
( 『鐵槌』ウオーレス 平凡社・世界探偵小説全集13 1930.05.15 ) |
( 『探偵小説通』 四六書院通叢書 1930.09.05 )(国DC※) 『松本泰探偵小説選3』 論創社 2017.08.30 |
探偵小説味を古きに覚む/ポオ時代/ポオの流れを酌む仏蘭西作家/コナン・ドイル前時代/爛熟時代/探偵小説に関する諸考察/探偵列伝/探偵小説と動物/日本探偵文壇 |
日本初の入門書。 |
( 『世界犯罪叢書』月報 天人社 1930.10.05 ) |
( 『女五人の謎』 四六書院新でかめろん叢書 1931.05.02 )(国DC※) |
( 猟奇 1931.07. ) 『松本泰探偵小説選2』 論創社 2004.03.20 |
蔵書からの一情景からの想像が私を喜ばせる。薔薇の手入れ、テニス。配達された倫敦の新聞。記事からの妄想。 |
( 時事新報 1932.05.03,05,06 )※9※14 ( 『炉辺と樹蔭』 岡倉書房 1935.12.16 )(国DC※) 『松本泰探偵小説選2』 論創社 2004.03.20 |
旧約聖書にも探偵味をもった物語がある。キケロにもチョーサーにも。夢の知らせはフラマリオンの著書にもある。シェークスピア、ディケンズ。殺人鬼ジョン・ウィリアムズ、ガイ・フォークス。 |
( 中外商業新報 1932.05.19 )(夢現) |
都会の生活、恋ゆえに親を棄てた青年の唄。 |
( 北陸毎日新聞 1932.06.29 )※11 ( 『炉辺と樹蔭』 岡倉書房 1935.12.16 )(国DC※) 『松本泰探偵小説選2』 論創社 2004.03.20 |
どこの戸棚にも骸骨の一つや二つは隠してある。謎と秘密に対する好奇心。問題の提出とその解決、以前は誰が犯人かに意外性があるだけで良かったが、作者も記述に頭を悩ましている。殺人方法も新たに発見されている。探偵小説の流行は刺激を求める近代人の嗜好。 |
( 『幽霊屋敷物語』フラマリオン 駿南社心霊実話叢書 1932.09.20 ) |
( 国民新聞 1933.03.13 )※9 ( 『炉辺と樹蔭』 岡倉書房 1935.12.16 )(国DC※) 『松本泰探偵小説選2』 論創社 2004.03.20 |
文学の中で好奇心を満足させるのは探偵小説。探偵術の進化。箱と鍵の過剰時代。推理、機械と科学も。新しい心理と形式と文章でディケンズやデュマのロマンス時代に。追っかけっこや暗黒街の冒険、醜聞暴露作品は探偵小説ではない。 |
( 『英語英文学講座5 文学篇2』英語英文学講座刊行会 新英米文学社 1934.03.01 )(国DC※)(夢現※) |
人間は多少の好奇心をもっていて、満足させるのが探偵小説。大衆の伴侶。チョーサー、シェークスピア、ディケンズ。確立したのはドイル。作者は知らなくてもホームズは知られていて広告にも登場している。その後英国では優れた探偵小説家を輩出。近代科学の発展が大きな要因。最大の事件は殺人。小説である以上、いかに表現するか。事件から解決、人物から事件、二つの形式。日常生活に立脚している以上、人生と風景のあるものが優れている。純文学との違いは解決が必要なこと。 フレッチャー『チャリンクロス怪事件』『カンヒー甕』、ル・キュー『奸計』、オッペンハイム『大シャン王子』、チェスタートン『青王の十字架』、ウォーレス『夜の額』、オルツィ『紅繁縷』、クリスティ『アクロイド殺し』『青列車』の結末までの内容紹介。 |
( 中外商業新報 1934.05.12 )※9 ( 『佐々木味津三全集』月報3号 私家版 1934.06.? ) ( 『甘棠集』 私家版 1935.03. ) ( 『炉辺と樹蔭』 岡倉書房 1935.12.16 )(国DC※) 『松本泰探偵小説選3』 論創社 2017.08.30 |
佐々木味津三とは馬場胡蝶の泊鴎会で月に一度。同じ方向。褒められると言う口癖。騎士の役。アマゾンに興味。 |
( 時事新報 1934.07.24 ) ( 『炉辺と樹蔭』 岡倉書房 1935.12.16 )(国DC※) 『松本泰探偵小説選2』 論創社 2004.03.20 |
新しいトリックの案出に苦労する。乗り物の進化。草むしりの手を休めて蟻の作業に見とれる。蟻の国の探偵小説でも書こうかと思いながら。 |
( 児童 1934.09. )※8 ( 『炉辺と樹蔭』 岡倉書房 1935.12.16 )(国DC※) 『松本泰探偵小説選2』 論創社 2004.03.20 |
子供の探求欲、秘密を楽しむ心、冒険心、正義感、英雄崇拝が探偵癖となる。誤った方向へいかないように導くべき。 |
( 報知新聞 1935.07.01〜02 ) ( 『炉辺と樹蔭』 岡倉書房 1935.12.16 )(国DC※) 『松本泰探偵小説選2』 論創社 2004.03.20 |
牧逸馬、林不忘、谷譲次、頼市彦、海太郎の訃報。「都会の冒険」を執筆した家。大正十四年夏、「夜汽車」を探偵文藝に、ほかを三田の同窓生伊藤正徳に依頼して時事新報の夕刊に。大正十四年、本郷へ。結婚。音信は途絶えた。 |
( 婦人公論 1935.08. )(夢現) |
林不忘の誕生。牧逸馬の女難。三本の手紙。山の宿のロマンス。 |
( 探偵文学 1936.10. ) 『松本泰探偵小説選3』 論創社 2017.08.30 |
三田評論に和歌。三田で永井荷風、馬場胡蝶、小山内薫。三田文学に「樹陰」。桃山書店から『天鵞絨』。懐かしい。 |
( 探偵春秋 1936.12. ) 幻影城 1977.11. 『松本泰探偵小説選2』 論創社 2004.03.20 |
倫敦からの帰国後、ミステリーがかった小説を書き大毎へ。面白倶楽部、東雲堂。探偵雑誌を自費で発行。事務所は赤坂溜池通り。夫婦と片山君。片山君は「T探偵の手記」も。N君、文学少年T。表紙画は家内の妹。ブローカーの存在。 |
( 新青年増刊 1938.02. )(夢現) |
最近は海洋実話もの、「海を行く」シャリマー。トム・ソーヤやハックルベリー・フィン。 |
( 三田文学 1911.10. )(国DC※) 『天鵞絨』 籾山書店 1913.03.05 (国DC) |
私中学一年の精一は清隆と知り合い遊んだ。片山君ちゃん、江波君、林幸ちゃん。病気、ママゴト、ジャックナイフ、居ない二人。清隆を、そして夏休み……。 |
( スバル 1911.12. ) 『天鵞絨』 籾山書店 1913.03.05 (国DC) |
私銑二。芝浦の女中お勢。下婢おみね。落第。青田との付き合い、寄席、増さん、友之助、団光。おみねと兄、やがて……。 |
( 三田文学 1912.02. )(国DC※) 『天鵞絨』 籾山書店 1913.03.05 (国DC) |
私は三年間の労役を終えC女を訪れた。C女の家、歌舞伎座、或男。どこへ行っても見透かされる。漁師町、露路口、店先、繁華な町、蝦蟇口、西洋料理店、W、俥、ミルクホール、C女の母……。 |
( スバル 1912.02. ) 『天鵞絨』 籾山書店 1913.03.05 (国DC) |
けいちゃんは北海道の農学校の入学試験準備をしていたが反対される。酒を飲んで父にぶたれる。母、祖母、兄が亡くなり郊外へ引っ越す。愛嬌がないなどけいちゃんの噂話、そしてけいちゃん会議が開かれた。秘密会議員はつきまとう。けいちゃんは調節を書く……。 |
( 三田文学 1912.06. ) 『天鵞絨』 籾山書店 1913.03.05 (国DC) |
高山は藤子に電話をかけるが話中。絵師坂(阪)との話。芸者の小兼は亡き弟の幸次に惚れていた。高山は墓参りに誘う。幸次は文珍堂という代用小学校に寄宿していた。小兼は夜学に通っていた。二人は、そして……。 |
( 三田文学 1912.08. ) 『天鵞絨』 籾山書店 1913.03.05 (国DC) |
阪と町子夫婦が郊外の家に移って半年。お蔦婆さん、庭男太一、ポインターマル公や種々の家畜、畑。夫婦で買い物、活動写真を見に街へ……。 |
( スバル 1912.09. ) 『天鵞絨』 籾山書店 1913.03.05 (国DC) |
郊外に住む利條と訪れる吉野。P君は外国で亜米利加女性と結婚し帰国、日本特有の臭気に口を噤み公職から退いた。象棋が巧で政友会控所に出入りしていた。利條宅へ訪れるP……。 |
( 三田文学 1912.11. )(国DC※) 『天鵞絨』 籾山書店 1913.03.05 (国DC) |
六月の大地震。築地河岸に住んでいた太郎、店は芝の桜田本郷町にあった。隣邸の尼ネビルと引き取られたお島とお仙。桃代、耳長兎の吉澤、伊太利公使館のリスコ。ブランコ、解剖、糸電話、洋櫛、ネビル家の客、地震で……。 |
( 三田文学 1912.12. )(国DC※) 『天鵞絨』 籾山書店 1913.03.05 (国DC) ( 三田文学 1915.05. )(国DC※) |
カフェでのW倶楽部会合。A、M、穣さん、ニムボク、須田ら、そして町山。彼は両国の病院に目黒の細君には内緒の女がいた。細君は出勤帰宅時間をメモしていた。町山と語る女優。とうとうばれて……。 |
( 黒燿 1912.12. ) 『天鵞絨』 籾山書店 1913.03.05 (国DC) |
温室の前で西太郎と庭番の吾助が対話している。種さんからの手紙で出かける。少年等の会話。古本屋。温室前……。 |
( 初出不明 (末尾1912.12.) ) 『天鵞絨』 籾山書店 1913.03.05 (国DC) |
奥さんが死んだ。兄、妹、夫、犬、近所の人々の話。同じ日の他の二人の死者……。 |
( 三田文学 1913.02. )(国DC※) 『天鵞絨』 籾山書店 1913.03.05 (国DC) |
構外の町田の家、妻が出て行く。残った忠僕太一と愛犬レナ。病院の女、仲間の神崎、吉田っからの手紙、便り、冬……。 |
( 黒燿 1913.03. )(夢現) |
阪、牛舎の太一、ケイ、エフ、倶楽部……。 |
( 雄弁 1913.03. )(夢現) |
欽吾とF君、冬子。十七才、その後……。 |
( 三田文学 1913.05. )(国DC※) 『或る年の記念』 奎運社 1924.10.15 (国DC) |
亘少年は幼少時に母を亡くし、兄も亡くなった。友人の父のいない松井。亘と父、札幌農学校への受験に反対され、松井も落ちる。郊外へ。松井と伯母、松井の葉はと妹達。飲酒、そして亘は……。 |
( 三田文学 1914.01. )(国DC※) 『或る年の記念』 奎運社 1924.10.15 (国DC) |
青年はS夫人に逢った。終日夫人の居間に暮らした。夫人の取り巻き連中。郊外の家に帰る青年。父母も亡くなり一人。庭男の鳥吉。Sからの、S夫人からの手紙……。 |
( 三田文学 1914.05. )(国DC※) 『或る年の記念』 奎運社 1924.10.15 (国DC) ( 『倫敦の薔薇』 青木書店 1940.07.15 )(国DC※) |
戸籍上の兄で伊太利人スクニチの遺児ジョワニとは彼が十八まで家に起居していた。その後彼は倫敦の夜学校に通っていた。同じ学校に通うMに恋する。紅茶の家の大野、イグナッチョ爺さん、贈り物。彼は石段を……。 |
( 三田文学 1914.10. )(国DC※) 『或る年の記念』 奎運社 1924.10.15 (国DC) ( 『倫敦の薔薇』 青木書店 1940.07.15 )(国DC※) |
倫敦、俺とノーラ。意識し一人土曜日。明日……。 |
( 三田文学 1915.09. )(国DC※) 『或る年の記念』 奎運社 1924.10.15 (国DC) ( 『倫敦の薔薇』 青木書店 1940.07.15 )(国DC※) |
倫敦郊外、俺とノーラはK氏のお茶会へ。翌日ノーラの乳母のベチーを訪ねてステーンへ……。 |
( 三田文学 1915.09. )(国DC※) ( 『三田文選』三田文学会編 玄文社出版部 1919.05.13 )(国DC※) 『或る年の記念』 奎運社 1924.10.15 (国DC) ( 『倫敦の薔薇』 青木書店 1940.07.15 )(国DC※) |
倫敦、俺丁。K姉妹の小犬ボーイの死。俺の中学の時に飼っていたレナの行方不明。猶太人S君のボビー……。 |
( 三田文学 1915.09. )(国DC※) 『或る年の記念』 奎運社 1924.10.15 (国DC) ( 『倫敦の薔薇』 青木書店 1940.07.15 )(国DC※) |
倫敦、酔った川崎は友人に似た神林三木造を見つけ一緒の飲みまわる。アメリカへ行くという三木造。M夫人からの……。 |
( 三田文学 1915.09. )(国DC※) 『或る年の記念』 奎運社 1924.10.15 (国DC) ( 『倫敦の薔薇』 青木書店 1940.07.15 )(国DC※) |
倫敦、Tと老婆。雨の日、水死人。雨の散歩、鸚鵡バトラ……。 |
( 三田評論 1915.09. )(夢現) |
M氏は倫敦から帰国、カトリック系女学院で Mother に会い……。 |
( 三田文学 1915.11. )(国DC※) ( 『三田文選』三田文学会編 玄文社出版部 1919.05.13 )(国DC※) 『或る年の記念』 奎運社 1924.10.15 (国DC) ( 『倫敦の薔薇』 青木書店 1940.07.15 )(国DC※) |
倫敦、Мとドーラ。H家マアヂとローヂ。下僕チャリ公。バルコニーの女性。ドーラの写真……。 |
( 三田文学 1915.12. )(国DC※) 『或る年の記念』 奎運社 1924.10.15 (国DC) ( 『倫敦の薔薇』 青木書店 1940.07.15 )(国DC※) |
倫敦、Dという青年がボヘミアの若い女性と知己になった。下宿の老人と。マアレンコにボヘミアンの集会へ誘われる。H夫妻とローヂーら。欧州戦乱、敵国人として薄遇。帰国……。 |
( 三田文学 1916.01. )(国DC※) 『或る年の記念』 奎運社 1924.10.15 (国DC) ( 『倫敦の薔薇』 青木書店 1940.07.15 )(国DC※) |
俺は画家から満三年目に会うという約束の話を聞く。回想、心の若き時にという銅版画、指輪、父との山、H嬢、伝道師と仲間との共同生活、移転先、G君。死、D嬢……。 |
( 三田文学 1916.02.,03. )(国DC※) 『或る年の記念』 奎運社 1924.10.15 (国DC) ( 『倫敦の薔薇』 青木書店 1940.07.15 )(国DC※) |
倫敦を去り渡米するU君との別れ。清二。帰朝することに。恋人N。スワ号、芸人ら、ミッショナリーS君、マルセーユでNへの手紙投函。K乗船。芸人らポートセードで下船。神戸着、そして東京で……。 |
( 三田文学 1917.01. )(国DC※) 『或る年の記念』 奎運社 1924.10.15 (国DC) ( 『倫敦の薔薇』 青木書店 1940.07.15 )(国DC※) |
倫敦V駅、俺は彼女を待っていた。同じく女を待っている男と酒場へ。戦争中……。 |
( 三田文学 1917.02. )(国DC※) 『或る年の記念』 奎運社 1924.10.15 (国DC) ( 『倫敦の薔薇』 青木書店 1940.07.15 )(国DC※) |
俺は九年前の彼女を探していた。母と姉娘と昔住んでいた街。住居を訪ねる。姉娘は……。 |
( 三田文学 1917.07. )(国DC※) 『或る年の記念』 奎運社 1924.10.15 (国DC) ( 『倫敦の薔薇』 青木書店 1940.07.15 )(国DC※) |
倫敦。彼はノーラと喧嘩した。彼女の姉カサリン夫妻とB嬢と出会う。その後B嬢と……。 |
( 三田文学 1917.08. )(国DC※) ( 『三田文選』三田文学会編 玄文社出版部 1919.05.13 )(国DC※) 『或る年の記念』 奎運社 1924.10.15 (国DC) ( 『倫敦の薔薇』 青木書店 1940.07.15 )(国DC※) |
倫敦、義夫と下宿の娘N。愛蘭土の娘リーナ……。 |
( 三田文学 1917.10. )(国DC※) 『或る年の記念』 奎運社 1924.10.15 (国DC) ( 『倫敦の薔薇』 青木書店 1940.07.15 )(国DC※) |
倫敦、隣同士で早起きのAとB。コックのハンナの話。医学博士Gを十三番に訪問したが自殺をはかったX陸軍大尉の家であったこと。日本紳士が下宿の少年に日本食を御馳走した、それがX大尉だったこと……。 |
( 三田文学 1918.01. )(国DC※) |
倫敦、ミスター小倉はX嬢と再会する。三年前ボヘミアの娘マアレンコが故国へ戻る時の見送りの帰途、小倉とX嬢は公園を散歩した。ブードロ夫人の下宿では食事に文句を言った伊太利人が追出され下宿人は会議をもつ。独逸飛行船、爆弾……。 |
( 三田文学 1918.02. )(国DC※) 『或る年の記念』 奎運社 1924.10.15 (国DC) ( 『倫敦の薔薇』 青木書店 1940.07.15 )(国DC※) |
倫敦、カフェ・ユーロープ、席はきまっている。教授と。Kの女ばかりの会合の時に日本人らと、退屈。小包を持って来た小僧、カフェ、手紙、帰宅……。 |
( 三田文学 1918.04. )(国DC※) |
彼はナポリへ行かなかった事から死を免れ巴里から倫敦へ引き返した。仏蘭西は独逸に宣戦布告、加奈陀へ渡ったW氏、ラックレヂ老人。彼は一時東洋へ帰り再び倫敦へ。ラックレヂの死、P老人の死、彼女の変心……。 |
( 三田文学 1918.12. )(国DC※) 『或る年の記念』 奎運社 1924.10.15 (国DC) ( 『倫敦の薔薇』 青木書店 1940.07.15 )(国DC※) |
下宿の娘N。Mが母の訃で一年帰国し戻ってきたとき決断をせまる。そして下宿を引き払うM。残っていた笛……。 |
( 三田文学 1919.01. )(国DC※) 『或る年の記念』 奎運社 1924.10.15 (国DC) ( 『倫敦の薔薇』 青木書店 1940.07.15 )(国DC※) |
私はS家と初夏の一日を共にする。郊外、テームス川上流で船に乗る。オックスフォード近くの農家での女達、Lとの思い出……。 |
( 三田文学 1919.03. )(国DC※) |
横浜郊外に住む私山辺と幸子。突然十年前倫敦で別れたNが神戸に着いたという手紙が届いた。神戸へ向いに行き彼女を自宅へ連れ帰る。湯河原、彼女の就職、圧迫感、彼女は……。 |
( 三田文学 1919.06. )(国DC※) |
B老人は倫敦から長女夫妻と孫のいる家を訪れる。従姉に紹介された娘との恋、新婚時代、二子を残して世を去った妻。フランスで負傷し病院にいる息子。最愛の妻ヰリス……。 |
( 三田文学 1919.09. )(国DC※) 『或る年の記念』 奎運社 1924.10.15 (国DC) ( 『倫敦の薔薇』 青木書店 1940.07.15 )(国DC※) |
倫敦に六年、淳太郎はNとの恋に失敗し、チェルシー街へ移る。郊外I家での翻訳業務。空襲。一週間後に郊外へ……。 |
( 三田文学 1919.11.,12,1920.03. )(国DC※) |
倫敦、淳一と京子。子供の頃の話、結婚と帰国の手続きや準備。下宿の婆さんの話。買い物。※つづくで終っている。 |
( 三田文学 1920.01. )(国DC※) |
東京郊外大野の家、妻澄子。澄子の妹昌子と良人杉村潤一の来訪。市俄古以来二十五年ぶりとなり伊勢に住んでいる長峯茂平の来訪。三人の子供の帰宅。思い出話。 |
( 三田文学 1920.07. )(夢現) |
倫敦、友部が住む下宿の娘ドーラと銀行に勤める息子チアリー。戦争、チアリーは入隊し……。 |
( 三田文学 1921.01. )(国DC※) |
アリゾナの砂漠に一軒家にエバンス老人は妻メーリーと猫、汽車の給水長とで住んでいた。岩塩採掘権を持っているが輸送は困難で資本が必要だった。老人を訪ずれる阪本……。 |
( 童話 1921.01. ) |
( 三田文学 1921.02. )(国DC※) |
郊外の大森に移った立田。妻英子と女中の話声。倫敦を思い出す。彼女との喧嘩など懐しい日々。毎朝十時半の習慣……。 |
( 三田文学 1921.06. )(国DC※) |
私遠山が銀座で会った懐かしい人々のこと。 |
( 三田文学 1921.08. )(国DC※) |
倫敦からのKと帰途の喜望岬寄港時の様子。 |
( 三田文学 1921.09. )(国DC※) |
倫敦の秋山は戦争の為もあり製作所を閉鎖した。宿の娘、画家の芦野、英国に来る途中の船で知り合った吉川、そして秋山は……。 |
( 三田文学 1922.01. )(国DC※) 『或る年の記念』 奎運社 1924.10.15 (国DC) ( 『倫敦の薔薇』 青木書店 1940.07.15 )(国DC※) |
過去を思い浮かべながら赤鉛筆で日記を書いている。私内田は金井家へ行く。父とは札幌農学校の同期で私は金井老人の監視下におかれていた。娘L、二人の妹達、実業界などの日本人倶楽部。留学生の友人達。画工仲間。バン夫人と姪ソニアとコスモポリタンな人々。日本料理東亭で会ったKそして友部少佐。Kの案内、そして気が付くと、……。 |
( 文藝春秋 1925.08. ) ( 『炉辺と樹蔭』 岡倉書房 1935.12.16 )(国DC※) |
帰朝時に乗り合わせた旅芸人。マルセイユ寄港。 |
( クラク 1927.05. ) ( 『炉辺と樹蔭』 岡倉書房 1935.12.16 )(国DC※) ( 『倫敦の薔薇』 青木書店 1940.07.15 )(国DC※) |
倫敦、晋太郎はリッチモンド遊園地でビアトレスと知り合い、彼女の叔母から投身自殺した日本人ミスター・ダイヤモンドとAさんの話を聞く。X夫人の盗難、Aの秘密、ダイヤモンド……。 |
( 文藝春秋増刊 1930.11. ) ( 『炉辺と樹蔭』 岡倉書房 1935.12.16 )(国DC※) ( 『倫敦の薔薇』 青木書店 1940.07.15 )(国DC※) |
倫敦のカフェで東洋人を眼中におかない衣服に緑をあしらった女がいた。和泉が彼女から聞いたことによると……。 |
( 時事新報 1913.07.05 )※10(夢現) |
自著書。面白かった利益のあった作。風景優れた所なし、幼少時の芝。 |
( 三田文学 1914.03.,1915.02.,1916.10.,1917.05.,08.,10.,12.,1918.02. )(国DC※) |
( 時事新報 1915.07.23〜24 )※10(夢現) |
一度帰国した時の談話。戦時中の倫敦の様子。 |
( 時事新報 1915.08.27〜28 )※10(夢現) |
東京の夏と倫敦の夏。 |
( 三田評論 1918.03. )(夢現) |
英国、Cと共にエピソムの営舎に日本人負傷者を見舞う話。 |
( 時事新報 1919.10.15 )※10(夢現) |
倫敦H公園。倫敦滞在の郡虎彦。※(上)のみ掲載されたもよう |
( 時事新報 1921.06.03,04 )※10(夢現) |
江原小彌太の創作「新約」上巻を読んで。 |
( 新小説 1921.07. )(夢現) |
電車汽車内の犬について。 |
( 三田新聞 1921.10.18 )(夢現) |
文科、三田文学のこと。大学時代から始まり立ち消えとなった例の会のこと。 |
( 日本一 1921.12. ) |
( 時事新報 1924.06.24,25 )※10(夢現) |
倫敦の無賃乗車、迷子、買物。 |
( 新小説 1924.12. )(夢現) |
ネクタイについて。靴下について。 |
( 文藝春秋 1925.01. ) ( 『炉辺と樹蔭』 岡倉書房 1935.12.16 )(国DC※) |
洋品店の窓、市街の喧騒、酒場と些細な出来事、裏町の硝子窓、通りすがりの人の会話……。 |
( 郊外 1925.10. )(夢現) |
初めの二三度で飽きた。 |
( 騒人 1926.05. ) ( 『炉辺と樹蔭』 岡倉書房 1935.12.16 )(国DC※) ( 『倫敦の薔薇』 青木書店 1940.07.15 )(国DC※) |
倫敦、U君と片端から飲み歩いた酒場、清蔵のU君の話。近くの倫敦ブライドという酒場の常連客。など。 |
( アサヒグラフ 1928.03.14 ) ( 『炉辺と樹蔭』 岡倉書房 1935.12.16 )(国DC※) ( 『倫敦の薔薇』 青木書店 1940.07.15 )(国DC※) |
新潟で見た夕陽、倫敦、少年の頃の赤坂。赤坂のカフェ。毀れ人形という倫敦にいた時の流行歌の口笛。倫敦で知り合った甚之進だった。 |
( 朝日 1929.07. )※14(夢現) |
メキシコの日本人から旧友だといって手紙が来るが私には未知の人。 |
( マツダ新報 1930.02. )(国DC※) |
倫敦、六年住んだV停車場付近。ネリー、宿の娘エバ、ドラモンド夫人、ナンシー。引越し。婚約、結婚し禁断の地となった。※別途コラムで「ゆびわ」の抜粋あり |
( 三田文学 1931.01. ) ( 『炉辺と樹蔭』 岡倉書房 1935.12.16 )(国DC※) |
三田時代、倫敦での偶然の再会、高輪、その後は東中野と鎌倉。 |
( 新愛知 1931.08.24 ) ( 『炉辺と樹蔭』 岡倉書房 1935.12.16 )(国DC※) |
夏の朝。夏の間に来ていた猫。夕暮からの庭球。倫敦の郊外へ行く乗合自動車。 |
( 話 1933.10. )(夢現) |
林檎の皮を投げる占い。父。 |
( 講談雑誌 1934.06. ) ( 『炉辺と樹蔭』 岡倉書房 1935.12.16 )(国DC※) |
青年時代、向こう見ずに鉄拳を振り回した勇気。慶応普通部の時の喧嘩。 |
( 東京日日新聞 1934.06.25 )※9 ( 『炉辺と樹蔭』 岡倉書房 1935.12.16 )(国DC※) ( 『倫敦の薔薇』 青木書店 1940.07.15 )(国DC※) |
毎日髭を剃る。贈られて安全剃刀を使うようになった。替刃のこと。倫敦での古替刃の棄て方。 |
( 東京日日新聞 1934.10.06 )※9 ( 『炉辺と樹蔭』 岡倉書房 1935.12.16 )(国DC※) |
メーソン著スチブンソン伝にある金次郎は藤倉金次郎でエジンバラに留学、燈台学の権威の父トマス・スチブンソンに師事していた。スチブンソンは珍しい言葉に出会うと探求する癖があった。金次郎こと藤倉見達が逝去した。 |
( 東京日日新聞 1934.12.12〜14(3回) )※9 ( 『炉辺と樹蔭』 岡倉書房 1935.12.16 )(国DC※) |
サンタクロースの話、クリスマスの話。 |
( 『思ひ出の日露戦争』I.ハミルトン 平凡社 1935.03.10 )(国DC※) |
※連名だが実質松本恵子による翻訳動機など |
( 旅 1935.05. )(夢現) |
困った事、房総へ行った時に巡査に怪しまれた事。駅弁は不味いときめているがうなぎ弁当は案外うまかった。 |
( 話 1935.12. )(夢現) |
富士登山。 |
( 『炉辺と樹蔭』 岡倉書房 1935.12.16 )(国DC※) |
気紛れな記録。家の小鼠が整理し棚へ積上げて置いて呉れたもの。 |
( 初出不明 ) ( 『炉辺と樹蔭』 岡倉書房 1935.12.16 )(国DC※) ( 『倫敦の薔薇』 青木書店 1940.07.15 )(国DC※) |
倫敦P町、渡英後一年住んだ土地。郊外に移った後もしばしば訪れる。下宿屋主婦O、長女A、次女K、そして三女N、息子ジム、隣人H。 |
( 初出不明 ) ( 『炉辺と樹蔭』 岡倉書房 1935.12.16 )(国DC※) ( 『倫敦の薔薇』 青木書店 1940.07.15 )(国DC※) |
倫敦郊外W町に住んでいた頃の夏の朝の散歩者仲間。夕方の乗合自動車。テームズ河遡上の旅と出会った青年。 |
( 初出不明 ) ( 『炉辺と樹蔭』 岡倉書房 1935.12.16 )(国DC※) |
少女へ持っていった干菓子。同級生から貰った大福。倫敦の下宿でのアップルパイ。 |
( 初出不明 ) ( 『炉辺と樹蔭』 岡倉書房 1935.12.16 )(国DC※) |
未知の土地、人との出会い。十五六の時、二人で八王子、猿橋、厚木、平塚というコース。英国グロスター州のハイキング。 |
( 初出不明 ) ( 『炉辺と樹蔭』 岡倉書房 1935.12.16 )(国DC※) |
新緑の頃、思い出すのは倫敦の緑公園。匂い、花の贈物。 |
( 初出不明 ) ( 『炉辺と樹蔭』 岡倉書房 1935.12.16 )(国DC※) |
桜田小学時代の質屋の同級生大森さんとロンドンの金色の三つ玉の商標の質屋の老人から聞いた話。 |
( 初出不明 ) ( 『炉辺と樹蔭』 岡倉書房 1935.12.16 )(国DC※) |
ロビンという急須、ブルックボンドかリプトン、入れ方、愛用茶碗、毎日六杯以上。 |
( 初出不明 ) ( 『炉辺と樹蔭』 岡倉書房 1935.12.16 )(国DC※) |
紅茶は自分で淹れたのでないと気に入らない。淹れ損じる事がある。ロンドンの下宿の主婦の紅茶。茶殻占い。紅茶で毒殺はあまり聞かない。エドガア・ジェブソンの探偵小説「茶殻」。 |
( 初出不明 ) ( 『炉辺と樹蔭』 岡倉書房 1935.12.16 )(国DC※) |
英国では黒木将軍が人気。日露戦争に観戦武官として派遣されたハミルトン卿によるところが大きいようだ。その功労者は藤井中将。 |
( 初出不明 ) ( 『炉辺と樹蔭』 岡倉書房 1935.12.16 )(国DC※) |
ディケンズの自作朗読。米国公演。 |
( 書物展望 1936.06. )(国DC※) |
ディケンズは伯父から聞いたのが始まり。ディケンズとマリア。作品に書かれたドーラ。その後。 |
( 『ヂツケンス物語全集』 中央公論社 1936.10.〜 ) |
( 婦人公論 1936.12. )(夢現) |
ディケンズの生涯と作品への影響など。※「デイッケンスの初恋」を詳細にした作品 |
( 婦人公論 1936.12. ) |
編集の都合により打ち切り。 |
( 三田文学 1938.05. )(夢現) |
三田の文科学生の頃。教室の建物。仲間たち。諸先生。 |
( 博浪抄 1938.10. )(夢現) |
聖林でのこと。黄石公園で熊に出合ったこと。 |
原作者:パッケル(?)『ルート』より ( 三田評論 1917.03.〜04. ) |
印度から倫敦へ帰った伊庭氏は日置夏子から会いたいという手紙と雀部から結婚するという手紙を受取った。伊庭氏は四葉の胸飾りを購入し夏子へ送る手配をする。雀部に会うと六條森子と結婚するという。伊庭氏は夏子の家へ行く。胸飾りは……。 |
ユーモア小説としてそれなりに面白い。謎があるわけではないが錯誤が元で犯罪要素もある。翻案の可能性も残るが。 |
原作者:ジョシフ・コーソル ( 三田文学 1920.09.〜12. )(国DC※) |
原作者:ル・キュー ( 『悪の巷』(恵美敦郎訳名義) 金剛社・世界伝記叢書5 1922.05. ) |
原作者:ウヰリアム・レイン ( 新青年増刊 1922.07. ) |
原作者:オルツイ夫人(恵美敦郎訳名義/松本泰訳) Baroness Orczy (1865-1947) "The Scarlet Pimpernel" ( 『紅繁縷』 金剛社・世界伝記叢書7 1922.10.01 )(国DC) 『紅繁縷』 改造社・世界大衆文学全集23 1929.05.03 (国DC) |
関門警備の裏をかきフランス貴族を断頭台から救うべく活動するイギリスの一団。紅ハコベの花押を残していく。(以下略) |
冒頭の脱出方法は古典的ではあるがおもしろい。謎と恋と兄への思い、そして(英国からみた)英仏気質と活劇が良い塩梅になっている。アントニー卿とフォークス卿が戸外に運ばれたがその後普通に登場しているのは元からなのか誤訳なのか抄訳なのか気になるところ。 (2018.02.) |
原作者:エリス・レビソン ( 新青年増刊 1923.01. ) |
原作者:エドガア・ワーレス ( 秘密探偵雑誌 1923.05.〜09. ) |
原作者:不明 ( 行楽 1925.04.〜05? )(夢現※) |
(第一回のみ)私は英国の代議士マーシントンの秘書役をする事になった。住み込みで同居人は他に姪のドリス。マーシントンとドリイが聖マーガレット湾の別荘に行って不在の時にクイルトという男が至急会いたいと来た。午後、私は別荘へ行き伝える。翌々日、マーシントンは崖のベンチで疲れ切っているのが見つかった。(予告より)不思議な紳士来訪、船員の死体発見、探偵の出没……。 |
翻案との事だが原作名なし、訳と表記されている。改変度合い不明。予告から次号完結とも思われるが不明。 |
原作者:イー・エル・ホワイト ( 写真報知 1925.10.25,11.05 ) |
ポールは人殺しは雑作ないが面倒なのは死体の処理だという。パンサーはエースに妻露子を奪われ棄てられた。ポールも怨みがあった。パンサーがエースのふりをして病死したようにする為に医者に見せ……。 |
コント風作品。意外なところからではある。 |
原作者:エドワード・ウエーア ( 週刊朝日 1926.04.01 ) |
署長のトムリンソンは医者バアジンの鞄が盗まれたとの報告を受けた。ラリイ探偵はヘンリイ商会の主人が殺されダイヤモンドが盗まれたということで駆けつける。店の前で露店商人が人を集め人殺しという声で人が雪崩込む。婦人の気絶、医者、青年。店員ストラウス、ゴルドマン。自動車事故、犬の咬んだ鞄……。 |
脱力系作品。今の感覚では微笑ましい部分もある。 |
原作者:ジャドソン・フィリップス ( 探偵文藝 1926.06. ) |
原作者:ル・キュー ( 講談倶楽部増刊 1926.10. ) 『松本泰探偵小説選3』 論創社 2017.08.30 |
陸軍大佐有田有信の未亡人と娘の富士子と女中のお鈴が荻窪の文化村の桐屋敷に住んでいた。夜中にお鈴が全身に長い毛の生えた人間ほどの高さの動物を見た。翌朝、未亡人が絞殺されているのが発見された。連絡を受けて警視庁から僕と岩田刑事、鑑識の金子技師がかけつけた。動物の指紋、人類猿(?)の足跡、絞殺に使われた靴下。人か猿か。 |
翻案との事。「モルグ街の殺人事件」を思わせるが、岩田刑事の足による解決であっけない。 (2017.11.) |
原作者:エドガー・ワレース ( 探偵文藝 1926.12.〜1927.01. ) |
原作者:アガサ・クリスティ ( 苦楽 1927.09.〜10. ) |
原作者:ロバート・ブレナン ( 文藝春秋 1927.10. ) |
原作者:アンドリウ・ウウタア ( 女性 1927.11. ) |
原作者:オルツイ夫人 Baroness Orczy (1865-1947) "I Will Repay" 『紅繁縷』 改造社・世界大衆文学全集23 1929.05.03 (国DC) |
『紅繁縷』続編。ふとした事で決闘となりマアネイ子爵を殺してしまったデルレイド。復讐を誓う妹のジュリエット。時は流れフランス革命の騒乱のなか、結果としてジュリエットはデルレイドに助けられる。愛と復讐の間で紅ハコベ首領の援助を求めることになる。 |
謎も計略も活劇も弱く、愛と復讐との相克の物語でしかない。救出活動で詭計はあるものの好敵手がいないという点でも『紅繁縷』より落ちる。 (2018.02.) |
原作者:オルツイ夫人 Baroness Orczy (1865-1947) "The Emperor's Candlesticks" 『紅繁縷』 改造社・世界大衆文学全集23 1929.05.03 (国DC) |
ウイーンの謝肉祭。ロシア皇太子のニコラス・アレキサンドロウィッチはマリア・ステファノウナに誘われて馬車に乗り込み捕えられてしまう。秘密結社は皇太子と引き換えに同志の釈放を要求する手紙と連絡文書をペテルスブルグの同志タラニーエフに渡すべくローマ法王使ドルセー大司教の秘書イワーン・ヴァレンスキーに託す。オーストリア皇帝フランツ・ヨセフ一世はロシアのマリーオノフ内親王にマリー・アントワネットが隠し通信にも使用したという燭台を渡すように大司教に依頼する。 ヴァレンスキーは燭台の中に文書を入れるがデミードフ夫人が運ぶ事になってしまった。夫人はロシア国への連絡文書を入れて国境を通過しようとしたが燭台は盗まれてしまう。皇太子の行方の手がかりを得ようとする老侍従伯爵ラウロウスキー、燭台を追うヴァレンスキーとデミードフ夫人、連絡を得られないままの秘密結社のミルコウィッチら、皇太子の運命と燭台の行方は。 |
敵味方の概念が薄く誰が主人公なのかわかり難い。燭台を巡る話というわけでもない。予測のつかない出来事に右往左往する人々とそれに対処する物語としてそれなりに面白くはある。 (2018.02.) |
原作者:ローエル・トーマス ( オール讀物 1933.08. ) |
原作者:チャーリス・ノリス ( 婦人公論 1934.05. )※12 |
原作者:ブルース・ハミルトン Bruce Hamilton (1900-1974) "To Be Hanged" ( 文藝春秋 1934.07. ) |
偶然ミハエルとエミイの会話を聞いた倫敦日報のウイリス。代理でギル旅館殺人事件の公判を傍聴して無罪を主張する被告ミハエルがその時の男だと気付いた。エミイの父ポールがギル旅館で殺された事件で二人の言い分が違っていて、エミイがミハエルを訴えたのだ。被告弁護人デイル、法律事務所のシドニイの協力のもと、叔母や旅館宿泊客らを調べていく。 付記:これは英国現代作家ブルース・ハミルトン原作 "To Be Hanged" から抄訳したもので、読者に読み易いように、地名、人名等は適宜に変更、或は簡略した |
大胆なトリック(今では周知)、手懸りから迫っていくのは良いが、死刑期限などが一切なくサスペンスは薄い。知能犯と痴情犯の要素が混沌としているのは実話的。 (2018.04.) |
原作者:アガサ・クリスチィ Agatha Christie (1890-1976) "Death in the Clouds" ( 文藝春秋 1935.07. ) |
原作者:マーク・トウェイン ( 日本少年付録 1936.08. ) |
原作者:ディケンズ ( 婦人公論 1936.02.〜12. ) |
原作者:J・P・マアクワンド ( 文藝春秋 1937.11. ) |
原作者:J・P・マアクワンド ( オール讀物 1937.12. ) |
原作者:マークワンド ( 改造 1939.04. ) |
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